「気になる仕事があるけれども報酬が低すぎる」「案件を探していると、報酬が低い案件が多くてフリーランスとして働き続けられるか心配」などと悩んだ経験のあるフリーランスは多いのではないでしょうか。もしかしたら、その案件には「買いたたき」の問題が潜んでいる可能性があります。特にフリーランスは立場が弱く、契約内容に納得できなくても受け入れざるを得ないことが多いのが現実です。この記事では、どのようなケースが買いたたきに該当するか事例を交えながら、買いたたきの実態や対処法を解説します。また、買いたたき行為を未然に防ぐための具体的な方法も紹介します。買いたたきの事例や対策を知ることで、フリーランスとして安心して働ける環境作りにつながります。ぜひ最後まで読んで、知識を深めてくださいね。フリーランスの約7割が経験する「買いたたき」とは?「買いたたき」という言葉は少し難しい響きがありますが、簡単にいうと、クライアントがフリーランスに対して不当に低い報酬を押しつける行為を指します。買いたたきは、収入の減少だけでなく、以下のようにフリーランスにとって深刻な問題を及ぼします。仕事量の増加による過労報酬の低い案件をカバーするために、多くの仕事をこなす必要が生じる過労状態に陥りやすく、健康を損なうリスクが高まる仕事に対するモチベーションの低下自分のスキルや労働が軽視されていると感じ、モチベーションや自己肯定感の低下につながるキャリアへの悪影響低報酬の仕事を続けることで、スキルアップに必要な時間や資金が不足するため、キャリア形成が難しくなる不利な立場の固定化買いたたきを受け入れると、クライアントに「安い報酬でも受けるフリーランス」という印象を与え、不当な条件が繰り返される可能性がある公正取引委員会と厚生労働省が実施した「フリーランス取引の状況についての実態調査」によると、フリーランスの67.1%が「報酬額について十分に協議しなかった」と回答しています。これに対し、発注事業者で同様に答えた割合は22.2%にとどまっており、フリーランスが報酬交渉の場を持てない現状が浮き彫りになっています。また、同調査では、フリーランス自身が負担するコスト(仕事で使用しているソフトウェアのサブスクリプション料金、電気料金などの上昇分など)を価格に反映させる「価格転嫁」に関しても調査されています。その結果、「価格転嫁を受け入れなかった」と回答したフリーランスの割合は62.5%に上っています。発注事業側の回答は35.4%で、こちらも同様にフリーランスの割合より大きく下回っています。このようなデータからも、フリーランスが報酬や契約条件において不利な立場に立たされている状況がよく分かります。フリーランス新法と下請法の「買いたたき」の違いとは?買いたたきを禁じている法律には、「フリーランス新法」と「下請法」の2つがあります。フリーランス新法とは、発注事業者がフリーランスに対して行う不適切な行為を防ぎ、報酬や契約条件などを適正に保つことを目的とした法律です。2024年11月に施行され、報酬以外にも、フリーランスの労働環境の保護も目的としている点が大きな特徴とされています。▼関連記事:【2024年11月施行】フリーランス新法とは?変更内容や注意点を解説一方で、下請法は、資本金が大きい発注事業者が、資本金が小さい受注事業者に対して不当な行為をすることを防ぐための法律です。フリーランスだけでなく中小企業も対象に含まれます。いずれも似た法律に見えますが、以下のように適用範囲で違いがあります。保護の対象となる事業者対象となる発注事業者フリーランス新法事業者と業務委託契約を結んでいるフリーランス※消費者からの依頼は該当しない従業員を雇用しないフリーランスに発注する事業者下請法発注事業者よりも資本金額が少ない中小企業とフリーランス資本金が1,000万円を超える事業者フリーランス新法は、発注事業者側の規模を問わないため、例えばフリーランス間の取引で買いたたきのトラブルが生じた場合も適用対象となります。対して下請法は、フリーランスだけでなく下請けとなる中小企業も保護の対象です。