決まったオフィスがある会社員とは異なり、フリーランスの仕事場の選択肢はいくつかあります。それぞれメリット・デメリットがあり、どんな場所が適しているかは人それぞれです。この記事では、フリーランスが仕事場を選ぶ上で確認しておきたいポイントや注意点を紹介します。快適な仕事場探しに役立ててください。フリーランスの仕事場事情▼出典:バーチャルオフィス1フリーランスは、働く場所を自分で決められるのがメリットの1つです。自宅やシェアオフィス、カフェ、賃貸オフィス・貸事務所を契約するなど、さまざまな選択肢がありますが、仕事が捗る場所は人によって違います。他のフリーランスは、どんな環境で仕事をしているか気になる人もいるでしょう。バーチャルオフィス1が行った調査によると、フリーランスのメインの仕事場は自宅の居室が全体の4割でトップです。一番身近な場所を仕事場にしている人が多い結果となっています。フリーランスが仕事場を選ぶ際のポイントフリーランスが仕事場を選ぶ時に、いくつか覚えておきたいポイントがあります。これから紹介するポイントを考慮して、仕事をする上で最適な環境を選びましょう。自分が集中できる環境か仕事に集中できる環境かどうかは、フリーランスが仕事場を選ぶ上で重要な判断基準です。集中できる環境の基準は、人によって異なり、静かな場所がよい人もいれば、ある程度人の気配や話し声、BGMがあった方が集中できる人もいます。また、仕事内容や業態によっては、オンライン・オフラインともにミーティングがしやすい環境や、適度に他の人と交流ができるような環境のほうが仕事が捗る場合もあります。移動に無理がないか自宅からの通いやすさも考慮したいところです。自宅から仕事場までの距離が遠かったり、電車が混んでいたりすると、足が遠のいてしまいます。また、仕事場までの交通費も会社員とは違って自費なので、電車やバスを乗り継がないといけない場所は避けたほうが無難です。移動時間が楽しい、苦にならないという人以外は、移動に無理のない場所を中心に探すとよいでしょう。設備が整っているか仕事に必要な設備が整っているかどうかも大切です。Wi-Fiの速度や、電源・会議室の有無、セキュリティ対策は施されているかなど、仕事をする上で必要だと思える設備が備わっているかはチェックしましょう。長時間仕事をするなら、椅子や机の高さが自分に合っているかどうかも重要です。座りっぱなしは健康によくないので、体調に気を遣っている人はスタンディングデスクがあったり、席を移動できたりする環境だとよいかもしれません。休憩スペースやドリンクサービスがあると、ほどよくリフレッシュできるので、根を詰めて働いてしまう人ほど重宝かもしれません。費用貸事務所やシェアオフィスを契約するとなると、毎月まとまった額を払う必要があります。フリーランスになってから日が浅く、まだ収支のバランスが取れていない人は、仕事場にかかるコストもきちんと考えたいところです。いくら環境がよくても、コストがかかりすぎると、継続して利用するのが困難になります。その点では、自宅なら仕事場としてのコストは発生しないので、支出を抑えたいフリーランスは、まずは自宅で集中できる環境作りをするのがよいでしょう。フリーランスの仕事場フリーランスの仕事場には、いくつかの選択肢があります。それぞれメリット・デメリットがあるので、自分に合うのはどんな場所か見極めて、集中できる仕事場を見つけましょう。自宅自宅は、多くのフリーランスが仕事場に選んでいます。基本的に自宅をメインの仕事場にして、気分や状況に応じてカフェやコワーキングスペースなどを仕事場にしている人も多いでしょう。メリット・費用や移動時間、交通費がかからない・家事や育児をしながら仕事ができる・家賃や光熱費を経費にできるデメリット・仕事とプライベートの境目が曖昧になる・自宅の住所が外部に知られてしまう可能性がある・仕事が手につかなくなりやすい・いつまでも働きすぎてしまうメリット大きなメリットとしては、事務所費用や交通費などの費用がかからないことが挙げられます。おまけに家賃や光熱費の何割かを経費にできるので、コスト面で考えると自宅を仕事場にするのがベストではないでしょうか。移動時間もかからず、起きたらすぐに仕事ができるので時間の節約にもなるでしょう。家事や育児、介護などをしている人にとってメリットが多いのも特徴です。