エンジニアにとって、パソコンは作業効率を左右する重要なツールです。パソコン選びに失敗すると作業が滞り、後悔することになります。この記事では、エンジニアが重視すべきスペックや中古パソコンの選び方、おすすめ機種を紹介します。後悔しないパソコン選びの参考にしてください。エンジニアが重視すべきパソコンのスペックエンジニアは、パソコンで負荷の高い作業を行う機会が多く、一定以上のスペックが求められます。スペックが低いと作業が滞り、後悔することになります。そのため、満たすべき基準を確認していきましょう。CPUCPUは、パソコンの頭脳と呼ばれ、性能がよくなるほど処理速度が速くなります。処理速度が遅いと、思うように仕事が進められず、エンジニア業務に支障をきたしてしまいます。エンジニア向けのCPUは、Intel Core i7やRyzen7以上、MacならM2チップ以上が目安です。CPUは性能が更新されていく部品です。その時々の最新世代か1世代前のモデルなら、ストレスなく使えるでしょう。メモリメモリは、CPUが処理するデータやプログラムを一時的に保存しておく場所です。エンジニアは、ソフトやアプリをいくつか同時に使用することも多いため、メモリ容量も大きい方が快適に作業できます。エンジニアの場合は16GB以上、画像処理を含むアプリケーション開発などをする場合は32GB以上は必要でしょう。ストレージメモリが一時的な保存場所だったのに対し、ストレージはパソコンのあらゆるデータの長期的な保存場所です。画像やドキュメント、アプリなど、さまざまなデータが増えていくと動作も重くなっていきます。ストレージにはHDDとSSDの2種類があります。HDDは大容量のデータを保存できますが、SSDに比べて読み書き速度が遅くなります。SSDは読み書き速度が非常に速く、パソコンの起動やアプリの実行速度が速いのが特徴です。エンジニアは、最低でも256GB以上のストレージが必要です。さまざまなアプリを使う人や、ストレージの容量を気にしながら作業したくない人は、512GB以上にしましょう。GPUGPUは、画像や映像を表示する際に処理を行い、画面に美しい映像を表示する役割を担います。また、複雑な3Dグラフィックスの処理において、CPUよりも高い性能を発揮します。高解像度の動画編集や画像編集する際や、大量のデータを高速に処理するAI関連の作業を行う場合に役立ちます。GPUはCPUに組み込まれているので、一般的なプログラミングならそこまで重視する必要はありません。エンジニアで機械学習や3Dゲーム開発をする場合は、NVIDIA GeForce RTX 3000番台以上を目安にするとよいでしょう。ディスプレイ画面が小さいとプログラミングがしにくいため、ある程度の大きさのディスプレイを選びましょう。ノートパソコンなら15インチ以上、デスクトップなら24インチ以上、できれば27インチはほしいところです。解像度が高いほど、多くの情報を表示できます。フルHD(1920×1080)以上を目安にし、WQHD(2560×1440)以上ならより快適です。エンジニアのパソコン選びのポイントエンジニアのパソコンを選ぶ際には、いくつかポイントがあります。1つひとつ確認していくと、選ぶべきパソコンの選択肢が絞られていくでしょう。基準値を満たすスペック先述したスペックの基準を満たすパソコンを選ぶとよいでしょう。ただし、全ての基準値を満たす必要はありません。自分の重視する項目から優先順位をつけて、求める項目のスペックが満たされれば問題ないでしょう。ノートパソコン・デスクトップパソコンノートパソコンかデスクトップパソコンどちらにするかを決めると、パソコンのスペックを比較しやすくなります。それぞれのメリット・デメリットを考慮して、どちらが向いているのか考えていきましょう。メリットデメリットノートパソコン持ち運びがしやすいスペースを取らないハードウェアの拡張性が低いデスクトップパソコン性能が高いハードウェアの拡張性が高い持ち運びが難しい設置に広いスペースが必要ノートパソコンは、なんといっても持ち運びのしやすさが特徴です。また、キーボードとディスプレイが一緒になっているため、デスクトップに比べてスペースを取りません。一方、デスクトップパソコンに比べると、メモリやストレージの増設が難しく、ハードウェアの拡張性が低いのがデメリットといえるでしょう。デスクトップパソコンは、一般的にノートパソコンよりも性能が高く、負荷の高い作業に適しています。また、メモリやストレージの増設、グラフィックボードの交換などがしやすく、ハードウェアの拡張性が高い点もエンジニアにとっては大きなメリットでしょう。