フリーランスとして働いている人の中には、「契約途中だけど業務委託を辞めたい」「現在の契約期間が終了したら更新せずに辞めたい」と思っている人もいるのではないでしょうか。中には、辞める意志を伝えたいけれど、伝え方に悩んでいる人もいるかもしれません。この記事では、フリーランスが業務委託が案件を辞める際のステップから、クライアントに送るメール内容や、ポイント、注意点まで幅広く紹介します。▼関連記事:フリーランスが業務委託を辞めたい時はどうするべき?契約形態による違いや注意点もフリーランスが業務委託を辞めるときの3ステップまずは、どのような流れで業務委託を辞めるかを確認しましょう。この章を読んで、やるべきアクションを把握し、適切に対応できるようにしてください。①契約書の確認するはじめに、契約時に交わした契約書を確認します。業務委託契約を途中で解除する際の条件が記載されているかどうかをチェックしてください。何日前までに辞める意志を伝える必要があるか、途中で解約した場合に損害賠償請求などの措置を設定しているかどうかなど、必要な情報を入念に確認しましょう。②クライアントに業務委託を辞める旨を伝えるクライアントに業務委託を辞めたい意志を伝え、双方の合意を得られるようにしましょう。メールやチャットツールなどを通して話が完結する場合もあれば、オンラインミーティングや対面の話し合いが必要な場合もあるでしょう。いずれの場合でも、クライアントも納得した上で契約解除できるように努めます。③契約解除通知書もしくは契約解除合意書を作成する業務委託契約を契約途中で解除する場合は、書類を通して契約を終了するのが一般的な流れです。契約解除に双方が合意したら「契約解除合意書」、双方の合意が得られなければ「契約解除通知書」が必要です。契約解除に合意したら契約解除合意書クライアントとの話し合いによって契約解除に双方が合意した場合は、契約解除合意書を作成し、署名捺印したら契約が終了します。契約解除合意書はどちらが作成しても問題ありませんが、フリーランス側が作成する場合は、専門家のアドバイスのもとで作成した方が安心です。両者が署名捺印した書類は、必ず保管しておくようにしましょう。契約解除に合意しなければ契約解除通知書クライアントが契約の解除に合意しなかった場合は、契約解除通知書を作成し、クライアントへ送付します。契約解除通知書も、できるだけ専門家のアドバイスのもと作成するようにしましょう。契約解除通知書は、フリーランス側が一方的に送付するものなので、後で受け取っていないと主張されることがないよう、記録の残る内容証明郵便で送付します。【状況別】フリーランスが業務委託を辞める際のメール例文業務委託を辞めると決意して契約書の確認も終えたら、クライアントに辞める意志を伝えます。伝え方にはさまざまな手段があります。この記事では、記録にも残り、リモート環境でも伝えやすいメールでの伝え方を紹介します。契約途中で業務委託を辞める場合〇〇様平素より大変お世話になっております。業務委託契約についてお話させていただきたく、メールをお送りいたしました。△△(契約解除したい理由)により、現在契約中の業務委託契約のお仕事を辞めさせていただきたく存じます。貴社との取引では、多くのことを学ばせていただき、大変感謝しております。今回の決断につきましては大変難しい決断でしたが、ご理解いただけますと幸いです。引き継ぎ資料を作成するなど、次に業務を担当する方が取り組みやすいようにできる限りの努力はいたします。契約終了にあたって必要な書類や手続きがございましたら、お手数ですがご教示いただけますでしょうか。何卒よろしくお願い申し上げます。XX太郎契約期間中に業務委託を辞める場合は、諸事情から契約解除をしたい旨を丁寧に伝えます。そして、クライアントに感謝の意を述べ、途中解約は難しい決断であったことや、クライアントへの配慮を文面に含めるようにしましょう。契約を終了するためには書類のやり取りなどが必要になるので、どのような手続きが必要なのかも聞いておきたいところです。契約を更新せずに業務委託を辞める場合〇〇様平素より大変お世話になっております。業務委託契約についてお話させていただきたく、メールをお送りいたしました。来月末にて契約期間が終了し、自動的に契約が更新されるかと思いますが、今回は契約更新を見送らせていただけますと幸いです。貴社との取引では、多くのことを学ばせていただき、大変感謝しております。大変恐縮ですが、引き継ぎをしっかり行った上で業務を終了するように努めますので、ご理解のほど何卒よろしくお願い申し上げます。