デメリット一方で、仕事とプライベートの区別がつきにくく、上手くハンドリングできないと、かえってどちらも満足のいかない状況に陥るケースもあります。幼い子どもを見ている必要があると気になってしまったり、反対に1日中働きづめになって1人ブラック企業のようになってしまったりする可能性もあります。仕事場の住所を入力が必要な時に自宅住所を書かなければならないため、プライバシーの観点からデメリットに感じる人もいるでしょう。カフェ・ファミレスほどよくうるさい環境の方が仕事が捗る人は、カフェやファミレスなどの飲食店で仕事をする傾向にあります。メリット・気軽に利用できる・固定費がかからない・リフレッシュ効果があるデメリット・セキュリティに配慮する必要がある・Wi-Fiや電源確保が難しい場合がある・長時間利用しにくいメリットカフェやファミレスは、飲食費だけ支払えばよいので気軽に利用できます。おいしいコーヒーを飲んだり、人間観察をしたりして、リフレッシュしつつ仕事ができるのもメリットと言えるでしょう。デメリットカフェやファミレスなどの不特定多数の人が利用する飲食店で気になるのが、セキュリティです。後ろにいる人にPCの情報を見られないか不安になったり、店内のWi-Fiを使う場合はハッキングの可能性も考慮したりしないといけません。そのため、見られてはいけない情報を取り扱う際には利用できません。また、長居はお店からすると迷惑がられることもあるので、長時間仕事をする際には向かないでしょう。コワーキングスペースコワーキングスペースは、フリーランスの利用者が多く、基本的にフリーアドレス制で自由な雰囲気があります。イベントが開催されるなど、利用者同士の交流も盛んです。ドロップイン方式で利用できる場所も多く、自分が利用したいタイミングで仕事場にできるのも便利です。メリット・他の利用者と交流しやすい・気分転換しやすい・Wi-Fiやコピー機などの設備が揃っているデメリット・ミーティングや電話をしている人の声などが気になる・混んでいる時は利用できない可能性がある・移動時間がかかるメリットコワーキングスペースは、定期的にイベントが開かれるなど、他のフリーランスと知り合う機会があります。他者と交流したい人にとっては大きなメリットです。休憩スペースなどもあり、自然と会話が生まれやすいため、気分転換がしやすいのも人によっては嬉しいポイントでしょう。Wi-Fiはもちろん、コピー機などの設備もひと通り揃っているのも便利です。デメリットコワーキングスペースは、基本的にオープンスペースがゆえに、周りの話し声が気になったり、逆に自分が話している会話が聞かれているのではないかと不安になったりすることもあります。人気のコワーキングスペースは満席になってしまうところもあり、行った時に必ずしも席が確保できるとは限りません。また、コワーキングスペースは主要都市やその地域の中心地に多いので、移動が発生するのをデメリットに感じる人もいるでしょう。▼関連記事:【東京編】Web会議ができるコワーキングスペース14選!リモートワーカー必見!シェアオフィス・レンタルオフィスシェアオフィスは、利用者のスペースがきちんと区切られていて、交流よりも個人や企業が作業に集中できるような作りになっています。レンタルオフィスは、専用の個室ブースを貸し出す形で運営しており、複数の事業者が入居します。きちんと専用スペースがあり、自分の所有物なども置けます。メリット・住所利用ができる・設備が整っている・作業に集中しやすいデメリット・固定費がかかる・専有面積が少ない・ミーティングルームの予約が取りにくいメリットシェアオフィスやレンタルオフィスは、住所利用ができるのが魅力です。また、賃貸オフィスや貸事務所よりも比較的コストを抑えられます。設備も整っており、作業に集中しやすい環境なので、仕事がしやすいでしょう。デメリットシェアオフィスやレンタルオフィスを利用するためには、毎月固定費がかかります。また、スペースが区切られているため、少々窮屈に感じる場合もあるかもしれません。打ち合わせや来客時のために使えるミーティングルームは、争奪戦になっているところも多いようです。賃貸オフィス・貸事務所物件を借りて事務所として利用する人もいます。きちんと事務所を構えて仕事をしたい人や、いずれは法人化したいと思っている人などは、賃貸物件を契約して仕事場に選ぶ人が多い印象です。