フリーランスの中には、「海外で働いてみたい」「憧れの国に住んでみたい」と考える人も多いでしょう。筆者も実際に、海外でフリーランスとして働いた経験があります。この記事では、海外でフリーランスとして働くための案件獲得方法やビザの取得方法、税金の手続きを詳しく解説します。海外でフリーランスとして働くことはできる?海外に移住する日本人の数は年々増えており、働き方も多様化しています。「海外に住んでみたい」「好きな場所でフリーランスをしてみたい」という人は、スキルを身につけて、海外生活を実現させることは十分に可能です。実際にSOKUDANで活動する2人のフリーランスも、海外でフリーランス経験があります。体験談を交えて詳しく見てみましょう。SOKUDANのデザイナーTさんは海外でフリーランスとして活躍SOKUDANで活躍するデザイナーのTさんは、現在イギリスでフリーランスとして活動しています。フリーランスの収入が増えてきたタイミングで、イギリスのワーキングホリデービザに当たり、海外でフリーランス生活をスタートしたそうです。「時差を考慮してくれたり、フルリモートでの勤務OKなクライアントを見つけられたりしたことがラッキーでした」と話しています。現在は、イギリスと日本の双方にクライアントを抱えているそうです。イギリスは日本よりも物価や家賃が高いため、「イギリスと日本の両方から収入が得られ、収入の軸が2つあるのは金銭的な安心につながっています」と話しています。イギリスで出会った友人の中には、日本で働いていた会社を退職するタイミングで業務委託契約に切り替えて、引き続き同じ業務をしている人もいるそうですよ。語学力ゼロでも海外でフリーランスはできる家族の海外転勤や国際結婚などを理由に、語学力がないまま海外に引っ越すケースもあるでしょう。語学力がないと、現地で仕事に就くハードルが高いため、仕事やキャリアを諦めなければならないと思うかもしれません。しかし、日本の企業とオンラインで仕事をすれば、海外にいながらフリーランスとして働くことが可能です。筆者は以前、2年間カナダでフリーランスをしていた経験があります。夫の海外勤務がきっかけで、それまで勤めていた会社を退職して同行したものの、英会話力は中学生レベル。現地のスーパーのレジを突破するのがやっとでした。渡航して1~2ヶ月ほどで時間に余裕ができたため、クラウドソーシングサイトに登録し、フリーランスとしての仕事を始めました。日本では新聞記者をしていたため、関連した仕事で編集やライティング、校正校閲の仕事を請け負いました。取引先は全て日本の企業だったので、コミュニケーションにはまったく問題なし。クラウドソーシングサイト上で、案件探しから応募、受注、継続の相談、支払いまで一貫して対応できたので、半日近い時差がありましたがスムーズに案件を進めることができました。現在では、チャットツールやオンライン会議システム、リモートワークが普及しており、国によっては現地に住む日本人向けのサポートサービスが充実しています。語学力がなくても、より海外でフリーランスとして活動しやすい環境になっているでしょう。ちなみに、筆者のカナダ滞在中は、カナダやアメリカ、ヨーロッパへの旅行をはじめ、ランゲージエクスチェンジや地域の英会話サークルへの参加、国際結婚した友人の家族パーティにお邪魔させてもらうなど、英語を話せないなりにも海外生活をとても満喫できました。これも、フリーランスという柔軟な働き方をしたからこそ、できたものだと思います。海外でフリーランスとして働くために必要なビザと取得方法海外でフリーランスとして働くには、適切なビザを取得することが必要です。ビザなしでも短期滞在できる国もありますが、多くの国では就労ビザや特定の滞在許可が求められます。ビザを取得せずに仕事をすると違法就労とみなされ、最悪の場合は国外退去や再入国禁止の措置を受けることがあります。ここでは、海外フリーランス向けのビザの種類と取得方法について詳しく解説します。海外でフリーランスとして働けるビザの種類フリーランスとして海外で働くためには、ビザの条件を確認する必要があります。代表的なビザとして、就労ビザ、デジタルノマドビザ、ワーキングホリデービザの3つが挙げられます。それぞれの特徴を理解し、自分の働き方に合ったものを選ぶことが大切です。就労ビザ就労ビザは、特定の国で働くために必要なビザです。国によって条件が異なり、企業に雇用されることが前提のものが多いため、フリーランスが取得するのは難しい場合があります。しかし、一部の国ではフリーランス向けの就労ビザを発行しています。ドイツでは「フリーランスビザ(Freiberufler Visa)」があり、エンジニアやライター、デザイナーなど、特定の職種に該当すれば申請できます。