iOSエンジニアって、具体的にどんな仕事をしているんだろう......同じスマホアプリエンジニアでも、Androidエンジニアと何が違うの?そんな疑問にお答えすべく、今回はiOSエンジニアの仕事内容や必要なスキル、気になる年収を解説します。現役のエンジニア監修のもと、iOSエンジニアになるなら知っておきたい情報を詳しくまとめています。フリーランスという、新たな働き方で活躍するiOSエンジニアも増えています。今後、市場価値の高いキャリアを築いて行く上で参考にしてみてください。▼関連記事:フリーランスエンジニアになるには?必要なスキルやメリット・デメリットiOSエンジニアとは?iOSエンジニアとは、AppleのiOSデバイス(iPhoneやiPadなど)向けのアプリケーションを開発するエンジニアのことです。SwiftやObjective-Cなどのプログラミング言語を用いて、ユーザーが使いやすく、高品質なアプリケーションを設計・実装するスキルを持っています。iOSエンジニアは、アプリの企画の段階からリリース、そしてアップデートまでの一連の流れを担当することが多いです。ユーザビリティ、デザイン、セキュリティ、パフォーマンスなど多岐にわたる要素を考慮しながら開発を進めます。iOSエンジニアは、私たちが普段使っているiPhoneやiPadのアプリをより便利にすべく、日々新しい技術やトレンドにアップデートしています。iOSエンジニアとAndroidエンジニアとの違いスマートフォンの普及に伴い、アプリケーション開発の専門家として「iOSエンジニア」と「Androidエンジニア」が存在します。これらのエンジニアは、それぞれ異なるプラットフォームに特化しており、以下にその主な違いを解説します。<開発プラットフォームの違い>iOSエンジニア:AppleのiOSデバイス(iPhone, iPadなど)Androidエンジニア:GoogleのAndroid OSのデバイス<使用言語の違い>iOSエンジニア:SwiftやObjective-CAndroidエンジニア:JavaやKotlin<開発環境の違い>iOSエンジニア:Xcodeという統合開発環境Androidエンジニア:Android Studioという統合開発環境<デザインガイドラインの違い>iOSエンジニア:AppleのHuman Interface GuidelinesAndroidエンジニア:GoogleのMaterial Designの指針<デバイスの多様性の違い>iOSエンジニア:比較的限られた種類のAppleデバイスAndroidエンジニア:多くのメーカーから発売されるさまざまなデバイスiOSエンジニアとAndoroidエンジニアには、さまざまな違いがあるものの優劣などはなく、それぞれのプラットフォームの特性を最大限に活かしたアプリケーションの開発を目指しています。iOSエンジニアの仕事内容iOSエンジニアがどのような仕事をするのか、その主要な役割をわかりやすく解説します。iOSアプリの設計・開発iOSエンジニアは、アプリの目的や必要な機能、対象となるユーザー層を明確にします。これは、アプリの成功の鍵となる要件定義のステップです。定義された要件に基づき、アプリの全体構造や画面遷移、UI/UX(ユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンス)を設計します。この段階でアプリの見た目や動きがほぼ決まります。主にSwiftやObjective-Cを使用して、アプリの実際の動作をプログラムします。この開発段階でアプリが動くようになります。iOSアプリの品質保証開発されたアプリの品質保証を行うのもiOSエンジニアの重要な仕事です。単体テストや結合テスト、UIテストなどを行うにあたって、テストコードを書いたり、シミュレーターを使ったりします。発見されたバグや不具合を追跡し、解決までの流れを管理します。自動化ツールを用いて、コードの変更ごとにテストとビルドを行い、品質を維持することもあります。パフォーマンスの最適化アプリのパフォーマンスはユーザー体験の品質を左右するため、iOSエンジニアは、アプリがより高速かつ効率的に動作するよう最適化の作業を行っています。Appleが提供するプロファイリングツールで、アプリの動作を詳細に解析します。画像や動画を適切なサイズやフォーマットにすることで、読み込み速度を向上させることも重要です。ネットワークやメモリを効率的に使用できるように、適切なキャッシュ戦略も実行しています。アップデートの実施アプリはアップデートを繰り返し、より高品質で便利なものに進化させることが必要です。iOSエンジニアは、App Storeのレビューや直接のフィードバックを基に、改善点や要望をリストアップします。既知のバグや新たに報告された問題点を修正したり、ユーザーのニーズに応じて、新しい機能や改善を実装したりします。最新のiOSバージョンになると、アプリがデバイスに対応しているかを検証しなくてはいけません。iOSエンジニアは、ユーザーの声を大切にし、アプリを常に最適な状態に保つための努力を続けています。