XX太郎契約期間が満了し、契約を更新せずに辞めたい場合は、契約途中で辞めるよりも比較的ハードルは低いでしょう。ただし、伝える際にはネガティブな印象を与えるような表現は避け、クライアントへの感謝の思いや配慮を記すようにしましょう。【理由別】フリーランスが業務委託を辞める際のメール例文業務委託を辞める理由は人によって異なりますが、代表的な理由がいくつかあります。ここでは、理由別にメール本文を紹介します。業務委託を辞める際にどのように伝えたらいいかに悩んでいる人は、参考にしてみてください。業務開始前と業務内容が異なる場合〇〇様平素より大変お世話になっております。業務委託契約についてお話させていただきたく、メールをお送りいたしました。現在の業務内容ですが、開始前にお話していた業務内容と異なる部分が多く、自身のスキルでは業務に貢献するのが難しく感じております。このままですと貴社にもご迷惑をかけてしまいますので、これ以上続けていくのが困難だと判断いたしました。そのため、現在契約中の業務委託契約のお仕事を辞めさせていただきたく存じます。貴社との取引では、多くのことを学ばせていただき、大変感謝しております。今回の決断につきましては大変難しい決断でしたが、ご理解いただけますと幸いです。引き継ぎ資料を作成するなど、次に業務を担当する方が取り組みやすいようにできる限りの努力はいたします。契約終了にあたって必要な書類や手続きがございましたら、お手数ですがご教示いただけますでしょうか。何卒よろしくお願い申し上げます。XX太郎業務開始前と業務内容が異なる場合は、事前に決めた業務内容と異なる業務をさせられている事実をしっかり伝えましょう。その上で、クライアントに責任を押しつけるのではなく、自分のスキルや経験では対応できないなど、自分に矢印を向けた文章にするとよいでしょう。クライアントの心象を悪くせずに、このままでは続けていくのが困難だと伝えることができます。場合によっては、クライアントが責任を感じ、再度契約内容や報酬のすり合わせが行われる可能性もあります。体調不良や病気など健康上の問題の場合〇〇様平素より大変お世話になっております。業務委託契約についてお話させていただきたく、メールをお送りいたしました。たびたびお休みをいただき、ご迷惑をおかけして申し訳ございません。かかりつけ医とも相談したところ、当面静養が必要と診断され、私自身もこのまま仕事を続けていくのが難しいと感じております。当面は体調の回復に専念したいと考えており、現在契約中の業務委託契約のお仕事を辞めさせていただきたく存じます。貴社との取引では、多くのことを学ばせていただき、大変感謝しております。今回の決断につきましては大変難しい決断でしたが、ご理解いただけますと幸いです。引き継ぎ資料を作成するなど、次に業務を担当する方が取り組みやすいようにできる限りの努力はいたします。契約終了にあたって必要な書類や手続きがございましたら、お手数ですがご教示いただけますでしょうか。何卒よろしくお願い申し上げます。XX太郎体調不良や病気に罹ってしまって業務委託を辞めたい時は、医師の診断によって業務が続けられないなど、第三者の判断もあれば説得力が増します。第三者の判断がなくても、言える範囲で病状について言及し、業務の継続が難しい状況にあることを伝えましょう。報酬額など待遇に不満がある場合〇〇様平素より大変お世話になっております。業務委託契約についてお話させていただきたく、メールをお送りいたしました。現在、作業開始時に取り決めた内容よりも多くの業務を担当しており、中には現在いただいております報酬額以上の業務も含まれていると存じます。できる限り貴社の業務にお力添えしたいのですが、現在の業務量や報酬額のまま業務を続けるのは困難だと判断いたしました。業務量と報酬額について見直していただくか、それが難しいようでしたら現在契約中の業務委託契約のお仕事を辞めさせていただきたく存じます。貴社との取引では、多くのことを学ばせていただき、大変感謝しております。今回の決断につきましては大変難しい決断でしたが、ご理解いただけますと幸いです。業務委託契約を終了する場合は、引き継ぎ資料を作成するなど、次に業務を担当する方が取り組みやすいようにできる限りの努力はいたします。契約終了にあたって必要な書類や手続きがございましたら、お手数ですがご教示いただけますでしょうか。何卒よろしくお願い申し上げます。XX太郎業務と報酬額が見合っていないことが理由の場合は、業務量や報酬額など不満に感じている旨を伝えます。