デジタルノマドビザデジタルノマドビザとは、リモートワークをしながら海外滞在ができるビザです。フリーランスのように特定の企業に雇用されていなくても、海外のクライアントと仕事をしている人なら申請できるケースが多い傾向にあります。現在、デジタルノマドビザを発行している国には、エストニアやポルトガル、スペイン、UAE(ドバイ)、タイなどがあります。例えば、エストニアのデジタルノマドビザでは、月に4,500ユーロ以上の収入を証明できれば1年間の滞在許可が得られます。ワーキングホリデービザワーキングホリデービザは、18~30歳*の若年層を対象としたビザで、一定期間の就労が認められています。多くの国で、ワーキングホリデービザでもフリーランスとして活動することが認められています。以下はワーキングホリデービザを発行している国の一例です。年齢滞在期間国名18歳以上26歳以下1年間アイスランド18歳以上30歳以下1年間オーストラリア(地方労働で最大3年まで延長できる可能性あり)、ニュージーランド、カナダ、フランス、ドイツ、スペイン、アイルランド、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、韓国、台湾、香港など2年間イギリス、チリ(基本は1年だが、現地申請で1年延長できる可能性あり)*オーストラリアやカナダでは、一部の国籍(カナダやアイルランド、フランスなど)に対して、35歳まで発行している。ビザの取得方法ビザの種類によって異なりますが、基本的にビザを取得するには、パスポートや収入証明、滞在先の証明、健康保険の加入証明などの書類の準備が必要です。就労ビザでは、現地のクライアントとの契約書や推薦状を求められることもあります。デジタルノマドビザでは、フリーランスとしての収入を証明する銀行の取引履歴や、確定申告書が必要になる国もあります。必要書類を準備したら、日本国内の大使館や領事館で申請します。ビザはいつから準備しておくべき?ビザの審査期間は国や種類によって異なり、早いところでは2~3日で済み、時間がかかるところでは数ヶ月かかります。そのため、渡航の6ヶ月前から準備を始めるのが理想的です。スケジュールを立てて計画的に進めることで、渡航直前に焦ることなくスムーズに手続きを完了できます。【理想のスケジュール】6ヶ月前:渡航先とビザの種類を決めて必要書類を確認する3〜4ヶ月前:必要書類を揃えてビザの申請を行う1〜2ヶ月前:ビザの取得が完了して出発の準備を進める日本人は、71の国と地域でビザの発行が免除されており、パスポートがあれば最大90日*まで入国できますが、労働は認められていません。渡航日までに就労ビザなどが下りなかった場合に、現地でビザの取得を試みることもできますが、審査が長引いて滞在期間内に許可が下りずに強制出国となるリスクがあります。また、違法就労が発覚すると、国外退去処分や今後の再入国禁止措置を受けることもあるため、慎重に準備することが重要です。*インドネシアとタイは15日まで、ブルネイとUAE、カタールは30日まで、そのほか66の国・地域は90日まで。海外でフリーランスとして働く場合の税金・確定申告の義務日本を離れて海外でフリーランスとして働く場合、日本での税金や確定申告の義務が変わる可能性があります。海外移住後も日本で納税する必要があるのか、住んでいる国での税金はどうなるのかを把握していないと、思わぬトラブルにつながることもあります。ここでは、海外フリーランスが知っておくべき税金や確定申告について詳しく解説します。海外に1年以上滞在する場合は確定申告は不要海外に1年以上滞在し、日本に住民票を残していない場合は、原則として日本での確定申告は不要です。これは、税法上「非居住者」とみなされ、日本国内で発生する所得に対して課税義務がなくなるためです。日本の税制では、「居住者」と「非居住者」を下記のように定義しており、居住者と非居住者によって、国外での収入に課税されるかどうかが変わります。定義国内の所得国外の所得居住者国内に住所を持つ、または、現在まで引き続き1年以上、居所を有する個人課税原則課税非居住者「居住者」以外の個人課税課税なし居住者は国外で得た所得も含めて課税対象になりますが、非居住者は原則として日本に納税義務がありません。以下の例外を除き確定申告は不要です。日本にある不動産を貸し付け、売却して利益を得た場合日本にある資産を運用・保有して所得を得た場合ただし、短期滞在を繰り返している場合や、一時帰国の頻度が多い場合は、税務署から「居住者」と判断されて課税対象となる可能性があるため、注意が必要です。