「必要に応じて稼働時間を調整できる時給制でフリーランスに業務委託したい」「人件費の管理をシンプルにしたい」と考えている企業担当者も多いでしょう。フリーランスに業務委託する際に、時給制で依頼することは可能です。職種ごとの相場を考慮した上で時給を設定すると、スキルや実績を兼ね備えた人材を見つけやすくなります。本記事では、職種別に業務委託の時給相場を紹介します。時給制で依頼するメリット・デメリットや、募集する際のポイントを解説するので、ぜひ参考にしてください。業務委託は時給制で依頼できる?違法とされる条件とは業務委託は、時給制で依頼することは可能です。しかし、法律を守ったうえで、適切に業務を依頼しないと、違法と見なされる恐れがあるので慎重に進めなければなりません。時給制の場合は、「プログラミング案件・時給4,000円」といった形で報酬を設定するケースが一般的です。通常の時給制の仕事と同様に、稼働した時間×時給を報酬として支払います。また、業務委託は、労働基準法が適用されないため、最低賃金を遵守する義務はありません。しかし、最低賃金以下で人材を募集すると、フリーランス新法に抵触したり、企業にマイナスイメージがついたりするリスクがあるため注意しましょう。▼関連記事:企業が業務委託で最低賃金以下を避けるべき理由4選!適切な報酬を決めるポイントを解説「偽装フリーランス」と判断される場合は違法になる「偽装フリーランス」とは、フリーランスと業務委託契約を結んでいるのにもかかわらず、実質的に雇用契約と同じ状態になっているケースを指します。業務委託契約は、企業がフリーランスに対して業務を委託する契約です。そのため、基本的に業務の進め方や勤務時間はフリーランスに裁量があり、企業は細かい指示はできません。例えば、次のような行為を行うと、偽装フリーランスと判断される可能性が高まります。出勤場所・時間を指定する業務の進行や内容を企業が直接管理するつまり、時給での契約とはいえ、自社の正社員やアルバイトと同じように管理下に置いて、細かい時間管理や勤務時間の指定は認められていません。偽装フリーランスと判断された場合は、企業には罰金や労働基準法違反によるペナルティが科されるリスクがあります。業務委託契約では、企業はフリーランスが業務の進め方や働く時間を自由に選べる環境を整える必要があります。▼関連記事:偽装フリーランスとは?企業が気をつけるべき8ケースや対策を徹底解説▼関連記事:業務委託の時間管理が違法となるケースとは?事例を交えて分かりやすく解説▼関連記事:業務委託で勤務時間の指定は違法?管理OKのケースや契約書の記載方法も【独自調査】業務委託の職種別の時給相場フリーランス・副業向けマッチングサービス「SOKUDAN」が2024年1月に独自に調査した職種別の時給相場は次の通りです。職種ごとの時給相場を参考にすることで、業務内容や求めるスキルに応じた適切な報酬設定が可能になります。特に、専門性の高い職種では時給が高くなる傾向があり、相場を把握しておくことは優秀な人材を確保するために不可欠です。▼関連記事:【2024最新】フリーランス・副業の平均時給・月収ランキング(職種別)エンジニアエンジニア職は、分野によって時給相場が変わります。機械学習エンジニア:5,531円データサイエンティスト:4,918円iOS/Androidエンジニア:4,676円インフラエンジニア:4,507円バックエンドエンジニア:4,420円フロントエンドエンジニア:4,317円特に、機械学習エンジニアやデータサイエンティストなど、高い専門性を持つ職種は平均時給が高い傾向にあります。一方で、インフラエンジニアやフロントエンドエンジニアといった職種では、スキルや経験に応じて報酬が変動します。WebマーケターWebマーケターの平均時給は3,707円です。主にデータ分析や広告運用、SEO対策などの業務が中心です。売上にも大きく関わる仕事で、業務の幅も広いことから、専門性やスキルによって時給の差が大きいことが特徴です。特に、広告運用の実績が豊富な人材や、最新のマーケティングツールを活用できる人材は、高単価での契約が必要になる場合が多いです。WebデザイナーWebデザイナーの平均時給は3,471円です。例えば、Webサイトの刷新や、ブランドイメージに合わせたオリジナルデザインを依頼する場合は、専門性や業務量に見合った時給を提示することで、優秀な人材を確保しやすいです。一方で、バナー制作や既存デザインの軽微な修正など、高い専門性が求められない業務では、相場に近い時給で契約するケースもみられます。コンサルタントコンサルタントの平均時給は5,124円です。業務内容は、経営戦略や業務改善、マーケティングなど多岐にわたります。特に、実績が豊富で、戦略的なアプローチを提供できる人材には、高時給が必要になる傾向があります。プロジェクトの成果を最大化するためにも、スキルと報酬のバランスを考慮した契約を意識しましょう。