フリーランスとして仕事を探す中で、「時給制」の業務委託案件に応募するべきか迷っていませんか?成果物に対して報酬が支払われるケースが多いフリーランスにとって、時給制はあまり馴染みのない働き方かもしれません。しかし、安定収入を得られる、未経験者でも取り組みやすいなどの魅力もあります。この記事では、フリーランスが時給制の業務委託を選ぶメリット・デメリットを解説します!契約時に注意すべきポイントもお伝えするので、ぜひ参考にしてください。【基礎知識】時給制の業務委託とは?はじめに、「業務委託」と「時給制の業務委託」の基本的な意味や内容を解説します。それぞれの言葉の違いや特徴を理解して、時給制の働き方についてより深く理解していきましょう。業務委託とは?業務委託とは、企業やクライアントから特定の業務を個人で請け負い、成果物や稼働時間に応じて報酬を受け取る働き方です。会社員のように雇用契約を結ぶのではなく、あくまで独立した立場で業務を進めるのが特徴です。クライアントと取り決めた期日までに仕事を進める必要がありますが、進め方や時間の使い方には一定の自由があります。▼関連記事:フリーランスが結ぶ業務委託契約とは?契約時のチェックポイントを解説業務委託の契約形態業務委託契約には、「請負契約」「委任契約」「準委任契約」の3つの契約形態があります。それぞれ契約の概要や対象となる仕事例を見てみましょう。概要仕事例請負契約特定の仕事や成果物の納品を目的として、業務を委託する契約・WebデザイナーとしてWebサイトの制作・WebライターとしてSEO記事の執筆委任契約クライアントに代わって業務を行う契約※弁護士や医師などの士業が対象・弁護士の法律業務・会計士の業務準委任契約クライアントに代わって行う契約種別※士業以外の職種が対象・Webエンジニアとしてシステムの開発・WebマーケターとしてSNSの運用例えば、Webサイトの制作を請け負う場合は、成果物を納品する「請負契約」を結ぶことが多いです。一方で、SNS運用のような継続的な作業が求められる場合は「準委任契約」が多く利用されます。また、法律に関する業務では「委任契約」が選ばれるケースが一般的です。契約形態を正しく理解し、業務内容に応じた契約を選ぶことで、トラブルを防ぎながら適切な働き方を実現できます。契約形態によって交通費の支給条件なども変わるので、必ず自分がどの契約を結んでいるかを理解するようにしましょう。▼関連記事:業務委託の交通費はどうなる?トラブルを防ぐ契約の進め方を解説時給制の業務委託とは?時給制の業務委託とは、個人として仕事を請け負い、時給制で働くことを指します。成果物の納品などではなく、稼働時間を基準に報酬が発生するため、働いた分だけ収入を得られる点が特徴です。また、時給制の業務委託は、スキルがまだ浅い人でもチャレンジしやすい傾向にあります。業務の進め方やプロセスを重視される案件が多いため、未経験者もチャレンジしやすい案件が多いです。【独自調査】フリーランス・業務委託の平均時給と希望時給ここでは、フリーランス・副業向けの案件マッチングサイト「SOKUDAN」が独自に調査した、業務委託案件の平均時給と、フリーランス人材の希望時給を紹介します。業務委託の時給の目安を考える上での参考にしてみてください。フリーランスの職種別の平均時給まずは、フリーランスの職種別に業務委託の平均時給を見てみましょう。SOKUDANに掲載されている案件の平均時給は、次の通りです。SOKUDANに掲載されている案件では、時給3,000〜5,000円台が多く見られます。特に、エンジニア職や専門性の高いコンサルティング職は、時給4,000円を超える高単価の案件が多い傾向があります。また、国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査結果」によると、日本の正社員の平均年収は460万円です。「月20日稼働・1日8時間勤務」と仮定して計算すると、正社員の平均時給は約2,400円(年収460万円÷12ヶ月÷160時間)になります。これらのデータから、スキルと実績を積み重ねることで、フリーランスは正社員の平均時給を大きく上回る可能性があるといえるでしょう。▼関連記事:【2024最新】フリーランス・副業の平均時給・月収ランキング(職種別)フリーランスの希望時給次に、SOKUDANが調査したフリーランス・副業人材の希望時給を紹介します。フリーランスの希望時給の平均は、4,597円という結果が出ています。全体を見ると、1,000〜5,000円台を希望する人が全体の約8割を占めています。また、時給1万円以上を希望する人も全体の約4%います。自分のスキルを商材として売るフリーランスだからこそ、高い時給を求める人も多いといえるでしょう。▼関連記事:【希望時給4,597円】フリーランス・副業人材の希望時給調査フリーランスが時給制の業務委託案件を選ぶメリットフリーランスが時給制の業務委託案件を選ぶ4つのメリットを紹介します。これから時給制の案件を受けるか判断する材料として、1つずつ確認してくださいね。