なお、渡航先にある企業と取引し、収入を得た場合は、現地に税金を収める必要があります。日本の所得税などの税金は納税が免除される1年以上日本を離れる人には、原則、所得税や住民税、消費税の納税が免除されます。しかし、住民票を日本に残したままにすると、住民税の支払い義務が発生します。住民税は前年の所得をもとに計算されるため、たとえ海外に住んでいても、住民票がある限り課税される仕組みになっています。住民税の納税を免除したい場合の手続き方法は、後述します。なお、海外に住みながら日本の企業と仕事をする場合は、税制上の居住者か非居住者かによって、源泉徴収のルールが異なります。非居住者として扱われる場合は、日本の所得税法に基づき、源泉徴収義務が適用されないため、日本の企業が支払う報酬に対して源泉徴収は不要になります。一方で、海外滞在が1年未満、または住民票を残している居住者の場合は、源泉徴収が適用されます。【出国前】海外でフリーランスとして働くために必要な準備・手続き海外でフリーランスとして働くには、ビザの取得や税金、医療制度の確認、現地での生活費の確保など、出国前に済ませておくべき手続きが多くあります。準備を怠ると、現地で仕事ができなかったり、思わぬトラブルに巻き込まれたりする可能性もあるため注意が必要です。ここでは、海外フリーランスとしてスムーズに働き始めるための準備を詳しく解説します。ビザを取得するフリーランスとして海外で働くには、就労可能なビザを取得する必要があります。ビザの申請に必要な書類や手続きは、ビザの種類や国によって異なります。事前に各国の大使館や公式サイトで最新情報を確認して手続きを進めましょう。現地の納税先やルールを確認する国によって課税対象や税率、申告義務が異なります。知らない間に罰則を受けたり、想定外の税負担が発生したりする可能性があるため、事前に納税ルールを把握しましょう。例えば、タイでは年間180日以上滞在すると税務上の居住者とみなされ、課税対象となります。海外のクライアントから収入を得ている場合でも、タイ国内に送金した時点で課税される可能性があるため、適切な対応が求められます。アメリカでは、滞在日数が183日を超えると税務上の居住者と判断され、全世界所得*が課税対象になります。さらに、市民権や永住権(グリーンカード)を持つ場合は、国外に住んでいてもアメリカの納税義務が継続する特徴があります。*住んでいる国だけでなく、海外で得た事業所得や不動産所得など、全ての所得が課税対象となること。現地の生活や医療制度を確認する海外で安心して生活するためには、現地の生活環境や医療制度を事前に把握しましょう。国によっては公的医療保険に加入できない場合もあり、万が一の病気やケガの際に高額な医療費がかかることもあります。例えば、アメリカでは医療費が非常に高額なため、民間の健康保険に加入していないと治療費が数百万円単位になることもあります。一方で、ドイツやフランスでは、外国人でも公的医療保険に加入できる制度が整っています。また、生活面では、銀行口座の開設方法や現地の住居探しのルールを事前に確認しておくことも重要です。一般的には、観光ビザなどの短期ビザでは銀行口座を開設するのは難しいとされています。事前に情報を集め、現地でスムーズに生活をスタートできるよう準備しておきましょう。単発の案件を受けるこれからフリーランスになろうと考えている人は、移住前に単発の案件を受けてみるのがおすすめです。いきなり継続案件を取ると、移住の準備や時差の影響でクライアントに迷惑をかける可能性があるため、無理のない範囲で仕事を始めるのが理想的です。特に、クラウドソーシングサイトを利用すれば、駆け出しフリーランス向けの仕事や、短期間でできる仕事を見つけやすいでしょう。最初は単発の案件をこなしながら、海外でも問題なく働ける環境を整え、その後長期契約の案件に移行するとスムーズにキャリアを築けます。ただし、一部のクライアントは「海外在住のフリーランスとは契約を継続しない」といった方針を持っている場合もあるため、気になる案件がある場合は移住前に確認しておくことが重要です。海外で働くことをクライアントに伝えるすでに日本国内でフリーランスとして仕事をしている場合は、海外に移住する数ヶ月前にクライアントに仕事の相談をしましょう。移住先によっては時差や検閲などの問題で、仕事に影響を与える可能性があるためです。特に、ヨーロッパやアメリカのように日本との時差が大きく、リアルタイムの対応や連絡が難しくなる場合は、納期の調整や、ミーティングの時間帯を事前に相談しておくことで、スムーズに業務を進められるでしょう。基礎的な語学力を身につける日本の企業とだけ仕事をする場合でも、最低限の語学力は欠かせません。