バックエンドエンジニアは、ITエンジニアの中でも、どのような役割を担っているのだろう......そんな疑問を持っている方に、バックエンドエンジニアの仕事内容や必要なスキル、キャリアパスなどを解説します。「バックエンドエンジニアとして活躍したい!」「スキルを高めて年収を上げたい!」という方は、フリーランスのバックエンドエンジニアになる道もあります。バックエンドエンジニアの年収の相場、フリーランスのバックエンドエンジニアになる方法も参考にしてみてください!▼関連記事:フリーランスエンジニアになるには?必要なスキルやメリット・デメリットバックエンドエンジニアとは?バックエンドエンジニアとは、システムの裏側の「バックエンド」といわれる部分を開発するエンジニアです。バックエンドとは、ユーザーが行った操作や入力情報を元に、サーバーやデータベースとのやりとりをスムーズに行う部分です。具体的には、ログインの処理、商品の注文情報の保存、ユーザーのデータの管理などを行います。バックエンドエンジニアにもさまざまな役割があり、必要なスキルやキャリアパスも限られたものではありません。システム開発スキルだけでなく、インフラシステムの知識やクラウドの技術などを経験することで、市場価値の高いバックエンドエンジニアになることができます。フロントエンドエンジニアとの違いバックエンドエンジニアと対象的なのが「フロントエンドエンジニア」です。名前は似ていますが、バックエンドエンジニアとフロントエンドエンジニアの担当する領域やスキルセットは大きく異なります。フロントエンドエンジニアは「ユーザーインターフェース」に関わるエキスパートです。要するに、Webサイトやアプリケーションの「見た目」と「感じ」を設計し、ユーザーが直接触れる部分を作成します。これには、画像、テキスト、ボタンの配置や動きなど、ユーザーの体験を向上させる要素が含まれます。バックエンドエンジニアは、システムの「裏側」を担当します。フロントエンドがどのような情報を要求し、その情報をどこから取得するか、またどのように保存するかなど、システムの根幹となる部分を構築・管理します。主にデータベースやサーバーといった裏方の技術を扱う役割です。サーバーサイドエンジニアとの違いバックエンドエンジニアとサーバーサイドエンジニアは、基本的に同じ職種です。システムのバックエンド部分は、サーバー側と同じなので、サーバーサイドエンジニアと呼ばれることがあります。ただし、バックエンドエンジニアはWebシステムの開発で呼ばれることが多く、IT全般のシステムの文脈に関しては、サーバーサイドエンジニアという呼び方がされることが多いです。サーバーエンジニアとの違い少しややこしいですが「サーバーエンジニア」は、バックエンドエンジニア(=サーバーサイドエンジニア)とは違う職種です。サーバーエンジニアは、バックエンドエンジニアが構築するシステムやアプリケーションが、実際に稼働するための「場所」、すなわちサーバーの設定や管理に特化した専門家です。サーバーエンジニアは、サーバーのパフォーマンス最適化、セキュリティ対策、トラフィックの管理などを行い、アプリケーションがスムーズに動作する環境を提供します。バックエンドエンジニアの仕事内容バックエンドエンジニアが担当するシステムの裏側における、具体的な仕事内容を解説します。APIの設計・開発API(Application Programming Interface)は、システムやアプリケーション同士が互いにデータをやり取りする際の「通信ルール」や「接続口」のようなものです。バックエンドエンジニアは、データの形式や、データがどのようにやり取りされるかのルールを設計します。これを「APIの設計」といいます。また、設計したルールに基づき、実際のプログラミングを行い、APIの開発を行います。バックエンドエンジニアがAPIの設計・開発を行うことで、システムやアプリケーションが円滑に動作することができます。データベース・サーバーの設計・構築・管理バックエンドエンジニアは、データベースやサーバーの設計・構築・管理を行います。データベースは、情報やデータを効率よく保管・管理するための「電子的な書庫」のようなものです。バックエンドエンジニアは、データベースにどのようなデータをどのように保管するか、その構造を考え、設計します。データが正確に、そして迅速に取り出せるように、日々の運用・管理を行います。バックエンドエンジニアは、アプリケーションの要求に合わせて、サーバーの構造や仕組みを考えます。また、24時間365日、問題なくサービスを提供できるように、サーバーの運用・監視を行います。システムアーキテクチャーの設計システムアーキテクチャーとは、Webサイトやアプリケーションの「骨組み」や「設計図」のようなものを指します。バックエンドエンジニアは、システムアーキテクチャーにおいて、どの部分がどのように連携して動作するか、データがどのように流れるかなどの構造や設計を考えます。テストの実施〜デプロイテストとは、開発した機能やシステムが正しく動作するかを検証する工程です。バックエンドエンジニアは、システムにバグ(誤動作)がないか、想定した通りに動いているかを確認します。想定通りに動いているか確認するために、テストコードを書きます。テストコードによって、不具合が起きたときに確認作業をスムーズに行うことができます。デプロイとは、テストで確認されたシステムやアプリを実際の運用環境に出荷する作業です。バックエンドエンジニアは、運用環境に必要な設定やツールの準備をし、ユーザーにシステムを公開します。