しかし、規制対象となる発注事業者には資本金の基準が定められており、資本金が1,000万円以下の発注事業者は規制対象となりません。▼関連記事:フリーランスにも適用される下請法とは?禁止行為と違反事例を分かりやすく解説▼関連記事:フリーランス新法と下請法の違いとは?適用範囲・保護内容・禁止事項・罰則の観点から徹底解説フリーランス新法で禁止される買いたたきの事例フリーランス新法で禁止されている買いたたきには、単純に報酬が安すぎるケース以外にも該当する事例があります。いち早く違反を察知できるよう、具体的な事例をみてみましょう。事前協議なしにフリーランスへの発注単価を引き下げ2024年11月に、実際に買いたたき行為で勧告を受けた企業の事例です。事例詳細大手出版社であるA社は、編集や撮影を委託する複数の下請事業者(フリーランスを含む)に対して、適切な事前協議を行わずに発注単価を一方的に引き下げ、不当に低い報酬を定めました。A社は、雑誌の販売部数や広告収入の減少などを理由に、発注単価を最大約40%まで引き下げたそうです。被害に遭った事業者は20以上で、取引の打ち切りなどを恐れて買いたたきを拒めなかったといわれています。2024年11月、公正取引委員会は、A社が下請法に違反する行為を行っていたとして是正指導を実施。A社は違反を認めて、買いたたきの被害に遭った下請事業者に対して、引き下げられた金額の差額を全額支払うことが決まりました。解説コストカットを名目とした、典型的な買いたたきの事例です。フリーランス新法が施行される以前の問題だったこともあり、この事案は下請法違反として勧告されましたが、フリーランス新法の違反にも該当する事例です。報道では、フリーランスを含む下請事業者側が、契約打ち切りを恐れて声を上げられなかったことも明らかになっており、買いたたきの根深い問題が表面化されました。市場相場を無視した安すぎる報酬の提示市場相場を無視した安すぎる報酬の提示を受けた、フリーランスライター歴2年のBさんの事例です。事例詳細Bさんは、クラウドソーシングサイトを通じて、メディア運営を始めたばかりのC社から記事執筆の相談を受けました。旅行に関するブログ記事の執筆で、文字数は2,500文字、報酬は1記事1,500円。市場相場では、1記事5,000~8,000円程度で、Bさんがこれまで受けていた案件とも相場に大きな乖離がありました。Bさんが「相場を大きく下回っているため対応できかねます」「1記事5,000円からでお請けできるのですがいかがでしょうか?」と伝えたところ、C社の担当者は「スタートアップのため予算が限られています」「継続的な依頼で報酬アップの可能性もあります」と回答。しかし、「可能性」とだけ伝えられ、具体的な増額案や基準は示されませんでした。解説発注者が市場相場を大きく下回る報酬を提示する行為は、フリーランス新法で買いたたきとして禁止されています。この場合、C社は曖昧な「将来的な増額の可能性」ではなく、具体的な条件や基準を提示する必要があります。フリーランスは、契約前に詳細を確認することが重要です。短期納品の案件で通常納品と同じ料金で発注通常よりも短期で納品する案件で、通常納品と同じ料金で依頼を受けたフリーランスデザイナーDさんの事例です。事例詳細Dさんは、A3サイズのフルカラーポスターを2日以内に納品するという急ぎの依頼をE社から受けました。報酬は通常のポスター制作料金と同じ1万円で、追加料金は支払えないとのことでした。Dさんは通常、ポスター制作には1週間程度を見込んでおり、急ぎの案件については1.5倍~2倍の追加料金を設定しています。そのため、「追加料金なしでは対応が難しい」と伝えたところ、E社の担当者は「次回以降の案件で優先的に依頼する」と応じるだけで、具体的な対応策は示しませんでした。解説短期間の納品が求められる案件は、フリーランス側に負荷がかかります。そのため、急ぎの案件にもかかわらず追加料金を支払わないのは、フリーランス新法が規制する「買いたたき」に該当する可能性があります。