フリーランスとして生計を立てるために、目標月収を決めることは大切です。中には、月収30万円を1つの目標として掲げている人もいるでしょう。フリーランスとして月収30万円を目指す場合には、収入から税金や経費の支払いを行うため、手取り額を把握し、生活費が足りるかを把握しておく必要があります。この記事では、フリーランスが月収30万円を稼いだときの手取り額を解説します。税金や収入アップのコツ、フリーランスとして月収30万円を達成した筆者の体験談もお伝えするので、ぜひ参考にしてください。フリーランスが月収30万円を稼いだ場合の手取り額・内訳経費によって差額が生じますが、フリーランスが月収30万円を稼いだ場合の手取り額は約18万円です。【フリーランスが月収30万円を稼いだ場合の内訳】額面年収3,600,000円額面月収300,000円国民健康保険料19,250円(年間231,000円)国民年金16,980円(年間203,760円)所得税3,979円(年間47,750円)住民税8,791円(年間105,550円)経費60,000円手取り月収183,000円【計算ルール】青色申告65万円控除を適用年齢20~39歳、配偶者なし、扶養家族0人の場合経費は月収に対して20%で計算※計算ツール:個人事業主シミュレーション収入の約半分が、税金の支払いなどにあてられるため、思っていたより手取り額が少ないと感じる方もいるでしょう。一方で、フリーランスは、家賃や光熱費など、事業にまつわる費用を経費として計上できます。経費を適切に計上できれば、手取り額が少ないとは感じなくなる可能性が高いです。フリーランスが支払う税金・保険フリーランスは、会社員と異なり、自分自身で税金や保険料を納付しなければなりません。手取り額を適切に把握するために、フリーランスが支払う6つの税金・保険料を確認していきましょう。▼関連記事:フリーランス・個人事業主の税金の種類!確定申告や納税方法を徹底解説所得税所得税は、個人の所得に対してかかる税金です。フリーランスは、売上から必要経費を差し引いた「所得」に対して課税され、年末に所得をもとに税金が計算されます。所得税は、所得額が多くなるほど税率が上がる「累進課税」方式が適用されています。年間の所得に応じて税率が段階的に上がり、5〜45%までの税率が課される仕組みです。自分の所得額が、どの税率に該当するかを確認するようにしましょう。▼関連記事:フリーランスが理解すべき所得税の基礎知識を解説【初めての確定申告でも安心】住民税住民税は、地域の教育や福祉、消防や救急など、行政サービスの運営に使用される税金です。住民税には、企業が支払う「法人住民税」と、個人が負担する「個人住民税」の2種類があります。個人住民税は、「都道府県民税」と「市町村民税」の2つで成り立っており、これらを総称して「住民税」と呼びます。住民税は、前年度の所得に応じて納税額が決まります。フリーランスは、決められた期日までに自分で住民税を納税する必要があります。▼関連記事:フリーランスが知っておきたい住民税の基礎知識!計算・納付方法を解説消費税以下のいずれかの条件に該当するフリーランスは、消費税の支払いが必要です。売上が年間1,000万円を超えているインボイス制度に登録している(課税事業者)インボイス制度に登録すると、たとえ年収が1,000万円以下であっても消費税の納税が必要です。インボイス制度への登録有無は、取引先が企業か一般消費者か、また取引先の意向によって変わる場合があります。詳しくは、以下の記事を参考にしてください。▼関連記事:インボイスに登録しない選択はあり?フリーランスの判断基準を解説個人事業税個人事業税は、個人事業主やフリーランスとして、事業を行っていることに対して課される税金です。個人事業税の税率は業種によって異なり、3〜5%の間で設定されています。特定の業種には個人事業税が課されない場合もあります。また、事業所得が年間290万円以下であれば、「事業主控除」によって個人事業税はかかりません。国民年金国民年金は、老後の基本的な生活の保障を目的とした公的な年金制度です。日本国内に住む20歳以上60歳未満の全ての人が加入する義務があります。