「契約していない業務を依頼されたのにサービス扱いされて報酬を請求できなかった」「一方的に報酬を減らされた…」フリーランスとして仕事をしていると、クライアントからこのような不当な行為や要求に遭遇する可能性があります。こうした行為は「下請法」によって禁止されています。下請法では、フリーランスを含む下請事業者をクライアントによる不当な取引から守り、公正な関係を築くためのルールが定められています。一定の条件を満たせばフリーランスの取引にも適用されるため、トラブルの際に冷静に対応するためには、下請法を正しく理解することが重要です。この記事では、フリーランスが知っておきたい下請法の基本や、発注するクライアント側に課される具体的な禁止行為、さらには違反事例を詳しく解説します。不当な行為に遭った際の適切な対応方法を知ることは、フリーランスとして安心して働く上での大きな武器になります。ぜひ最後まで読んで、トラブル時の対処法を押さえましょう。フリーランスにも適用される下請法とは?下請法(正式名称:下請代金支払遅延等防止法)とは、発注する側の「親事業者」が下請事業者に対する不当な行為を防ぐための法律です。具体的には、下請事業者に対する代金の支払い遅延や買いたたきなどの11点の禁止項目と、4点の義務項目を定めています。なお、親事業者とは、下請事業者よりも資本金が大きい法人を指します。資本金が大きい事業者は、取引で優越的な立場にいることが多いため、親事業者に対して厳しい規制を課しているのです。対して、下請法が適用される下請事業者には、親事業者よりも資本金規模が少ない法人またはフリーランスが該当します。なお、資本金が少ないすべての下請事業者が下請法の適用となるわけではなく、親事業者の資本金額と業務内容の要素が関係します。詳細は後述します。2024年には、フリーランスに対して原稿料を買いたたいた企業や、無償で修正対応を繰り返させた企業などが、下請法違反で行政指導を受けたことが報道され、話題となりました。下請法で親事業者に課される義務や禁止事項をフリーランスも知っておくことで、自分自身の身を守れるほか、いざというときの交渉や対応に役立ちます。2025年に下請法が大幅に改正される可能性が2024年12月現在、下請法の大幅な改正に向けて議論が進められています。2025年の通常国会での成立を目指しており、成立すれば20年ぶりの抜本的な改正となる見込みです。改正内容が多岐にわたる中で、フリーランスにとって大きなポイントとなるのは、「価格交渉の義務化」でしょう。改正案では、親事業者が一方的に価格を決めることを禁じ、下請事業者との間で価格交渉を行うことが義務づけられる見通しです。そのほか、たとえ下請事業者と合意したとしても、報酬の振込手数料を下請事業者側に負担させる行為も規制されます。改正案では、上記のほか、下請法の適用を回避するために下請事業者に資本金を増額させるなど、いわゆる「適用逃れ」の行為を防ぐ対策なども盛り込まれています。改正により、不当な取引を行う親事業者への対応が強化されれば、弱い立場に置かれがちなフリーランスや中小企業も、適切な条件で取引を進められるようになるでしょう。フリーランスが下請法の対象となるケースフリーランスが下請法の適用となるかどうかは、発注者の規模や業務内容によって異なります。ポイントは「発注者の資本金の規模」と「業務の種類」の2つです。発注者の資本金規模が1,000万円を超えている下請法は、発注側である親事業者の資本金が1,000万円を超え、かつ下請事業者よりも資本金額が大きい場合に適用されます。例えば、親事業者の資本金が1,001万円の場合は、下請事業者の資本金は1,000万円以下でなければ適用されません。なお、フリーランス(個人事業主)は法律上、資本金が「ゼロ」と扱われるため、資本金が1,000万円を超えるすべての取引先が親事業者に該当します。取引内容が「情報成果物作成委託」など4種類のいずれかに該当する下請法はすべての取引が対象となるわけではなく、以下の4種類のうちのどれかに該当する必要があります。情報成果物作成委託Webサイト制作やアプリ開発、システム構築といったプログラムやデザイン作成などを委託されること製造委託機械部品の加工や衣料品の縫製など、製品の製造や修理を委託されること修理委託電子機器やそのほか製品の修理を委託されること役務提供委託運送や清掃など、サービス業務の提供を委託されることなお、フリーランスは資本金がゼロ扱いとなるため影響はありませんが、先述した資本金規模の基準は、以下のように業務内容によっても基準が異なります。