フリーランスが業務委託の案件を獲得するには、クライアントとの面接を通過する必要があります。しかし、中には面接でうまく話せず悩んでいる人もいるのではないでしょうか?業務委託の面接の流れや重要視されるポイントを把握し、事前に質問への回答を準備しておくことで、本番で緊張せずに話せるようになります。この記事では、業務委託の面接で聞かれる質問の実例や面接のポイントを紹介します。事前の準備や面接中に心がけることも詳しく解説するので、参考にして面接に挑んでください。業務委託にも面接がある?基本的な選考フロー業務委託の案件では、書類選考を通過するとクライアントとの面接が実施されます。業務委託の案件に参画するまでの一般的なフローは以下です。応募書類選考面接(1〜3回)契約締結稼働開始業務委託であっても、面接が2回以上あることもあります。面接が複数回ある際には、2回目以降の面接では、話す相手が役職が異なる社員(管理職や実際に同じチームで作業する社員など)に変わることも多いです。また、知人の紹介やポートフォリオを見た企業からスカウトされた場合などでは、「応募」と「書類選考」のプロセスが省かれることもあります。業務委託の案件応募前にはまず書類の準備が必要業務委託の案件に応募する前に、まず応募書類の準備をしておきましょう。選考に必要な書類は以下の主に3つです。履歴書職務経歴書ポートフォリオ通常、書類選考を通過すると面接に進みます。魅力的な応募書類を作らなければ面接まで辿り着けないため、しっかりと作り込む必要があります。特にポートフォリオは作り方に決まりがないため、履歴書と職務経歴書では伝えきれない経験やスキル、テイストが伝わるよう工夫しましょう。具体的な書類の書き方や作り方は、以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。▼関連記事:【働き方別】フリーランスの履歴書・職歴の書き方▼関連記事:【職種別】フリーランスの職務経歴書の書き方例▼関連記事:フリーランスはポートフォリオが重要!作り方のポイントとおすすめサービス6選業務委託と正社員の採用面接の違い業務委託と正社員の採用では、面接を行う目的が異なります。業務委託の面接は、特定の案件に参画する人材を選考することが目的です。面接では、クライアントが求めている役割に必要なスキルと経験を持っているかが重視されます。また、業務を行う上で円滑にコミュニケーションが取れるかも見られます。案件のメンバーとの相性や、お互いの条件が一致するかの確認の意味もあるでしょう。一方、正社員の採用面接は、長期で雇用する前提の選考となります。そのため、組織で成長して会社を支える仲間になってもらえるかという観点から、社風とマッチするかや、今後のキャリアプランをどう考えているかを中心に見られることが多いです。業務委託の場合でも、長期的にプロジェクトに関わる前提であれば、将来のビジョンや人柄を重視される傾向はあります。業務委託の面接の流れ業務委託の面接には大きく2種類あります。1つはクライアントの担当者と行う、案件に参画するための選考面接です。もう1つは、案件を紹介してくれるエージェントと行う面接です。それぞれ、どのような流れで面接が進むのか紹介します。クライアントとの面接雇用主となるクライアントと面接する場合は、以下のような流れになることが多いです。企業の紹介プロジェクト内容の説明応募者への質問応募者からの質問案件の募集ページには詳細が載っていない場合もあるので、面接内で具体的なプロジェクト内容を説明されるのが一般的です。改めて、案件の内容と自分の希望条件がマッチするかを確認しましょう。応募者への質問では、経歴を含む自己紹介を求められた後に、応募書類の内容を深掘りされることが多いです。具体的な質問例は後ほど紹介します。エージェントとの面接エージェントを利用する場合は、サービス登録後にエージェントとの面接が行われます。エージェントとの面接は、以下のような流れになることが多いです。エージェントサービスの説明経歴やスキルの確認希望条件の確認質疑応答面接の内容をもとに、後日エージェントから案件の紹介を受けてクライアントと面接をするのが一般的な流れです。クライアントとの面接には、エージェントも同席してもらえる場合があります。▼関連記事:フリーランスにおすすめのエージェント21選!案件を獲得するための強い味方【質問実例】業務委託の面接で聞かれることは?業務委託の面接では、どのような質問をされるのでしょうか。フリーランスライターである著者が、実際に面接でよく聞かれる質問を紹介します。経歴まず最初に、これまでの経歴を踏まえた自己紹介を求められることが多いです。現在の肩書きと名前を述べた後に、仕事に関係する経歴を説明します。例えば、大学で勉強していた分野が案件に関係がある場合は大学からの経歴を述べる、関係ない場合は職歴からの説明にするなど、仕事や案件に関係ない内容は省いて簡潔に説明しましょう。