iOSエンジニアに必要なスキルiOSエンジニアとして仕事をする上で、さまざまなスキルが必要となります。全てのスキルを初めから身につけている必要はありません。少しずつスキルの幅やレベルを上げることで、エンジニアとしてステップアップしていけるでしょう。SwiftやObjective-Cの言語スキルAppleのiOSプラットフォームの主要な言語であるSwiftとObjective-Cの言語スキルは必須です。基本的な文法やデータ構造の理解は身につけておきましょう。Swiftは、iOSだけでなくmacOSやwatchOS、tvOSなどのApple製品のアプリ開発にも使用されます。Objective-Cは、1980年代からiOSアプリの主要な開発言語として使用されてきました。Swiftが登場する以前の既存の多くのライブラリやフレームワークがObjective-Cで書かれています。近年ではSwiftが主流となってきており、新しいプロジェクトやアプリはSwiftを中心に開発されることが多くなっています。しかし、既存のアプリやライブラリをメンテナンスするためには、Objective-Cの知識も必要となります。iOS SDKの理解iOS SDKの理解と習得は、iOSエンジニアにとって必須のスキルです。iOS SDKは、Appleが提供するアプリを作るための道具箱のようなもので、各種のツールやフレームワークが含まれています。以下は、iOS SDKの代表的なツールやフレームワークです。Xcode:Appleが提供する統合開発環境(IDE)Interface Builder:グラフィカルなインターフェイスを使用して、ユーザーインターフェイスをデザイン・構築するツールUIKit:ユーザーインターフェースの要素(ボタン、テーブル、スライダーなど)を構築・管理するためのフレームワークFoundation:基本的なデータ型やコレクション、ユーティリティを提供するフレームワークCore Data:データの永続化やモデル管理をサポートするフレームワークUI/UXのセンスアプリケーションのユーザビリティやデザイン感覚であるUI/UXのセンスは、iOSエンジニアに必要なスキルです。効率的なレイアウトの実装、コンポーネントのデザイン適応、アニメーションの導入などを行う必要があります。ユーザーのニーズを理解し、操作フローの最適化やエラー処理のユーザビリティ向上ができるとよいでしょう。人気のアプリや競合他社の製品を分析し、良い点や改善点を探ったり、実際のユーザーや同僚からのフィードバックを受け入れ、改善を繰り返すことで、磨いていけるスキルです。スマートフォンアプリの開発スキルiOSアプリのデバイスはさまざまですが、スマートフォンアプリの開発スキルは、iOSエンジニアとして成功するために重要です。スマホアプリはタッチ操作を前提としており、スワイプ、ピンチ、タップなどのジェスチャーを考慮したUI/UX設計が必要です。スマホは紛失や盗難のリスクがあるため、データの暗号化やセキュリティ対策も考慮します。React NativeやFlutterなどのフレームワークを使用して、一つのコードベースで複数のプラットフォーム向けのアプリを開発するスキルがあるとよいでしょう。エンジニアとしてのソフトスキルテクニカルスキルはiOSエンジニアとしての能力の基盤を形成するものの、成功するためにはソフトスキルも非常に重要です。例えば、チームメンバーや他の部門との円滑なコミュニケーションは、プロジェクトの成功に不可欠です。予期せぬ問題やバグに遭遇した際の、効果的なアプローチや解決策を見つける能力も求められます。その他、複数のタスク管理能力やプロジェクトを効率的に進めるためのスキル、学び続ける姿勢も意識して身につけていきましょう。柔軟性やフィードバックを受け取る姿勢があれば、ソフトスキルを磨きながら、他のエンジニアやデザイナー、プロジェクトマネージャーと協力して、プロジェクトを進めることができます。iOSエンジニアの平均年収エンジニアに向けた給与データベースサービスを提供しているPROJECT COMPのデータによると、一般的なモバイル (iOS + Android)のエンジニアの平均年収は860万円です。中央値は780万円です。大手人材サービス会社のdodaのデータによると、一般的なエンジニアの平均年収は442万円です。iOSエンジニアは一般的なエンジニアの中でも高い給与水準であることが分かります。それだけ、市場価値が高く、求められる役割も重要だと考えられます。さらに、正社員で採用できないようなプロ人材は、フリーランスとして活躍している傾向にあります。フリーランスや副業のプロ人材のマッチングサービスを提供するSOKUDANの調査では、フリーランスのiOS / Androidエンジニアの平均年収は1,096万円でした。フリーランスのITエンジニアの年収ランキングでも、iOSエンジニアは3位です。フリーランスのiOSエンジニアとして、プロ人材のポジションをとることができれば、さらに高い報酬を得ることができるでしょう。