特に、英語や現地の公用語が話せないと、住居探しやビザの手続き、税金の申告などで苦労するでしょう。オンライン英会話や語学アプリなどを活用し、事前に練習しておくと安心です。最低半年以上の生活費を貯蓄するフリーランスになっても最初から安定して仕事が取れるとは限らず、予想外の出費が発生することもあります。そのため、最低でも半年以上の生活費を貯めておくことが重要です。特に、物価が高い国に移住する場合は、現地での生活費を事前に調べ、余裕を持った資金計画を立てることが大切です。▼関連記事:フリーランスは貯金が重要!独立前のお金準備や将来の資産形成について役所で出国手続きを行う1年以上海外に滞在する場合は、居住する市区町村の役所で「海外転出届」を提出する必要があります。国外に転出する日の2週間前を目安に提出しましょう。海外転出届の提出により、住民票が削除され、住民税や国民健康保険の支払い義務がなくなります。また、年金は「任意加入」の手続きを行うことで、将来の受給額への影響を最小限に抑えられます。海外でフリーランスとして働く場合も、日本での手続きを忘れずに行いましょう。【移住後】海外でフリーランスとして働くために必要な準備・手続き海外でフリーランスとして働くためには、移住後に済ませなければならない準備や手続きが数多くあります。面倒だからと後回しにすると、罰則を受けるリスクや生活上の不便が増えるため、早めに必要な手続きを完了させることが大切です。ここでは、移住後に行うべき重要な手続きを詳しく解説します。滞在登録を行う海外に移住したら、まず滞在登録を行います。滞在登録とは、現地の自治体や入国管理局に滞在を届け出る手続きで、行政サービスなどを利用するために必要です。滞在登録の方法は国によって異なりますが、一般的には以下のような書類を提出する必要があります。パスポート滞在先の証明ビザ現地の銀行口座を開設する現地の銀行口座があると、現地通貨での支払いがスムーズになり、クライアントからの報酬もスムーズに受け取れるうえ、為替手数料も抑えられます。N26(ドイツ)やRevolut(イギリス)などのオンライン銀行を利用すれば、比較的簡単に口座を開設できます。取引手数料やサービス内容を比較しながら、自分に合った銀行を選ぶことが大切です。銀行口座を開設する際には、一般的に以下の書類が求められます。パスポート滞在登録証明書納税者番号(税務ID)税金の手続きを行う移住後は、一般的に移住先の税務当局(日本でいう税務署)で、パスポートやビザ、労働許可証などを提示して納税者番号を取得する必要があります。ただし、必要な手続きは移住先によって異なるため、事前に確認し、適切に手続きを進めることが重要です。税務手続きに不備があると罰則の対象になる可能性もあるため、現地の税務署や専門家に相談しながら進めるのがおすすめです。特に、初めて海外で働く場合は、税理士や会計士に依頼することでスムーズに手続きを進められます。海外でフリーランスとして働く際の国・居住地の選び方海外でフリーランスとして働くためには、「理想のライフスタイルを実現できるかどうか」「生活費を抑えられるか」「安心して暮らせる環境か」など、考慮すべきさまざまなポイントがあります。ここでは、移住する国や地域を選ぶ際のポイントを詳しく解説します。自分の理想の暮らしができるかまずは、海外での理想の暮らしをしっかりイメージしておくことが大切です。仕事のしやすさだけでなく、どのような環境で生活したいのかを考えることで、より満足度の高い生活につながります。例えば、海の近くでのんびりとした暮らしをしたいなら、バリ島やハワイなどのビーチリゾートが適しています。一方、都市の活気がある環境で刺激を受けながら働きたい場合は、ニューヨークやロンドンといった大都市が選択肢になります。また、フリーランスとしての生活には、カフェやコワーキングスペースなどの作業環境も重要です。バンコクやホーチミンのような都市では、Wi-Fi環境が整ったカフェが多く、ノマドワーカー向けのスペースも充実しています。自分がどのような環境で働きたいのかを明確にすることで、より快適な国を選べます。物価が安いか日本よりも物価の安い国を選ぶと、同じ収入でもより快適な暮らしが可能になります。東南アジアや南米の一部の国では、家賃や食費が日本よりも大幅に安いため、少ない収入でも余裕を持って生活できる可能性があります。ただし、安いからといって全ての国が住みやすいわけではありません。インフラの整備状況や医療環境にも注意が必要です。物価の安さだけでなく、快適に生活できるかどうかを総合的に判断することが大切です。