特にさまざまな分野の経験がある人は、すべて時系列で説明するのではなく、応募した案件に関わりが深い経歴をピックアップして説明するとアピールになります。得意分野やスキル得意分野やスキルを回答する際には、理由や経験談を含めて話すと説得力が出ます。例えば、最も成果が出た経験を得意分野として共有すると、実力が伝わりやすいです。スキルは、案件のプロジェクトで使うツールに対して「このツールは使ったことがありますか?」などと質問されます。「何の業務でどのように使用した経験がある」など、どの程度使えるのかが具体的に伝わるように回答しましょう。応募動機業務委託の面接では必ずされる質問ではありませんが、応募動機を聞かれることもあります。正社員の採用面接の応募動機は、企業の理念や事業内容に魅力を感じていると回答することが多いです。一方、業務委託の応募動機は、自分が案件の即戦力になれるとアピールすることが重要です。「自分のスキルや経験を案件に活かして貢献できると思い、さらに働き方も希望条件に合致しているからです」など、案件と自分の条件がマッチしていることを打ち出すとよいでしょう。仕事のやり方や大事にしていることスキルレベルの把握のために、仕事のやり方や業務で大事にしていることを尋ねられることがあります。例えば、ライターの業務委託の面接では以下のような質問をされました。「〇〇というキーワードで記事を執筆するなら、まずどんな作業をしますか?」「検索上位の記事と執筆記事を差別化するためには何を大事にしていますか?」これらの質問は、業務の基礎知識があり、必要なセオリーを理解できているかを把握するためのものだと考えられます。斬新な回答をする必要はなく、普段している業務のやり方や自分の考えを素直に答えましょう。今後の目標や展望今後の目標や展望を尋ねられることもあります。目の前の業務で精一杯になっていると、いざ「この先どうしていきたいか」を聞かれたときに考え込んでしまう可能性もあります。また、色々な考えが浮かんで話が長くなってしまうこともあるでしょう。尋ねられた際に簡潔に答えられるように、目標や今後のキャリアプラン、挑戦したいことなどをまとめておくと安心です。リソース・稼働時間現在の自分のリソースの空き具合や、業務に充てられる時間を聞かれることも多いです。「週に〇時間ほど稼働でき、平日の9時〜17時は基本的にすぐ連絡に反応できます」など、連絡が取れる時間も伝えるのがおすすめです。希望報酬業務委託の面接では、希望の報酬を聞かれることもあります。受注案件が増えてくると、最低時給や希望時給が定まってくるでしょう。しかし、フリーランスとして活動しはじめた頃は、どのくらいの報酬を希望すればいいのか戸惑ってしまうかもしれません。その場合は、同じような業務範囲の案件の相場を把握しておくと、答えやすくなります。また、フリーランスで活動する人が公開しているポートフォリオに報酬や見積もりが書いてあることもあります。同じ業種のポートフォリオを見て、どのくらいのスキル・経験の人がいくらで受注しているかも参考にしましょう。【逆質問】業務委託の面接で聞いておきたいこと逆質問とは、面接官から「何か質問はありませんか?」と尋ねられることを指します。業務委託の面接でも、ひと通り質問された後にクライアントから逆質問されるのが一般的な流れです。業務委託の面接の逆質問は、案件の内容や求められていることの認識にクライアントと相違がないかを確認する意味合いが強いです。案件の内容や自分の立ち位置を把握するための質問をしましょう。具体的には、以下のようなことを聞くとよいでしょう。案件の規模感はどれくらいですか?プロジェクトの期間を教えてください一緒に働くメンバーについて教えてください担当者の方とすぐ連絡が取れる時間帯を教えてください担当する業務は〇〇から〇〇までという認識で合ってますか?他にも、案件の内容を聞いてすり合わせておいたほうがよいと思ったことを質問しするとよいです。▼関連記事:エンジニアの面接での逆質問例22選!事前準備のポイントも解説業務委託の面接前に準備しておくこと面接を成功させるには、事前の準備が重要です。業務委託の面接前に準備しておくことを紹介します。クライアントのリサーチクライアントがどのような理念を持ち、どのような事業を行っているのかを把握しておくと、面接で話がしやすくなります。案件情報が掲載されているページには、企業の詳細は書かれていないことが多いです。そのため、事前に企業のコーポレートサイトやサービスページを閲覧しておくとよいです。案件に活かせる経験のピックアップ業務委託の面接では、案件で即戦力となる人材かどうかを見られます。「以前このような案件に関わっていたため、今回の案件に活かせると思い応募しました」と、具体的な経験を挙げてアピールすると、説得力が生まれるでしょう。