親事業者の資本金下請事業者の資本金情報成果物作成委託・役務提供委託1,000万円超~5,000万円1,000万円以下5,000万円超5,000万円以下製造委託・修理委託1,000万円超~3億円1,000万円以下3億円超3億円以下フリーランスが下請法の対象とならないケース先述したポイントを押さえて、フリーランスが下請法の対象とならないケースを見てみましょう。下請法が適用されないケースは次の3点です。発注事業者がフリーランスの場合下請法は、発注者が法人または一定の規模を超えた事業者である場合に適用されます。そのため、発注者がフリーランスの場合は、法律上の親事業者と下請事業者の関係に該当せず、下請法が適用されません。先述した4種類の職種に該当しない業務を請け負っている場合経営アドバイスやマーケティングのコンサルティングなど、知見を提供する仕事は原則下請法の規制対象となりません。自家利用役務の提供委託の場合自家利用役務の提供委託とは、発注者自身が直接使用するための業務を外部委託することを指します。【自家利用役務の提供委託の例】自社のWebサイト作成を委託する場合社内の清掃を委託する場合下請法は、主に顧客向けの業務委託に適用されるため、自社向けの委託は原則規制されません。下請法とフリーランス新法の違いとは?下請法と似た法律に、フリーランス新法が挙げられます。フリーランス新法は、2024年11月に施行された法律です。フリーランスが安心して働く環境を整備するために、発注事業者にさまざまな禁止事項などが定められています。正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」といいます。下請法とフリーランスの新法は、一見似たような規定を含む一方で、独自の特色もあります。両者の違いを押さえることで、フリーランスがどのように法律に守られているのかが理解できるでしょう。▼関連記事:【2024年11月施行】フリーランス新法とは?変更内容や注意点を解説▼関連記事:世界一分かりやすく!フリーランス新法をフリーランス向けに解説規制対象となる発注事業者の規模下請法では、規制対象となる親事業者の資本金が1,000万円以上であることが条件です。そのため、小規模な企業やフリーランス・個人事業主が発注側となる場合は、下請法の適用外となります。一方で、フリーランス新法では資本金の条件がないため、発注者は規模に関係なく規制対象となります*。これにより、小規模な企業やフリーランス・個人事業主が発注する場合でも、フリーランス新法が適用されます。*ただし、受注側のフリーランスが従業員を雇用している場合は、フリーランス新法は適用されない保護の範囲下請法は、親事業者と下請事業者の取引の公正性を確保するために設けられた法律です。「親事業者が優越的地位を利用した不当な行為」を取り締まることに重点を置いている点が特徴です。取引の透明性を確保するために、発注書面の交付や、報酬の適正性を守る規定のほか、親事業者による報復行為の禁止や支払い遅延に関する規定など、フリーランス新法よりも多くの措置が定められています。一方、フリーランス新法では、契約や報酬だけでなく、フリーランスが働く環境そのものに配慮しています。例えば、フリーランスが育児や介護などと仕事を両立できるようサポートすることや、ハラスメント対策を講じることを発注事業者に義務づけています。▼関連記事:フリーランス新法と下請法の違いとは?適用範囲・保護内容・禁止事項・罰則の観点から徹底解説下請法で禁止されている不当な行為と違反事例不当な値下げ要求や成果物の受け取り拒否など、フリーランスが陥りやすいトラブルの多くは下請法で明確に禁止されています。不当な取引を未然に防ぐために、代表的な禁止行為とその事例を確認しておきましょう。買いたたき買いたたきは、親事業者がフリーランスに対して、著しく低い価格での発注を求める行為です。フリーランスに大きな負担を強いるため、下請法で厳しく規制されています。例えば、原価が1,000円の部品に対して「他社が800円で出している」と値下げを強要したり、紙やインクの価格が上昇しているにもかかわらず「以前と同じ価格で取引したい」と要求したりするケースが挙げられます。また、「今回だけ協力すれば次回は単価を見直す」と値下げを持ちかけながら、後で約束を反故にする場合も該当します。▼関連記事:【事例】フリーランスは買いたたきに要注意!