▼関連記事:フリーランスエンジニア職種別の平均年収・時給レポートiOSエンジニアのキャリアパスiOSエンジニアのキャリアパスは多様で、経験とスキルの成長に伴ってさまざまな道があります。以下は、iOSエンジニアの一般的なキャリアパスの概要です。初級レベルのiOSエンジニア初心者レベルのiOSエンジニアは、基本的なプログラミング知識やiOS開発の基礎を持っている段階です。メンターやシニアエンジニアの下で学びながら、簡単なタスクを担当します。中級レベルのiOSエンジニア中級レベルのiOSエンジニアになると、数年の経験を経て、複雑な機能の開発やアーキテクチャの設計に携わるようになります。コードの品質やパフォーマンスの最適化に関する知識を深めていきます。上級レベルのiOSエンジニアiOSエンジニアの上級レベルになると、高度な技術的知識を持ち、プロジェクトのリーダーシップをとることが多くなります。技術的な判断を下す際のアドバイザーとしての役割も求められます。テックリードやアーキテクトテックリードエンジニアやアーキテクトは、全体の技術的方向性を決定し、大規模なアーキテクチャの設計や技術的な課題の解決に専念します。チームや部門間の技術的なコミュニケーションの橋渡しを行う、重要な役割を担います。専門分野を極めるiOSエンジニアとして経験やスキルを身につけたあとは、特定の専門分野を極めるというキャリアもあります。AR/VR、ゲーム開発、セキュリティなど特定の分野に特化することで、より深い研究やトレンドの追求を楽しむこともできます。マネジメントへの移行技術的な役割から離れ、プロジェクト管理やチームのリーダーシップに重点を置くというキャリアも選べます。これまでの技術的な経験や知見を活かしながら、人を動かす力やビジネスの視点も養うことができるでしょう。このように、iOSエンジニアとしてのキャリアは多岐にわたります。自分の興味や強みに応じて、最適なキャリアパスを選択することができるでしょう。iOSエンジニアの将来性〜需要の高まり〜スマートフォンの普及率が高まる中、日本ではiOSデバイス(特にiPhone)の利用者数も増加しています。筆者自身もApple製品のヘビーユーザーで、iPhone、iPad、MacBookなどを愛用しています。企業やサービスプロバイダーは、iOSプラットフォーム向けのアプリケーションのニーズが高まっていることを認識しています。サービスの会員情報やEC、ゲームをはじめ、銀行口座やクレジットカードなどもアプリで利用できるようになっています。iOSエンジニアの需要は今後も増加すると予想され、多くの企業やスタートアップが優秀なiOSエンジニアを求めています。未経験からiOSエンジニアになるには?未経験からiOSエンジニアを目指すことは可能ですが、どんな職種にも向き・不向きがあります。自分の年齢や今後の人生設計を考えた上で、チャレンジするようにしましょう。すでにITエンジニアとしてプログラミングのスキルがある方は、SwiftやObjective-Cの言語スキルを身につけることで、iOSエンジニアを目指しやすいです。趣味でスマホアプリを作ってリリースしているエンジニアも少なくありません。興味のある方は、まずはスマホアプリを作ってみて、その実績を元にiOSエンジニアに転身することもできるでしょう。ITのバックグラウンドのない方は、まずはプログラミングやITの勉強から始める必要があります。独学で身につけることは、不可能ではありませんが、スクールに通ったり、未経験エンジニアの求人に応募して転職することが近道です。はじめから希望通りの仕事ができるとは限りませんが、Web系のシステム開発や小規模のアプリ開発など、iOSエンジニアのキャリアに活かせる経験を意識しましょう。フリーランスのiOSエンジニアになるには?フリーランスのiOSエンジニアは、企業からのニーズも高く、活躍できる案件が増えています。フリーランスとなると、会社員としての仕事観や働き方との違いが大きいです。そのため、まずは会社員と並行して副業で案件を受けてみるとよいでしょう。フリーランスや副業のマッチングサービスに登録して、仕事内容や必須要件が満たす案件があるかみてみてください。▼関連記事:フリーランス向け案件マッチングサービスのおすすめ14選〜利用者の声もご紹介〜会社員とフリーランスの違いについては、以下の記事で解説しているので、参考にしてみてください。▼関連記事:フリーランスと会社員の違いに驚愕!独立前に知っておくべき違いを解説まとめiOSエンジニアは、AppleのiOSデバイス(iPhoneやiPadなど)向けのアプリケーションを開発するエンジニアです。iOSエンジニアの仕事は多岐に渡りますが、基本の言語であるSwiftやObjective-C、iOS SDKの理解を身につけることが重要です。エンジニアの中でも高い年収が期待できるiOSエンジニアは、フリーランスに転身することで、個人として高い価値を発揮できるようになります。フリーランスや副業という新しい働き方が広がる中、iOSエンジニアとしての新たなキャリアも模索してみてください。▼関連記事:フリーランスになるには?必要な手続きや仕事獲得の方法まで解説