治安がよいか日本で生活していると忘れてしまいがちですが、日々の安全な生活が、海外では当たり前とは限りません。スリや暴行事件などの犯罪が日常茶飯事な国や地域もあります。フリーランスとして仕事に集中するためにも、安全面が確保された国を選ぶのがよいでしょう。文化や宗教に馴染めるか文化が大きく異なる国では、生活習慣の違いに戸惑ったり、現地のルールに適応するのが難しく感じたりすることがあります。例えば、イスラム圏では、飲酒が禁止されている地域もあります。また、宗教上の理由で特定の食べ物が制限される場合もあります。日本とは異なる文化や価値観の国で暮らす場合は、事前に文化や宗教について学び、適応できるかどうかを考えましょう。食事と気候が合うか現地の食事が合わないと体調を崩したり、食べられるものが限られ、ストレスを感じる原因になることもあります。アメリカのロサンゼルスやオーストラリアのシドニー、カナダのバンクーバーのように日本人在住者が多い都市部であれば、日本食スーパーなどで日本の食材も比較的調達しやすく、日本食レストランも豊富にあります。逆に、日本人が少ない国や地域では、日本の食生活が難しくなります。また、気候が合わないと、仕事のパフォーマンスにも影響を及ぼす可能性があります。東南アジアは1年中暑く湿度が高いため、暑さが苦手な人には厳しい環境になることがあります。ヨーロッパの冬は寒さが厳しく、日照時間が短いため、気分が落ち込みやすくなることもあります。自分にとって快適な気候の国を選ぶことで、健康的でストレスの少ない生活を送れるでしょう。海外でフリーランスとして働くメリット円安が続き、世界情勢も目まぐるしく変わる不安定な状況ですが、自由な働き方を求めて、海外でフリーランスとして働く人が増えています。ここでは、海外でフリーランスとして働く具体的なメリットを解説します。好きな国で生活しながら働ける海外でフリーランスとして働く場合は、好きな国に滞在しながら仕事を続けられるのが魅力です。以下のように理想のライフスタイルを実現できるでしょう。バリ島・ハワイビーチ沿いに住みながら、朝や仕事の合間に海を楽しめるポルトガルのポルト・スペインのバルセロナ歴史的な街並みと、穏やかな気候が魅力の場所で落ち着いた生活を送れるタイのチェンマイ・ベトナムのダナン生活費が比較的安く、余裕のある生活を実現できるさらに、海外では新しい人とのつながりも広がります。同じような働き方をしている人と出会い、情報交換をしたり、一緒にプロジェクトを進めたりすることで、仕事の幅や視野が広がるきっかけにもなります。生活コストを抑えながら豊かな暮らしができる物価の安い国に移住すれば、日本で同じ収入を得ているよりも快適な生活ができます。特に、東南アジアや南米などでは、日本と比べて家賃や食費が大幅に安いため、より余裕のある生活を送れるでしょう。高単価案件を獲得できる海外のクライアントから仕事を受注できれば、日本国内の案件と比べて高単価の仕事を獲得しやすくなります。特に、アメリカやヨーロッパでは、日本よりも報酬が高い案件が多く、専門職であれば時給50ドル(約7,500円)以上の案件も珍しくありません。さらに、円安の時期であれば、ドルやユーロで受け取った報酬を日本円に換算した際に、実質的な収入が増えることもあります。海外でフリーランスとして働く注意点海外でフリーランスとして働くことには多くの魅力がありますが、時差によるコミュニケーションの問題や、案件の獲得難易度など、思わぬハードルに直面する可能性があります。ここでは、海外でフリーランスとして働く際に気をつけるべきポイントを解説します。時差を理由に仕事を断られる可能性がある海外に拠点を移すと、日本のクライアントと仕事をする際に時差の影響を受けることがあります。特に、北米や南米大陸に滞在していると、日本の営業時間と半日以上のズレが生じます。そのため、会議時間のすり合わせが大変になるほか、急ぎの連絡や案件への対応が難しくなります。その結果、日本企業のクライアントから「連絡が取りにくい」と判断され、案件を断られる可能性があります。対策としては、日本時間に合わせてスケジュールを組んだり、時差の影響が少ないアジア圏の国を拠点にしたりするのがポイントです。経験が浅いフリーランスは案件獲得が難しい日本では、未経験歓迎などで外注費用を抑える案件も多く見られます。一方で、アメリカやイギリスなどの欧米諸国は、成果主義がより強い傾向にあるため、フリーランスに仕事を発注する際は価格の安さよりも、過去の実績やパフォーマンスを優先する傾向にあります。つまり、実績が十分にない状態では、海外のクライアントから案件を受注することは難しいのです。