「納品した後に予算削減を理由に報酬を下げられた」「免税事業者であることを理由に消費税分を丸ごとカットされた」といった報酬減額のトラブルは、フリーランスが直面しやすい問題の1つです。このような事態に直面すると、どのように対処するべきか分からず、泣き寝入りしてしまうフリーランスもいるかもしれません。しかし、適切な準備と正しい知識があれば、こうしたリスクを回避し、トラブルが起きても冷静に対応できます。この記事では、報酬減額が発生する背景や原因を整理し、具体的な事例を交えながら、不当な報酬減額への対応策を解説します。また、トラブルを未然に防ぐためのポイントもあわせてお伝えします。フリーランスとして安心して長く活動するために、ぜひ最後まで読んで参考にしてくださいね。フリーランスが被害に遭いやすい「報酬減額」とは?「報酬減額」とは、契約時に取り決めた報酬額を一方的に引き下げられる行為です。本来であれば、契約で合意した内容に基づいて報酬が支払われるべきですが、クライアントの都合や誤解などによって不当な減額が行われるケースがあります。フリーランスが発注事業者よりも立場が弱い場合が多く、「納品後に減額を提示されても抗議しにくい」といった心理的な障壁もあります。このような問題を解消するために、2024年11月にフリーランス新法が施行されました。フリーランス新法では、不当な報酬減額は違反とされ、違反した発注事業者にはペナルティが科されるようになりました。また、報酬減額の問題は、発注事業者とフリーランスの間で認識にズレが生じています。公正取引委員会と厚生労働省が2024年10月に公表した「フリーランス取引の状況についての実態調査」によると、報酬を減額された経験のあるフリーランスは28.1%に達する一方で、発注事業者側の認識では3.0%に留まっています。クライアントによっては報酬減額を正しく認識していない可能性があるため、フリーランスが自身の権利をしっかりと認識し、適切に対処することが重要です。▼関連記事:【2024年11月施行】フリーランス新法とは?変更内容や注意点を解説▼関連記事:世界一分かりやすく!フリーランス新法をフリーランス向けに解説報酬減額が起こる背景業務委託の報酬が減額される主な理由としては、予算の削減が挙げられます。発注事業者の経済状況が悪化した場合や、事業責任者の変更で予算や事業計画の見直しが入った場合に、外注費用が削減されるケースがあります。そのほか、競合の増加と価格競争が原因となるケースもあります。同じ分野でより低価格なサービスを提供するフリーランスや業者が増えると、発注事業者が「他社はこれより安くできる」と感じ、現在の契約条件を見直すようプレッシャーをかけてくることがあります。いずれのケースでも、契約内容に基づかない報酬減額は、フリーランス新法の違反行為となる可能性があります。トラブルを未然に防ぎ、フリーランスが自分の権利を守るためには、報酬額や納品基準を契約時に明確に定め、双方の認識を一致させておくことが重要です。フリーランスが遭遇しやすい報酬減額の事例続いては、報酬減額のトラブル事例を複数紹介します。先述した通り、クライアントが報酬減額について認識していないケースが多いため、不当な事例をしっかり把握してフリーランス側が早期に察知することが大切です。クライアントの社内都合による一方的な報酬減額クライアントの社内都合によって、一方的な報酬減額に遭ったフリーランスWebデザイナーAさんの事例です。事例詳細Aさんは、企業のホームページリニューアルの案件を50万円で受注しました。契約書を取り交わし、デザイン案を複数提出したり、修正対応を迅速に行ったりとスムーズに進行していました。しかし、納品の1週間前にクライアントから突然、「社内で経費削減が急務となり、報酬を30万円に減額したい」との連絡が入りました。Aさんは抗議したものの、クライアントは「どうしても無理ならほかのデザイナーに依頼する」と契約の打ち切りをほのめかしたため、Aさんは報酬の減額を受け入れました。解説クライアントが社内事情を理由にした報酬減額は、フリーランスが直面しやすいトラブルの1つです。契約書に「報酬変更条件」を盛り込むことで、不当な報酬減額を防げる可能性が高まります。納品後の「不満足」という理由で報酬減額成果物をしっかりと納品したにもかかわらず、クライアントの方針転換によって報酬減額を受けたフリーランスイラストレーターBさんの事例です。