また、「次回以降の優先依頼」といった不確実な条件で交渉を進めるのは不適切で、フリーランスが不利な立場に置かれる原因となります。【難易度順】フリーランスが買いたたきの被害を受けた際の対処法不当な買いたたきに対する対処法は、状況に応じていくつか存在します。この段落では、難易度が低いものから順に紹介します。無理なく実践できるステップから始めることで、問題を解決しましょう。①契約内容や報酬基準を見直す(難易度:★☆☆)買いたたきの被害を受けたら、クライアントと交わした契約内容や、設定している報酬の基準を確認し、不足や問題がないかをチェックしましょう。また、同じ業務の報酬相場を把握することも大切です。自分の報酬と報酬相場とのギャップの開きが大きいほど、買いたたきの可能性が高くなります。クライアントに交渉する際の材料となるため、しっかり調べて準備しましょう。そのほか、追加の業務が発生した場合や、修正回数が増えた場合の特別料金など、契約書に曖昧な部分があると感じた場合は、次回の取引から条件を明確化する相談をしましょう。例外的な条件が契約書に明記されていないと、安い報酬で多くの負担を強いられる恐れがあるため、気づいた時点で早めにクライアントに打診するのがポイントです。②クライアントに事実を伝え、交渉を試みる(難易度:★★☆)買いたたきの可能性があると感じたら、クライアントに直接相談しましょう。クライアントが相場を知らず、無意識に買いたたきをしている場合も少なくありません。穏やかなトーンで冷静に説明することで、トラブルの防止につながります。また、クライアントに報酬の価格交渉を行う場合は、客観的な基準を示すと説得力が増します。クライアントに交渉する際の具体的なメールの文面例は後述します。③フリーランスの相談窓口を利用する(難易度:★★☆)もしクライアントが報酬アップの交渉に応じない場合は、フリーランス・トラブル110番の利用を検討しましょう。フリーランス・トラブル110番は、厚生労働省からの受託で第二東京弁護士会が運営する相談窓口です。相談は無料で、電話やオンラインで気軽に利用できます。フリーランスのトラブル解決に特化しており、買いたたきをはじめ、報酬の未払いやハラスメントなど、さまざまな問題に対応しています。▼関連記事:フリーランスは誰に相談すればいい?無料窓口やトラブル回避方法も紹介④公的機関に申告する(難易度:★★☆)買いたたきの解決が難しい場合は、公的機関に被害の申し出を行いましょう。被害の申告には、オンラインのほか、申告書を作成して郵送する方法もあります。申告することで、過去の取引で買いたたかれた案件も、正当な報酬額との差額が支払われる可能性があります。⑤民事訴訟を起こす(難易度:★★★)買いたたき以外にも、複数のトラブルが絡み合っている場合などで解決が難航する場合は、民事訴訟を起こして損害賠償を請求するのも1つの手です。民事訴訟を起こすには、弁護士への依頼費用がかかるほか、判決まで長い期間がかかります。しかし、判決で買いたたきが認められて給付判決が確定すると、強制執行に移行する効力が発生します。民事訴訟を起こす際は、契約書やクライアントとのやり取り(メールやチャットなど)、作業内容の分かる資料など、客観的な証拠をしっかり集めておきましょう。フリーランスの適切な報酬相場の把握方法長くフリーランスとして働くためには、適切な報酬を把握・設定することが重要です。報酬の相場は業界や案件内容によって異なるため、ここでは適切な相場を把握するための具体的な方法を3点紹介します。フリーランス向けのプラットフォームで調査を行うクラウドソーシングサイトや案件マッチングサイトなどのように、フリーランスが案件を見つけるために活用するプラットフォームは報酬相場を知れる有用な情報源です。まずは、キーワード検索やカテゴリー検索で、自分が請け負う案件に近いものを探しましょう。例えば、フリーランスのライターの場合は「ライター」「SEO記事」「2,000文字」といった条件を入力すれば、現在の報酬水準を確認できます。記事単価の目安として、ライターの場合は1文字1円~3円が一般的ですが、高度なスキルや専門性が求められる案件では1文字5円以上になることもあります。