ワーケーションは、仕事をしながら旅行も楽しめる働き方です。フリーランスは働く場所や時間を選べる場合が多いため、ワーケーションをしたことがある、今後やってみたいという人も少なくありません。この記事では、フリーランスにおけるワーケーションのメリットとデメリットを紹介します。事前にデメリットの対策をすることで、満足度の高い体験ができるでしょう。経費や補助金についてもチェックしながら、ワーケーションの計画に役立ててくださいね。ワーケーションとは?ワーケーションとは、「ワーク」と「バケーション」を組み合わせた造語です。旅行地でリモートワークをしながら、仕事以外の時間に余暇を楽しむ過ごし方です。2000年代にアメリカで始まったとされ、日本でもIT企業などがサテライトオフィスを設けるなどして広がりました。さらに、働き方改革や新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、広く認知されるようになりました。▼出典:フリーランスのワーケーション実態調査2023|フリーランス協会フリーランスは働く場所を選べることも多いため、ワーケーションとの親和性が高いです。フリーランス協会が行った調査によると、フリーランスでワーケーションの実施意向がある人は全体の8割に上ります。フリーランスがワーケーションするメリットリフレッシュ効果をはじめ、ワーケーションにはさまざまなメリットがあります。フリーランスがワーケーションをすることで得られるメリットを知ると、これまでワーケーションをしていなかった人も試してみたくなるはずです。リフレッシュできる日常から離れることで得られるリフレッシュ効果は、ワーケーションの大きなメリットの1つでしょう。日々のルーティンや煩わしさから解放され、雄大な自然や初めて見る景色に触れると、気分転換になります。行き詰まっていると感じている人は、ワーケーションをしてリフレッシュすると、仕事に対しても新鮮な気持ちで取り組めるでしょう。集中力がアップするワーケーションで日常とは切り離された環境に身を置くと、普段煩わされていることを考えなくてすむため、仕事に集中しやすくなります。家や普段仕事をしているスペースだと、ついほかのことをしてしまったり、周りの人と雑談をしたりしてしまう人も、ワーケーション先では余計なものがないので、集中力がアップするでしょう。長期休みを取らずに旅行ができる旅行をする際には休暇を取得する人も多いですが、ワーケーションなら仕事を休む必要はありません。休みを取って旅行をするのは周りに迷惑をかけてしまうのではないかと心配になってしまう人も、ワーケーションなら長期休みを取らなくてもいいので、ハードルが下がるはずです。また、大型連休や年末年始などの連休は、交通機関もホテルも高くなります。しかし、ワーケーションならわざわざ混雑する時期を選ぶ必要もないので、費用面でもメリットを感じやすいでしょう。仕事への相乗効果が生まれる旅をして気分転換ができると、仕事にも相乗効果が期待できるでしょう。いつもいる場所から移動するだけで、見える景色が変わり、コミュニケーションを取る人が変わります。すると、新たなインスピレーションを受けて、創造的な仕事へつながることがあります。これまで思いつかなかったようなアイデアが浮かんだり、悩んでいたことがどうでもよくなったり、普段の環境では得られないような効果があるかもしれません。新しい人脈が構築できるワーケーション先で偶然出会う人はもちろん、その土地で開かれる交流会などに参加してみると、新しい人脈の構築につながります。いつも身を置いている環境ではなかなか出会えないような人と出会う可能性もあるので、イベントの日程などが事前に分かっていれば、イベントに合わせてスケジュールを組んでもいいかもしれません。フリーランスがワーケーションするデメリットメリットよりもデメリットの比重が大きく感じてしまう人は、ワーケーションが合わないと感じるかもしれません。メリットだけを考えて後悔しないよう、ワーケーションのデメリットも知っておきましょう。仕事と休暇の境界線が曖昧になるワーケーションは、仕事と旅行の両方の体験ができるのがよいところですが、両立するのに苦労する人もいるでしょう。旅行を全力で楽しみたいけれど、仕事が頭の片隅にあって思い切り楽しめなかったり、逆に遊んでばかりで仕事がなかなか進まなかったりと、仕事と休暇の境界線が曖昧になって、どちらも中途半端になりやすい側面があります。仕事環境は運次第なところがあるリモートで仕事をする際には、PCとWi-Fi、デスクと椅子は最低限必要です。しかし、ワーケーションの宿泊先や近くにあるカフェのWi-Fiが弱かったり、デスクやチェアの高さが合わず、長時間働くのが辛かったりと、仕事環境は実際に行ってみないと分かりません。そのため、仕事環境を重視する人は不安が拭えません。費用が負担に感じる場合もあるワーケーションをするには、交通費や宿泊費、娯楽費などの費用がかかります。一般的に、昨今の円安や物価高によって、以前よりも旅行するハードルは上がっています。例えば、物価の高い国に行きたい場合や、国内でも人気の観光地は、宿泊費が高くなってきています。そのため、ワーケーション先によっては、費用面でデメリットに感じるかもしれません。フリーランスがワーケーションを成功させるためには?前述したデメリットも、対策次第でカバーできます。ワーケーション前にほんの少し時間を取って対策することで、後悔のないワーケーションにできるのです。ここで紹介する対策と心構えをして、ワーケーションに備えましょう。ワーケーションの目的と優先順位を明確にする仕事と旅行体験をうまく分けられない人は、ワーケーションの目的と優先順位を明確にするのがおすすめです。