フリーランス・業務委託人材を活用するには、フリーランスの立場に立って考えることが重要です。この記事では、現役フリーランス、元転職エージェントの筆者が「企業が理解しておくべき人材活用のポイント」を徹底解説します。すぐに契約終了となってしまう......業務委託の人と仕事がやりにくい......と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。フリーランス・業務委託人材の活用のポイント早速ですが、フリーランス・業務委託人材を活用するポイントを稼働開始〜の時系列に沿って紹介します。一番大切なのは、「フリーランスにとって、働きやすいクライアントとは?」「これからも一緒に仕事がしたいと思ってもらうには?」という視点です。初期環境を整備するフリーランスや業務委託人材にスムーズに業務を開始してもらうためには、「初期環境を整備する」ことが非常に重要です。初めから必要なツールは手続きを行なっておき、アクセス権限やマニュアルを整備しておきましょう。業務委託であっても、企業のメールアドレスや名刺が必要になることもあります。リモートの場合は、セキュリティ環境の整備やVPNの設定も注意が必要です。業務に直接関係はありませんが、勤怠のつけ方や発注書、請求書の対応方法なども事前に共有があると、フリーランスも安心でしょう。オンボーディングを実施するフリーランスが会社やプロジェクトをいち早く理解し、即戦力として活躍してもらうために、オンボーディングは必ず実施しましょう。オンラインでも対面でも構いませんが、プロジェクトの概要、企業文化、業務フロー、ルールや報告の方法など説明する内容に合わせて、社長や人事、現場の上長などが行います。また、チームメンバーや担当者の紹介も行えば、信頼関係も築けるでしょう。依頼する業務内容は明確にする業務を依頼する時は、業務範囲や成果物の仕様、納期などを具体的に伝えるようにしましょう。依頼される業務内容が不明確だと、確認の手間がかかったり、業務にかかる負担や工数が予測できなかったり、フリーランスのストレスになりかねません。また初めは、企業の期待値とフリーランスのパフォーマンスにギャップが起きがちです。途中経過報告や業務完了のタイミングでは、チャットやミーティングでコミュニケーションを取ることを忘れないでください。業務を依頼する場合はテキストに残す2024年11月1日に施行されたフリーランス新法では、「書面などによる取引条件の明示」が義務化されました。ミーティングの場など、つい口頭で業務を依頼してしまいがちですが、立派な法律違反です。電磁的方法(メール、SNSのメッセージなど)でも問題ないので、業務内容や納期、報酬額などはテキストに残すようにしましょう。フリーランス新法の詳細に関しては、以下の記事も参考にしてみてください。▼関連記事:世界一分かりやすく!採用企業が知っておくべきフリーランス新法業務や成果物の納期を定める業務の範囲と成果物の仕様に加え、いつまでに何を提出するのかを具体的に定めることで、双方の認識のずれを防ぎます。フリーランス側も納期が明確であれば、計画的にスケジュールを組みやすく、成果物のクオリティを高めることができます。フリーランス目線でよく困る依頼が「出来るだけ早く」「いつでもいいよ」というような、曖昧な納期です。企業としては、プレッシャーを与えないつもりでも、フリーランスは期待値が分からず不安になります。「遅くても◯日までに仕上げて欲しい」「◯日納期だと嬉しいが、可能でしょうか?」というように、具体的な納期と共に、温度感が伝わる表現を工夫しましょう。業務や成果物にはフィードバックを行う業務を依頼して、納品を確認したら、必ずフィードバックを行いましょう。評価ポイントや改善要望、次回の依頼に関する内容などを伝えます。フィードバックは、業務のクオリティの向上が一番の目的と思われがちですが、フリーランスのモチベーションの向上や信頼関係の構築にも同じくらい重要です。単発の発注でも、納品後にコミュニケーションを取ることで、また次回依頼した時に、気持ちよく引き受けてくれる可能性が高まります。