一方で、持ち運びが難しいのがデメリットです。また、本体以外にディスプレイやキーボード、マウスを設置する広いスペースが必要です。どちらもメリットとデメリットがありますが、1台目の購入を検討しているなら、ノートパソコンがおすすめです。自宅での作業が中心の場合も、打ち合わせなどでパソコンを持ち運ぶ機会があるかもしれません。迷っているなら、まずノートパソコンを選び、2台目以降にデスクトップを検討するとよいでしょう。OSOS(オペレーティングシステム)は、ハードウェアとソフトウェアを管理して、ユーザーがパソコン操作をできるようにするソフトです。OSの種類やバージョンによって、利用できるアプリや機能が異なるため、所有している端末との親和性や職場の推奨などを考慮して、用途に合ったOSを選ぶようにしましょう。WindowsMicrosoftが開発したOS数多くのビジネスソフトやゲームに対応しているmacOSAppleが開発したOS洗練されたデザインや、セキュリティの高さが特徴LinuxオープンソースのOSで、無料で利用できるサーバー用途や開発用途で広く利用され、エンジニアからの評価も高い重さ自宅以外で作業する時間が多い場合は、パソコンの重さもチェックしておいたほうがよいでしょう。パソコンが重いと持ち運びが億劫になります。そのため、持ち運びやすい軽めのノートパソコンが便利です。目安として1.5kg以内に収めると、持ち運ぶ際の負担も少なくなるでしょう。予算予算が10万円なのか50万なのかで、選べるパソコンは大きく変わります。先に予算を決めておくと、迷う時間も短縮できるでしょう。エンジニアのパソコンの相場は10万〜25万円で、性能の高さを求めるなら25万円以上はかかります。相場を大きく下回る安いパソコンは、金額は抑えられるかもしれませんが、スペックが低く、使っていくうちに不便を感じる可能性があります。一方で、価格が高すぎるパソコンは、本当にそのスペックを使いこなせるのか一度考えてみる必要があるかもしれません。バッテリーの駆動時間常にパソコンのバッテリーの残量を気にしながら働くのは、ストレスです。自宅以外で仕事をする機会の多い人はもちろん、対面の打ち合わせなどが入ることも考えると、バッテリーの駆動時間は長いほうが快適に使えます。バッテリー駆動時間の目安は10時間以上です。エンジニアのパソコンはMacとWindowsどちらがよい?エンジニアがパソコンを購入する際に、MacとWindowsどちらにするかで悩むことは多いでしょう。用途や好みでどちらが適しているかは異なります。それぞれのメリット・デメリットを紹介するので、MacかWindowsかで迷ったら参考にしてみてください。Macのメリット①セキュリティの評価が高いmacOSは、ウイルス感染のリスクが低く、セキュリティに関して安心感があります。情報漏洩対策や高いセキュリティを求める人に適しているでしょう。②プログラミングの環境を構築しやすいMacは、UNIXというOSをもとにして作られています。そして、プログラミングの多くは、UNIXコマンドを使うことが多いです。MacはUNIXコマンドを使用できるので、Windowsに比べるとプログラミングの環境を構築しやすいでしょう。③デザインが洗練されているMacのシンプルかつ統一感のあるデザインは、エンジニアやクリエイターに支持されています。性能はもちろん、デザインにも優れたパソコンを求めるエンジニアにとってはおすすめです。Macのデメリット①Windowsとの互換性がないMacはWindows専用のソフトウェアが使用できない場合があります。特にエンタープライズ向けのソフトは対応していない場合があり、必要に応じて対策を講じる必要があるかもしれません。②価格が高い一般的にMacのパソコンの価格は、Windowsに比べると高く設定されています。価格を抑えたい人にとっては、デメリットに感じるでしょう。Windowsのメリット①ソフトウェアの互換性が高いWindowsは豊富なソフトを利用できるため、幅広いニーズに対応できます。Mac製品のように互換性で悩むことは少ないでしょう。②ハードウェアの選択肢が多いWindowsは各メーカーから多様な機種や端末が販売されており、予算や用途に合わせて自由に選択できます。③比較的安く手に入るWindowsは求める性能にもよりますが、Macに比べると、比較的価格が安く設定されています。Windowsのデメリット①セキュリティの脆弱性Windowsは、macOSに比べると、ウイルス感染のリスクが高いといわれています。