広報は、企業価値を高めるために重要な役割を担います。広報担当者として働いてみたいと思っている方もいるのではないでしょうか?この記事では、広報の目的や、広報担当者に向いている人の特徴、具体的な業務内容などを解説します。また、広報の収入や実際の案件例も紹介するので、広報として働くことに興味がある方は、ぜひ参考にしてください。▼関連記事:フリーランスで広報の仕事はできる?案件獲得方法や年収の実態を解説広報とは?広報は、自社とステークホルダー(利害関係者)との良好な関係を作り、維持していく仕事です。ステークホルダーとして想定されるのは、主に以下の人や組織です。顧客消費者株主・投資家従業員取引先競合他社地域住民メディア広報担当者は、ステークホルダーと自社が双方向のコミュニケーションを取れるよう、メディアなどを通して自社情報を発信します。また、広報には自社のブランド力を高め、製品・サービスの認知度を高める役割もあります。PRとの違いPRとはPublic Relations(パブリック・リレーションズ)の略です。日本語では広報と訳され、一般的には広報とPRは同じ意味と見なされます。しかし、PRは「広告・宣伝」というニュアンスで使われるケースが多いです。例えば、インフルエンサーが企業から依頼されてSNSで商品の感想を投稿する場合は、広告・宣伝であることを示して「PR」と記載することがあります。IRとの違いIRとは、投資家・株主に向けて投資判断に影響する自社情報を発信することです。IRと広報はどちらも自社情報を発信するという点では同じですが、情報を届ける対象が異なります。広報の対象があらゆるステークホルダーであるのに対し、IRは投資家・株主に対して情報発信します。▼関連記事:IRとは?PRとの違いや目的は?担当者必見の情報を分かりやすく解説マーケティングとの違いマーケティングとは、顧客のニーズを把握し、ニーズを満たす価値提供を行うための活動のことです。具体的には、主に以下の活動を指します。市場ニーズの調査製品・サービスの開発製品・サービスの販売広告宣伝広報とマーケティングは目的が異なりますが、製品・サービスの認知度を高める活動をする部分は共通します。広報の目的企業にとって広報は、社内外への影響力を高める上で欠かせません。ここでは、広報の主な4つの目的を紹介します。企業のブランディング企業ブランディングとは、他社と差別化した独自のイメージや価値を確立し、ステークホルダーに認識してもらうことです。企業ブランディングによって顧客からの信頼や愛着を得られれば、企業価値が向上します。その結果、収益の増加や優秀な人材の採用にもつながります。認知の拡大認知とは、単に企業の名前を知られることではなく、事業内容や、製品・サービスの中身を知ってもらえていることです。広報活動では、自社サイトやSNS、メディアなどで情報発信をして、自社の取り組みや自社の製品・サービスの認知度を高めます。自社の製品・サービスの魅力や他社との違いを広く理解してもらえれば、結果として売上の向上につながります。メディアとの良好な関係構築企業の認知拡大やイメージ形成のためには、メディアを通した情報発信が重要です。そのため、メディアにとって価値のある自社情報を提供することで、メディアとのパートナーシップを築けるように取り組みます。メディアに取材されたり、製品・サービスを大きく取り上げてもらったりすれば、売上増加やブランディングなど企業の成功につながるでしょう。ステークホルダーとの良好な関係構築顧客や株主、取引先、従業員など、企業に関わるすべての人との信頼関係がなければ、企業は存続・発展していけません。広報活動では、ステークホルダーとコミュニケーションを取り、企業の信用を高める情報発信を行います。また、ステークホルダーからのフィードバックを経営陣に伝え、企業とステークホルダーをつなぐことも重要な役割です。広報の種類広報には、大きく分けると「社外広報」と「社内広報」の2種類があります。社外広報と社内広報は、どちらも企業にとって欠かせないものです。それぞれどのような活動なのかを解説します。社外広報社外広報は、社外の消費者や顧客、取引先などに対して行う広報活動です。社外広報の大きな役割は、不特定多数の人に向けて発信を行い、顧客になってもらうきっかけを作ることです。また、経営陣の狙いや経営状況など、企業を深く理解してもらえる情報を発信し、社外のステークホルダーと企業との信頼関係を構築することも、社外広報にあたります。【社外広報の例】株主総会の実施消費者や株主からの問い合わせ対応メディア対応Webサイト・SNS運用社内広報社内広報は、自社の従業員に対して行う広報活動です。社内広報には、以下の目的があります。企業情報の周知社内コミュニケーションの活性化企業理念・企業文化の浸透従業員の働きがいの向上社内広報によって、従業員に自社への理解を深めてもらい、結束力や働きがいを持ってもらえれば、生産性の向上と離職率の低下につながります。