また、報酬額が上がるなど改善の余地があるなら辞めなくてもいいと思っている人もいるでしょう。そのため、改善されなければ辞めようと思っているという伝え方にして、クライアントの対応を待つのがベターでしょう。他に優先事項がある場合〇〇様平素より大変お世話になっております。業務委託契約についてお話させていただきたく、メールをお送りいたしました。突然で申し訳ないのですが、家庭の事情により、このまま業務を続けていくのが困難な状況となりました。そのため、現在契約中の業務委託契約のお仕事を辞めさせていただきたく存じます。貴社との取引では、多くのことを学ばせていただき、大変感謝しております。今回の決断につきましては大変難しい決断でしたが、ご理解いただけますと幸いです。引き継ぎ資料を作成するなど、次に業務を担当する方が取り組みやすいようにできる限りの努力はいたします。契約終了にあたって必要な書類や手続きがございましたら、お手数ですがご教示いただけますでしょうか。何卒よろしくお願い申し上げます。XX太郎仕事にせよプライベートにせよ、他に優先事項ができてしまった場合は、言える範囲で優先事項について言及し、やむを得ない状況であることを伝えましょう。理由を深掘りされた時は、詳しく口外したくなければ「申し訳ないが具体的な説明は控えたい」など、言葉を選びながら伝えましょう。フリーランスが業務委託を辞める際のポイントフリーランスが業務委託を辞める場合は、できるだけ対立が起こらずスムーズに手続きを終えたいものです。次のようなポイントを押さえておくと、トラブルに発展するリスクを抑えて、辞める意志を伝えられるでしょう。契約書で何日前までに伝える必要があるかを確認する業務委託を辞める場合は、基本的に契約書で定められている条件を遵守することが大切です。そのため、契約書で何日前までに辞める意思を伝える必要があるかを確認します。辞める日から数えて1〜3ヶ月前など、ある程度余裕を持って設定されている場合が多いです。しかし、その期間を反故にして辞めたいなら、クライアントに真摯に事情を伝える必要があるでしょう。早急に辞めなくてはいけないケース以外は、契約書に書かれている日数を守りましょう。できるだけ業務を完了させる・引き継ぎ資料を作るやむを得ない事情がある場合は仕方ありませんが、できるだけ引き受けた業務は完了してから辞めるようにしましょう。双方が合意し、遺恨のない形で退職するためにできることはやっておく心がけは必要です。自分が辞めた後もスムーズに仕事が進むように、引き継ぎ資料を後任の人のために作っておくなど、誠意を示します。すぐに辞めたいからといって、契約解除通知書だけ送って挨拶もせずに辞めるような行為はおすすめできません。明確な意思と配慮を示すメールを送る際は、業務委託を辞める意志を持っていると明確に伝えることが重要です。「辞めようかと考えています」などと曖昧な表現をすると、クライアントから引き止められる可能性があるため、丁寧かつはっきりと辞める意志を伝えましょう。しかし同時に、辞める際にクライアントが被るデメリットへの配慮も必要です。先述したように引き継ぎ資料を作っておくなど、クライアントが心象を悪くしないように配慮しましょう。クライアントへの感謝の思いを述べる辞める理由によっては、クライアントに対してよくない感情がある場合もあるでしょう。しかし、一度は自分の能力を買って契約を結んでくれたクライアントへの感謝の思いを綴りましょう。契約解除に向けて双方の合意を目指す目的を考えても、ネガティブな印象を与える文面は避けた方が得策です。クライアントが契約終了を受け入れてくれない場合は相談窓口へクライアントに契約解除を求めても辞めさせてくれない、逆に脅されるなどの状況に陥った場合は、1人で悩まず、専門家やフリーランス・トラブル110番などの窓口へ相談しましょう。1人で解決しようと悩んだり無理をしたりするより、第三者に相談した方が早く解決する可能性が高いです。一刻も早く問題を解決するためにも、専門知識のある人たちに助言を求めましょう。▼関連記事:フリーランスは誰に相談すればいい?無料窓口やトラブル回避方法も紹介まとめフリーランスがメールで業務委託を辞める意志を伝える際には、明確に辞める意志を表すのと同時に、クライアントへの配慮が必要となります。ポイントを押さえて伝えることによって、スムーズな契約解除を目指せるでしょう。双方の合意に向けて努力しながらも、クライアントが納得してくれない時などは、1人で悩まずに専門家に相談して解決を目指しましょう。