支払いサイトとは、取引の締日から支払いまでの期間を表す言葉です。フリーランスにとって支払いサイトは、経済状況に大きく影響します。この記事では、フリーランスの一般的な支払いサイトの日数や、支払いサイトがある理由、支払いサイトを短くする方法を説明します。また、支払いサイトが30日以下のエージェントサービスも紹介します。資金繰りを楽にしたいと考えているフリーランスは参考にしてください。支払いサイトとは?支払いサイトとは、取引の締日から実際に請求金額が支払われるまでに発生する期間を指す言葉です。身近な例を挙げると、個人でクレジットカードを使用する際の、締日に請求金額が確定してから引き落としまでの期間が支払いサイトです。フリーランスで活動している場合は、取引の締日から実際に請求金額が支払われる日までの期間が支払いサイトにあたります。支払いサイトが長ければ、報酬が入らない期間が長くなるため、フリーランスにとって支払いサイトの日数は重要な要素です。一般的なフリーランスの支払いサイト支払いサイトは、必ずこの日数と決まっているわけではありません。フリーランスが業務委託契約で仕事をした場合は、クライアントやエージェントによって支払いサイトが変わります。フリーランスの支払いサイトは、30日と60日の2つのパターンが多いです。この2つのパターンでは、収入が入るタイミングがどう変わるかを説明します。30日サイト「月末締め翌月払い」の契約の場合が、30日サイトです。現在、主流の支払いサイトです。30日サイトでは、成果物を納品した月の翌月末に入金されることになります。納品から考えると30日以上は入金がない状態となるでしょう。60日サイト60日サイトは、成果物を納品した翌々月の月末、つまり2ヶ月後に報酬が入金されます。入金までの期間が長くなるため、フリーランスにとっては、経費や生活費の支払いができなくなるリスクがあります。フリーランス新法で支払いサイトは60日以内に定められている2024年11月に施行されたフリーランス新法によって、フリーランスへの報酬の支払いは、「納品日から数えて60日以内の、できる限り短い期間内に行う必要がある」と定められています。また、ただ60日以内に支払えばよいのではなく、「翌月末支払い」や「2025年◯月◯日支払い」など、明確に期日設定をしなくてはならないとされています。納品から60日を超えても、発注事業者から報酬を支払ってもらえない場合の対処法や、フリーランス新法の詳しい内容は、以下の記事で解説しています。▼関連記事:業務委託で給料・報酬の未払い被害に遭ったら?フリーランスが今すぐすべき対処法や法的手段を解説▼関連記事:【2024年11月施行】フリーランス新法とは?変更内容や注意点を解説支払いサイトがある理由は?そもそも、取引の締日から実際に報酬が支払われるまでに、一定の期間が必要なのはなぜなのでしょうか。「もっと早く支払えるのでは?」と疑問に思う方も多いはずです。ここでは、フリーランスの取引に支払いサイトがある主な理由を解説します。業務委託の報酬は「掛取引」だから掛取引とは、取引の都度ではなく締日で取引を一括管理し、期日にまとめて取引金額を後払いする仕組みです。企業は取引の数が多く、都度精算していると、手続きの数が膨大になってしまいます。業務委託や下請けへの報酬の支払いを掛取引にすると、発注企業は1ヶ月分の決済をまとめて行えるため、手数料の節約や手間を省けます。締日で1ヶ月分の取引を取りまとめ、金額を確認し、振り込み手続きをする事務作業の時間を考慮し、支払いサイトが設けられています。納品物の検収の期間があるから成果物の納品後に、企業側で検収を行います。検収とは、発注と納品の内容が一致しているかどうかを確認する手続きです。支払いサイトの期間に検収を行い、量やクオリティなどを確認して問題がなかった納品物の報酬が、支払い期日に支払われます。検収で納品物の不備が見つかれば、追加で修正の依頼が発生することもあります。その場合は、フリーランスが修正した成果物を再納品し、企業が再検収を行います。企業の資金繰りのため企業が存続していくためには、資金繰りが不可欠です。利益が生まれる前に多額の支払いが発生すると、資金難に陥る可能性もあるでしょう。報酬の支払いを先延ばしにすることによって、支払いに必要な金額を用意する余裕が生まれるので、支払いの負担を減らせるのです。支払いサイトによるフリーランスへの影響1月にフリーランスの活動を開始したとして、30日サイトと45日と60日、それぞれの報酬を受け取るタイミングを比較すると、以下のようになります。月報酬30日サイト45日サイト60日サイト1月15万円---2月20万円月末に15万円--3月30万円月末に20万円15日に15万円月末に15万円4月40万円月末に30万円15日に20万円月末に20万円5月40万円月末に40万円15日に30万円月末に30万円45日サイトと60日サイトの場合は、働いた翌々月に振り込みがあるため、フリーランスとして活動を始めた翌月は振り込みがないことになります。また、活動の初期は報酬が低いケースも多いため、生活費や経費の支払いが難しくなる可能性も高いです。