事例詳細Bさんは、カタログ用のイラスト10点を描く仕事を受注しました。ラフ案を提示し、クライアントの担当者からも「イメージ通り」との評価を受けて本制作を進め、無事に納品しました。しかし、納品後にクライアントの担当者が交代し、新しい担当者から「イメージと合わない」という理由で、報酬を70%に減額すると告げられました。Bさんは、「事前の承認を得た作品である以上、イメージの違いは契約に影響しない」と交渉しましたが、クライアントは応じませんでした。解説契約に基づかない、クライアントの主観的な理由で報酬が減額される不当なケースです。納品後の減額トラブルを防ぐには、事前の承認や合意内容を証拠として残しておくことが重要です。契約書に「納品後の変更や報酬に関するルール」を明記しておくと、主観的な理由でのトラブルを防ぎやすくなります。契約書にない理由での報酬減額契約書にはない理由で報酬減額を受けたフリーランスSEOライターCさんの事例です。事例詳細Cさんは15万円の執筆案件を受注し、クライアント指定のキーワードや構成案に基づき記事を納品しました。しかし、納品後に「記事の閲覧数が想定より低かった」という理由で報酬を10万円に減額させると通知がありました。Cさんは、記事公開後の閲覧数が報酬に影響することを事前に聞いていないとして抗議しましたが、クライアントは「次回以降の案件は別のライターに依頼するかもしれない」と圧力をかけてきました。解説成果基準が契約書に明記されていない場合は、納品後のトラブルが発生しやすくなります。契約時に「成果の評価基準」を明確にし、それに基づいた報酬支払いのルールを設定することで、こうしたトラブルを未然に防げます。無謀な仕事量を発注されて納期に間に合わず報酬減額無謀な仕事量を発注されたことによって、納期に間に合わずに報酬減額を受けたフリーランス動画クリエイターDさんの事例です。事例詳細Dさんは、SNS広告用のショート動画を大量に制作する案件を受注しました。納期までの期間が非常に短かったため一度は断ったものの、クライアントから強い要望があり、断れず引き受けました。結果、全ての動画を納期内に納品できず、事前にクライアントに一部の動画の納品が遅れることを伝えたうえで、納期に半日遅れて納品しました。するとクライアントから「納期を守れなかったから取引先にも迷惑がかかった」と言われ、報酬が半額に減額されました。解説このケースはフリーランスが一度は断ったものの、過剰な仕事量を押し付けられた背景があります。過剰な仕事量となったことはフリーランスに責任がないため、Dさんに全責任を負わせるのは違反になる可能性があります。契約時に「納期遅延の対応」や「業務量の適正化」について条件を設定しておくことで、不当な減額を防ぎやすくなります。免税事業者であることを理由に報酬から消費税分を減額免税事業者であることを理由に、報酬から消費税分を減額されたフリーランスプログラマーEさんの事例です。事例詳細Eさんは、長年取引のあるクライアントから社内ツールの機能追加を依頼され、100万円で合意しました。Eさんは、インボイス制度が開始された後も免税事業者として働くことを選び、今回の案件もこれまでと同様、消費税分を含めた金額で請求書を作成しました。しかし、請求書を提出すると、クライアントから「免税事業者なら消費税を納める義務がないはずだから、その分を差し引いた90万円で請求書を出し直してほしい」と言われました。Eさんがこれまでの慣例に従い、契約時の報酬に消費税が含まれていると説明しましたが、クライアントは「納税義務がない分を支払う理由がない」と譲りませんでした。解説免税事業者が消費税分を請求すること自体には問題はなく、クライアント側がそれを拒む理由にはなりません。契約書で「消費税分も含めた報酬である」ことを明記することで、こうしたトラブルを未然に防ぐことができます。免税事業者としての対応方針を、取引先と事前に共有しておくことも重要です。他社の安価な見積もりを理由に報酬減額他社の安価な見積もりを理由に報酬減額に遭ったフリーランスバックエンドエンジニアFさんの事例です。事例詳細Fさんは、スタートアップ企業からアプリのバックエンド開発を依頼されました。契約通りに作業を進め、納品も無事に完了。ところが納品後、クライアントから「別のエンジニアが同じ仕事を半額で受注できると言っている」と伝えられ、報酬を契約時の金額から30万円減額するよう要求されました。