フリーランスが業務委託として働く中で、移動の度に発生する交通費を負担に感じたことはありませんか?「交通費が支給されるケースはあるの?」「契約書に交通費の条件を明記してもらうにはどうしたらいい?」など、交通費に関する悩みを抱えるフリーランスも多いでしょう。この記事では、業務委託における交通費の支給有無や、トラブルを防ぐための契約の進め方を解説します。さらに、交通費が発生した場合の経理処理もお伝えするので、ぜひ参考にしてください。業務委託の交通費負担は契約種別によって変わる業務委託では、交通費を支給してもらえるかどうかは契約種別によって異なります。請負契約では、フリーランスが交通費を自己負担することが一般的です。一方で、委任契約・準委任契約では、クライアント負担になるケースが多いです。ここでは、契約種別ごとの交通費負担の違いを確認していきましょう。▼関連記事:フリーランスが結ぶ業務委託契約とは?契約時のチェックポイントを解説【請負契約】受託者(フリーランス)負担が一般的請負契約の場合は、交通費はフリーランス側が負担するのが一般的です。請負契約では、成果物の納品が目的となり、業務の進め方や経費の管理はフリーランス自身に委ねられるからです。例えば、ライターが取材対応を行う場合では、打ち合わせや取材先への移動にかかる交通費は自己負担になるケースがほとんどです。ただし、クライアントと交渉して、契約書に交通費の支給を明記してもらえば、負担してもらえる場合もあります。【委任・準委任契約】委託者(クライアント)負担が一般的委任契約・準委任契約では、交通費はクライアントが負担するのが一般的です。これらの契約形態では、成果物ではなく業務遂行そのものが契約の目的となるためです。例えば、常駐業務に携わるエンジニアは、出社先までの移動費が支給されるケースが一般的です。ただし、契約書に交通費の条件が明記されていないと支給されない場合もあるため、事前確認を忘れないようにしましょう。業務委託で交通費を曖昧にしない契約の進め方業務委託の仕事で交通費が発生する場合は、フリーランスとクライアントのどちらが負担するのかを契約時に明確にしておくことが大切です。ここでは、業務委託契約を結ぶ際に、交通費を曖昧にしない契約の進め方を解説します。次の流れに沿って契約を進めて、納得のいく形で仕事に取り組めるようにしましょう。①交通費の有無を確認するはじめに、契約時に交通費が支給されるかどうかを必ず確認してください。一般的に契約種別によって交通費の負担は異なりますが、最終的にはクライアントの判断に左右されます。そのため、契約種別にかかわらず、必ず具体的な条件を確認しましょう。訪問の頻度が多い案件では、交通費が支給されない場合に手取りが減る可能性があります。移動にかかる負担を軽減するためにも、必要に応じて交通費の支給を交渉しておくことが大切です。②交通費込みか実費支給かを確認・相談する交通費の支給がある場合は、「委託料に交通費が含まれるのか」「実費支給なのか」を事前にクライアントに確認しましょう。交通費が委託料に含まれていると、移動が多い案件では利益が減少してしまいます。特に、遠方への移動が必要な案件では、「実費支給」をしてもらえるように相談しましょう。例えば、「毎月〇回、往復〇円の交通費が発生するため、別途支給をお願いしたいです」という具体的な提案をすると、クライアントに納得してもらいやすくなります。③契約書に交通費の支給条件を明記する交通費を支給してもらう場合は、契約書に「交通費は別途支給」「上限〇円まで支給」といった具体的な条件を明記しましょう。口約束やメールのみの取り決めでは、後にトラブルが発生するリスクがあります。契約段階で条件を明確にして、安心して仕事に取り組める状態を作りましょう。業務委託の交通費の勘定項目業務委託で交通費が発生した場合は、確定申告に向けて適切に帳簿付けをしておく必要があります。交通費の勘定項目のパターンは主に次の2つです。業務後にクライアントへ交通費を請求する場合は「立替金」クライアントが交通費を別途支給しない場合は「旅費交通費」ここでは、それぞれの記帳例をみていきましょう。立替金:交通費を業務後に請求する場合業務後にクライアントへ交通費を請求する場合は、勘定項目を「立替金」として処理します。一度フリーランス側が交通費を負担し、その後精算をする形になります。【経理処理の手順】交通費を「立替金」として記帳する領収書の原本をクライアントに渡し、コピーを保管する精算後、「立替金」を再記帳して相殺する【記帳例】取引内容借方貸方立替・交通費立替金 2,000円現金 2,000円交通費が振り込まれたら、次のように再度「立替金」を記帳して相殺しましょう。取引内容借方貸方交通費・清算受取現金 2,000円立替金 2,000円このように、相殺することで立替金の記帳が完了します。必ずそれぞれの記帳を忘れずに行いましょう。旅費交通費:報酬に交通費が含まれる場合交通費が報酬に含まれている場合は、経理上の勘定項目を「旅費交通費」として計上しましょう。この場合は、移動にかかった交通費を自己負担とみなして処理する形となります。【経理処理の手順】契約書で「交通費込み」と明記されていることを確認する業務に伴う交通費や宿泊費を「旅費交通費」として経費計上する【記帳例】取引内容借方貸方旅費交通費旅費交通費 2,000円現金 2,000円契約書で「委託料に交通費が含まれる」と明記されている場合は、上記のように記帳することで、交通費を経費として申告できます。▼関連記事:フリーランスの気になる経費事情!経費計上する時の注意点やQ&Aも【Q&A】業務委託の交通費に関するよくある質問最後に、業務委託の交通費に関するよくある質問を解説します!交通費で損をしないために、疑問を1つずつクリアにしていきましょう。そもそも業務委託とは?業務委託とは、企業やクライアントが、業務の一部をフリーランス(個人事業主)に依頼することを指します。フリーランスは、指定された業務を行い、成果物の納品や指定された日時の勤務をもって、報酬を受け取ります。また、業務委託契約には、請負契約・委任契約・準委任契約の3つの契約種別があります。契約の種別によって、業務の範囲や契約条件が変わるので、それぞれの違いを理解した上で契約を結ぶようにしましょう。▼関連記事:フリーランスが結ぶ業務委託契約とは?契約時のチェックポイントを解説業務委託で交通費込みの契約は損をする?交通費込みの契約では、実質的な利益が減って損をする可能性が高いです。交通費が増えれば増えるほど、報酬全体から差し引かれる金額が増えてしまうからです。そのため、契約前に案件内容を確認し、交通費の支給条件をクライアントに相談することをおすすめします。特に、遠方への移動が多い場合は、「実費支給」を交渉することで、負担を軽減できるでしょう。遠方の案件で交通費が高額になる場合は交渉できる?交通費が高額になる場合は、実費支給を交渉することは可能です。交渉する際は、移動距離や交通費の具体的な金額をクライアントに提示し、「これだけのコストが発生するため、別途支給をお願いしたい」と丁寧に伝えて相談しましょう。まとめフリーランスが業務委託として働く場合は、交通費の支給は契約種別によって変わるのが一般的です。一般的に、請負契約は受託者であるフリーランスが交通費を負担、委任・準委任契約では委託者であるクライアントが交通費を負担するケースが多くなっています。しかし、最終的に交通費の負担はクライアントや契約内容によって異なります。そのため、契約を結ぶ段階で、交通費の支給有無を確認し、必要に応じて交渉しましょう。また、交通費を支給してもらえる場合は、契約書に条件を必ず組み込んでもらい、トラブルに発展しないように気をつけることが大切です。「多分交通費は支給されるだろう」とうやむやにせず、必ずクライアントに確認・交渉をするようにしてくださいね。