働き方の選択肢が広がる中で、正社員としての安定を取りながらも、フリーランスの自由な働き方に惹かれている人は少なくありません。ただ、実際にどちらを選ぶべきかとなると、収入や社会保険、税金など複雑な要素が絡み、迷ってしまう人も多いのではないでしょうか。この記事では、正社員とフリーランスそれぞれの実際の収入や手取り、保険の違いに触れながら、長期的に見てどちらが「お得」といえるのかを考察します。正社員とフリーランスの双方を経験した筆者の実体験も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。正社員とフリーランスの違いとは?正社員とフリーランスの違いは契約形態にあります。正社員は、企業と雇用契約を結び、企業に所属する形で働きます。業務を遂行するために、企業から仕事の進め方に関する指示や命令が出るほか、労働時間や労働場所が指定されます。一方で、フリーランスは、クライアントごとに業務委託契約を結び、企業には属さず、独立した立場で仕事を受けます。フリーランスは基本的に労働基準法の適用外であり、どの仕事を受けるか、いつどこで仕事をするかといった働き方を自分で決められます。契約形態の違いにより、正社員とフリーランスとでは、以下のように報酬の仕組みや保険、税金の扱いなども大きく変わってきます。正社員フリーランス契約形態雇用契約業務委託契約適用される主な法律労働基準法、労働契約法、労働安全衛生法下請法、独占禁止法、フリーランス新法収入毎月固定の給与が支払われる案件ごとに報酬が支払われる税金の扱い給与から天引きされる自分で確定申告・納税を行う社会保険健康保険と厚生年金に加入する原則、国民年金保険と国民年金に個人で加入する福利厚生有給休暇、ボーナス、通勤手当などがある基本的になし勤務時間会社が定める所定の勤務時間がある自由に調整可能【収入】正社員とフリーランスの特徴を比較ここでは、正社員とフリーランスで、「収入面」にどのような違いがあるのか、安定性や将来の見通しも含めて詳しく比較します。収入を基準に働き方を考えるときは、目先の金額だけでなく、昇給や変動リスクなども踏まえることが大切です。正社員:収入が安定しやすい正社員は、毎月決まった給与が振り込まれ、急な収入減に悩まされる心配が少ない点が特徴です。毎月の給与に加えて、賞与(ボーナス)が支給されるケースも多く、年間を通じた収入の見通しを立てやすいでしょう。勤続年数に応じて基本給が少しずつ上がるケースや、評価制度によって昇給・昇格する仕組みを取り入れる企業も多く、ある程度の成長が見込めます。ただし、昇給や昇格の幅は限定的な場合が多く、大幅な年収アップを見込むのは難しい傾向にあります。さらに、業績や人事評価によって多少の変動はあるものの、多くの企業では給与体系に上限が設定されており、飛躍的な収入増は起こりにくいという特徴もあります。正社員の年収は計画的に生活設計しやすい一方、大きな伸びは期待しにくい傾向にあります。フリーランス:収入が変動しやすいフリーランスは、案件の単価や受ける仕事の量によって収入が大きく変動する働き方で、自分のスキルや実績が収入に直結します。専門性が高く、需要のあるスキルを持つ人ほど、高単価の案件を獲得しやすく、正社員よりも高収入を得られる可能性も高まります。特に、人材不足とされるエンジニア系の職種では、月に70万円以上、中には100万円以上の案件を複数こなしている人も存在します。ただし、営業活動や価格交渉も自分で行う必要があり、こうした対応力も収入を左右する重要な要素となります。特に未経験からスタートした場合やスキルが不足している場合には、仕事の獲得が難しく、より収入が不安定になるリスクもあります。また、病気や家庭の事情などで働けなくなると、そのまま収入がゼロになる可能性もあります。フリーランスは、収入が青天井である反面、大きな変動リスクと隣り合わせである点には注意が必要です。【保険料】正社員とフリーランスの特徴を比較続いては、毎月の手取り額にも大きく影響する「保険料」に注目します。正社員とフリーランスとでは、保険制度の内容や負担額が大きく異なります。社会保険の仕組みは、毎月の手取り額に大きく影響するため、働き方を選ぶうえで無視できないポイントです。正社員:半分負担する正社員の場合は、健康保険や厚生年金に加入します。保険料は、会社と本人で折半されるため、自己負担が大幅に抑えられます。例えば、東京都に住む標準報酬月額30万円の正社員の場合は、各保険料は以下の通りです。