海外で案件を獲得するには、実績や信頼性を証明することが重要になります。そのため、フリーランスとしての実績が少ないうちは、日本企業との取引や、小規模な案件を着実にこなすことで評価を積み重ねましょう。信頼と実績が蓄積されていくことで、海外クライアントへのアプローチもしやすくなります。海外でフリーランス案件を獲得する方法海外でフリーランスとして働くには、案件を安定して獲得できるよう、さまざまな方法を理解しておくことが重要です。アプローチの手段とメリットを理解し、自分に合った方法を選びましょう。ここでは、海外でフリーランス案件を獲得する具体的な方法を紹介します。クラウドソーシングサイトクラウドソーシングサイトは、企業や個人がインターネット上で不特定多数の人に業務を発注する仕組みです。Webライティングや翻訳、デザイン、プログラミング、データ入力など、さまざまな案件に応募できます。クラウドソーシングサイトは、フリーランス経験が浅い人でも比較的簡単に仕事を見つけられるのが大きな特徴です。日本のクラウドソーシングサイトでは、ランサーズやクラウドワークスが大手で、案件の取り扱い数も豊富です。海外のクライアントと仕事をしたい場合は、UpworkやFreelancerがおすすめです。▼関連記事:おすすめのクラウドソーシングサイトを総まとめ!フリーランス向けの案件マッチングサービスフリーランス向けの案件マッチングサービスを活用すると、自分のスキルや経験に合ったリモート案件を効率的に探せます。単発の案件だけでなく、長期的な案件が多いほか、クラウドソーシングサイトよりも高単価の仕事も多いため、スキルを活かして安定した収入を得たい人に向いています。また、海外クライアントとの仕事を増やしたい場合は、Toptalなどがおすすめです。Toptalは、スキル審査が厳しいものの、合格すれば世界中のハイクラスな企業と直接契約できるチャンスがあります。▼関連記事:フリーランス向け案件マッチングサービスのおすすめ14選〜利用者の声もご紹介〜フリーランス向けのエージェントサービスフリーランス向けのエージェントサービスを利用すると、自分のスキルや希望に合った案件をエージェントから紹介してもらえるため、営業活動に時間をかけずに仕事を獲得できます。また、契約書の作成や報酬の交渉、税務相談などのサポートも受けられるため、フリーランスとしての活動がスムーズになります。特に、海外に住んでいる場合は、税金や契約の手続きが複雑になりがちですが、エージェントサービスを利用すれば安心して業務に集中できるでしょう。▼関連記事:フリーランスにおすすめのエージェント21選!案件を獲得するための強い味方知人やコミュニティからの紹介フリーランスが案件を獲得するためには、人脈を活かすことも重要です。知人の紹介やコミュニティを活用することで、単発の案件だけでなく、長期的な契約につながることもあります。また、一緒に仕事をしたことのあるクライアントと良好な関係を維持することで、契約が終わった後でも、クライアントから新たな業務を依頼される可能性が高くなります。そのほか、クライアントから別の企業や担当者を紹介してもらえる可能性も高まり、新たな仕事のチャンスにつながることもあります。海外移住を決めても、日本の企業との関係を断ち切らずつながりを維持することで、安定した収入を確保できます。▼関連記事:フリーランスこそ人脈が大切!人脈作りのコツ・案件獲得方法を解説▼関連記事:フリーランスのコミュニティのおすすめ10選!海外でフリーランスとして活躍しやすい仕事・職種海外でフリーランスとして働くには、収入や自由度に大きく影響する職種選びが重要です。特に、オンラインで完結し、クライアントとのやり取りや時差の影響が少ない仕事であれば、移住後もスムーズに働けるでしょう。ここでは、海外でフリーランスとして活躍しやすい職種を紹介します。エンジニアエンジニアは、需要が高く、安定した収入を得やすい職種の1つです。フルリモートで働きやすいことからも、エンジニアを目指す人は増えています。特に需要が高いのは、Web開発やアプリ開発、データサイエンス、AI関連の技術を持つエンジニアです。高いスキルがあれば、日本国内はもちろん、海外のクライアントからも仕事を受注できるでしょう。さらに、海外の企業と直接契約すれば、日本よりも高単価の案件を獲得できることもあります。▼関連記事:フリーランスエンジニアになるには?稼ぐコツや必要なスキルをメリットとともに解説デザイナーWebコンテンツの需要の高まりに伴い、デザイナーは世界中で人気の高い職種です。Webデザインやグラフィックデザイン、UI/UXデザインなどの分野では、フリーランスとして活躍する人が増えています。