対策をしっかり講じる必要があるでしょう。②アップデートやメンテナンスが頻繁に必要Windowsの製品は、セキュリティとパフォーマンスを維持するために、比較的頻繁なアップデートとメンテナンスが必要です。Macに比べると手間に感じる人もいるかもしれませんエンジニアにおすすめのパソコン5選続いて、エンジニアにおすすめのパソコンを5つ紹介します。先述したスペックやポイントを考慮したラインナップなので、どのパソコンを選べばよいか悩んだら参考にしてみてください。MacBook ProMac派の人ならMacbook Proで間違いないでしょう。MacBook Proに搭載されているチップは、高い処理能力と省電力性を両立しており、エンジニアに必要な負荷の高い作業もスムーズに行えます。薄型軽量なので、持ち運びも苦になりません。ASUS TUF Gaming A15ASUS TUF Gaming A15は、処理能力の高さを重視するエンジニアにおすすめのパソコンです。圧倒的な処理能力と処理速度が特徴で、さまざまな作業を同時に行えます。また、同じスペックの他のパソコンに比べて価格が安いのも特徴です。性能がよいパソコンが欲しいけど、なるべく価格を抑えたい人向けのモデルといえるでしょう。msi Prestige 16 AI Studio B1Vmsi Prestige 16 AI Studio B1Vは、同じく処理能力が高く、比較的価格も安いパソコンです。ゲーミングパソコンは高性能なパーツを搭載し、冷却性能も必要なため重くなる場合が多いです。しかし、msi Prestige 16 AI Studio B1Vは、軽くて持ち運びやすいのが特徴です。mouse DAIV R6-I7G50SR-Amouse DAIV R6-I7G50SR-Aは、サポートのよさが評判のパソコンです。パソコンを使っていると、修理や部品交換が必要な時が訪れます。そのため、サポートが充実したパソコンを選びたい人も多いでしょう。海外のメーカーの中には、残念ながらサポートには期待しない方がいいものもあります。mouseは国内メーカーで、製品に関するサポートのよさが特徴です。サポートに一定以上のクオリティを求める人は、mouse製品でエンジニアに適したmouse DAIV R6-I7G50SR-Aがおすすめです。LG gram 16Z90S-MA78J2LG gram 16Z90S-MA78J2は、軽さを重視するWindows派の人におすすめのパソコンです。長時間駆動が可能なバッテリーを搭載しているため、自宅以外で作業する機会の多い人やノマドワーカーにも適しています。エンジニアが中古パソコンを選ぶ際の注意点予算内では購入できない場合は、中古を検討するのも1つの手です。ただし、中古パソコンを購入する際には、発売時期やバッテリーの消耗具合など、いくつか注意する点があります。発売時期中古パソコンは、発売時期が古いほど価格が安くなりますが、発売からかなり年数が経過しているものはおすすめしません。発売時期によっては、最新のOSのインストールもアップデートもできない場合があります。そのため、発売から3〜5年以内のモデルに絞ったほうが安心です。発売から5年以上経過しているパソコンは、価格は魅力かもしれませんが、性能面で不安が残ります。CPUの世代中古パソコンの性能を判断するには、CPUの世代を確認しましょう。CPUの世代を知ることで、パソコンの処理能力や対応する最新技術などを把握できます。一般的な用途だけなら、数世代前のCPUでもよいかもしれません。しかし、エンジニアの場合は負荷の高い作業を行うため、できるだけ新しい世代のCPUが搭載されているパソコンを選びましょう。バッテリーの消耗具合中古パソコンの場合、バッテリーの劣化は避けられません。しかし、大幅にバッテリーが消耗していると、バッテリー駆動時間が極端に短い可能性もあります。できれば、購入前にバッテリーの消耗具合と駆動時間がどのくらいかを確かめておきましょう。サポート制度中古のパソコンは、新品よりも修理が必要になる可能性が高いです。そのため、サポート制度があるかどうかを確認しておくことが重要です。保証期間や保証内容、修理や返品に関する条件は、購入する前に必ず確認しましょう。まとめエンジニアにとってパソコンは、日々の業務を支える重要なツールです。購入を検討する際には、今回紹介したスペックやポイントを考慮して、後悔のない選択ができるようにしましょう。中古パソコンを選ぶ際には、発売時期やサポート体制まで確認しておくと安心です。