フリーランスとして活動する中で、「年収600万円が1番お得」と聞いたことがある人も多いでしょう。フリーランスは、所得額に基づいて税率が変わる「累進課税制度」が適用されるため、年収によって支払う税金が大きく異なります。この記事では、年収600万円のフリーランスが実際にどのくらいの手取りを得られるのか、税金の内訳や節税のポイントを交えながら解説します。年収600万円を目指しているフリーランスや手取り額を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。年収600万円のフリーランスの手取り額・税金の内訳は?経費によって差額が生じますが、フリーランスが年収600万円を稼いだ場合の手取り額は約317万円です。【年収600万円のフリーランスの手取り額内訳】額面年収6,000,000円経費1,800,000円事業所得4,200,000円国民健康保険料424,000円国民年金203,760円所得税149,700円住民税251,700円手取り年収3,170,840円手取り月収264,236円【計算ルール】青色申告65万円控除を適用年齢20~39歳、配偶者なし、扶養家族0人の場合経費は年収に対して30%に設定※計算ツール:個人事業主シミュレーション国民健康保険料や住民税の負担が大きく、年収600万円の約半分が税金や保険料にあてられる計算です。ただし、フリーランスは経費を適切に計上したり、各種控除を利用したりすることで、課税所得額を削減できます。手取り額を増やすためのコツは後述します。フリーランスが1番得する年収は600万円?「フリーランスは年収600万円が1番お得」という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。結論を伝えると、フリーランスにとって年収600万円は、「1番得する年収」と感じやすい収入です。1番得する年収と感じやすい理由には、累進課税制度が影響しています。累進課税制度とは、課税所得に応じて税率が変わる制度です。所得金額税率1,000〜1,949,000円まで5%1,950,000〜3,299,000円まで10%3,300,000〜6,949,000円まで20%6,950,000〜8,999,000円まで23%9,000,000〜17,999,000円まで33%18,000,000〜39,999,000円まで40%40,000,000円以上45%▼引用:所得税の税率|国税庁年収600万円で、経費が30%と仮定すると、課税所得は約420万円になります。この課税所得420万円は、税率20%が適用される「課税所得330万円〜695万円」の範囲に収まり、税負担が比較的軽くなります。対して、事業所得が695万円を超えると税率が23%に上がり、税負担が増えてしまいます。年収が大幅に少ない場合には、税負担も軽減されますが、手取り額も減り生活が厳しくなる可能性が高いです。したがって、収入を確保しながらも税負担が抑えられる年収600万円は、フリーランスにとって効率的な年収帯といえるでしょう。【世帯別】年収600万円のフリーランスの生活レベル次に、年収600万円のフリーランスの生活レベルを世帯別に見ていきましょう。フリーランスで年収600万円の場合、手取り年収は約317万円、手取り月収は約26万円となります。この点を踏まえて、十分な生活が送れそうか、目標年収として適切かなどを考える参考にしてくださいね。1人暮らし・独身の場合項目支出食費40,301円住居(家賃)59,656円水道光熱費11,138円保険医療費6,847円通信費7,643円理美容・身の回り品32,039交際費11,362円支出合計168,986円▼参考:1世帯当たり1か月間の収入と支出(単身世帯)|政府統計の総合窓口(e-Stat)▼参考:令和5年住宅・土地統計調査|総務省1人暮らしで年収600万円(手取り月収約26万円)の場合は、十分なゆとりを持って生活できます。家賃や光熱費などの生活費が約16万円と仮定すると、月々の生活費をまかなっても余裕が残ります。節約を心がければ、趣味や貯金にも資金を回せるでしょう。また、貯蓄も進めやすいため、将来の備えや投資に向けた資金づくりも可能です。