営業営業職の平均時給は3,450円です。営業職の場合は、契約件数に応じた追加報酬を設定するケースも多くみられます。成果に応じた報酬を設定し、モチベーションを高める工夫を取り入れることが重要です。事業企画事業企画職の平均時給は4,439円です。企業の戦略を直接サポートする役割を担うため、専門性や責任の高さから、時給水準が高めに設定されることが一般的です。また、プロジェクトの規模や目標に応じた適切な報酬を設定することで、業務の精度を向上させ、期待する成果を得やすくなります。人事人事職の平均時給は3,374円です。戦略的な人材育成や面接対応など、重要な業務を任せる場合は、平均を上回る時給を設定することで、経験豊富な人材を確保しやすくなります。一方で、採用者への連絡や入社手続きなどの事務的な業務に限定する場合は、相場に近い報酬設定が一般的です。【独自調査】フリーランスの希望時給続いて、フリーランス・副業人材が希望する時給を見ていきましょう。フリーランス・副業人材の希望時給は、平均4,597円、中央値は3,500円です。なかでも3,000円の希望者が最も多い割合(27.4%)となっています。希望時給に近い報酬を提示することで、フリーランスのモチベーションを高め、長期的な信頼関係の構築にもつながります。適切な時給設定は、プロジェクトの質や成果にも大きく影響するため、フリーランスとWin-Winの関係を築くことを意識しましょう。▼関連記事:【希望時給4,597円】フリーランス・副業人材の希望時給調査時給でフリーランスに業務委託するメリットここからは、時給でフリーランスに業務委託する3つのメリットを解説します。時給制で募集・依頼をするのが適切かどうかを考えながら確認してください。業務量に応じた支払いができる時給での契約であれば、業務量が変動する場合でも柔軟に支払い額を調整できます。稼働した時間に応じて報酬を支払えるため、過剰なコスト発生や不足報酬のリスクを抑えられます。繁忙期に稼働時間を増やしたり、閑散期には稼働を抑えたりすることで、コストと業務効率のバランスを取ることができます。業務内容の調整がしやすい新しい作業や追加の依頼が発生した際も、追加稼働分を計上するだけで対応が完了します。再契約や追加分の報酬交渉などの手間を省けるため、スムーズにプロジェクトを進行しやすいです。フリーランスのモチベーションを一定に保ちやすい時給という明確な報酬設定があることで、フリーランスのモチベーションを保ちやすく、結果として質の高いアウトプットにつながる場合もあります。継続的なプロジェクトにおいても、安心感を持って仕事に取り組んでもらえるため、長期的なパートナーシップを構築しやすくなります。時給でフリーランスに業務委託するデメリット・リスク時給でフリーランスに業務委託する場合には、考慮すべきデメリット・リスクもあります。後からトラブルが起きないように、起こり得るリスクを事前に確認して、対策を考えておきましょう。コストが予想以上に膨らむリスクがある進捗の遅れや追加作業が発生した場合に、予想以上にコストが膨らむリスクがあります。また、フリーランスが業務に慣れるまで、通常より多くの時間がかかることも考慮する必要があります。特に、契約を開始したばかりのフリーランスに対しては、研修や試用期間のコストも見込まなければなりません。稼働状況・進捗を把握しにくい場合があるフリーランスへの業務委託では、一般的にリモートでの作業・やり取りになるため、稼働状況を把握しにくくなります。また、業務委託の契約上、業務の進め方に関する細かい指示ができないため、思っていたよりも全然作業が進んでいないケースや、あえて作業スピードを遅らせて、少しでも多くの報酬を得ようと考えるフリーランスが生まれる可能性もあります。時給でフリーランスに業務委託するときのポイント時給でフリーランスに業務委託する場合は、リスクを回避しつつ、企業とフリーランス双方が安心して業務を進められる環境作りが大切です。これから紹介するポイントを1つずつクリアして、適切に依頼するようにしましょう。適切な時給を設定する報酬が高すぎると企業のコスト負担が増え、低すぎるとフリーランスのモチベーションが低下する恐れがあります。そのため、業務の専門性や内容、契約するフリーランスの経験や実績などを総合的に考慮して時給を設定することが重要です。まずは、募集する職種の平均時給を確認しつつ、似た業務を依頼している案件の時給を参考にするとよいでしょう。加えて、「自分が業務を委託される立場として、適切な時給と感じるか」も考慮して、時給を設定することをおすすめします。適切に稼働時間を管理する時給制は、稼働した時間の分だけ、報酬が発生します。誤った時間申告や不透明な稼働状況が発生すると、プロジェクト進行に影響を及ぼしたり、コストが莫大にかかったりする恐れがあります。