そのため、フリーランスとして働き始める際には、支払いサイトを短くするか、2ヶ月分の生活費や事業の運営資金を貯めた状態で独立するのが望ましいでしょう。支払いサイトを短くする方法フリーランスは支払いサイトを短くすることで、金銭面の負担を軽減できます。しかし、支払いサイトは、基本的にクライアントの都合によって決まっているため、自分で交渉するのは困難です。そこで、フリーランスが支払いサイトを短くする2つの方法を紹介します。支払いサイトが短いエージェント・マッチングサイトを利用するエージェントやマッチングサイトを通して契約すると、エージェント・マッチングサイトから報酬の振り込みが行われます。フリーランス向けのエージェントやマッチングサイトは、フリーランスが働きやすいように、支払いサイトを短く設定しているサービスも多いです。支払いサイトの短いエージェントやマッチングサイトを利用すると、納品後の早い段階で報酬を受け取れます。▼関連記事:フリーランス向け案件マッチングサービスのおすすめ14選〜利用者の声もご紹介〜▼関連記事:フリーランスにおすすめのエージェント21選!案件を獲得するための強い味方ファクタリングを利用するファクタリングとは、「債権買取」のことです。振り込み前の請求書をファクタリング会社に買い取ってもらうことによって、支払い日を待つことなくファクタリング会社からすぐに現金が振り込まれます。ただし、ファクタリングには手数料が発生します。ファクタリングを利用しない場合と比べ、受け取り金額が減ってしまうため、緊急で現金が必要な場合のみに使用するとよいでしょう。▼関連記事:フリーランスにおすすめのファクタリング7選!選ぶポイントも解説【30日以下】支払いサイトが短いエージェント・マッチングサイト12選先述したように、支払いサイトが短いエージェント・マッチングサイトを利用することで、納品してから報酬を受け取るまでのタイムラグを減らし、資金繰りに余裕が生まれます。ここでは、支払いサイトが短めのエージェント・マッチングサイトを紹介します。報酬を早く受け取りたい方は参考にしてください。サービス名支払いサイトTECH STOCK(テックストック)15日レバテックフリーランス15日Futurizm(フューチャリズム)15日Midworks20日ギークスジョブ25日エクストリームフリーランス30日テクフリ30日エンジニアルート30日IT求人ナビ30日テックアダプト30日ココナラテック30日(先払い/即日払いサービスあり)PE-BANK最短5日(通常40日)【15日】TECH STOCK(テックストック)TECH STOCK(テックストック)は、フリーランスエンジニア向けのエージェントです。デザイナーや企画・マーケティングの案件も扱っています。TECH STOCKの支払いサイトは15日です。支払いサイトが短さに加え、登録者にフリーランス向けの福利厚生プログラムfukurint(フクリント)を提供しており、フリーランスを手厚くサポートしています。【15日】レバテックフリーランスレバテックフリーランスは、IT・Web系のフリーランスエンジニア専門のエージェントです。案件数が多く、フォロー体制が充実しているので、初めてフリーランスになる人でも安心して利用できます。レバテックフリーランスの支払いサイトは15日です。案件に参画した会員の約2人に1人が参画後に単価アップしたというデータがあり、スキルが報酬に反映されやすいためモチベーションを維持しながら活動できるでしょう。【15日】Futurizm(フューチャリズム)Futurizm(フューチャリズム)は、ITエンジニア案件が豊富なエージェントです。ITエンジニアが抱える淘汰されるリスクを解消するための、未来志向型サービスを方針に掲げ、長期的な支援を行っています。Futurizm(フューチャリズム)の支払いサイトは15日です。週5日の常駐案件が多いので、安定した収入を得たい方におすすめです。【20日】Midworks(ミッドワークス)Midworks(ミッドワークス)は、ITエンジニアやWebディレクター、コンサルなど、IT関連の案件を扱うフリーランス向けのエージェントです。Midworksの標準的な支払いサイトは20日です。スキルシート添削や商談対策など、初めてフリーランスになる場合に心強いキャリア形成サポートも充実しています。【25日】ギークスジョブギークスジョブは、ITフリーランスのサポートに特化したエージェントです。単なる案件紹介の枠を越え、コンサルタントやメンター、事務、営業といった幅広いサポートをフリーランスへ提供しています。ギークスジョブの支払いサイトは25日です。また、登録者へ福利厚生プログラムのフリノベを無料提供しています。【30日】エクストリームフリーランスエクストリームフリーランスは、フリーランスエンジニア・クリエイター向けのエージェントです。IT系からエンタテインメント系まで、幅広い案件を扱っています。エクストリームフリーランスの支払いサイトは、30日です。専任の担当者にエージェント企業との単価交渉も任せられ、報酬や参画中の案件など、フリーランスが抱えるあらゆる不安を相談できます。