Fさんは、契約時に合意した報酬金額で支払いを求めましたが、クライアントは「予算の都合もあり、減額に応じないと今後の発注を見直さざるを得ない」と圧力をかけてきました。解説他社の見積もりや後から発生するクライアント側の事情を理由に報酬を減額する行為は不当です。Fさんのケースでは契約書で報酬額を確定させているため、契約書を証拠として弁護士などに相談するか、少額訴訟などの法的手続きを取りましょう。フリーランスが報酬減額の被害に遭った際の対処法上記で紹介したような報酬減額のトラブルに直面した場合、フリーランスは冷静に対処する必要があります。この段落では、クライアントから報酬の減額が提示された場合に、どのような手順でどう対応するべきかを段階ごとに解説します。①契約内容を確認する報酬減額の問題が発生した場合は、まず契約内容を確認しましょう。契約書には、報酬額や支払い条件、成果物の評価基準など、報酬に関して重要な取り決めが記載されています。契約内容を再確認することで、自分の立場を明確にし、不当な減額かどうかを判断できます。契約書がない場合は、メールやチャット、そのほかの文書も確認し、報酬に合意した記録を再確認しましょう。②減額の理由を確認・記録するクライアントに連絡し、減額の理由を冷静に聞きましょう。また、後の交渉で活用するためにも、減額の理由は内容をしっかり記録することが重要です。電話や対面でのやり取りは証拠として不十分な場合があるため、メールやチャット、文書で確認しましょう。【メール例】件名:報酬減額に関するご確認〇〇様お世話になっております。〇〇です。この度、報酬の減額に関するご連絡をいただきましたが、報酬減額の理由につきまして、もう少し詳しくお伺いしたいと考えております。減額に至った背景やその基準について、具体的な情報をいただけますと幸いです。また、今後の進行に影響が出ないよう、減額後の報酬額がどのように決まったのか、ご説明いただけますでしょうか?お手数をおかけしますが、ご確認の程よろしくお願い申し上げます。クライアントに減額理由を尋ねる際は、具体的な事情や基準を聞きましょう。どのような判断で減額に至ったのかを冷静に聞くことが大切です。③減額に対してクライアントに抗議する不当な報酬減額と確認できた場合は、契約書の内容などを根拠にクライアントに不当であることを主張しましょう。減額が契約内容に合致していないにもかかわらず黙って受け入れることは、自分の権利を放棄することにつながります。抗議をしなければ、同じようなケースが今後繰り返される可能性もあります。【メール例】件名:報酬減額に関する確認とお願い〇〇様お世話になっております。〇〇です。先日お知らせいただいた報酬減額について、契約書に基づき再度確認させていただきたくご連絡いたしました。契約書には、報酬額が明確に記載されており、納品物に対して減額される条件は記載されていないことを確認しております。そのため、減額された金額に関しては、契約内容に反するものと考えております。つきましては、契約に基づいた報酬を支払っていただけるようお願い申し上げます。お忙しいところ恐縮ですが、ご確認のほどよろしくお願い申し上げます。不当な報酬減額を見逃さず毅然と対応することで、フリーランスとしての立場を守ることができます。④相談窓口を利用する報酬減額のトラブルに直面した際に、自分1人で解決を図るのは大きなストレスが伴うため、専門の相談窓口を利用することが大切です。専門家に相談することで、必要な情報や手続き方法を教えてくれるため冷静に対応できます。さらに、相談できる相手がいることで精神的に楽になるというメリットもあります。不当な報酬減額の相談先には以下が挙げられます。フリーランス・トラブル110番フリーランス向けの無料の相談窓口報酬減額に関するトラブルについて的確なアドバイスを受けられる法テラス無料で法律相談ができる公的な機関弁護士や司法書士から法的な視点でのアドバイスを受けられる▼関連記事:フリーランスは誰に相談すればいい?無料窓口やトラブル回避方法も紹介⑤弁護士に相談して法的手段を取るクライアントとの話し合いが難航する場合や減額額が大きい場合は、弁護士に相談して法的手段を取りましょう。法的手段の一例としては以下が挙げられ、被害金額や問題の複雑度合いなどに応じて適切な手段を選択します。