安定した収入を得られる時給制の多くの案件では、1ヶ月の稼働時間の目安を決めた上で業務に取り組むため、毎月の収入を想定しやすくなっています。成果報酬型の案件では、進捗やクライアントの都合で検収が遅れ、収入が翌月にずれ込むこともあります。一方で、時給制の案件では、その月稼働した分の収入は必ず入るので、精神的な安心感を得やすいです。作業内容や稼働時間が明確時給制の業務委託案件では、作業内容や稼働時間が明確に設定されるため、自分の業務範囲が明確です。例えば、カスタマーサポートの案件では「勤務時間は1日4時間」「業務内容は顧客からの一次対応」などが事前に設定されています。業務内容が明確なため、後から追加作業を依頼される、業務範囲が曖昧になるといったトラブルを回避しやすいです。未経験者でも取り組みやすい時給制の業務委託案件は、作業した時間に対して報酬が発生するため、未経験者でも取り組みやすいといえます。求められるスキルが少ない案件も多いため、駆け出しフリーランスも経験を積んでいきやすいでしょう。ただし、「未経験者歓迎」の案件は、時給が低めに設定されている場合もあります。最低賃金以下ではないか、仕事内容に対して時給が低すぎないかを確認の上、応募するようにしましょう。働いた分だけ収入が入る時給制の業務委託は、働いた時間に応じて報酬が支払われるため、仕事量に対して収入が少なくなるリスクを回避できます。成果物の納品をもって報酬が発生する契約では、報酬に対して稼働時間が多くなり、時給が1,000円以下になってしまうというケースも少なくありません。しかし、時給制の案件なら、働いた時間がそのまま収入につながるため、安心して働けます。フリーランスが時給制の業務委託案件を選ぶデメリットフリーランスが時給制の業務委託案件を選ぶデメリットも存在します。これから紹介する3つのデメリットも踏まえた上で、時給制の案件を受けるか考えるようにしましょう。成果が評価されにくい時給制では、時間単位で報酬が支払われる仕組みのため、成果物のクオリティが報酬に反映されにくいです。効率よく作業を進めたり、高品質な成果物を作成したりしたとしても、追加報酬を得るのは難しいことがあります。スキルや努力が正当に評価されないと感じる場合があるでしょう。働き方の自由度が下がる時給制の業務委託では、稼働時間が事前に決められるケースが多く、働き方の自由度が低くなりやすいです。例えば、「平日9:00〜18:00の間で合計5時間稼働」といった形で、稼働時間の枠組みが設定されることがあります。また、クライアントから「本当に稼働したかどうか」を確認するために、日報の提出や時間報告を求められることも多いです。自由に時間や場所を選びたいフリーランスにとっては、制限が多く、ストレスを感じやすいでしょう。高収入を得にくい時給制の案件では、稼働時間に上限があるため、どんなに時給が高くても、収入に上限が生じます。そのため、成果報酬型の案件に比べて高収入を得にくい傾向があります。特に、より効率的に高収入を目指したいフリーランスには不向きな場合があります。フリーランスが時給制の業務委託を請け負うときは「偽装フリーランス」に注意偽装フリーランスとは、業務委託契約でありながら、実質「雇用契約」の状態になっていることを指します。本来、業務委託は指定された業務を遂行する契約であり、雇用契約のようにクライアントが細かく指示を出すことは認められていません。例えば、次のような条件に当てはまる場合は、偽装フリーランスの状態になっている可能性があります。クライアントから出退勤や勤務時間の管理をされるクライアントから業務内容について細かく指示されるクライアントから業務用の備品やツールが支給される基本的にクライアントが注意しないといけないものの、偽装フリーランスと判断されると、法的なトラブルに発展する恐れがあります。そのため、業務の進め方を自主的に決めることや、契約書で独立性を明記することが大切です。偽装フリーランスのリスクを避け、適切な契約を結んで、フリーランスとして安心して働ける環境を整えましょう。フリーランスが時給制の業務委託契約を結ぶときのポイントここからは、時給制の業務委託契約を結ぶときのポイントを4つ確認していきましょう。偽装フリーランスを回避しつつ、自分とクライアント双方が納得のいく形で契約を進められるように、1つずつチェックしてくださいね。業務内容・相場に応じた時給で契約する業務内容や市場相場を踏まえた適正な時給で契約することが大切です。スキルを安売りしないためにも、報酬が自分の専門性に見合うかを確認しましょう。また、2024年11月には、フリーランスや個人事業主の労働環境などを保護する「フリーランス新法」が施行されました。フリーランス新法では、発注事業者(クライアント)に対して、「報酬は相場より著しく低く設定してはいけない」と定められています。そのため、フリーランスが適正価格で案件を受けやすくなることが期待されます。まずは、フリーランスが自分のスキルと相場にあった案件であるかを判断できるようにしておくことが大切です。▼関連記事:【2024年11月施行】フリーランス新法とは?変更内容や注意点を解説必ず契約書を取り交わすクライアントと契約を結ぶ際は、必ず契約書を交わし、トラブルを未然に防ぎましょう。