業務時間の管理は負担のない方法を選ぶフリーランスは自律的に業務を進めることが求められるため、厳格なタイムカード管理などは避け、必要最低限の時間報告や進捗確認に留めることが望ましいです。そもそも業務委託契約では、業務する場所や時間を指定してはいけません。ただし、稼働時間×時給で報酬金額を設定している場合は、「何の業務に」「どのくらい時間がかかったか」は、把握する必要があるでしょう。タスク管理ツールや勤怠管理ツールへの記入以外にも、チャットやエクセルシートなどでの報告でも問題ありません。フリーランスと管理者の双方に負担のない方法を選びましょう。▼関連記事:業務委託の時間管理が違法となるケースとは?事例を交えて分かりやすく解説オンラインコミュニケーションは適切なツールを選ぶオンラインコミュニケーションツールは、さまざまなものがあるため、必要な機能や適切な価格から選びましょう。チャットツールやビデオ会議システムがあれば、タイムリーな情報交換が可能になります。またクラウドベースのファイル共有ができるか、アカウント追加で料金がどのくらいかかるか、社外の人を招待できるか、などもポイントでしょう。フリーランス目線では、直感的に操作できるシンプルなツールや使い慣れたツールであれば、無駄な学習コストを削減できて嬉しいです。社員と同じくらい大切に扱うフリーランスは単なる「外部リソース」ではなく、企業の戦略に貢献する重要なパートナーです。正社員と同じように大切に扱うことで、双方にとって健全な信頼関係が築かれます。例えば、全社会議に出席してもらったり、ミーティングの際のアイスブレイクで業務以外の会話をしたりするのもよいでしょう。帰属意識を高めることでフリーランスのモチベーションにもつながり、業務のクオリティやパフォーマンスにもよい影響を与えます。業務委託人材のキャリアと成長支援を忘れない業務委託人材に対してもキャリアや成長を支援することで、信頼関係が深まり、長期的な関係を築くことができます。業務以外のミーティングを実施し、業務内容や環境に対する意見に耳を傾けましょう。企業が依頼したい業務とフリーランスがやりたい仕事が一致してるか、定期的に確認することで、モチベーションの低下を防ぎます。また、最新の技術や業界動向を学べるような勉強会を開いたり、セミナー参加や資格取得のサポートをしたりするのも有効です。他の案件の内容や状況もヒアリングしておくフリーランスは複数の案件を掛け持ちしていることも少なくありません。他の案件(クライアント)の情報は守秘義務がありますが、ざっくりどんな仕事内容で、どのくらいの稼働で、いつが繁忙期かなどは聞いておくとよいでしょう。他の案件でやっている仕事が依頼している業務と異なれば、「こんな仕事も依頼できるかもしれない」と新たな発見があるかもしれません。「少し連絡がとりづらくなるのは、他の案件が繁忙期だからか」と事情が分かれば、お互いに気持ちよく仕事ができるでしょう。適切な単価を設定する適切な単価設定は、フリーランスの持つ専門知識や経験、スキルを正当に評価することにつながります。採用の面談や契約の書面で、いきなり的外れな金額を提示しないよう注意しましょう。必ず、希望の金額やいつもどのくらいの報酬で引き受けているか、ヒアリングして報酬を決めます。もちろん、人件費の予算や市場の相場を目安も重要な材料ですが、フリーランスの希望に沿えるように調整しましょう。▼関連記事:業務委託報酬の決め方とは?職種別の相場と交渉ポイントを解説報酬の支払い方法や期日を決めておく報酬の振込に関しては、契約書の段階で詳細を記しておくことが何よりも重要です。銀行口座や振込先情報、振込のタイミング、源泉徴収やその他の税務手続きなどがポイントとなります。また細かい点ではありますが、手数料をどちらが負担するかも確認しておきましょう。毎月決まった給料が振り込まれる会社員と違って、フリーランスは途絶えることなく、安定した収入を得ることに敏感です。万が一振込に関する不備や疑問が発生した場合、迅速かつ丁寧に対応する体制を整え、信頼関係を維持できるようにすることが大切です。▼関連記事:業務委託の支払い期日とは?下請法とフリーランス新法におけるポイントを徹底解説単価交渉には柔軟に応じる何度も契約を更新していたり、自動的に継続更新となっていたりする場合、フリーランスから単価交渉が行われることがあるかもしれません。