そのほか、フリーランス向けに発行される報酬調査レポートも役立ちます。「ライターの単価相場」「Webデザインの価格帯」などで検索すると、最新のデータが得られることがあるのでチェックしましょう。自分の作業量とスキルをもとに計算する市場相場の調査に加え、自分のスキルや作業時間を考慮して報酬を設定することも重要です。具体的には、「作業時間」をベースにした計算方法と、「自分のスキルや経験」をベースにした計算方法の2点が挙げられます。作業時間をもとにした計算1つの案件にかかる時間を把握したうえで、自分が納得できる時給を掛け合わせて適正な単価を導き出します。【例】基本時給:2,500円作業時間:50時間【計算式】時給2,500円×作業時間50時間=12万5,000円特に複雑な作業や高い集中力が必要な仕事で役立ちます。自分のスキルや経験をもとにした計算高度な専門スキルを持つ場合や、特定の分野で実績が豊富な場合は、市場相場より高めの報酬を設定するのが一般的です。【例】基本時給:2,500円専門スキルによる加算:1,000円作業時間:50時間【計算式】(基本時給+スキル加算)×作業時間(2,500円+1,000円)×50時間=17万5,000円スキルや経験のほか、特定のツールを使用することでクライアントに貢献できる場合も有用でしょう。同業者や専門家に相談するオンラインコミュニティや、SNSで同業のフリーランス仲間と交流し、相場について話し合うのもおすすめです。「A4ポスター1枚のデザインならどれくらいの料金で受注しますか?」「フリーランス2年目あたりでは、文字単価大体いくらくらいを下限にしていましたか?」などと具体的な条件も伝えると、よりリアルな相場感を把握できるでしょう。そのほか、業界団体が提供する相談窓口を利用したり、価格交渉や報酬設定などをテーマにしたフリーランス向けのセミナーに参加したりするのも1つの手です。さまざまな意見を聞くことで、自分では気づけなかった相場の要因や市場の動向を理解できます。▼関連記事:フリーランスのコミュニティのおすすめ!人脈作りや案件獲得ができる!フリーランスが買いたたきに遭った際の交渉方法フリーランスが買いたたきに直面した場合は、毅然とした態度でしっかりクライアントに交渉することが重要です。ここでは、スムーズかつ効果的な交渉を進めるための具体的な方法やポイントを順序立てて解説します。希望報酬の根拠を準備する報酬交渉に説得力を持たせるためには、提示する金額に対して明確な根拠を示すことが重要です。「なぜこの報酬が適正なのか」を具体的なデータや実績で説明することで、クライアントに納得してもらいやすくなります。準備するものの例は以下の通りです。実績の記録・ポートフォリオ:過去のプロジェクト名、成果、担当した内容相場情報:フリーランス向けのプラットフォームや業界レポートなどのデータ作業工程:案件に必要なプロセスや工数のリストまずは、自分のスキルや価値を証明する材料を揃えます。過去に行った案件のなかで、報酬交渉したい案件とできるだけ関連性の高い案件を探しましょう。そのうえで、対応できる業務範囲や自分のスキル、経験が今回の案件にどのように活かせるのかを整理します。市場の報酬相場や、作業に要する工程も合わせて伝えると、より報酬額の妥当性を強調できるでしょう。報酬が適正な理由を論理立てて説明する交渉の際は、単に「この金額がほしい」と主張するのではなく、報酬が適正である理由を論理的に伝えるよう意識しましょう。説明のポイントとしては、以下の2点です。①成果物の納品までに必要な工数やプロセスを説明するこの案件を仕上げるには、〇〇に加え、〇〇や〇〇など複数の工程を経る必要があります。それぞれの工程に約〇時間を要するため、全体で約〇時間の作業時間が見込まれます。これらを踏まえ、〇万円の見積もりを提示させていただきます。②過去のクライアントからの評価を伝える過去のクライアント様からは、成果物のクオリティに対して『修正がほとんど不要で、想像以上の仕上がり』と高く評価いただきました。