特に、企業のブランディングや広告制作に関わるデザインの仕事は、国を問わず一定のニーズがあります。デザインツールさえ使えれば、どこにいても仕事ができるため、海外フリーランスとして自由な働き方を実現しやすいでしょう。▼関連記事:フリーランスのWebデザイナーになるには?独立後の年収や案件獲得方法もご紹介編集・ライター・校正編集やライティング、校正の仕事も、海外で行いやすい仕事です。クライアントとのコミュニケーションが比較的少なく、納品ベースで進められるため、時差の影響を受けにくい点もメリットでしょう。ライティングの仕事には、Webメディアの記事執筆や、SEO対策を意識したブログ記事の作成、企業のコンテンツマーケティング用の資料作成など、さまざまな種類があります。ライティングスキルに加えて、例えば医療や法律、金融などの専門知識を持っていれば、より高単価の案件を獲得しやすくなります。クラウドソーシングサイトでは、ライティング未経験歓迎の案件も多いため、これまでライティング経験がない人でもスタートするハードルが低いのも特徴です。▼関連記事:フリーランスのライターになるには?稼ぐコツや働き方のリアル翻訳・通訳翻訳や通訳の仕事は、語学力を活かして働きたい人に向いています。特に、英語や中国語、フランス語、スペイン語などのメジャーな語学スキルに加え、専門性と需要の高い分野の知識を身につけていれば、安定して仕事を獲得できるでしょう。翻訳や通訳の仕事には、ビジネス文書や契約書の翻訳、Webサイトのローカライズ(特定の国の言語や文化に合わせて最適化すること)、オンライン会議の同時通訳や、国際イベントなどがあります。BtoBだけでなく、海外駐在員の生活をサポートする一般向けの通訳業務も一定のニーズがあり、活躍の場が広いのが特徴です。▼関連記事:フリーランスで翻訳の仕事はできる?需要・平均年収・案件例を紹介マーケターマーケターは、企業の売上やブランド力向上に貢献する仕事です。近年では、特にデジタルマーケティングの分野でフリーランスの需要が高まっています。デジタルマーケティングの仕事には、SNS運用やSEO対策、広告運用、コンテンツマーケティング、メールマーケティングなどがあり、特定のスキルを持つマーケターは海外でも活躍しやすいでしょう。マーケティングの成果はデータ分析によって可視化できるため、海外にいてもオンラインで業務を進めやすい点もメリットです。▼関連記事:フリーランスWebマーケターとは?必要なスキルや案件の探し方などをご紹介!動画編集YouTubeなどの動画配信プラットフォームやSNSの普及により、動画編集の需要は急増しています。YouTube動画の編集はもちろん、企業のプロモーションや教育コンテンツなどで動画を活用する機会が増えているため、外部に委託するケースも増えています。動画編集はオンライン教材やトレーニングが豊富で、未経験者でも独学で始めやすいといわれています。Adobe Premiere Proなどの動画編集ソフトを使いこなせれば、高単価の案件を獲得しやすくなるでしょう。▼関連記事:動画編集でフリーランスになるには?案件獲得方法や単価・年収を解説データ入力データ入力は、企業が扱うデータを整理したり、ExcelやGoogleスプレッドシートに入力したりする仕事です。正確さとスピードが求められますが、専門知識は不要で作業自体はシンプルです。PCとインターネット環境さえあればできるため、フリーランスとして最初に挑戦する職種としてもおすすめです。ただし、データ入力の単価は1件あたり数十円程度なため、移住先の物価によっては、データ入力だけで生計を立てるのは難しい場合もあります。ほかの仕事の合間に行う副業として挑戦するとよいでしょう。日本にいながら海外から仕事を受注する方法とポイント海外のクライアントと仕事をするためには、海外移住が必要と思うかもしれません。しかし、日本にいながらも海外の企業やクライアントから仕事を受注することは可能で、新たなビジネスチャンスを広げてキャリアアップにもつながります。ここでは、海外のクラウドソーシングサイトを活用する方法や、SNSを通じた直接営業のポイントを詳しく解説します。海外のクラウドソーシングサイトや案件マッチングサイトを活用する海外のクラウドソーシングサイトや案件マッチングサイトを利用すると、日本にいながら世界中のクライアントと仕事ができます。代表的なサイトには、Upwork、Fiverr、PeoplePerHour、Toptalなどがあります。