対処法や予防策を徹底解説受領拒否フリーランスの責任に関係なく、納品物の受領を拒否する行為も禁止されています。このような行為は、フリーランスの努力やコストを無駄にする不公正なものです。例えば、指示書通りに作成された成果物を、「プロジェクトが急遽中止になった」という理由で受領を拒み、支払いも行わないケースが該当します。▼関連記事:フリーランスが納品物を受領拒否されたときの対応策!具体的な事例や体験談も返品納品された成果物を、フリーランスの責任がないにもかかわらず返品する行為も禁止されます。例えば、親事業者がフリーランスにロゴ制作を依頼し、フリーランスが納品を完了した後で「方向性を変更したい」として返品し、制作費を支払わない場合が該当します。なお、受領拒否が成果物をそもそも受け取ってもらえないのに対し、返品は一度成果物を受け取ったにもかかわらず返されるケースを指します。▼関連記事:フリーランスが納品後に不当な返品を受けたら?違反となる事例や対処法を解説下請代金の減額契約時に取り決めた報酬を、親事業者が一方的に減額する行為は下請法で禁止されています。2004年に下請法が改正されて以降、公正取引委員会から勧告された事案の多くは下請代金の減額です。たとえフリーランスとの間で減額に合意があった場合でも、禁止行為として違反になります。例えば、「予算が削減されたため」という親事業者側の理由で減額を通告する場合や、契約時から追加で発注したにもかかわらず、総額を据え置く行為などが該当します。そのほか、報酬金額は契約時の内容に即していたとしても、銀行振込手数料などを合意なく報酬から差し引くことも減額に該当します。▼関連記事:フリーランスが報酬減額に遭った場合の対応策!リスク回避のポイントや具体的な事例も紹介下請代金の支払い遅延親事業者は、成果物の受領日から60日以内に報酬を支払わなければなりません。例えば、親事業者が「資金繰りが厳しい」「成果物の社内検査が済んでいない」などという理由で、一方的に60日を超えて支払いを延期することは禁止されています。不当な経済上の利益の提供要請親事業者がフリーランスに対して、契約にない作業を無償で押しつける行為や、金銭を提供させる行為は下請法で禁止されています。例えば、「原稿を作るついでに、資料もまとめておいてほしい」「来月のプロジェクトは発注するから、今月の仕事は無償でやってほしい」というように、対価を支払わずに業務を強要する行為が挙げられます。また、取引先に「取引登録には協定料として一定額の支払いが必要」とし、取引の開始前に現金を要求する場合も禁止されています。▼関連記事:【トラブル事例】フリーランスが契約外の仕事を受けるリスクとは?対応策や交渉術なども解説購入・利用強制正当な理由がないにもかかわらず、フリーランスに特定の物品の購入や、サービスの利用を強制させることも禁止されています。例えば、十分な専門知識を身につけているフリーランスに対して、「この有償の研修プログラムを受けないと契約を更新しない」といった条件を押しつける行為が該当します。▼関連記事:【事例】フリーランスが注意すべき購入・利用強制とは?クライアントとの交渉術や予防策も紹介有償支給原材料等の対価の早期決済親事業者が提供した有償の原材料の代金を、通常の支払い期日よりも前に支払わせることは、フリーランスの資金繰りを圧迫するため禁止されています。例えば、「支払わないと材料の供給を止める」と圧力をかける行為が当てはまります。割引困難な手形の交付親事業者が手形で報酬を支払う場合に、フリーランスが手形を現金化するのが難しい状況を作ることは規制されています。手形とは、現金ではない支払い約束書の一種です。手形を受け取ったフリーランスは、手形を銀行で割引(現金化)する必要があります。例えば、フリーランスが支払い期日(60日以内)までに、一般の金融機関で現金化することが困難な手形を使用するケースは、下請法違反となる可能性があります。そのほか、銀行が高額な手数料を要求し、契約通りの金額に現金化できない状況も同様です。例えば、10万円の手形を現金化する際に、フリーランスが9万円しか受け取れないといったケースが挙げられます。不当な給付内容の変更及び不当なやり直し発注後に給付内容を変更したり、フリーランスに責任のない理由でやり直しを命じたりする際に、追加の費用や納期の調整を行わない場合も規制の対象です。例えば、プログラムを完成させた後に、「新たに機能を追加してほしい」と要求したものの、フリーランスに追加費用を支払わないケースが挙げられます。