実績を語るエピソードの準備実績を伝える場合に、「参画したプロジェクトで〇〇を達成しました」と、結果だけを話しても自分がどのようにプロジェクトに貢献したかが伝わりません。そのため、困難だった点や、それを解決するために何をしたかなど、具体的なエピソードを交えて話しましょう。また、事前にこれまでの成果や実績をまとめておくことも大切です。「売上が〇%増加した」「このジャンルで〇件の開発に携わった」など、具体的な数字を出すとイメージが湧きやすいです。稼働時間の整理必要な稼働時間が確保できなければ、案件に参画するのは難しいでしょう。当面のスケジュールを整理し、自分が今回の案件にどれくらい時間を割けるのかを明確にすることが重要です。業務委託のオンライン面接で心がけるポイント業務委託はリモート勤務となることが多く、面接もオンラインで行われるのが一般的になりつつあります。オンライン面接で心がけるポイントを紹介します。機器や通信環境をチェックしておく面接の前には機器や通信環境をチェックしておきます。具体的には、以下の項目を確認します。PCが問題なく動くかインターネット回線の速度が十分か使用するツールが使えるかPCのカメラが正常に作動するかスピーカーが正常に作動するかマイクが正常に作動するかかオンライン面接の場合は、ZoomやGoogle MeetなどのWeb会議ツールを使用して面接が行われます。PCが正常に動かない場合は、面接に参加できない可能性もあるので、事前に動作を確認することが大事です。また、面接中に音声が途切れたり、遅延したりすると、コミュニケーションに齟齬が生まれやすくなります。印象も悪くなるため、インターネット回線が安定している場所から参加しましょう。遅刻しないようにアラームを設定する特にオンライン面接では、他の業務に集中している間に、約束の時間を過ぎていたという事態には要注意です。スマホのアラーム機能やGoogleカレンダーなどのツールを活用し、面接時間の前に通知が来るようにします。遅刻しないように5分前にはミーティングに入室し、待機しておきましょう。部屋の明るさや背景を調節する表情が伝わるよう、部屋を十分な明るさにしておきましょう。また、面接官の集中が削がれないよう、不要なものがないすっきりとした背景にしておくと好印象につながります。部屋の照明が暗い場合には、ライトを追加するのもおすすめです。動画撮影やライブ配信に使えるライトが手頃な値段で販売されているため、購入するのもよいでしょう。カメラを見て会話する対面の面接では、面接官の目や額あたりを見て話すのが一般的です。しかし、オンライン面接で画面に映る面接官を見て話すと、面接官からは下を向いて話しているように見えてしまいます。カメラを見て話をすることで、視線を合わせて話している印象になり、コミュニケーションが取りやすくなります。はっきり挨拶・返事をするオンライン面接では、挨拶や返事は表情や会釈に頼らずはっきり発声しましょう。画面に顔が映っていても、オンラインだと表情が読み取りづらくなります。そのため、声のトーンや言葉でこちらの状況を伝えることが重要です。例えば、「画面が見えていますか?」と尋ねられた際には「はい、見えています」と明確に答えます。ただし、同時に発言すると音声が乱れることが多いため、相手が話している間の発言は控えて、呼びかけられたときに答えましょう。業務委託の対面面接で心がけるポイント業務委託でも対面面接がある場合は、基本的にクライアントのオフィスで行われます。対面面接で心がけるポイントを紹介します。書類と名刺を用意しておく履歴書や職務経歴書、ポートフォリオは、事前に送付していることが多いものの、自分も面接官と同じものを見ながら話をするとスムーズに会話ができるので、持参用に印刷しておきます。名刺を持っている場合は名刺入れに補充し、持参します。名刺を切らしている場合は、追加発注するか、自宅で印刷しておきましょう。▼関連記事:フリーランスに名刺は必要!活用場面や記載事項、おすすめのデザイン例を紹介身だしなみに気を遣うよい印象を与えるためには、清潔感が大事です。男性で髭がある場合は、剃るか整えておきましょう。対面面接は細かな部分まで面接官の目に入るため、面接の前には髪がボサボサになっていないかや、服が汚れていないかを鏡でチェックしてください。指先は意外と目に入る部分なので、爪を切って指先のケアをしておくことも、好印象を与えるポイントです。約束の10分前には到着する遅刻しないように、面接時間の10分前にはクライアントのオフィスに到着しておくようにしましょう。受付をする時間も踏まえると、面接の開始時間ちょうどに到着すると面接官を待たせてしまう場合があるので注意が必要です。また、交通状況によっては想定より移動に時間がかかってしまう恐れもあります。早めに家を出て、面接時間までオフィスの付近で待機しておくと、遅刻のリスクを低減できるでしょう。