契約書を交わさないと、次のようなトラブルが発生しやすくなります。報酬が未払いになる責任範囲が不明確になる自分の業務範囲が曖昧になる利権関係が不明確になる契約書を交わさないと、報酬が未払いになるだけでなく、自分の担当業務が不明瞭で想定より仕事が増えたり、報酬が見合わなくなったりする恐れがあります。また、フリーランス新法においても「取引条件は契約書などで明示する」と定められています。お互いが安心して業務を遂行できるようにするためにも、必ず契約書を作成して、書面の条件に納得した上で契約を結ぶようにしてください。▼関連記事:契約書なしの業務委託は違反?フリーランスが知っておきたいリスクやトラブル時の対応策を紹介独立性を保ちながら働く時給制の案件に取り組むときは、クライアントから指示を受けすぎないように注意し、業務の独立性を維持するようにしましょう。クライアントから具体的な指示を受けたり、業務時間や場所を指定されたりすると、偽装フリーランスの状態になります。時給制で働く場合も、成果物の納品を持って報酬が発生するときと同様に、業務内容や納品スケジュールを事前に取り決め、期日までに自分のスタンスで仕事を進めるとよいでしょう。【Q&A】時給制の業務委託に関するよくある質問最後に、時給制の業務委託について、多くのフリーランスが気になる4つの質問に回答します。疑問をクリアにして、安心して時給制の案件に取り組めるようにしましょう。時給制の業務委託はどのようなフリーランスに向いている?時給制の業務委託は、安定した収入を求めるフリーランスや、未経験者に向いています。働いた時間に応じて報酬が支払われるため、収入が安定しやすく、未経験者向けの案件も多数あります。一方で、時給制では働いた時間以上の報酬を得ることが難しいため、高収入を目指したい場合には不向きといえます。時給制の業務委託は、メリット・デメリットがあるので、自分のワークスタイルや目標収入に応じて選ぶことをおすすめします。時給制での業務委託を受ける場合の最低賃金ルールは?最低賃金法は、雇用契約にのみ適用される法律のため、業務委託契約は対象外です。そのため、時給制であっても報酬が最低賃金を下回る案件も中にはあります。ただし、フリーランス新法において「報酬は相場より著しく低く設定してはいけない」と定められているため、時給が低い案件の改善が期待されています。いずれにせよ、契約時には業務内容や報酬条件を確認し、不当な条件を避けるように意識しましょう。フリーランスが時給制の業務委託でトラブルを防ぐ方法は?フリーランスがトラブルを防ぐには、契約書で業務内容や報酬条件を明確にし、稼働時間や支払いスケジュールも細かく取り決めておくことがポイントです。契約書があれば、業務範囲の拡大や不当な報酬カットといったトラブルを未然に防げます。メールや口頭だけの取り決めはトラブルの原因になるため、必ず契約書を交わし、書面で明確に条件を確認するようにしましょう。クライアントから提示された時給が低い場合の対応は?クライアントから提示された時給が低い場合は、適正な価格で契約するために価格交渉を行いましょう。クライアントに交渉する際は、同業種の平均時給や業務内容の専門性を提示することで、説得力を高めることができます。フリーランスとして働く際は、自分のスキルや専門性を考慮して、適切な時給で案件を受けることが大切です。高時給の業務委託案件が揃う「SOKUDAN」高時給の業務委託案件を探したい場合は、フリーランス・副業向けの案件マッチングサイト「SOKUDAN」の利用がおすすめです。SOKUDANは、“プロ人材”と呼べるスキルを兼ね備えたフリーランスと企業を結ぶことをコンセプトとしたサービスです。【SOKUDANを利用するポイント】案件の平均時給4,500円週1日〜稼働できる案件多数「経験少なめOK」の案件ありSOKUDANに掲載されている案件の平均時給は4,500円と高単価のため、着実に収入アップを目指しやすいです。週1日から稼働できる案件も多数あるため、「もう1件案件が欲しい」「副業案件を探している」というフリーランスにもぴったりです。また「経験少なめOK」の案件もあるため、これから経験・実績を積みたいフリーランスも活用しやすいです。SOKUDANは無料で利用できるので、ぜひ活用してみてくださいね。▼SOKUDANのフリーランス・副業案件一覧▼SOKUDANのリモート案件一覧▼SOKUDANの経験少なめOK案件一覧▼SOKUDANの高単価案件一覧まとめ業務委託の中には、時給制の案件も多くあります。時給制の案件は、働いた時間分だけ収入が得られるため、金銭面での不安を軽減しやすいです。また、稼働した時間に対して報酬が発生するため、未経験者でも取り組める案件もあります。一方で、業務の成果が評価されにくく、稼働時間の枠組みが設定されていることから、大幅な収入アップや働き方の自由度が低くなりやすい点も覚えておきましょう。時給制の案件を受ける際は、契約書を交わして業務範囲や報酬を明記することで、不当な条件を避けられます。しっかりと契約書を交わして、安心して時給制の案件に取り組めるようにしてくださいね。