【社内広報の例】社内報の発行社内イベントの開催Webサイト・SNS運用広報担当者の仕事内容広報は企業価値を上げるために重要な役割を担っています。広報担当者は具体的にどのような業務を行うのでしょうか。主な仕事内容を紹介します。プレスリリースの作成・配信プレスリリースとは、メディアや消費者に対して、自社の重要情報や新製品・サービスのリリースを伝えるために企業が発表する公式文章のことです。プレスリリースからメディアに取り上げてもらえれば、より多くの人々に自社の情報を届けられます。そのため、メディアに注目してもらえるような魅力的なプレスリリースを作成する必要があります。取材・問い合わせ対応メディアからの取材や問い合わせには、広報がすぐに回答できるもの、担当部署や経営陣など社内に確認をとって回答するもの、取材調整が必要なものなどがあります。広報担当者は、メディアの掲載枠を逃さないよう、迅速に対応方法を判断し、回答の用意または取材の日程調整などを行います。メディアから自社の魅力が伝わる取り上げ方をしてもらえるように、メディアや記者の目的や意図を理解し、適切な情報を提供しなければなりません。イベントの企画・運営広報が実施する企業イベントには、主に以下の3つの目的があります。メディアに取り上げてもらう新規顧客を獲得する企業のファンを増やすメディアの取材や新規顧客の獲得のために新製品やサービスの展示会を行ったり、企業ファンを増やすために製品・サービスに関連したフォトコンテストを開催したりと、広報担当者は目的に合わせたイベントの企画をします。広報担当者は、スケジュールの調整や会場の手配、宣伝、参加者への対応、外部のスタッフへの指示、トラブル対応なども行い、イベントが成功するよう働きかけます。記者会見広報担当者が記者会見の実施に関して行うことは以下です。会見内容と日程の決定会場の予約会見者と司会者の手配メディアへの案内出欠確認会見資料の準備会見リハーサル会場セッティング会見当日の対応会見後の効果測定記者会見の情報は、メディアを通じて社会へ広がります。メディアを前に不用意な発言がないよう、資料作成やリハーサルを行い、入念な準備をした上で臨むことが重要です。WebサイトやSNSの運営広報活動において、メディアから取り上げてもらう以外にも、WebサイトやSNSなどの自社メディアで積極的に発信し、ステークホルダーとコミュニケーションを取ることは重要です。特にSNSで拡散力のある投稿ができれば、認知の拡大やファンの獲得につながります。また、自社サイトに直近のニュースや情報を掲載し、最新の状態に保つことは、ステークホルダーとの信頼関係の構築に効果的です。危機管理対応企業の危機発生時に行う広報対応を、危機管理広報といいます。広報担当者は、自然災害や事件、事故などの企業の危機をできる限り予測し、予防する必要があります。また、トラブルが発生した際には、被害を最小限に食い止め、復旧を目指し、再発防止に最善を尽くすことが重要です。特に企業へのダメージが大きい不祥事の発生時には、さらなる企業イメージの低下を防ぐために、広報が表に立ち、真摯な対応をしなければなりません。社内報の作成広報担当者は、社内報の作成において、企画から入稿までのあらゆる業務を担当します。社内報で何を取り上げれば、従業員のモチベーション向上や社内の一体感につながるかを考えながら社内報の企画をし、取材や執筆を進めます。効果的な社内報を作成できるよう、広報担当者は常に社内の情報を把握しておくことが必要です。広報担当者に必要なスキル広報担当者は多くの人と関わり、さまざまな業務に従事します。そのため、効果的な広報活動を行うためには幅広いスキルが必要です。ここでは、広報担当者に求められる主な5つのスキルを紹介します。企画力イベントの開催や社内報の発行、SNSの運営などの広報活動には、企画力が求められます。特定の人に企業メッセージを深く伝えたいのか、あるいは不特定多数に届くように話題性のある発信をしたいのかなど、目的に合わせた企画を考えることが大事です。広報担当者が目的や市場トレンドを踏まえてアイデアを出し、独自性のある企画を立案できれば、企業イメージや顧客エンゲージメントの向上につながるでしょう。文章力広報担当者は企業を代表する文章を書く機会が多いため、文章力が求められます。例えば、新製品・サービスを公式に発表するプレスリリースの作成は、広報の代表的な仕事です。新製品・サービスの情報を間違いがないように正しく伝える能力はもちろん、分かりやすく魅力が伝わるような構成力や表現力も問われます。臨機応変な対応力社内の事故や不祥事、またWeb上で批判が殺到する「炎上」などが起こった際に、広報担当者はすぐさま適切な対応をして、さらなる企業価値の毀損を防がなくてはなりません。判断を誤れば、事態の収拾がつかなくなり、売上や株価を大幅に落とす可能性もあります。危機が発生したり、取材や会見中にメディアから予期せぬ質問が出たりする可能性は常にあります。