国民年金の保険料は、景気や物価状況によって毎年変更され、年収や年齢に関係なく一律です。令和6年度(2024年度)は、月額16,980円です。将来の年金受給額を増やしたい場合は、iDeCoや国民年金基金との併用がおすすめです。▼関連記事:フリーランスが加入する国民年金とは?将来の年金受給額を増やす方法も解説!▼関連記事:フリーランスがiDeCoに加入するメリット・デメリットは?年代別シミュレーションも紹介▼関連記事:フリーランスは国民年金基金で老後に備える!iDeCo・付加年金との違いを解説国民健康保険健康保険は、病気やケガ、出産などによる医療費の負担を軽減するための公的な医療保険制度です。フリーランスは、「国民健康保険」への加入が基本となります。国民健康保険の保険料は、前年の所得をもとに各自治体が計算します。収入に応じて決まるため、所得が多いほど保険料が高くなります。また、過去に会社員や公務員だった場合には、退職後2年間は「社会保険の任意継続」も可能です。扶養条件を満たす場合には、家族の健康保険に加入することもできます。▼関連記事:フリーランスが加入できる健康保険は?国民健康保険料を抑えるコツやおすすめの制度も紹介フリーランスが手取り30万円を目指すなら売上50万円が目安「月収30万円ではなく、手取り30万円を目指したい」と考える方も多いでしょう。フリーランスが手取り30万円を目指す場合は、売上(月収)は50万円が目安になります!【フリーランスが月収50万円を稼いだ場合の内訳】額面年収6,000,000円額面月収500,000円国民健康保険料41,075円(年間492,900円)国民年金16,980円(年間203,760円)所得税16,650円(年間199,8000円)住民税25,608円(年間307,300円)経費100,000円手取り月収299,687円【計算ルール】青色申告65万円控除を適用年齢20~39歳、配偶者なし、扶養家族0人の場合経費は月収に対して20%で計算※計算ツール:個人事業主シミュレーション売上50万円の場合は、経費や税金などを差し引くと、手取り額が約30万円となります。この計算はあくまで目安ですが、収入と支出のバランスを意識することで、安定した手取りを確保しやすくなります。ただし、月収50万円を超えて年間所得が290万円以上になる場合は、個人事業税の納税義務も発生するので、支出のバランスに注意しましょう。【世帯別】月収30万円のフリーランスの生活レベル月収30万円で、生計を立てられるかどうかは、世帯人数やライフスタイルによって異なります。ここでは、世帯別の平均支出とあわせて、月収30万円でどのような生活を送れるかを見てみましょう。月収30万円の場合の手取り額が約18万円である点を踏まえて、十分な生活が送れるかをイメージしてみてください。1人暮らし・独身の場合項目支出食費40,301円住居(家賃)59,656円水道光熱費11,138円保険医療費6,847円通信費7,643円理美容・身の回り品32,039円交際費11,362円支出合計168,986円▼参考:1世帯当たり1か月間の収入と支出(単身世帯)|政府統計の総合窓口(e-Stat)▼参考:令和5年住宅・土地統計調査|総務省1人暮らし・独身のフリーランスの場合は、生活費をしっかり管理することで安定した生活ができるでしょう。家賃や食費を抑えて、節約を心がければ、月数万円の貯金も見込めます。趣味や交際費に少し余裕を持たせることもでき、無理なくバランスの取れた生活を目指せるでしょう。2人暮らし(夫婦・パートナー)の場合項目支出食費63,370円住居費59,656円水道光熱費15,325円保険医療費11,485円交通・通信費(車両維持費含む)48,915円 その他消費支出96,926円 交際費31,110円支出合計326,787円▼参考:世帯類型別にみた家計|総務省統計局▼参考:令和5年住宅・土地統計調査|総務省夫婦やパートナーとの2人暮らしでは、家賃や光熱費を含めた生活費が約32万円かかります。そのため、月収30万円・手取り約18万円の場合は、少し負担が大きい状況です。