採用側からすると、これまでと同じ金額で業務を依頼したいところです。しかし、契約終了となるのは避けたいのでれば、単価交渉に応じることも検討しましょう。まずは「業務の負担が増えたから」「他の案件で高い報酬を提示されたから」など、フリーランスが単価を上げて欲しい理由を聞きます。「実際にパフォーマンスに対して希望金額が妥当であるか」「代替案はないか」なども考慮したうえで、柔軟に応じてください。契約の更新方法や基準を決めておく業務委託契約には、数ヶ月など期間を設定して契約するものと、毎月自動的に更新されるものがあります。前者の場合は、更新の連絡をしないと契約終了してしまいます。そのため、更新の連絡がない限り、フリーランスは次の案件を探し、別の企業と契約する可能性が高まります。パフォーマンス次第ではあるものの長期で契約したい場合は、早めに契約更新の打診をするか、自動更新で契約しておきましょう。フリーランス・業務委託人材の採用手法フリーランス・業務委託人材の採用手法には、さまざまな種類や特徴があります。採用する職種や依頼する業務、緊急度、予算に合わせて、採用手法を工夫することが採用成功のカギです。フリーランス向けマッチングサイトフリーランス向けのマッチングサイトは、フリーランスや業務委託人材と企業を結びつけるプラットフォームです。マッチングサイトを運営しているサービス会社に案件掲載依頼をすると、専用のサイトやアプリに掲載された案件を見たフリーランスから応募があります。フリーランスと直接やり取りして採用が決まれば、フリーランスと直接契約することができます。マッチングサイトには、エンジニア向け、プロ人材向け、フルリモートなど特徴があり、ターゲットに合った人材にアプローチしやすいです。料金形態は、案件掲載に費用がかかるタイプや採用時に手数料が請求されるタイプなどさまざまです。フリーランス向けエージェント・人材紹介正社員を採用する場合と同じように、フリーランスや業務委託にもエージェントや人材紹介サービスがあります。求める人材像やスキルセットをエージェントに伝えると、エージェントは登録者の中から適した人材を選定し、紹介してくれます。特に、採用難易度が高いポジションや、採用に工数がかけられない場合、求人内容を公開したくない場合などにおすすめです。契約はエージェントとの第3者間で結ばれ、フリーランス人材が稼働している間は毎月、手数料を含めた金額をエージェントに支払います。手数料の相場は、フリーランスの報酬の10〜20%が相場です。クラウドソーシングクラウドソーシングとは、インターネット上で企業や個人が仕事を受発注する仕組みです。クラウドソーシングは案件数とともに利用者が多い点が特徴です。また、仕事の募集〜契約〜報酬の支払いまで全てクラウドソーシグサイト上で行われます。求職者のレベルもさまざまなため、スクリーニングや管理に工数がかかる傾向にあります。利用にあたって企業側に手数料はかからず、フリーランスが受け取る報酬からシステム利用料が差し引かれます。単発の案件や高いスキルが必要ないポジションに使いやすい採用手法です。知人紹介知人紹介でも業務委託人材を採用する企業は少なくありません。特にフリーランスは、フリーランスコミュニティや他の案件などで、つながりがあることが多いです。すでに稼働してもらっている業務委託の方に「知り合いで優秀なエンジニアがいたら紹介して欲しい」と種を播いておくとよいでしょう。SNS・自社サイトSNSアカウントや自社サイトを運用して、フリーランス・業務委託人材を採用することも可能です。FacebookやLinkedInには企業アカウントの作成や求人の掲載ができます。また採用SNSとして、WantedlyやYOUTRUSTというサービスもあります。運用に工数がかかりますが、上手くいけば採用費用を抑えることができます。採用活動以外にも会社の認知獲得やサービスのブランディングにも活用できるでしょう。フリーランス・業務委託人材の採用おすすめサービス・エージェントWeb系職種の広がりや副業解禁、リモートワークの普及などのさまざまな要因から、在宅でフリーランスになる人が増え、それに伴って案件と人材を結びつけるサービスも増えています。