【30日】テクフリテクフリは、フリーランスエンジニア向けのエージェントです。担当コーディネーターが案件の提案をし、担当エージェントが面接・条件交渉・契約をするといったように、各段階でプロフェッショナルがサポートします。テクフリの支払いサイトは30日です。また、一定の期間以上稼働した人を対象に有給休暇と退職金を提供するなど、充実した福利厚生サービスを提供しています。金銭面の不安を軽減したいフリーランスの強い味方となるでしょう。【30日】エンジニアルートエンジニアルートは、ITフリーランスエンジニア向けエージェントです。オンラインでのコミュニケーションに留まらず、専属の担当者が案件の参画初日に現場に同行してくれるなど、フリーランスを手厚くサポートします。エンジニアルートの支払いサイトは30日です。また、プロジェクト終了の1ヶ月前から次の案件の相談ができるため、報酬が発生しない期間を最小限にできるでしょう。【30日】IT求人ナビIT求人ナビは、フリーランスエンジニア向けの案件・求人マッチングサイトです。対話を通してAIがニーズを把握し、案件を提案します。IT求人ナビフリーランスの支払いサイトは30日です。AIによるスキルシートの改善提案や、AIが想定される質問を抽出する面談トレーニングなど、対人ではないAIによるサポートが豊富なので、気楽に利用できるでしょう。【30日】テックアダプトテックアダプトは、東京、神奈川、千葉、埼玉の案件を扱うフリーランスITエンジニア向けのエージェントです。テックアダプトの支払いサイトは30日です。当該年度に6ヶ月以上稼働しているフリーランスエンジニアを対象に、確定申告書類の作成を税理士に依頼する費用負担も行っています。10〜20万円の費用を負担してもらえるのは、フリーランスにとって大きなメリットでしょう。【30日】ココナラテックココナラテックは、スキルマーケットのココナラが提供しているフリーランスのエンジニア、デザイナー向けのエージェントです。ココナラテックの標準的な支払いサイトは30日です。先払いや即日払いのサービスも利用可能で、急な機器の故障など、早急に資金が必要になってしまった際に役立つでしょう。【最短5日】PE-BANKPE-BANKは、ITフリーランスエンジニア専門のエージェントです。福利厚生として、請求月の翌月第5営業日に報酬の受け取りが可能になる報酬早払いサービスが選択できます。ただし、通常の支払いは月末締め翌々月10日支払いと、比較的長めの40日サイトです。早払いサービスを利用した場合のみ、締日の第5営業日の支払いになります。フリーランスの収入は支払いサイト以外に報酬形態も重要フリーランスとして業務委託で仕事をしている場合は、報酬形態によって報酬が発生するタイミングが変わります。そのため、支払いサイトだけではなく、報酬形態も経済状況に大きく影響するでしょう。フリーランスの主な報酬形態を紹介します。時間報酬時間報酬は、働いた時間に応じて報酬が発生する形態です。「時給◯円」と単価が設定されていることが多いです。プロジェクトの完結や成果物の納品ではなく、稼働した時点で報酬が発生するので、収入面の不安を軽減できます。▼関連記事:フリーランスが時給制の業務委託を選ぶメリット・デメリット!契約を結ぶときのポイントも解説固定報酬固定報酬は、決められた成果物の納品や、業務の遂行をすることで報酬が発生する形態です。指定された業務をクオリティ高く、素早く行える場合は、時間報酬よりも稼げる可能性が高いです。成果報酬成果報酬は、納品物が求められている結果や状況を生み出した場合に、報酬が発生する形態です。例えば、電話営業で、業務量に関わらず、商談につながった件数に対して報酬が発生するケースなどが考えられます。フリーランスの支払いサイトに関するよくある質問最後に、フリーランスの支払いサイトに関するよくある質問に回答します。支払いサイトで注意することは?支払い日が金融機関の休日にあたる場合は、振り込みが休日明けになる可能性があります。「20日支払い」や「月末支払い」と覚えていた場合、報酬が受け取れると思っていた日に振り込みがないこともあるので注意しましょう。支払いサイトが長いと困るの?支払いサイトが長いと、必ずしも悪いという訳ではありません。例えば、急に仕事がなくなったときに、60日サイトであれば「月末締め翌々月支払い」となるため、仕事をしなかった翌月にも先々月の報酬が振り込まれます。入金がない状況まで2ヶ月の猶予があるため、出費を見直したり、他の支払いサイトが短い案件を探したりと、対処できる可能性があるでしょう。まとめ支払いサイトは、取引の締日から実際の振り込みまでの期間のことです。支払いサイトが長ければ、フリーランスが報酬を受け取るまでの期間が長くなります。支払いサイトを短くすることによって、資金繰りがしやすくなるでしょう。しかし、フリーランスから企業に対して支払いサイトの短縮を交渉することは難しいため、支払いサイトが短いエージェントやマッチングサイトを利用するのがおすすめです。場合によっては、ファクタリングを利用するのも1つの手でしょう。