共働きで収入を増やすことで、趣味や貯蓄に回す余裕も生まれ、将来に向けた備えも進めやすくなります。子育て世帯の場合項目支出食費75,256円住居費59,656円水道光熱費19,479円保険医療費11,748円交通・通信費(車両維持費含む)48,915円 教育関係費41,544円その他消費支出76,908円 交際費17,909円支出合計351,415円▼参考:世帯類型別にみた家計|総務省統計局▼参考:令和5年住宅・土地統計調査|総務省子育て世帯の場合は、月収30万円・約18万円の手取りだけでは家計が赤字になりやすいです。子どもの教育費や日々の生活費が増えるにつれて、さらに収入が必要になる場面もあるでしょう。共働きで家計に余裕を持たせるか、収入アップを目指すことで、将来の備えや安定した生活が可能になります。生活費を管理しつつ、無理なく安心して暮らせる方法を考えることが大切です。フリーランスが月収30万円を目指すための方法・コツフリーランスとして月収30万円を安定して稼ぐには、スキルアップや営業活動、経費の管理などの工夫が必要です。ここでは、フリーランスが月収30万円を目指すための方法・コツを6つ紹介します。それぞれの方法を取り入れて、月収30万円を目指していきましょう!スキルアップして高単価案件を受注する月収を上げるために、スキルアップをして高単価案件の獲得を目指しましょう。スキルが上がると、携われる業務の幅が広がったり、責任者のポジションに就いたりすることができます。何より高単価案件を受注できるようになると、短時間で確実に収入を上げられるようになるのがメリットです。心身の健康を大切にしながら、フリーランスとして長く働くためにも、意識的にスキルアップを図りましょう。▼関連記事:フリーランスのスキルアップの方法!稼げるフリーランスになるコツとは▼関連記事:優秀なフリーランスはソフトスキルが圧倒的!スキルや収入アップの方法を解説定期的に営業活動を行う新規案件や、より好条件の案件の獲得を目指して、定期的に営業活動を行うようにしましょう。営業活動を行うときは、複数の営業方法を試すことが大切です。さまざまな方法を取り入れることで、自分の希望条件に合った案件に出会うチャンスが高まります。また、プロフィールやポートフォリオを見直して、自分の強みや実績を伝える準備を怠らないことも大切です。▼関連記事:難易度別フリーランスの営業方法!安定して稼げるコツを徹底解説複数案件を掛け持ちする収入を安定させるために、複数案件を掛け持ちすることも意識しましょう。1つの案件に依存せず、収入源を複数持つことで、月収30万円を達成しやすくなります。案件が急になくなるリスクを考慮して、3〜6件ほど案件を持っていると安心です。また、案件を掛け持ちする際は、納期やスケジュール管理を徹底し、無理のない範囲で進めることが大切です。▼関連記事:フリーランスは複数案件を掛け持ちすべき?注意点や案件獲得方法を解説経費を適切に計上するフリーランスにとって、経費の適切な計上は手取り額の増加に直結します。業務上の経費は、日頃から会計ソフトで管理し、確定申告をスムーズに行えるようにしておきましょう。また、在宅で働くフリーランスは、家賃や光熱費なども経費に含めることができます。何が経費に該当するかを把握して、手取り額を増やせるようにしましょう。▼関連記事:フリーランスの気になる経費事情!経費計上する時の注意点やQ&Aも▼関連記事:フリーランスは家賃を経費計上できる!家事按分の計算方法や確定申告の注意点を解説▼関連記事:フリーランスにおすすめの会計ソフト8選!選び方・比較ポイントを解説各種控除を利用する節税対策として、所得控除や扶養控除などの各種控除も積極的に利用することをおすすめします。控除を利用することで所得税や住民税が減額され、手取り額を増やすことができます。フリーランスは、以下のような控除を利用できます。青色申告特別控除社会保険料控除生命保険料控除医療費控除控除の申請は確定申告で行うため、申告漏れがないように注意が必要です。青色申告で申請する確定申告をする際は、必ず節税効果の高い「青色申告」を活用するようにしましょう。