▼関連記事:フリーランスに対して無償のやり直しが多発?不当な修正依頼を防ぐための方法と対処法を解説報復措置親事業者の違反行為を公正取引委員会や中小企業庁に通報したフリーランスに対して、報復的に契約を打ち切ったり、取引数を削減したりする行為は厳しく禁止されています。例えば、通報後に「態度が悪い」として取引を停止されるケースなどが該当します。下請法で親事業者がフリーランスに対して義務づけられていることフリーランスと親事業者の不公平な取引を防ぐため、下請法では親事業者に対し、先述した禁止事項に加えて4つの義務も課されています。適切な報酬や契約の透明性を確保するため、具体的な義務をしっかり把握しておきましょう。発注書面の発行親事業者は発注の際に、フリーランスに対して詳細な取引内容を記載した書面(いわゆる「3条書面」)を交付する義務があります。発注書には、以下の通りフリーランスの名称や契約内容、給付の詳細など、計12項目を盛り込む必要があります。親事業者とフリーランスの名称業務を委託した日フリーランスの給付の内容フリーランスの給付を受け取る期日フリーランスの給付を受け取る場所フリーランスの給付の内容について検査をする場合は検査を完了する期日下請代金の額下請代金の支払い期日(手形を交付する場合)手形の金額および手形の満期(一括決済方式で支払う場合)金融機関名、貸付けまたは支払い可能額、親事業者が下請代金債権相当額または下請代金債務相当額を金融機関へ支払う期日(電子記録債権で支払う場合)電子記録債権の額、電子記録債権の満期日(原材料などを有償支給する場合)品名、数量、対価、引渡しの期日、決済期日と決済方法発注書の形式は特に定められておらず、取引内容に適したものを作成すれば問題ありません。もし親事業者がこの義務を果たさない場合は、最大で50万円の罰金が科されます。支払い期日を定める親事業者は、フリーランスが納品した成果物に対して、受領日から起算して60日以内に支払い期日を定めなければなりません。この期日はできるだけ短期間に設定することが求められます。納品された成果物が契約内容に合致しているかを確認する「受入検査」の実施有無にかかわらず、支払い期日は60日以内に定めなければなりません。書類の作成と保存親事業者は、フリーランスとの下請取引が完了した後に、取引に関する記録を作成し、2年間保存する義務があります。書類には、下請代金の金額や給付内容、納品日など以下17点の情報を記載する必要があります。フリーランスの名称業務を委託した日フリーランスの給付の内容フリーランスの給付を受領する期日フリーランスから受け取った給付内容と給付を受け取った日(フリーランスの給付の内容について検査をした場合)検査を完了した日、検査の結果、検査に合格しなかった給付の取り扱い(フリーランスの給付の内容を変更またはやり直しをさせた場合)内容、理由下請代金の額下請代金の支払い期日(下請代金の額に変更があった場合)増減額、理由支払った下請代金の額、支払った日、支払い手段(下請代金の支払いにつき手形を交付した場合)手形の金額、手形を交付した日、手形の満期(一括決済方式で支払う場合)金融機関から貸付けまたは支払いを受ける額、期間の始期、親事業者が下請代金債権相当額または下請代金債務相当額を金融機関へ支払った日(電子記録債権で支払う場合)電子記録債権の額、フリーランスが下請代金の支払を受けられる期間の始期、電子記録債権の満期日(原材料などを有償支給した場合)品名、数量、対価、引き渡しの日、決済をした日、決済方法(下請代金の一部を支払いまたは原材料などの対価を控除した場合)その後の下請代金の残額(遅延利息を支払った場合)遅延利息の額及び遅延利息を支払った日遅延利息の支払いもし親事業者が支払い期日(成果物の受領から60日以内)までに下請代金を支払わなかった場合は、フリーランスに遅延利息を支払う義務があります。遅延利息は納品日から起算し、支払われるまでの日数に基づいて計算されます。遅延利息の年率は14.6%と定められており、民法や商法で定められた利率や、当事者間で合意した利率よりも優先して適用されます。下請法に違反した場合の罰則下請法に違反した親事業者は、公正取引委員会からの指導や勧告を受けるほか、50万円以下の罰金が課される可能性があります。また、親事業者はフリーランスが被った不利益を回復させる義務が発生します。この措置は「原状回復」と呼ばれ、報酬の減額など下請法の禁止事項に違反した場合に、フリーランスに与えた損失や不利益を可能な限り取り戻すものです。