この段階で初めて、ユーザーが新しい機能や改善されたサービスを利用することができるようになります。パフォーマンスチューニングパフォーマンスチューニングとは、Webサイトやアプリケーションが効率的に動作するように調整するプロセスを指します。具体的には、サービスが遅くなる原因を見つけ出し、データベースの最適化を行います。また、サーバーやネットワークのリソースを適切に利用するために調整し、プログラムのコードを見直し、効率的なものに書き換えます。バックエンドエンジニアに必要なスキルバックエンドエンジニアに必要なスキルを解説します。最初から全てのスキルが必須ではないので、自分の業務に合わせてスキルを身につけていきましょう。プログラミング言語スキルバックエンドエンジニアに必要なプログラミング言語は、Ruby、PHP、Python、Goなどが挙げられます。また、世界中で広く利用されているオブジェクト指向のプログラミング言語であるJavaや、JavaScriptをサーバーサイドで動かすための環境であるNode.jsのスキルもあるとよいでしょう。Rubyは「Ruby on Rails」というフレームワークを通して、迅速なアプリケーション開発が可能です。フレームワークとは、アプリケーション開発において、共通する処理部分のプログラムを自動的に作成してくれる枠組みのことです。PHPは、Web開発でよく使われるプログラミング言語で、多くのウェブサイトがPHPをベースにして動作しています。Pythonは、最近注目の高まるAIや機械学習でも活用されるプログラミング言語です。Goは、シンプルでプログラムを書きやすいという特徴があり、用途を問わずアプリケーション開発やサーバの構築に用いられます。APIの設計と開発スキルバックエンドエンジニアは、さまざまなアプリケーションやシステム間のスムーズな情報のやり取りを実現するAPIを設計・開発するスキルが必須です。どのような情報をやり取りする必要があるのか、どれくらいの頻度でデータが更新されるのかなど、APIを使用する側の要求をしっかりと理解することが求められます。また、外部からの不正アクセスを防ぐためのセキュリティ対策を講じる知識が必要です。効率的なデータ構造を設計し、APIが正確に動作するかを確認するためのテスト手法を知っています。APIが正常に動作しない場合や、期待されるデータが得られない場合は、対処方法を実装しなくてはなりません。データベース・サーバー管理スキルバックエンドエンジニアは、データベースの構造や、データを効率よく取り出す方法を理解している必要があります。データベースから情報を取り出したり、新しい情報を追加したりするためのSQLという言語スキルも求められます。また、サーバーが24時間365日安定して動作するように、定期的な監視やメンテナンスを行わなくてはなりません。万が一の障害やデータ損失に備え、データを定期的にバックアップし、必要な場合にはそのバックアップからデータを復旧する能力も必要です。コンテナ技術コンテナは、ソフトウェアの実行に必要なすべてのものをパッケージ化する技術です。この「パッケージ」には、ソフトウェアのコード、実行に必要なライブラリやツールなどが含まれています。コンテナにより、ソフトウェアがどんな環境であっても同じように動作することが保証されます。「Docker」や「Kubernetes」は、現代のバックエンドエンジニアにとって知っておくべき主要なコンテナ技術の一部です。特にDockerは、コンテナを作成し管理するためのスタンダードとなっているツールです。パフォーマンスチューニングスキルバックエンドエンジニアの一つの重要な役割は、アプリケーションの「速さ」や「効率」を最大限に引き出すことです。このスキルを「パフォーマンスチューニング」と呼びます。バックエンドエンジニアは、アプリケーションの動作を監視し、遅延やエラーの原因を特定する「モニタリング」能力が必要です。そして、ソフトウェアのコードやデータベースのクエリなどを効率化します。キャッシュの利用:して、頻繁にアクセスされるデータを一時的に保存し、高速に取り出せるようにする技術も求められます。クラウドサービス活用の知見と経験Amazon Web Services(AWS), Google Cloud Platform(GCP), Microsoft Azureなど、クラウドサービスを利用したシステムが、世の中に溢れています。クラウドサービスは、突然の大量のアクセスにも柔軟に対応できるように設計されています。これにより、多くのユーザーからの同時アクセスでも、サービスがダウンすることなく対応することができます。バックエンドエンジニアは、主要なクラウドプロバイダのサービス内容や特性を理解していると活躍の場が広がります。クラウド上でのシステムの設計や、リソースの最適な配置を行う技術があるとよいでしょう。使用するリソースに応じたクラウドサービスの料金の管理や、コストを抑えるための最適化の経験も求められることがあります。バックエンドエンジニアの年収厚生労働省が提供している「職業情報提供サイト:jobtag」では、一般的なバックエンドエンジニアの年収は660万円でした。ITエンジニアの需要は右肩上がりで、スキルの高い人材は高い報酬を得ています。さらに、正社員で採用できないようなプロ人材は、フリーランスとして活躍している傾向にあります。フリーランスや副業のプロ人材のマッチングサービスを提供するSOKUDANの調査では、フリーランスのバッエンドエンジニアの平均年収は900万円です。