ここでは、フリーランス・業務委託人材を採用するためのおすすめのサービス・エージェントを紹介します。SOKUDAN(ソクダン)SOKUDAN(ソクダン)は、「即戦力」となる人材を探す企業と、フリーランス・副業向け案件を探す「プロ人材」をつなぐ、フリーランス・副業人材をメインとしたマッチングサービスです。業務委託人材だけではなく、将来的に正社員登用を前提とした採用も可能で、企業や求職者のニーズに柔軟に対応しています。20代後半~40代前半のエンジニア・マーケター・営業・デザイナーをはじめ、数年以上の専門領域の経験をもつミドルクラスを中心に、多くのプロ人材が登録しています。また、上場企業からスタートアップ企業まで、幅広い企業が利用しています。料金形態もさまざまで、自社の採用体制に合った使い方ができるのが魅力です。▼SOKUDANのサービス詳細はこちらレバテックフリーランスレバテックフリーランスは、高い認知度を誇る、フリーランスITエンジニアのエージェントの大手です。専門のコーディネーターがフリーランスと企業のニーズを深く理解し、プロジェクトに合った適切な人材を迅速に紹介してくれます。そのため、時間をかけずに最適なエンジニアやデザイナーを確保できます。レバテックフリーランスに登録しているフリーランスは、Java、Python、Reactなど、幅広いプログラミング言語や技術に対応できるエンジニアが多く、特に中堅からシニアレベルの人材が多く在籍しています。認知度もさることながら、利用企業は10,000社を超えています。成果報酬型なので、基本的に採用するまでコストはかかりません。▼レバテックフリーランスのサービス詳細はこちらWorkship(ワークシップ)Workshipは、50,000人以上の登録フリーランスと企業をつなぐマッチングプラットフォームかつエージェントサービスです。主に、エンジニア、デザイナー、マーケターなど、デジタル分野の職種に特化しており、多様なプロジェクトに対応した契約形態で採用できます。Workshipは、企業のニーズに合わせた3つの契約プランを提供しています。従量課金型や定額のサブスクリプションプラン、または1人あたり50万円の直接契約が可能で、企業のプロジェクト規模や期間に応じて選べます。プランや使い方によっては、採用コストを最大で1/2以下に抑えることも可能です。▼Workshipのサービス詳細はこちらITプロパートナーズITプロパートナーズは、ベンチャーやスタートアップ企業をメインにフリーランスを紹介しているエージェントサービスです。将来的に起業したいと考えているフリーランスをターゲットにしており、マインド・スキルともに高い人材に期待できます。職種はITエンジニアが多いですが、WebマーケターやWebデザイナーなどWeb系の職種も登録があります。週2日〜の稼働を希望している人材が多いため、正社員で雇うほどではないポジションにおすすめです。▼ITプロパートナーズのサービス詳細はこちらLancers(ランサーズ)ランサーズは、大手クラウドソーシングサービスの1つで、利用企業60万社以上、仕事のカテゴリ350種類以上と規模の大きなプラットフォームです。ランサーズは、登録者を選んで仕事を依頼したり、案件を掲載して応募を待ったりできます。さらに、募集に対して提案や見積もりをもらったり、コンペで比較したりすることも可能なので、ミスマッチを減らすことができます。登録者が多いだけにレベルもさまざまで、初心者や未経験者も少なくないため、募集〜採用段階でのスクリーニングに工数がかかる傾向にあります。▼ランサーズのサービスの詳細はこちらまとめフリーランスや業務委託は、よい人材を採用できれば一安心ではありません。活用のポイントを抑えることで、よいパフォーマンスを発揮してもらえるのです。仕事を通して双方がやりがいや信頼関係を築くことができれば、長期的に契約を更新できるでしょう。また、企業の成長には優秀な人材が欠かせません。採用活動に終わりはなく、新たなフリーランス・業務委託人材も採用しながら、上手く活用していってください。