少額訴訟・60万円以下の請求に対応した手続き・通常の訴訟と比べて時間と費用を抑えて問題解決を目指せる民事調停・第三者を交えて双方が納得できる解決策を模索する方法・調停委員が間に入り、公平な立場で問題解決を試みる民事裁判・報酬減額が不当であることを証明し、裁判所に判断を仰ぐ方法・法的な証拠をもとに争われるため、入念な準備が必要となる強制執行・裁判所からの命令により、クライアントの財産を差し押さえる手続きなお、弁護士に相談することで、法的措置を検討していることがクライアントに伝わる場合もあります。それがクライアントにとってプレッシャーになるため、報酬減額を撤回するなどして、実際に法的措置に移行する前に解決する可能性もあります。フリーランスが報酬減額の被害を避ける方法報酬減額の被害を避けるためには、契約前からしっかりと予防策を講じることが重要です。この段落では、フリーランスが意識するべき具体的なリスク回避手段を解説します。どのような方法があるのか、順を追って見ていきましょう。明確で詳細な契約書を交わすフリーランスが報酬減額の被害に遭わないためには、クライアントと契約書を交わすことが基本です。長い付き合いのあるクライアントとは、口約束だけで仕事を受けるフリーランスも多いかもしれません。しかし、契約書は報酬や納期、作業内容に関する認識のズレを防ぐために欠かせません。さらに、後から不当な報酬減額が行われた場合に、法的に強い根拠となります。契約書で確認すべき最低限の項目には、以下が挙げられます。仕事内容追加業務に対する報酬の取り決め報酬額支払い条件成果物の納品基準具体的な基準やルールが明文化されていれば、不当な減額を防ぎやすくなります。▼関連記事:フリーランスが結ぶ業務委託契約とは?契約時のチェックポイントを解説▼関連記事:契約書なしの業務委託は違反?フリーランスが知っておきたいリスクやトラブル時の対応策を紹介報酬の支払い条件を明確にする報酬減額のリスクを防ぐためには、上記で挙げた項目の中で、特に報酬の支払い条件を明確にすることが大切です。報酬の支払い条件とは、クライアントがフリーランスに対して仕事の対価を、「どのように」「いつ」「どれくらいの金額」を支払うかの取り決めです。支払い条件が曖昧だと、金銭面のトラブルが発生するリスクが高まるため、契約時に、以下のように具体的に定めておくとよいでしょう。金額と条件報酬額や税込みか税抜きか、手数料の負担者などを明確にする支払い形式一括払いや分割払いなどの支払い方法、着手金の有無などを設定する支払い期日「納品月の翌月末」や「請求書発行後30日以内」など、報酬が支払われる日時を明確に設定する期日を過ぎた場合の遅延金や対応方法を契約に盛り込むのも有用支払い手段銀行振込やPayPal、現金払いなどの方法を決める国外のクライアントと取引する場合は、通貨や手数料負担者も確認するこまめに進捗報告する案件を進めるなかで、クライアントにこまめに進捗報告を行うことは、信頼関係の構築やトラブル防止に効果的です。進捗報告をしないと、クライアントが「どこまで進んでいるか分からない」と不安を感じたり、納品物がイメージとかけ離れたりする可能性があります。その結果、後々に成果物の期待値が低いことを理由に報酬が減額される恐れがあります。メールやチャットで定期的に進捗状況を報告することで、納品までの対応履歴を客観的な証拠として残せます。「対応が遅れた」「作業内容が不十分」などの不当な理由で減額されることを防ぐ証拠にもなります。また、こまめに連絡を取ることでクライアントに安心感を与えられます。信頼を築けると、継続的な案件依頼が増えたり、契約条件の交渉がスムーズになったりすることもあります。なお、進捗報告は、メールやチャットなど文章として残る形で報告を行うことが重要です。口頭でのやり取りは証拠として残らないため、あくまで文字でのコミュニケーションを心がけることが必要です。フリーランス向けの保険や契約サポートを利用するフリーランスは会社員のように組織に守られていないため、自分で万が一のトラブルに備えることが重要です。フリーランス向けの保険やサポートサービスには、報酬未払いの問題をカバーする保険や、弁護士への相談サポートなどが含まれていることもあります。一例として、フリーランス協会の「フリーガル」が挙げられます。フルーガルでは、トラブル発生時に無料で電話相談ができるほか、解決できない場合には弁護士の紹介、弁護士費用の保険金サポートなどが提供されています。