頷きや表情で相手の話に反応する対面面接では、非言語のコミュニケーションが印象を左右します。頷きや表情で、相手の話に反応し、話していないときにも意思疎通が取れていることを示しましょう。面接官が2人以上いる場合は、話している人の方向を向くのが重要です。自分が話す際には、質問をしてきた人に視線を合わせて回答します。猫背にならないよう、姿勢にも気をつけましょう。面接の前後もマナーに気を遣う対面面接でオフィスを訪問する場合は、受付や行き帰りのエレベーターの中などで、クライアントの社員と接する機会があります。面接官だけではなく、すべての人から見られている意識を持ち、失礼のないように振る舞うことが重要です。業務委託の面接の服装は?スーツを着用するべき?業務委託の面接では、スーツを着用する必要はありません。一般的には、ビジネスカジュアルが好ましいとされています。カジュアルすぎる服装は失礼にあたるので、ジャケットや襟付きのシャツを着用するのがおすすめです。ボトムスはジーンズではなく、チノパンやスラックスを選びます。匂いや汚れ、シワなどがついていないかを確認し、清潔感にも気を遣うことも重要です。金融や法律に関わる企業などでは、フォーマルな服装が望ましい場合もあります。業界や企業文化を踏まえて服装を選択しましょう。業務委託の面接で落ちる原因は?業務委託の面接を通過できずに悩んでいる人もいるかもしれません。業務委託の面接で落ちる原因を紹介するので、心当たりがないか参考にしてください。実績やスキルが十分ではない業務委託は求められているスキルが明確なので、実績やスキルが十分ではないと契約に至らないでしょう。面接まで進んだとしても、面接で詳細を確認された際に実績・スキルが不足していると判断される場合もあります。そもそも自分の実績やスキルを活かせる案件に応募できていない可能性もあるため、案件探しをする際には、今までのキャリアを棚卸しして自己分析してみてください。▼関連記事:フリーランスのスキルアップの方法!稼げるフリーランスになるコツとは実績やスキルが伝わっていない実績やスキルがあっても、相手に伝わっておらず、面接を通過できていない可能性もあります。面接では、ただ単に今までの経歴を話すのではなく、求められているスキルをアピールできる経歴を抽出して伝えることが大事です。面接は自己アピールをする場です。面接前には、自分の強みを伝えられるエピソードや成果を示せる数字などを準備しておきましょう。条件がマッチしない自分が希望する条件とクライアントが提示している条件がマッチしていなければ、面接を通過できないでしょう。例えば、希望報酬がクライアントが想定している額と一致しない場合や、稼働できる時間帯や稼働できる量が合わない場合が考えられます。コミュニケーションに不安があるコミュニケーションに不安があると判断され、面接を通過できない場合もあります。仕事をする上で円滑なコミュニケーションは不可欠です。面接では、聞かれた質問に対してきちんと答えられているかや、理路整然とした話ができるかが見られます。事前に質問を想定して回答を用意したり、経歴やスキルの棚卸しをしたりして準備をしておくと、面接で落ち着いて話ができるでしょう。業務委託の面接についてよくある質問最後に、業務委託の面接についてよくある質問に回答します。業務委託の面接は違法ではないの?業務委託で受託者を面接で選考することは違法ではありません。ただし、人材派遣において、派遣先企業が派遣社員を面接することは違法にあたります。派遣先企業と派遣社員が面接をした場合は、偽装請負として派遣先企業だけではなく派遣社員も違法行為をしたことになります。そのため、フリーランスではなく、派遣社員として働く際には注意しましょう。転職回数が多いと不利になる?フリーランスの場合、転職回数が多いことで必ずしも不利にはなりません。しかし、なぜ転職回数が多いか面接で聞かれる可能性は高いです。クライアントにマイナスイメージを与えない回答を用意しておきましょう。面接後にするべきことは?面接後は、面接を振り返り、よかった点や改善点をまとめましょう。また、面接が進んだ場合に、確認したいこともメモしておきます。面接のお礼メールは、選考結果には関係ないと言われています。しかし、お礼を伝えて損はないため、余裕があれば当日か翌日午前中までに簡潔なメールを送るとよいでしょう。まとめフリーランスが業務委託案件を獲得するときは、基本的にクライアントとの面接があります。業務委託の面接は社員の採用面接とは違い、特定の案件に活かせるスキルと経験があるかや、プロジェクトを円滑に進められるコミュニケーション力があるかを中心に見られます。業務委託の面接を成功させるには、事前に聞かれそうな質問の回答を用意し、目線や服装など好印象を与えるポイントを押さえることが重要です。本記事で紹介した具体的な質問の実例や心がけるポイントを整理して、案件獲得に役立ててください。