フリーランスの中には、仕事場に悩む人も多いのではないでしょうか。自宅では集中できない、カフェでは周りの環境が気になるといった悩みを解決してくれるのが「シェアオフィス」です。この記事では、シェアオフィスの概要や、フリーランスが利用するメリット・デメリット、選び方、契約時の注意点を詳しく解説します。シェアオフィスとは?シェアオフィスとは、複数の企業や個人が、1つの空間を共有して使用するオフィスです。オフィス空間と設備を複数人で共有するため、コストを抑えられるのが特徴です。シェアオフィスは、2000年代のアメリカでベンチャー企業が採用したオフィス形態として広まったとされています。企業やフリーランスのコミュニティ形成にも役立ち、IT技術の発展やテレワークの拡大でさらに注目されるようになりました。シェアオフィスの設備・機能シェアオフィスには、Wi-Fi環境やデスク、椅子など、仕事をするうえで必要な設備が整備されています。ほかにも、会議室やフリードリンクが利用できたり、住所利用や法人登記ができたりする施設もあり、シェアオフィスごとにさまざまなサービスを提供しています。コワーキングスペースとの違いシェアオフィスとコワーキングスペースは、どちらも1つの空間を複数人で共有しながら仕事をするオフィス形態です。シェアオフィスは、固定席や企業の入居者が多く、料金形態は月単位の支払いが一般的です。コワーキングスペースは、フリーアドレス制を採用している施設が多いです。また、月単位での支払いに加え、1時間・1日単位のドロップイン方式で利用できるところもあります。▼関連記事:フリーランスはコワーキングスペースを使うべき?メリット・デメリットや選び方を紹介レンタルオフィスとの違いレンタルオフィスは、基本的に個室タイプの専有スペースが割り当てられます。シェアオフィスも個室プランはありますが、複数の企業や個人と同じ空間で過ごすスタイルが一般的です。シェアオフィスが利用者との交流にも役立つのに対し、レンタルオフィスは機密性の高い仕事やプライバシーを重視する人が利用する傾向にあります。▼関連記事:フリーランスがレンタルオフィスを利用するメリットとは?選ぶポイントや契約の流れを解説バーチャルオフィスとの違いバーチャルオフィスは、住所利用や電話番号、郵便物郵送サービスを提供するサービスです。基本的に作業スペースはないため、仕事をする場所であるシェアオフィスとは、利用目的が異なります。▼関連記事:フリーランスがバーチャルオフィスを利用するメリットは?選び方やおすすめのサービスも紹介サテライトオフィスとの違いサテライトオフィスは、企業が本拠地以外で拠点とした、比較的小規模なオフィスを指します。従業員の業務効率改善や、ワークライフバランス向上を目的として作られており、地方に多く見られます。シェアオフィスもサテライトオフィスも、働き方をサポートするオフィスです。シェアオフィスがさまざまな人が一緒に仕事をする空間であるのに対し、サテライトオフィスは企業の従業員が利用できる場所です。▼関連記事:フリーランスはどこで仕事している?仕事場選びの際に知っておきたいことを紹介▼関連記事:フリーランスは事務所を借りた方がいい?オフィスの種類や借りる際の注意点などを解説シェアオフィスはどんな人が利用している?シェアオフィスは、少ない予算でオフィスを利用したいフリーランスやスタートアップ企業などが多く利用しています。特に、協業の機会を積極的に探している人たちが多いです。さらに最近では、従業員の働き方をサポートするため、シェアオフィスと契約している大企業も珍しくありません。近年浸透したリモートワークで働く人たちの中にも、シェアオフィスを利用する人が多いようです。このように、比較的働き方が自由な立場にある、さまざまな職種の人たちがシェアオフィスを利用しています。フリーランスがシェアオフィスを利用するメリットシェアオフィスは、交流を求めるフリーランスや、住所利用や登記を考えているフリーランスにとって、メリットが大きい仕事場です。以下では、フリーランスがシェアオフィスを利用するメリットを紹介するので、自分が仕事場に求めるポイントがあるかをチェックしてみてください。利用者との交流ができるフリーランスは1人で作業することが多く、交流が減りがちです。シェアオフィスでは、入居者と顔を合わせることが多くなるため、交流機会も増えます。