サイト特長Upwork・世界最大級のフリーランス向けプラットフォーム・エンジニア、デザイナー、ライターなど幅広い職種の案件が豊富にあるFiverr・グラフィックデザインやプログラミングを中心に、世界中のクライアントとフリーランスをつなぐサービス・小規模なタスクや短期的なプロジェクトも多く、実績を積みながら単価を上げられるPeoplePerHour・イギリス発のプラットフォーム・柔軟性が高く、自分のペースで働けるほか、AIによるマッチング機能で適切な案件を見つけやすいToptal・厳しい審査をクリアした、レベルの高いフリーランス向けのプラットフォーム・ソフトウェア開発やデザインなど高い専門性が求められる分野に特化しており、高収入が期待できる案件に応募する際は、クライアントに魅力が伝わるよう、スキルや過去の実績を明確に記載しましょう。特に、ポートフォリオに掲載する作品や過去のプロジェクトを整理し、どのような価値を提供できるのかを明確にすることが大切です。海外のクライアントはレスポンスの速さを重要視する傾向があり、メッセージの返信が遅いと評価に影響する可能性があります。クライアントの営業時間に合わせて返信やミーティングを行い、柔軟性を示すとよいでしょう。また、海外のクライアントと仕事をする場合は、クライアントと対等な立場になってコミュニケーションをとることを心掛けましょう。日本では、まだ「フリーランス=仕事をもらう立場」というイメージが強く、クライアントよりも立場が弱い傾向があります。一方で海外では、フリーランスは専門知識を提供するパートナーとして見られます。指示に従うだけでなく、プロとしての意見や提案ができるよう意識しましょう。SNSなども活用して直接営業をかけるクラウドソーシングサイト以外にも、SNSを活用して海外のクライアントに直接営業をかける方法があります。特に、LinkedInは海外のビジネスパーソンも多く利用しているため、仕事を獲得する手段として有効です。企業の公式サイトやアカウント、求人情報をチェックし、自分のスキルや希望に合った案件を探します。気になる案件があれば、SNSや公式サイトからメッセージを送ります。英語などの外国語でのやり取りになりますが、端的で明確な文章を意識すれば、返信がもらえる可能性が高まります。最初のメッセージでは、「どのようなスキルを持っているのか」「どのような仕事ができるのか」を簡潔に伝え、過去の実績が分かるポートフォリオのリンクを添えましょう。また、「〇〇のプロジェクトに貢献できる」といった具体的な提案を含めることで、相手の関心を引くことができます。メッセージのやり取りが進むと、オンラインミーティングを行う機会もあるでしょう。事前に話す内容を整理し、自分のスキルや経験を簡潔に伝えられるように準備しておくことが大切です。直接営業は手間がかかりますが、SNSを活用して企業とつながることで、長期的・継続的な案件を得やすくなるというメリットがあります。▼関連記事:LinkedIn(リンクトイン)とは?できることやメリット、活用のコツを解説海外でフリーランスとして働く際はSOKUDANがおすすめ海外でフリーランスの案件を探すときにおすすめなのが、フリーランス・副業向けの案件のマッチングサイト「SOKUDAN」です。SOKUDANには、以下の3つの特徴があります。週1日~稼働OKの案件多数リモート案件率92%平均時給4,500円SOKUDANは、掲載案件の92%がリモート案件のため、海外にいながら仕事をスムーズに続けられます。また、ほかの仕事と掛け持ちしやすい週1日から稼働できる案件や、日本時間の夜に稼働できる案件など、稼働時間に融通がきく案件が多く掲載されています。加えて、取り扱い案件の平均時給が4,500円と高単価のため、短時間でもしっかりと稼げます。SOKUDANは無料で登録・利用できます。海外でフリーランス案件を探している人は、ぜひチェックしてみてください。▼SOKUDANのフリーランス案件一覧▼SOKUDANのリモートワークの案件一覧▼SOKUDANの高単価案件一覧まとめ海外でフリーランスとして働く場合は、日本と渡航先の税制やビザの手続きを正しく理解して、適切に対応する必要があります。仕事面では、日本企業と取引する場合は時差に注意することが重要です。加えて、海外のクライアントと働く場合は、より高いプロ意識をもち、指示待ちではなく積極的に提案やアプローチを行うよう心掛けましょう。リモートワークなどの普及で、フリーランスは、海外を含む好きな場所で自由に働ける時代になっています。憧れの国で生活したい人、家族の転勤に同行することになった人など、海外移住の事情はさまざまですが、フリーランスとして働くことは海外生活を充実させる1つの手段です。この記事を参考に、海外フリーランスとしての働き方を具体的に検討してみましょう。