広報担当者は、トラブル時に慌てず冷静に判断ができるよう、日頃からあらゆるリスクをシミレーションしておくことが重要です。情報収集・分析力広報担当者は、ただ自社の情報を発表するのではなく、どのような情報発信をすれば目的を達成できるかという広報戦略の上で動きます。広報戦略は、市場トレンドや消費者ニーズ、自社の顧客データなどの情報に基づいて考えなければいけません。そのためには、自社や競合他社、業界の情報を集めて整理しておくことが大事です。テレビや雑誌、新聞、Webメディアなどの各種メディアのトレンドにもアンテナを張り、あらゆる情報をキャッチアップしておく必要があります。メディアリテラシー広報はメディアを通してステークホルダーに働きかけることが多いため、メディアリテラシーを必要とします。メディアリテラシーとは、主に以下の3つの能力のことです。メディアを主体的に読み解く力メディアにアクセスして活用する力メディアを通してコミュニケーションを取る力この中でも広報担当者に最も必要なのは、「メディアを通じてコミュニケーションを取る力」です。広報担当者は、正確な情報を発信することはもちろん、情報を世の中がどう受け止めるかまでを想像しながら情報発信を行わなければなりません。広報担当者に向いている人の特徴広報担当者は、社内外問わずあらゆるステークホルダーと関係を構築する必要があります。そのため、人によって向き不向きがあるでしょう。ここでは、広報担当者に向いている人の代表的な3つの特徴を紹介します。さまざまな人と関わるのが得意広報は、社内の従業員や取引先、メディア関係者、株主、顧客など、さまざまな立場の人と関わる仕事です。取材対応や打ち合わせなど、広報部署以外の人間と直接コミュニケーションを取る機会が多いため、人と話すのが得意でコミュニケーション力がある人は広報担当者に向いています。企業の窓口となる広報担当者の印象は、企業の印象にもつながります。人と関わるのが好きというだけではなく、気配りができて、相手によい印象を持ってもらえる人柄かも大事です。好奇心旺盛で情報感度が高い広報担当者は、社外からの問い合わせに対応するために、常に正確な自社情報を把握している必要があります。さらに、広報戦略を立てる際には、業界情報や世間のトレンド、最新の宣伝のトレンドなどを踏まえて反映する力が求められます。日頃から好奇心旺盛にあらゆる情報をキャッチできる人は、自社の魅力を世間に広めるために効果的な自社のSNS運用や、イベント企画などができるでしょう。客観的な視点がある広報は、企業のイメージや経営への影響が大きい仕事です。広報の発信は、企業からのメッセージとして社内外の人々に届くことになるため、客観的な視点を持って取り組まなければいけません。1つ1つの発信によって誰からどう思われるかを考え、メディア対応やプレスリリースの配信、SNS運用などを行う必要があります。例えば、トラブル時に広報担当者が冷静で客観的な視点を持ち、伝えるべき情報を速やかにメディアに開示できれば、自社の損失を最小限に抑え、企業イメージの回復にもつながるでしょう。広報の収入は?厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、会社員の広報の平均年収は約478万円です。また、フリーランス・副業向けの案件マッチングサイトSOKUDANの調査では、フリーランスの広報・IRの平均年収は673万円、平均時給は3,341円です。広報は企業価値に関わる重要な仕事なので、専門スキルを持つ即戦力に依頼したいというニーズから、スキルや経験のあるフリーランスに業務を委託する企業も少なくありません。広報のスキルや経験を活かしてフリーランスとして活動すれば、収入アップも期待できるでしょう。▼関連記事:フリーランスバックオフィス職の平均年収・時給レポート(広報・IR、人事、コーポレート)広報の案件例前述したように、フリーランスや副業として広報の仕事をすることも可能です。実際にどのような案件があるのかを紹介します。▼SOKUDANの広報のフリーランス・副業案件一覧社内広報部新規立ち上げ・リード業務内容・グループ全体のインナーブランディング戦略の策定・各子会社・事業部の特性を反映した施策の設計・社内報、イントラネット、社内SNSの導入・運用プラン作成・グループ文化の浸透・グループ理念・ミッションを社員に伝えるメッセージ設計と実行・各子会社の成功事例の共有を促進・KPI設計職種・広報・IR・マーケティング・プロジェクトマネージャー必須条件・グループ企業または多事業体での広報・インナーブランディング実務経験(5年以上)・各事業部・子会社間の調整業務における実績・社内イベントの企画・運営経験・社内報やイントラネットなどのコンテンツ作成・運用経験・プロジェクトマネジメント能力(計画立案から実行・効果測定まで)契約形態業務委託稼働時間週3〜4日勤務地リモート可報酬月給:40〜60万円社内広報の担当者募集です。