特に、固定席では周りの席の人と顔なじみになるため、話しかけやすくなるでしょう。また、入居者が参加できるイベントを開催するシェアオフィスもあります。出会いの幅が広がるため、フリーランス仲間や協業パートナーも見つかるかもしれません。仕事に集中しやすくなる自宅で作業するフリーランスは、仕事とプライベートの境目が曖昧になり、どちらにも集中できなくなる場合もあります。シェアオフィスという仕事場を持つと、オンとオフをしっかりと分けられるようになり、仕事に集中しやすくなります。なかなか仕事に取りかかれなかったり、逆に仕事を切り上げられなかったり、すぐに違うことをしてしまったりする人は、シェアオフィスを利用することで改善するかもしれません。一等地でビジネスができるシェアオフィスは都心の一等地に多く、住所利用に便利です。名刺やホームページなど、住所を記載するシーンは意外とあります。自宅の住所を出すのは避けたいと考える人や、気後れすることなく住所を使いたい人は、住所利用できるシェアオフィスの利用はよい選択肢になりそうです。また、クライアントとオフラインで会う機会が多い人は、アクセスのよい都心にオフィスがあると、ミーティングの場所選びに困ることもないでしょう。会議室やフリードリンクなどを利用できるシェアオフィスの月額料金には、フリードリンクや会議室の利用などが含まれていることがあります。クライアントと会議をする際に、家に呼んだり場所を決めたりするのが億劫な人にとっては、会議室が利用できるのは嬉しいポイントではないでしょうか。また、夕方からビールを提供するシェアオフィスもあり、仕事終わりに楽しめます。ほかにも、コピー機などのビジネス機器もあるので、いつもコンビニまで印刷しに行っている人などはメリットを感じやすいでしょう。フリーランスがシェアオフィスを利用するデメリットシェアオフィスに関わらず、オフィスを持つと費用が発生します。そして、入居してみて意外と気になってしまうのは、周囲の環境かもしれません。フリーランスがシェアオフィスの利用を検討する際には、以下のデメリットも考慮しておきましょう。費用がかかるシェアオフィスを契約するには、月額料金と初期費用を支払わなくてはなりません。賃貸物件を借りてオフィスとするよりは、確かに費用は抑えられますが、それなりのコストがかかるでしょう。月額料金は毎月発生するため、あまり利用しなかった月でも同じ金額が請求されます。費用を重視する人や、頻繁に通えないかもしれない人にとっては、デメリットに感じられるでしょう。周囲の環境が気になる場合もあるシェアオフィスでは、常に周りに人がいる環境で仕事をすることになります。まったく知らない人が同じ空間で仕事をしている環境は、気をつけなければならないこともあります。例えば、仕事をしている際にPCを後ろから見られないか、私物を置いておいて盗まれないかなど、情報漏洩の観点で気になるかもしれません。また、周りの話し声が気になって仕事に集中できなかったり、うっかり聞いてしまった隣の人の電話の会話が自分の仕事と関連していたりと、周囲の環境に左右されてしまう可能性も高いです。特にセキュリティを重視する職種の人は、慎重に入居を検討しましょう。シェアオフィスの利用が向いているフリーランスの特徴シェアオフィスの利用が向いているフリーランスは、先述したメリットに魅力を感じる人です。特に、利用者との交流や、ビジネスの協業の機会を模索したい人にとっては満足度を感じやすいでしょう。クライアントと直接会ってミーティングをする機会が多い人も、自宅よりも人を招きやすい環境という意味では満足度が高いでしょう。フリードリンクやおしゃれな空間でおもてなしができ、一等地のロケーションという付加価値もあります。集中しやすい環境は人によって異なるため、シェアオフィスのように他者がいる環境で多少雑然としている方が集中できる人にとっては向いているでしょう。フリーランスがシェアオフィスを選ぶ際のポイントフリーランスがシェアオフィスを選ぶ際に、いくつか押さえておきたいポイントがあります。契約してから後悔しないよう、シェアオフィスを検討する際には次の点に注意してみましょう。入居者の雰囲気シェアオフィスでは、利用者と顔見知りになる可能性が高いので、入居者の雰囲気は見ておいた方がよいでしょう。