転職市場でのバックエンドエンジニアの採用は激化しており、スキルを磨きながら、転職によって年収を上げることが可能です。バックエンドエンジニアに必要なスキル以外にも、最新の技術知見を身につけることで、市場価値を高められます。フリーランスになって個人としての強みを発揮することができれば、年収1,000万円も夢ではないでしょう。▼関連記事:バックエンドエンジニアのフリーランス平均年収900万!92%が年収600万円超!98%がリモート可バックエンドエンジニアのキャリアパスバックエンドエンジニアの一般的なキャリアパスを紹介します。初級〜中級バックエンドエンジニア初級のバックエンドエンジニアは、シニアエンジニアの指導の下、技術スタックや企業のアーキテクチャー、開発プロセスに慣れる作業を行います。数年の経験を経たバックエンドエンジニアは、中級の地位に進むことができます。より多くの責任を持ち、システムの設計、初級者の指導、より複雑なタスクの取り組みが含まれることが多いです。シニアバックエンドエンジニア〜エンジニアリングマネージャーシニアのバックエンドエンジニアになると、アーキテクチャーやシステム設計に関する重要な決定を行います。初級や中級のエンジニアの指導、より技術的に難解な問題の解決を担当することが多いです。エンジニアリングマネージャーは、深く技術的なタスクに関与していますが、他のチームとの調整や、より高次のアーキテクチャーの決定にも関与することも多いです。役割はしばしば管理的になり、採用、指導、プロジェクトのタイムラインの設定、納品の確保などを取り扱います。最高技術責任者(CTO)特にスタートアップ企業で、強い技術的ビジョンとリーダーシップの資質を持つバックエンドエンジニアがCTOになることがあります。企業全体の技術的方向性に責任を持つため、戦略的計画、予算策定、会社の目的との整合性を中心に活動します。バックエンドエンジニアからのキャリアチェンジバックエンドエンジニアの経験を活かして、他の職種にキャリアチェンジすることもできます。以下はバックエンドエンジニアと親和性の高い職種の例です。システムアーキテクト:複雑なシステムの設計に重点を置く。DevOpsエンジニア:開発パイプラインの最適化やデプロイ環境の管理に集中する。データベース管理者(DBA):データベースの管理と最適化に特化する。クラウドエンジニア:クラウドインフラの設計と管理に焦点を当てる。ソリューションアーキテクト:クライアントと密接に連携して、ニーズに合ったソリューションを設計する。すべてのバックエンドエンジニアが、このキャリアパスを辿るわけではありません。自分の理想の仕事内容や働き方を考えて、キャリア形成していきましょう。未経験からバックエンドエンジニアになるには?未経験からバックエンドエンジニアになることは、可能です。ただし、ITの知見や経験がなく、その他のキャリアの長い方は、バックエンドエンジニアとして活躍するまで時間がかかるでしょう。書籍やプログラミングスクール、オンラインサロンなどで知識を身につける方法があります。しかし、実際にプログラミングをしたり、現場でプロジェクトに入って経験を積んでいかなくてはいけません。ある程度知識やスキルを身につけた段階で、未経験でも転職できる求人に応募して、会社でバックエンドエンジニアの経験を積むとよいでしょう。はじめは、技術派遣会社(SES)での仕事になる可能性が高いですが、ゆくゆくは事業会社のバックエンドエンジニアに転職することも可能です。フリーランスのバックエンドエンジニアとして、独立を見据えている方は、会社員と並行して副業で経験を積むことをおすすめします。副業やフリーランスのバックエンドエンジニアの案件は、SOKUDANなどのマッチングサービスを参考にするとよいでしょう。▼SOKUDANのバックエンドエンジニア案件一覧フリーランスのバックエンドエンジニアになるには?フリーランスのバックエンドエンジニアになるには、フリーランスのマッチングサービスを利用するとよいでしょう。すでに会社員でバックエンドエンジニアとしての経験がある方は、副業案件からチャレンジしていくことをおすすめします。未経験の方やバックエンドエンジニアとしての経験の浅い方は、独学やプログラミングスクールに通って知識や経験を積んでいきます。転職や副業案件で実務経験を増やすことで、フリーランスとしても現場で案件を回していけるようになります。副業案件の獲得や業務委託としての働き方に慣れたら、フリーランス1本での働き方にシフトします。現職に退職の申し出をして、開業届けを出したり、社会保険の切り替えなどを行います。フリーランスになる方法に関しては、以下の記事も参考にしてみてください。▼関連記事:フリーランスになるには?必要な手続きや仕事獲得の方法まで解説 まとめバックエンドエンジニアとは、システムの裏側の「バックエンド」といわれる部分を開発するエンジニアです。APIの設計・開発を行い、データベースやサーバーの管理まで行います。Ruby、PHP、Python、Goなどのプログラミング言語のスキルも、バックエンドエンジニアのスキルとして必要です。バックエンドエンジニアの年収は高い水準にありますが、スキルを高めたり、転職することで高い報酬を目指すことができるでしょう。未経験からバックエンドエンジニアを目指したり、フリーランスとしての働き方にチャレンジすることも可能です。フリーランスのバックエンドエンジニアになることで、さらに活躍の場が広がり、自由な働き方もできるでしょう。