各事業会社の連帯を強化するために、グループ企業全体に対する社内広報活動を行う部署の立ち上げに携わります。基本はリモート勤務となりますが、必要に応じて都内にある本社での打ち合わせやイベント参加が求められます。▼案件詳細:社内広報部新規立ち上げ*広報(インナーブランディング)EC支援事業のtoB向け広報の戦略立案・実行業務内容・経営陣と連携しtoB向け広報の戦略立案・実行・プレスリリース(PR TIMES)の企画・作成・社内インタビュー対応、記事作成・メディア対応(取材対応、アプローチ・リレーションの構築、維持)職種・広報・IR・マーケティング必須条件・事業会社やPR会社でのtoB向け広報・PR戦略・実行の実務経験(5年以上)・メディアリレーションに強い方・社内外メンバーと円滑にコミュニケーションできる方契約形態業務委託稼働時間平日週4日〜勤務地基本リモート報酬月額:40〜50万円広報領域の強化に伴う、toB向け広報の即戦力となる人材募集です。1日の稼働時間は相談が可能ですが、平日の日中に素早く連絡対応できる人材が求められます。▼案件詳細:実績12,000件超のEC支援上場企業でtoB向け広報担当AI翻訳プラットフォームサービスのPR業務業務内容・メディアや記者とのリレーションの構築・メディアへの掲載依頼、交渉、取材対応、問い合わせ対応・BtoB向けのプレスリリースの企画、作成、発信・Webサイト上でのPR企画と実施・SNSを利用した情報発信、PR活動・業界イベントへの出展企画と実施・八楽のグローバルな環境のアピール・その他Webinar準備・運営やメール配信など、チーム内で発生する業務職種・広報・IR・マーケティング必須条件・BtoBサービスでのPR業務の実務経験・基礎的なマーケティング知識・ネイティブレベルあるいはバイリンガルレベルの日本語スキル・ビジネスレベルの英語スキル契約形態業務委託稼働時間平日週20時間程度勤務地基本リモート報酬時給:4,000〜5,000円AI翻訳プラットフォーム事業の広報担当者の募集です。広報業務全般を行うことになるため、基本的な広報のスキルが求められます。基本リモートの案件ですが、取材やメディア対応などが発生すれば、新宿本社オフィスへの出社が必要です。▼案件詳細:AI翻訳プラットフォームサービス展開企業で広報・PRを募集!広報に関するよくある質問最後に、広報に関するよくある質問に回答します。フリーランスや副業でも広報の仕事はできる?フリーランスや副業でも広報の仕事はできます。フリーランスの広報は、会社員よりも平均的な収入が高い傾向があるため、経験を積みフリーランスを目指すのも1つの選択肢です。フリーランスの広報について、以下の記事に詳しくまとめているので、参考にしてください。▼関連記事:フリーランスで広報の仕事はできる?案件獲得方法や年収の実態を解説広報で需要のある分野は?広報で需要がある分野は、SNSマーケティングやコンテンツマーケティング、PRライティングなどです。Webメディアを通した広報活動が主流になってきており、Webに関連するスキルがある人材を求める企業が多いと言えます。広報に必要、または役立つ資格はある?広報の仕事をする上で、絶対に必要な資格はありません。しかし、広報・PRの知識と実践的な技能を検定する「PRプランナー資格」や、ブランディングやマーケティング活動の計画・実行に至る専門知識を認定する「プロモーショナル・マーケター認証資格」があると、スキルの証明ができ、広報職への就職やフリーランスとしての案件獲得に役立ちます。広報は未経験でもできる?未経験でも広報の仕事は可能です。例えば、未経験歓迎の広報職の募集に応募し、業務の経験を積みながらスキルアップしていけるでしょう。ただし、未経験の場合でも、広報の仕事に必要なコミュニケーション能力やライティング能力があると有利です。広報のキャリアパスは?まずは企業に入社後、広報部で社員として経験を積み、基礎的な広報業務を身につけましょう。経験を積み広報戦略の策定・実行するなど、広報のスキルを磨いた後には、広報の経験を活かし以下のような選択肢があります。広報の上位職への昇格外資系・大企業の広報担当への転職フリーランスとして独立イベントプランナー・SNSマーケターへの転身まとめ広報は、社内外のステークホルダーとよい関係を作るために欠かせない仕事です。広報には、主に企業や製品・サービスを知ってもらうきっかけを作る社外広報と、社員エンゲージメントを高め、生産性の向上や離職率の低下を目指す社内広報があります。これらの広報活動は、企業価値を高めることにつながります。広報担当者が関わる業務は幅広く、企画力や文章力、臨機応変な対応力、情報収集力、メディアリテラシーなどのスキルが必要です。広報担当者になりたい場合は、まず企業へ入社し、広報部署で経験を積むとよいでしょう。スキルや経験があれば、フリーランスの広報として稼いでいくことも可能です。