青色申告で申請すると、最大65万円の青色申告特別控除が適用されます。課税所得を65万円も減らせられるので、手取り額を増やしやすいです。提出書類が多いため、手続きの負担が大きいですが、会計ソフトを利用したり、税理士に委託したりすることで、確定申告をスムーズに進められます。▼関連記事:フリーランスは青色申告で確定申告しよう!控除の活用や節税のコツを解説▼関連記事:確定申告を税理士に依頼・丸投げする費用は?メリットや注意点も解説【体験談】フリーランスとして月収30万円を達成するために意識したこと最後に、筆者がフリーランスとして月収30万円を達成するために意識した3つのポイントを紹介します。誰でも今すぐ意識できる内容なので、ぜひ参考にしてくださいね。自分を安売りしないことを意識したフリーランスとして働く中で、売上が停滞していた時期がありました。原因を追求すると、何年も同じ価格で仕事をしていたことが原因でした。そこで、収入アップを目指して、単価の見直しを実施。自分のスキルや実績を振り返ることに加え、請け負っている仕事の相場をリサーチし、単価を再設定しました。はじめは、「この価格で受注できるのかな」と不安でしたが、心配をよそに、高単価案件を獲得できました。これまで積み重ねてきた実績やスキルを信じて、自分を安売りしない大切さを学んだと感じています。毎月売上・経費を確認する日を設けた月収30万円を目指すなら、売上と経費のバランスを把握することが大切です。現状の売上と、支出を確認し、目標を設定するために、私は毎月決まった日に「目標売上に達しているか」「経費に無駄遣いがないか」をチェックするようにしました。売上・経費を確認することで、具体的な目標金額を定め、あまり利用していないサブスクを解約して経費を削減するなど、状況を整理することができました。この習慣のおかげで、自分のお金の流れを常に把握できるようになり、目標に向かって進んでいる実感も持てるようになりました。ポートフォリオをリニューアルした営業活動を続けているにも関わらず、なかなか契約につながらない時期があり、原因を探ったところ、ポートフォリオの内容がかなり古くなっていることに気づきました。そこで、自分のイメージや得意ジャンルを意識したポートフォリオサイトにリニューアルし、掲載内容を最新の実績に更新したところ、自然と新しい案件も取れるようになりました。フリーランスとして仕事を継続していることを示すためにも、ポートフォリオの定期更新が大切だと実感しました。▼関連記事:フリーランスはポートフォリオが重要!作り方のポイントとおすすめサービス6選▼関連記事:【今すぐできる】フリーランスで仕事がないときの対処法8選!原因や注意点も解説フリーランスとして月収30万円を目指すなら「SOKUDAN」月収30万円を目指したい方には、フリーランス・副業向けの案件マッチングサイト「SOKUDAN」の利用がおすすめです。SOKUDANでは、上場企業からスタートアップまで、数多くの企業の案件が掲載されています。【SOKUDANの特徴】案件の平均単価32.1万円リモート案件率92%週1日~稼働できる案件からフルタイム求人まで豊富掲載案件の平均単価が32.1万円、平均時給4,500円と高単価です。リモートが可能な案件や、週1日から稼働できる案件も多いため、効率よく収入アップを目指せます。SOKUDANは無料で利用できるので、ぜひ登録してみてください。▼SOKUDANのフリーランス案件一覧▼SOKUDANのリモート案件一覧▼SOKUDANの経験少なめOK案件一覧▼SOKUDANの高単価案件一覧まとめフリーランスとして、月収30万円を稼いだ場合の手取り額は約18万円です。思ったよりも手取りが低いと感じるかもしれませんが、在宅フリーランスであれば家賃や光熱費を経費として計上できます。そのため、経費を適切に計上できれば、生活のバランスを保っていけるでしょう。フリーランスとして月収30万円を目指すときは、定期的に営業活動を行ったり、青色申告の控除を利用したりするなど、収入アップと支出のバランスをとることが大切です。まずは、現状の売上と経費を見直して、どうすれば月収30万円に近づけるかを考えてみましょう。