例えば、旅行体験をメインにして仕事は最低限すればよいなど、ワーケーションごとに目的を決めます。そして、目的を踏まえて優先順位を書き出しましょう。【ワーケーションの優先順位の例】観光メール返信と提案書作成人脈作り上記のように優先事項を決めておくと、仕事も旅行体験も後悔が少なくなるでしょう。滞在先をできるだけ事前に調べる仕事環境が整っていなくて仕事に集中できないという事態を避けるために、ワーケーション先の仕事環境を事前にできるだけ調べておきましょう。例えば、宿泊先のWi-Fi環境や、備わっている家具などは、滞在先の公式サイトや口コミで確認できます。仕事環境が大事な人は、あらかじめ滞在先に問い合わせておくと安心できます。また、滞在する街に短期で利用できるコワーキングスペースや、仕事のしやすいカフェがあるかどうかもチェックしておくと、安心材料になるでしょう。場所や時期を検討する費用面がデメリットだと感じる人は、連休などの旅行者が多い時期を避ける、海外なら物価の安い国を選ぶとよいでしょう。ホテルや航空券などは余裕を持って予約すると、割引がきく場合もあるので、ワーケーションすると決めたらなるべく早く予約するのもおすすめです。筆者のワーケーション体験談フリーランスとして活動している筆者自身も、国内国外ともにワーケーションを何度か行った経験があります。せっかく行くならある程度時間をかけて楽しみたいので、だいたいいつも2週間〜1ヶ月ほど滞在しています。前述したようなデメリットも感じますが、もともと旅行好きなため、ワーケーションのメリットの方が多いと感じています。特に仕事に行き詰まった時などは、よい気分転換になり、仕事への相乗効果を感じます。私は週末も仕事をするなど、普段の方が仕事と休みの境界線が曖昧になりやすいのですが、ワーケーションをする時は、1週間のうち必ず2日は仕事をしないで旅行体験をしようと決めています。そのため、ワーケーション中の方が仕事と遊びの線引きがはっきりして、メリハリのある生活になるのがとてもいいなと感じています。人との出会いも意外とあり、海外のツアーに参加した際に出会った人が同じ出身地で盛り上がったり、飛行機の中で横に座った人と現地に着くまで話したりと、普段は出会わないような人とコミュニケーションが生まれるのも旅の醍醐味だと思います。付け加えておくと、私はどちらかというと内向的で、普段の生活でこのような出会いはほぼなく、旅が自分を解放的にしてくれる効果もあると思います。ワーケーションで特に気をつけているのは、セキュリティ面です。PCなどの仕事道具を持ち歩くため、盗難やハッキングなどに遭わないよう、特に海外に行く際には、滞在先の設備や評価、口コミは必ずすべて目を通し、安全面と仕事のしやすさを見極めるようにしています。普段の感覚は捨て去り、カフェやコワーキングスペースで仕事をしている時にトイレに行きたくなったら荷物はすべて持って移動、カバンのチャックは開けっぱなしにしないなど、防犯対策を意識するようにしています。物価高や円安が進み、旅行自体あまり気が進まない人も多いかと思いますが、ワーケーションができる仕事環境にあり、ワーケーションに興味があるならぜひ挑戦してみてください。フリーランスはワーケーション補助金を利用できる?日本国内では、ワーケーションの補助金制度を設けている自治体があります。補助金制度がある自治体でワーケーションをすると、多くの場合は宿泊費や交通費などが補助される仕組みになっています。賢く利用すれば、旅費を抑えながらワーケーションができるので、旅行先にワーケーションの補助金制度がないかをチェックしておくとよいでしょう。ただし、フリーランスを対象としているかどうかは自治体によって異なるため、事前にフリーランスが利用できるものかどうか確認しておきましょう。また、補助金利用にあたり、書類を作成して提出する必要がある自治体がほとんどなので、事前準備が必要なのも覚えておきましょう。フリーランスはワーケーションの費用を経費に計上できる?ワーケーションの費用を経費に計上できるかどうかは、ケースごとに異なります。例えば、ワーケーション先への交通費や宿泊費などは、ワーケーションの主たる目的が、取引先の視察やオフラインのミーティングである場合や、取材やイベントの出席だった場合は、経費に計上できるでしょう。また、現地で仕事する際に利用したコワーキングスペースの利用料や、クライアントとの会食費も経費に計上しても問題ありません。しかし、観光やレジャーにかかった費用や、個人的な飲食代などは、経費として計上するのは難しいでしょう。また、気分転換を主な目的としたワーケーションでは、交通費や宿泊費などを経費にするのも難しいと考えた方がよいでしょう。自己判断が難しい場合は、専門家にアドバイスを求めるのが無難です。▼関連記事:フリーランスの気になる経費事情!経費計上する時の注意点やQ&Aもまとめフリーランスでワーケーションをしたいと思っている人は8割にも上り、ワーケーションに対する関心の高さがうかがえます。ワーケーションには、リフレッシュ効果があり、長期休みを取らずに旅行ができるなど、さまざまなメリットがありますが、デメリットが気になる人は対策が必要でしょう。日本国内では、ワーケーションに使える補助金を設けている自治体もあり、フリーランスが使えるものもあります。賢くお得にワーケーションをしたいなら、補助金を利用してみる手もありますね。ワーケーションにかかった費用すべてを経費にするのは難しいかもしれませんが、仕事に関する項目なら経費計上が可能です。ワーケーションでかかった経費のレシートなどは残しておくようにしましょう。