このような丁寧な作業と高品質を維持するため、適正な報酬設定をご検討いただけますと幸いです。上記の2点を伝えることで、クライアントに「報酬アップに見合う価値がある」と理解してもらいやすくなります。交渉の代替案を示す交渉の際には、自分の要望だけ伝えるのではなく、柔軟な選択肢を示すことでクライアントにポジティブな印象を与えることができます。代替案を示す際のポイントは2点あります。複数のプランを提示する継続案件を見越した提案を行う以下のように、対応業務に合わせたプランを複数提示します。クライアントの予算に合わせ、一部の作業内容を削減したプランクライアントが希望する全行程を行った際の適正料金のプランオプションや追加作業も含んだプラン品質が大きく下がらない範囲で工程を削減する方法を提案すると、クライアントが妥協点を見つけやすくなります。また、初回の取引に限り、お試しの意味合いを込めて相場よりやや低めの価格で対応することも1つの手です。ただし、その際は将来的な価格調整を事前に約束し、取り決めはしっかり文書化して記録を残しておくことが重要です。【例】今回はお試し価格として〇〇円で対応させていただきますが、次回以降は通常価格の〇〇円でお願いしたく存じます。フリーランスが買いたたきに遭った際のメールテンプレ続いては、新規案件と継続案件の2パターンに分け、クライアントにメールで報酬交渉する際のテンプレートを紹介します。希望する報酬アップの理由をより詳細に述べつつ、クライアントへの配慮をしっかり盛り込む内容を意識しましょう。新規案件の場合件名:報酬についての再確認とご提案〇〇様お世話になっております。〇〇です。この度は〇〇の案件につきまして、お見積りをいただきありがとうございます。報酬に関してご相談させていただきたく、ご連絡させていただきました。まず、案件に関して提供するサービスの内容について再確認させていただきたいと思います。本案件では、〇〇(納期、工数、特別なスキルなど)を要するため、通常の案件よりも◯◯(時間、工数、スキルなど)の追加作業が必要となります。そのため、現在いただいている報酬額については、提供するサービス内容に対して妥当な額ではないと考えています。これまで、類似の案件で〇〇万円をいただいた経験があり、クライアント様からも高い評価をいただきました。また、業界相場やスキルの難易度を考慮した場合、今回の案件においては、適正な報酬額は〇〇万円程度となります。上記を踏まえ、以下の通り報酬をご提案させていただきます。変更後の報酬額:〇〇万円提供するサービス:〇〇(詳細な業務内容や成果物)納期:〇〇(納期の確認)もし、予算に制約がある場合は、〇〇の工程を調整し、料金を変更することも可能です。例えば、〇〇部分を減らすことで、料金を〇〇円に調整できます。ご希望がございましたら、さらに柔軟に対応いたしますので、お気軽にご連絡くださいませ。継続案件の場合件名:【ご相談】次回案件の報酬について株式会社〇〇〇〇様いつもお世話になっております。〇〇です。次回案件につきまして、ご相談いただき誠にありがとうございます。本日は次回案件に関して、報酬額の見直しをご相談させていただきたくご連絡いたしました。これまで、常に品質を重視して成果物を納品してまいりました。おかげさまでご依頼いただいたすべての案件において高い評価をいただき、〇〇様からも信頼をいただいていると存じております。しかし、ほかのクライアント様よりいただいている案件や、業界相場(〇〇~〇〇円)と比較いたしましたところ、いただいている報酬額がやや低い水準であるため、長期的に同じクオリティを維持するためのリソース配分が難しくなっております。今後も高いクオリティの成果を維持するために適切な価格設定をお願いできますと幸いです。次回以降は、報酬を〇〇円にご調整いただけますと、より高いパフォーマンスで貴社に貢献できると考えております。このような形での報酬見直しをお願いすることになり恐縮ではございますが、何卒ご理解いただけますと幸いです。