フリーランス向けのサポートを利用することで、報酬減額などのトラブルが発生した場合にも迅速に対応でき、金銭的な負担やストレスを最小限に抑えられるでしょう。▼関連記事:フリーランスも利用できる福利厚生サービス13選!選ぶポイントや注意点を解説法律の知識を身につけるフリーランス新法や下請法など、フリーランスに関する法的知識を最低限理解しましょう。知識があれば契約や取引のトラブルリスクを回避できるほか、万が一のトラブル発生時にも冷静にクライアントと交渉できます。法律の知識を身につける方法としては、法律に関する書籍を読んだり、フリーランス向けの法律セミナーやワークショップに参加したりするとよいでしょう。実際に報酬減額の被害に遭った筆者の事例筆者もクライアントから一方的に報酬を減額されるというトラブルに直面した経験があります。ここでは、その事例をお伝えし、どのように対処したのか、トラブル後の対応策を紹介します。契約書にない業務の追加依頼筆者は、メディアの立ち上げに関する記事企画やライターディレクション、編集、校正を担当する契約をA社と結びました。受注開始からほどなく、契約時点で業務になかった入稿作業の追加依頼を受け、「料金は上乗せする」と話してくれたため、そのまま口頭で合意しました。当時、入稿作業の料金の詳細は詰めず、さらに料金を上乗せするという話が出た証拠も書面やチャットなどで残していませんでした。原稿は予定通り納品し続け、支払いも完了しました。A社側で入稿準備を整えている最中だったため、入稿作業だけはしばらく待機している状況でしたが、その後さまざまな事情が重なって私から契約終了を打診し、A社も了承してくれました。報酬減額の要求契約の最終月、請求書を提出した際にトラブルが発生しました。A社から、「この原稿は入稿がまだなのだから、報酬の3分の1を減額してほしい」という要求があったのです。さらに、入稿対応をしていない過去納品分の原稿についても、過払い分(3分の1)を差し引いて返金対応するように言われました。契約書に記載された金額は、あくまで企画から校正までの報酬です。しかも、入稿に関する具体的な金額の合意もしていなかったので、減額の割合についてもあまりにも一方的で不当な要求に感じました。クライアントにフリーランス新法違反を指摘入稿作業に関する料金については、先述した通り証拠を残していませんでした。しかし、泣き寝入りはしたくなかったので、以下の内容をクライアントにチャットで伝え、請求書も減額せず当初のものを再送しました。契約書で締結した料金は、編集分のみであること入稿作業は、別途上乗せすると口頭で合意したことこれは不当な減額にあたりフリーランス新法違反となり得ること結果、報酬は無事振り込まれました。法律違反であるという指摘がプレッシャーとなったのだろうと思います。報酬減額トラブルに遭った後に対応したことA社とは、フリーランス新法施行の前に契約書を交わしていたため、実はフリーランス新法の保護の対象外でした。結果的に、契約を解除でき、報酬も回収できたので大きな問題にはなりませんでしたが、この事案をきっかけに契約書を結び直して、フリーランス新法の対象にする大切さを感じました。そのため、ほかに契約している一部のクライアントには、契約書のまき直しを依頼しました。また、今回のトラブルでは料金の上乗せに関する証拠を残していなかったことが悔やまれたため、契約や料金、追加の業務はすぐに文字として残し、できる限り契約書も早く更新するべきだと感じました。このトラブル以降で、別のクライアントからも追加の業務依頼をもらいましたが、承諾後、すぐさま契約書のまき直しをお願いしました。まとめフリーランスが報酬減額の被害に遭わないためには、まず契約書でしっかりと取り決めをすることが重要です。報酬額や納期、変更に関するルールを明確にすることで、不当な減額を防ぐ法的根拠を作ることができます。また、フリーランス向けの保険や契約サポートを活用したり、法律の知識を身につけたりして自分の権利を守る意識を高めることも大切です。こうした対策を講じることで、万が一のトラブルに備えられ、フリーランスとしてより安心して長く活動できるでしょう。フリーランスの立場だと、クライアントに交渉や指摘をするのは気が引けるという人は多いかもしれませんが、フリーランスである自分の身を守れるのは自分だけです。自分の立場を守るために、違反となる事例や対処方法を押さえておきましょう。