メリット・仕事とプライベートをしっかりと分けられる・打ち合わせに使いやすい・住所を記入する際に便利デメリット・費用がかかる・仕事に必要な設備を自分で揃えなくてはならない・場所によっては交通費や移動時間がかかるメリット賃貸オフィス・貸事務所のよいところは、仕事する空間と決め、プライベートとの境目をきちんと区切りやすいところでしょう。クライアントや取引先との打ち合わせもしやすいです。また、事業用の住所を書かなければならないタイミングで、自宅の住所を公表する必要がないのもメリットです。デメリットコスト面では他の選択肢より大幅に負担する必要があるでしょう。業務に最低限必要なWi-Fiやデスクなどの設備も自分で用意しなければならないのも、人によっては負担に感じるかもしれません。せっかくフリーランスになって好きな場所で働けるのに、毎日交通費と時間をかけて同じ場所に仕事をしに行くのはデメリットとも考えられるでしょう。▼関連記事:フリーランスは事務所を借りた方がいい?オフィスの種類や借りる際の注意点などを解説ホテルホテルを仕事場にする場合は、非日常を感じながら仕事ができます。ワーケーションプランとして宿泊以外にも一定時間部屋を借りられるホテルもあり、ホテルで仕事をする人も増えています。定期的に違う県や外国に出向いて仕事をしている人もおり、遊びも仕事も楽しみたい人に人気です。メリット・ワーケーションできる・気分転換になる・仕事に集中できるデメリット・費用がかかる・設備が整っていない施設もある・仕事よりも遊びたくなる可能性があるメリットワーケーションで普段の仕事環境とは異なる場所に身を置くことで、気分転換して新たな気持ちで仕事に取り組めます。普段の生活とかけ離れた場所にいるので、他の情報が遮断しやすくなり、かえって仕事に集中できる人もいるでしょう。デメリットホテル料金や移動費などのお金がかかるので、多くの人は頻繁には利用しにくいでしょう。仕事に必要な設備が備わっていない場合も多く、仕事をする環境としては不便と思えるかもしれません。また、魅力的な場所を選んでしまうと、仕事よりも遊びや観光に気持ちが持っていかれてしまう可能性もあります。ネットカフェ・カラオケたまに利用するなら、ネットカフェやカラオケもよい選択肢ではないでしょうか。テレワークプランを設けている店舗もあります。メリット・仕事に行き詰まった際に気分転換できる・周りを気にしなくてよいデメリット・雑音が大きい・オンラインミーティングや電話がしにくい・打ち合わせには向かないメリットネットカフェには雑誌や漫画が置いてあり、カラオケではすぐに歌える環境にあるので、仕事に行き詰まったら気分転換できるのは大きなメリットです。個室で周りを気にせず仕事ができるのも、人によってはメリットと感じられるでしょう。デメリット娯楽施設なので、話し声や歌声が聞こえてくることがあり、オンラインミーティングや電話に音声が入ってしまう可能性があります。よほどくだけた雰囲気で仕事ができる相手でない限り、必然的に打ち合わせには向かないでしょう。図書館コワーキングスペースやシェアオフィスなどは、人口が少ない地域では見つけるのが大変ですが、図書館はほとんどの地域に存在します。館内にある自習スペースで仕事をする人もいるでしょう。メリット・無料で利用できる・ほとんどの地域に存在するデメリット・PCのタイピング音に気を遣う・座席数が限られているメリットなんと言っても無料で利用できるのが、図書館のよいところです。地方に住んでいても図書館は存在するので、どんな場所に住んでいても選択肢の1つとなるのも大きな特徴です。デメリット図書館は静かに利用する公共の場なので、PCのタイピング音がうるさいと、注意される可能性があります。また、自習スペースは限られており、勉強したい学生や年配の人など、さまざまな人と座席の争奪戦をしなければならない場合もあります。取引先のオフィスフリーランスに対して、常駐で働いてほしいというクライアントも一定数います。コミュニケーションを大事にしたい人は、自分から働きかけて取引先のオフィスで仕事をするのもよいかもしれません。メリット・聞きたいことをすぐに聞ける・コミュニケーションが発生しやすいデメリット・通勤が必要・会社員のように働いていると感じるメリット分からないことがあった時にすぐ聞ける環境にあるのは、大きなメリットです。