2023年度には、親事業者174人が下請事業者6,122人に対して、総額37億2,789万円の原状回復を実施しました。▼参考:それ、下請法違反かも!?親事業者から不当なしわ寄せを受けたと感じたら相談を! | 政府広報オンラインフリーランスが下請法関連のトラブルを防ぐポイントフリーランスが下請法関連のトラブルを回避するためには、契約や業務の進行でクライアントと明確な取り決めを行うことが重要です。下請法関連のトラブルを防ぐための具体的なポイントを押さえ、リスクを最小限に抑えましょう。契約前に交渉内容を明確にする支払い期日や納品日、成果物の仕様など、親事業者と具体的な契約内容をすり合わせて、明確化しましょう。例えば、「納品は急ぎで」といった抽象的な表現ではなく、「〇年〇月〇日まで」と日時を正確に指定したり、成果物の仕様も「解像度〇〇」「機能リストに基づく」など具体的に記載したりすることがポイントです。また、小規模な案件であっても、必ず契約書を締結するよう心がけましょう。▼関連記事:フリーランスが結ぶ業務委託契約とは?契約時のチェックポイントを解説業務範囲や修正対応条件を明確にする成果物の修正条件も、事前に取り決めることが大切です。「修正は2回まで無料、それ以降は追加費用〇円」といった形で明記するのがよいでしょう。また、契約時に合意していない修正対応が発生することを防ぐため、「新たな要求が生じた場合は別途契約を締結する」といった条項を入れると安心です。契約書の内容は徹底的に確認する契約書には、曖昧な表現や、自分にとって不利な条項が含まれていないかを注意深く確認しましょう。曖昧な表現の一例としては、「〇〇に付随する業務」など、業務範囲に関して認識のズレが生じやすいものが挙げられます。親事業者から契約書をもらえない場合は、メールなどで契約条件を明確化し、証跡を残すことが大切です。契約時や作業中のやり取りをすべて記録するクライアントからの指示や交渉内容を証拠として残すために、クライアントとのやり取りは必ずメールやチャット、文書で記録を残しましょう。もし口頭で重要な話をした場合は、議事録の意味を込めてクライアント宛てに追ってメールやチャットを送ることがおすすめです。そうすることで、双方が合意した条件などを確認しやすくなり、認識の違いによるトラブルを防ぐことができます。また、万が一、親事業者が契約違反をした場合に、メールや文書を証拠として活用できます。下請法関連でトラブルが生じた際にフリーランスが頼れる相談窓口トラブルに直面したときは1人で抱え込まず、専門家に頼ることが解決の近道です。早めに相談することで、問題が複雑化する前に解決できる可能性が高まります。公正取引委員会公正取引委員会は、下請法に基づく親事業者の不当行為を取り締まる行政機関です。親事業者が下請法に違反している場合は、公正取引委員会が調査を行い、是正措置を命じます。フリーランスが親事業者から不当な被害を受けた場合は、事実を証拠と共に公正取引委員会に申告すれば調査が行われます。各地に地方事務所が設置されており、対面または電話・オンラインで相談が可能です。下請かけこみ寺下請かけこみ寺は、弁護士や専門家が無料で相談に応じる支援ネットワークです。中小企業庁の委託事業で、全国中小企業振興機関協会が運営しています。全国48ヶ所に設置されており、無料相談弁護士が相談に応じています。相談内容に応じて適切な解決機関につないでくれるほか、裁判外紛争解決手続きや中小企業庁への通報もサポートしてくれます。法的な相談に加え、親事業者とのトラブル解決に向けた具体的なアドバイスが得られます。▼関連記事:フリーランスは誰に相談すればいい?無料窓口やトラブル回避方法も紹介まとめフリーランスとして働くことは、裁量が大きく自由である一方で、不当な取引を強いられるなど、思わぬトラブルに発展するリスクもあります。「契約で合意していた金額から報酬を減らされた」「仕様書通りに作成してたのに、何度もやり直しを強いられる」などのトラブルは決して珍しくなく、場合によってはフリーランスとして活動し続けることが困難になる可能性もあります。しかし、下請法で守られるべき項目を理解していれば、もしトラブルに巻き込まれても毅然と対処できるほか、トラブルを未然に防ぐための防止策を講じることも可能です。下請法がフリーランスとして働く自分にどのように影響するのかをしっかり落とし込み、自分の権利を守るための対策を取りましょう。