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。フリーランスが買いたたきの被害に遭わないための予防策フリーランスとして長期的に安定した仕事を得るためには、買いたたきに遭わないための予防策を講じることが不可欠です。信頼できるクライアントとの取引や、契約書の交わし方、料金設定のポイントなどを押さえて、トラブルを未然に防ぎましょう。信頼できるクライアントを見極めて取引する買いたたきの被害に遭わないためには、信頼できるクライアントを選ぶことが重要です。具体的には、契約前に以下の3点を確認しましょう。実績や評価:フリーランス向けのプラットフォームなどの過去の取引でトラブルがないか仕事の条件:業務範囲や報酬などの取り決めを丁寧に明示しているかコミュニケーション:疑問点に対して迅速に回答してくれくれるか、返信は遅くないか小規模な案件でも契約書を必ず交わすたとえ小規模な案件であっても、必ず契約書を交わしましょう。契約書を交わすことで、契約書に記載されている報酬額や納期、仕事内容などを守る義務が生じます。さらに、トラブル発生時に有効な証拠となり、交渉の材料となります。契約書を交わさずに口約束で進めると、後になって報酬を減額されたり、無償の追加対応を求められたりするリスクがあります。細かい条件まで契約書に記載することで、フリーランスが自分の身を守れるほか、クライアントにとっても責任の所在が明確になることでより安心感のある取引につながるでしょう。▼関連記事:フリーランスが結ぶ業務委託契約とは?契約時のチェックポイントを解説▼関連記事:契約書なしの業務委託は違反?フリーランスが知っておきたいリスクやトラブル時の対応策を紹介相場や短い納期も踏まえて自分なりの料金を設定する報酬を設定する際は、相場や納期の要素をしっかり考慮しましょう。相場や納期を踏まえた料金を設定することで、料金の透明性を確保できます。また、価格設定に対して説得力が生まれるため、不当な買いたたきに遭うリスクを減らせます。納得感を持って仕事に臨めるようになるため、仕事の品質も維持できます。ただし、報酬相場は鵜呑みにせず、自分の経験やスキルともしっかり照らし合わせることも重要です。特に、フリーランスとして駆け出しで、受注経験がほとんどない人や職種の経験が浅い人が、長くフリーランスとして活躍している人と同等の報酬を要求するのは注意が必要です。クライアント側に、「実績がほとんどないのに、なぜこの金額を提示するのだろう?」と疑問視されたり、「市場相場を理解していない」とネガティブなイメージを与えたりして、案件の受注につながりにくくなります。対して、長くフリーランスとして活躍し、実績を積み重ねてきた人の場合は、クライアントに質の高い成果物を納品できることをアピールして報酬アップを打診しましょう。その際は、以下のポイントを押さえることで、自分に依頼するメリットを相手にイメージしてもらうことが重要です。募集案件に近い過去の実績を提示する具体的な作業範囲と対応可能な範囲を伝えるどれくらいスピード感を持って対応できるかをアピールする過去のクライアントからどのような評価をもらったかを伝える特に、短納期の案件や複雑な作業内容が求められる案件には、さらに料金を上乗せして相談するとよいでしょう。まとめフリーランス新法が施行され、買いたたきは違反行為としてより厳しく取り締まられるようになりました。しかし、発注事業者側に「買いたたきが不当である」との認識が薄い可能性もあります。不当な買いたたきから自分を守るためには、フリーランス自身が不当行為にあたる事例や対処方法を押さえて、毅然とした対応をとることが重要です。適切な報酬を設定するには、定期的に自分のキャリアやスキルの棚卸を行うほか、市場調査も欠かせません。もし報酬額に疑問を抱く場合は、過去の実績や評価をもとに交渉を行うほか、必要に応じて専門家のサポートを受けることで負担を軽減できます。買いたたきから身を守るためには、事前の準備と柔軟な対応力が必要です。正当な報酬を受け取り、安心して仕事に集中できる環境を築いていきましょう。