仕事相手と同じ空間にいることで雑談が生まれやすく、結果的に仕事もしやすくなるよい循環が生まれます。デメリット通勤が発生するので、満員電車に乗らなければならなかったり、決まった時間に出社したりしなければならないのは、人によっては苦痛に感じるかもしれません。周りが残業していると自分だけ帰りにくく、フリーランスなのに会社員のような働き方になってしまう可能性もあります。▼関連記事:常駐型フリーランスのメリット・デメリット!契約や案件選びの注意点を解説フリーランスが自宅以外の仕事場で持っていると便利なアイテム自宅以外の場所で仕事をする際に、持っていると便利なアイテムがいくつかあります。仕事効率が上がるので、これから紹介するアイテムを手に入れて、サクサク仕事をしましょう。ノートPCスタンド自宅以外で仕事をする際に重宝するのが、ノートPCスタンドです。目の高さとPCの画面の高さが合っていないと、姿勢が悪くなって集中しにくく、体も疲れやすくなります。ノートPCスタンドを持っていると、PC画面の高さを調整できるため、どんな高さのデスクでも、自然な体勢を取りやすくなります。仕事の効率も上がりやすいので、持っておくと便利です。テザリングできるスマートフォンどんな場所でもインターネットに接続できるので、テザリングできるスマートフォンは必須アイテムの1つと言えるのではないでしょうか。Wi-Fiを解放しているカフェなどで仕事をする場合も、自分のスマートフォンでテザリングしたほうが、セキュリティの観点から考えると安全です。データ容量を消費するので、頻繁に使う場合は、容量の大きいプランを契約しておきましょう。ノイズキャンセリングイヤホン周りの話し声が気になってしまう人は、ノイズキャンセリングイヤホンを持っていると、いつでも集中できる環境を生み出せます。近年は性能の良いイヤホンが増えているので、取り入れてみると予想以上に効率がよくなる可能性もあります。覗き見防止シート不特定多数の人が出入りする環境で仕事をする時に、PCの情報を後ろから見られていないか気になる人もいるでしょう。覗き見防止シートをPCに装着すれば、後ろに人がいても安心して仕事ができます。機密性の高い情報を取り扱う場合は特に、セキュリティ対策として取り入れてみるとよいのではないでしょうか。フリーランスの仕事場における注意点フリーランスの仕事場を考える上で、留意しておきたいことがいくつかあります。知らないとトラブルを招くことにもなりかねないので、注意しましょう。情報漏洩に気をつける人の出入りが多い場所では、どんな人が利用しているかわかりません。クライアントの同業他社や、PCの情報をハッキングして悪用しようとしている人がいる可能性もゼロではありません。セキュリティ対策を万全にしていても、周りに人がいる環境で社内情報を話したら関係者だったというパターンもあります。情報漏洩が起きた際に、社外で仕事をしているフリーランスは疑いの目を向けられやすいので、情報漏洩をはじめとするセキュリティ意識は高く持つようにしましょう。不特定多数の人がいる場所での貴重品管理を怠らないカフェなどの不特定多数の人が出入りする場所では、PCや財布などの貴重品から目を離さないようにしましょう。日本は比較的安全な国なので、盗難に遭う可能性は高くはありませんが、クライアントの情報を取り扱っている以上、危機意識を持つ必要があります。トイレや電話などで席を立つ時も、貴重品は自分の手元にある状態にしましょう。経費精算を忘れない仕事場を利用する上でかかった費用は経費に計上できるものが多いため、領収書やレシートなどは保存しておきましょう。例えば、事務所を借りた場合は全額経費に計上できます。また、自宅で仕事をする場合も家事按分して家賃や光熱費の一部を経費にできます。打ち合わせに利用したカフェなども会議費として計上できるので、レシートを捨てないようにしましょう。▼関連記事:フリーランスは家賃を経費計上できる!家事按分の計算方法や確定申告の注意点を解説まとめ働く場所が選べる自由度の高さは、フリーランスの大きなメリットの1つです。しかし、選択肢が多くて仕事場選びに迷ったり、自分に合わない場所を選んで仕事が捗らなかったりする場合もあります。自分が仕事をしやすい場所を見極めて、快適なフリーランスライフを実現しましょう。