落ち着いた雰囲気の人が多い、イケイケな人が多い、外国人が多くてラフな人が多いなど、シェアオフィスごとに雰囲気があります。なんとなく居心地がよい、逆に違和感を感じるなど、第一印象は意外と当たります。内覧時でしか確認できませんが、どんな利用者がいるかをチェックしておきましょう。利用者数に対する会議室や座席の数利用者が多いシェアオフィスでは、予約制の会議室は数週間先まで予約で埋まっていることもあります。フリーアドレス制のプランなら、座席も同じく確保しにくい時間があるかもしれません。そのため、特に人気のシェアオフィスでは、入居者数に対して座席や会議室に適切な枠があるかどうかを確認しておきましょう。混雑する時間に席が確保できない可能性もあるので、混んでいる曜日と時間、空いている曜日と時間も聞いておくとよいでしょう。サービス内容シェアオフィスに自分に必要なサービスがあるかどうかも確認しておきましょう。郵便物を預かってくれる、フリードリンクやスナック類が充実している、住所利用や登記が可能など、サービス内容はシェアオフィスごとに異なります。さらに、利用したいサービスにオプション料金が発生するかどうかも内覧時に聞いておきましょう。集中できる環境企業単位の入居者が多いシェアオフィスでは、会議室以外でも社員同士が会話することがあります。周りの会話が気にならない人は問題ありませんが、静かな環境でしか集中できない人にとっては辛いかもしれません。自分にとっての集中できる環境を明確にして、シェアオフィスが集中できる環境かどうかの見極めが必要になるでしょう。セキュリティセキュリティを重視する人は、シェアオフィスが入っているビルが誰でも入れる環境になっていないか、鍵付きのロッカーがあるか、Wi-Fi環境がIDとパスワードで管理されているか、有人の受付が常時いるかなども確認しておくとよいでしょう。自分でできるセキュリティ対策はもちろん大切ですが、シェアオフィスの環境にもセキュリティ対策がなされているかも確認しましょう。営業時間自分が利用したい時間に、きちんと営業しているかどうかも重要です。フリーランスは基本的に自分で仕事時間を選べるため、夜に集中して仕事をしたい人、土日や大型連休も仕事をしたい人もいるでしょう。19時にクローズしてしまうシェアオフィスや、週末や連休はオープンしていないシェアオフィスは、それらのニーズを満たせません。フリーランスがシェアオフィスを契約する際の注意点すぐに気に入ってシェアオフィスを契約したくなる人もいるかもしれませんが、契約時こそ注意が必要です。契約してから「あの時きちんと確認しておけばよかった」と思わないよう、次のような点に気をつけましょう。必ず内覧をする中には、ホームページの内容だけで即決したくなるような素敵なシェアオフィスもあります。しかし、実際に内覧してみると、イメージと印象が異なる場合もあるので、必ず内覧をしましょう。疑問点がある場合は、必ず内覧時に解消してから契約するかどうかを決めましょう。解約条件を確認しておく何らかの理由で、せっかく入居したシェアオフィスをすぐに退去するトラブルが起きる可能性もあります。途中解約した場合の解約料など、解約条件は内覧時に必ず確認しておくようにしましょう。また、契約時の書類にも解約条件が明記されているかを確認するようにしましょう。オプションは必要なものだけにする固定デスク利用や住所利用、電話代行など、シェアオフィスのオプションはさまざまです。なんとなく全部必要な気がしてしまい、全てが入ったプランを選んだり、オプションをたくさんつけてしまったりすることがあるかもしれません。しかし、その分料金も上がっていくため、本当に必要かどうかを考えて冷静になりましょう。途中でプラン変更できるシェアオフィスも多いため、現時点で自分が必要なものが何かを書き出しておくとよいかもしれません。まとめシェアオフィスは、利用者との交流や一等地でのビジネス機会、充実した設備など、フリーランスにとって多くのメリットがあります。しかし、費用や周囲の環境など、デメリットも考慮する必要があります。シェアオフィスを選ぶ際には、入居者の雰囲気や利用状況、サービス内容、集中できる環境、セキュリティ、営業時間などを確認し、契約条件やオプションについても注意が必要です。フリーランスの仕事場には、シェアオフィス以外にも、コワーキングスペースやレンタルオフィスなどの選択肢もあるので、比較してみるのもおすすめです。