夫婦・パートナーでの2人暮らしの場合項目支出食費63,370円住居費59,656円水道光熱費15,325円保険医療費11,485円交通・通信費(車両維持費含む)48,915円 その他消費支出96,926円 交際費31,110円支出合計326,787円▼参考:世帯類型別にみた家計|総務省統計局▼参考:令和5年住宅・土地統計調査|総務省夫婦やパートナーとの2人暮らしで、年収600万円(手取り月収約26万円)の場合は、共働きであれば生活に余裕を持つことができるでしょう。特に、生活費や住居費を分担することで、家計にゆとりが生まれるはずです。ただし、収入が1人分だけの場合は、約26万円の手取り月収では赤字になってしまいます。そのため、支出を見直し、できるだけ無駄を削減する工夫が必要です。収入アップや節税対策を考えながら、パートナーと家計管理を意識していくことが大切でしょう。子育て世帯の場合項目支出食費75,256円住居費59,656円水道光熱費19,479円保険医療費11,748円交通・通信費(車両維持費含む)48,915円 教育関係費41,544円その他消費支出76,908円 交際費17,909円支出合計351,415円▼参考:世帯類型別にみた家計|総務省統計局▼参考:令和5年住宅・土地統計調査|総務省子育て世帯のフリーランスの場合は、年収600万円(手取り月収約26万円)でも基本的な生活は維持できますが、教育費や将来の貯蓄も考えると家計や収入を見直す必要があるでしょう。手取り月収約26万円の中で、生活費や子育て費用をまかなうには、節約や無駄を抑える工夫が欠かせません。また、教育費や老後資金を考慮すると、収入アップや貯蓄プランを立てることで、将来の安心感も増すでしょう。年収600万円のフリーランスが手取り額を増やすコツフリーランスの手取り額は、売上から経費や税金の支払いを差し引いた金額です。経費を見直したり、年金制度などを利用したりすることで、手取り額を増やすことができます。今後フリーランスが損をしないための、手取り額を増やす4つのコツを紹介します。経費を見直す年収600万円のフリーランスが手取りを増やすためには、経費の見直しが欠かせません。無駄な支出を減らすのはもちろん、経費にできるのに見落としている項目がないかも確認しましょう。また、在宅で働くフリーランスは、家賃や光熱費も経費として計上可能です。仕事のペースなどを考慮して、家事按分の比率が適切に設定できているかも再確認するとよいでしょう。▼関連記事:フリーランスの気になる経費事情!経費計上する時の注意点やQ&Aも▼関連記事:フリーランスは家賃を経費計上できる!家事按分の計算方法や確定申告の注意点を解説税理士に相談する税理士に、日頃の仕分けや記帳、確定申告の手続きを依頼するのも1つの方法です。自分自身で経費を見直すことも大切ですが、税理士にアドバイスを求めることには次のようなメリットがあります。節税対策に関するアドバイスをもらえる依頼料を経費として計上できる本業に集中できる時間を増やせる自分では気がつかない節税に関するアドバイスをしてもらうことができ、依頼料も経費にできるため、着実に手取り額を増やしやすいでしょう。また、経理業務を委託できるので、自分の仕事に集中できる時間を増やして、収入アップも図れます。iDeCo・小規模企業共済を利用する将来の備えをしながら節税できる方法として、iDeCo(個人型確定拠出年金)や小規模企業共済の利用もおすすめです。iDeCo:老後資金の積み立てを目的とした年金制度小規模企業共済:退職金や緊急時の資金を準備することを目的とした制度どちらの制度も、掛金が全額所得控除の対象となります。課税対象所得を減らして手取り額を増やせるだけでなく、将来の年金や退職金も準備できます。以下の記事で各制度について解説しているので、参考にしてください。▼関連記事:フリーランスがiDeCoに加入するメリット・デメリットは?年代別シミュレーションも紹介▼関連記事:小規模企業共済とは?フリーランスの将来の備えと節税効果を解説ふるさと納税を活用する手取りを増やすための節税対策として、ふるさと納税も活用しましょう。ふるさと納税は、応援したい地方自治体に寄付をすることで、住民税・所得税の課税控除を受けられる制度です。控除が適用されるだけでなく、各地の特産品などの返礼品も手に入ります。