一方、厳密に稼働時間を管理しようとして、自社の従業員と同じように、タイムカードや打刻システムを使用させたり、業務の開始や終了を都度報告させたりする行為は、偽装フリーランスとみなされる可能性があります。そのため、時給計算のために時間管理を行う場合は、従業員と同じ管理方法ではなく、「業務報告書」などをフリーランスに作成してもらいましょう。その際は、契約時にしっかり説明して承諾を得たうえで、契約書に記載するのが大切です。また、「出勤」や「退勤」という文言は使わず、「業務開始」「業務終了」といった文言を使用するようにします。出勤や退勤は、企業に勤めている人に対して使われる文言で、業務委託には適しません。▼関連記事:業務委託の時間管理が違法となるケースとは?事例を交えて分かりやすく解説業務の進捗を定期的に共有する仕組みを作る進捗の確認が不十分だと、作業が思った以上に長引き、予想以上のコストが発生する可能性があります。そのため、マイルストーンを設定する、週に1回のミーティングを設定するなどの進捗を確認する仕組みを作りましょう。進捗の状況を定期的に共有する仕組みを作り、作業内容や報酬に対する透明性を確保することが大切です。契約書に業務範囲や成果物の条件を明記する企業が作業内容や手順の指示を必要以上に出すと、業務委託契約が形式的なものになっている「偽装フリーランス」と判断されるリスクがあります。正社員やアルバイトと契約を結ぶ雇用契約と異なり、業務委託では、企業がフリーランスに具体的な指示を出すことは禁止されています。これは時給制であっても当てはまります。そのため、契約書に業務範囲や成果物の条件を明記し、フリーランスが業務を遂行するうえで自由裁量を持てる環境を整えることが重要です。また、就業時間や出勤場所を指定する行為は避け、フリーランスとしての独立性を尊重しましょう。【Q&A】業務委託の時給・相場に関するよくある質問最後に、業務委託の時給・相場に関するよくある3つの質問に回答します。法令を遵守しつつ、求める人材を採用できるようにしましょう。業務委託の時給制は違法ですか?業務委託の時給制は違法ではありません。ただし、業務委託契約の範囲内で運用される必要があります。企業が勤務時間や業務内容を細かく管理すると、労働者とみなされ、労働基準法違反となる可能性があるため注意が必要です。業務委託の時給相場はどのくらいですか?フリーランス・副業向けマッチングサイト「SOKUDAN」の独自調査では、フリーランス向け19職種の平均時給は4,093円です。職種ごとに相場は異なりますが、エンジニアやコンサルタントなど、専門性の高い職種ほど時給が高い傾向があります。▼関連記事:【2024最新】フリーランス・副業の平均時給・月収ランキング(職種別)業務委託の時給に最低賃金は適用されますか?業務委託には最低賃金は適用されません。これは、業務委託が労働基準法の適用外であるためです。ただし、労働者と判断される場合には最低賃金法が適用される可能性があります。また、最低賃金以下で募集すると「優秀な人材が集まりにくい」「企業イメージが低下する」などのデメリットがあるため、適切な報酬設定を心がけましょう。▼関連記事:企業が業務委託で最低賃金以下を避けるべき理由4選!適切な報酬を決めるポイントを解説優秀なフリーランス・副業人材を探すなら「SOKUDAN」優秀なフリーランス・副業人材を探している企業におすすめなのが「SOKUDAN」です。SOKUDANは、フリーランスや副業人材を探す企業と、専門スキルを持つプロ人材をマッチングするサービスです。SOKDUANに登録しているプロ人材は、エンジニアやデザイナー、マーケターなど、実務経験5年以上の経験豊富な人材が6割を占めています。【SOKUDANの特徴】即日求人掲載&マッチング可能採用工数を最大70%削減可能複業から正社員化も可能SOKUDANでは、即日で求人を掲載し、応募者とマッチングする仕組みを完備しています。AIを活用した独自のマッチングシステムで、スピーディーな採用を実現できます。求人作成から書類選考まで、すべてのフローで専任チームがサポートするため、採用業務にかかる工数を最大70%削減可能です。さらに、業務を通して、お互いの条件があえば、正社員として採用することもできます。SOKUDANは初期費用0円で導入可能です。効率的に優秀な人材を探している企業は、ぜひ一度ご検討ください。まとめフリーランスと業務委託契約を結ぶ際に、時給で契約することは可能です。ただし、職種ごとの相場をはじめ、業務内容や専門性を加味した設定でないと、人材が集まりにくくなるので注意しましょう。また、時給制で業務委託をする際は、稼働時間や進捗が分かるように、定期的に進捗会議を設定したり、コミュニケーションを図ったりすることが大切です。偽装フリーランスなどのトラブルのリスクも回避しながら、フリーランスと良好な関係を築いていきましょう。