税負担を軽減しつつ、返礼品を楽しめるため、生活のゆとりを増やす方法として活用してみてください。▼関連記事:フリーランスのふるさと納税のやり方は?確定申告までの流れやメリットも解説【Q&A】年収600万円のフリーランスに関するよくある質問最後に、年収600万円のフリーランスに関するよくある4つの質問に回答します!年収や手取り額に関する疑問を解消して、今後の目標金額を設定したり、節税対策を始めたりするための参考にしてください。フリーランスで年収600万円はすごい?フリーランスで年収600万円は「すごい!」と言える収入です!フリーランス白書2024によると、年収600万円以上のフリーランスは全体の約4割であると発表されています。また、厚生労働省が発表した「令和5年賃金構造基本統計調査の概況」によると、日本の平均年収が318.3万円であることから、平均年収の倍の収入を得ていることになります。フリーランスと会社員の年収600万円はどのくらい違う?年収600万円のフリーランスの手取り額が約317万円に対して、年収600万円の会社員の手取りは約460万円です。【年収600万円の会社員の手取り額内訳】額面年収6,000,000円健康保険料299,400円雇用保険36,000円所得税202,000円住民税309,500円手取り額4,602,400円【計算ルール】社会保険加入対象者年齢20歳以上、40歳未満※計算ツール:税金・保険料シミュレーションフリーランスと会社員では、手取り額に約100万円の差があることが分かります。フリーランスの方が、手取り額がかなり少なく感じるかもしれません。しかし、経費や控除を適切に活用して、手取り額を増やすことも可能です。そのため、フリーランスと会社員の手取り額の違いは、あくまでも今後の働き方を考える上での参考にすることはおすすめします。▼関連記事:【比較早見表あり】フリーランスと会社員の年収・手取りの違いを解説年収600万円のフリーランスが税負担を減らす方法は?年収600万円のフリーランスが、税負担を減らす方法は主に次の2つです。経費を適切に計上する各種控除を利用する家賃や光熱費、事業に関わる消耗品費など、経費を漏れなく適切に計上するようにしましょう。また、最大65万円の控除が適用される青色申告特別控除をはじめとした、各種制度を利用してください。医療費控除や住宅ローン控除など、一定の条件を満たせば誰でも利用できる控除制度は多数あります。▼関連記事:フリーランス・個人事業主なら節税は必須!税金の基礎知識も解説フリーランスが年収600万円を越えたときの注意点は?フリーランスが年収600万円を超えた時は、翌年の国民健康保険料や住民税の金額が上がるので注意しましょう。フリーランス向けの税額シミュレーションサイトを活用し、翌年の税金がいくらになりそうかを事前に確認して、貯蓄しておくと安心です。年収600万円を目指すフリーランスには「SOKUDAN」がおすすめ年収600万円を目指すフリーランスにおすすめなのが、フリーランス・副業向けの案件マッチングサイト「SOKUDAN」です。【SOKUDANの特徴】案件の平均単価32.1万円リモート案件率92%最短即日に面接可能SOKUDANには、上場企業からスタートアップまで、数多くの企業の案件が掲載されています。掲載案件の平均単価が32.1万円と高単価で、掲載案件の9割以上がリモート可能なため、効率よく収入アップを目指せます。登録から最短即日で面接もできるので、今すぐ高単価案件を獲得したい方にぴったりです。SOKUDANは無料で利用できるので、ぜひ登録してみてください。▼SOKUDANのフリーランス案件一覧▼SOKUDANのリモート案件一覧▼SOKUDANの急募案件一覧▼SOKUDANの高単価案件一覧まとめフリーランスにとって年収600万円は、比較的税負担が少なく、安定した生活を送りやすい収入です!累進課税制度により、年収が増えるほど税率が上がりますが、600万円の収入なら手取りも確保しやすく、生活にゆとりを持つことができるでしょう。年収600万円を維持するためには、経費の管理や節税対策をしっかり行うことが大切です。定期的に経費を見直したり、控除や節税制度を活用したりしながら、効率よく手取りを増やす工夫を取り入れてみてください。