【健康保険】保険料全額:30万円×9.91%=29,730円(月額)本人負担額:29,730円÷2=14,865円(月額)【厚生年金】保険料全額:30万円×18.3%=54,900円(月額)本人負担額:54,900円÷2=27,450円(月額)健康保険と厚生年金のいずれの保険料も、「標準報酬月額*×保険料率」で求められます。*社会保険料を計算する際に使われる基準となる報酬額。毎月の給与や各種手当の合計額を、1〜50等級(厚生年金は1〜32)に区分した等級に当てはめて決定する。健康保険の保険料は、全国健康保険協会(協会けんぽ)だと都道府県ごとに異なり、東京都は9.91%です。厚生年金の保険料は、18.3%をかけて算出できます。また、保険料は給与から自動で天引きされるため、自分で手続きや納付の管理をする必要がなく、支払い漏れの心配もありません。配偶者や子どもなどを扶養に入れられる扶養制度も整っており、家族全体の保険料負担を軽減する仕組みがあるのも大きなメリットでしょう。正社員は、保険制度が手厚く、費用面でも安心して利用しやすい環境が整っています。フリーランス:全額自己負担フリーランスは会社に属していないため、健康保険や年金は自分で加入・管理する必要があり、保険料も全額自己負担となります。具体的には、国民健康保険と国民年金への加入が基本となります。国民健康保険は、自治体ごとに計算方法や保険料率が異なるほか、前年の所得に応じて決まるため、所得が上がるほど負担も大きくなります。対して、国民年金は一律1ヶ月あたり17,510円(2025年度)です。例として、標準報酬月額30万円の正社員と同等の収入を得ているフリーランスの保険料を見てみましょう。【国民健康保険】保険料:352,180円(年間)÷12=29,348円(月額)※全額個人負担▼参考:令和7年度国民健康保険料早見表|世田谷区【国民年金】保険料:17,510円(月額)※全額個人負担【条件】東京都世田谷区在住35歳同居家族・扶養なし年収420万円(経費100万円)【備考】標準報酬月額30万円の正社員の年収は「月額30万円×12ヶ月+ボーナス(年2回)」をもとに計算中小企業の一般的なボーナス(各1ヶ月分)を加味また、フリーランスは保険料の支払い手続きなども自分で行わなければならず、計画的な資金管理が求められます。さらに、老後の保障を充実させたい場合には、任意で上乗せの制度に加入する必要があります。国民年金基金や付加年金に加入すると、将来受け取る保険料を上乗せできますが、その分だけ保険料の負担も増えます。フリーランスは、保険制度の選択肢が少し広がる一方で、管理の手間や費用の負担は正社員よりも大きくなる傾向があります。▼関連記事:フリーランスが加入できる健康保険は?国民健康保険料を抑えるコツやおすすめの制度も紹介▼関連記事:フリーランスが加入する国民年金とは?将来の年金受給額を増やす方法も解説【税金】正社員とフリーランスの特徴を比較税金のことを考えると、「正社員の方が楽そう」「フリーランスは難しそう」と感じる人が多いかもしれません。特に節税の自由度や手続きの手間は立場によって大きく異なります。ここでは、正社員とフリーランスの税金まわりの違いを分かりやすく解説します。正社員:基本的に節税対策はできない正社員は、年末調整が行われるため、確定申告の手間もなく、税金に関して複雑な作業をする必要はありません。便利な反面、自分で節税を心掛けられる余地は少なくなります。年末調整では、基本的に生命保険料控除や配偶者控除など、会社が定めた一部の控除しか反映されません。また、正社員は、給与収入から給与所得控除という概算経費が自動的に差し引かれる仕組みになっています。例えば、会社の規定を超えた通勤費や資格取得費、図書費、職務上必要な衣服費など、実際にかかった経費を個別に申告することはできず、課税所得を抑えられません*。正社員は税金面での負担は少ないものの、節税の工夫がしづらいという特徴があります。*ただし、例外として業務に直接必要な特定の支出が、給与所得控除額の1/2を超える場合は、超えた部分について追加で経費計上できる(給与所得者の特定支出控除)。フリーランス:節税対策ができるフリーランスは、業務に必要な支出を経費として計上でき、課税対象となる所得を調整できます。例えば、PCや書籍の購入費や通信費、打ち合わせで使用した飲食店利用料などが経費になります。さらに、確定申告で青色申告を選べば、最大で65万円の特別控除が受けられるなど、節税に有利な制度も多く用意されています。もちろん、帳簿付けや確定申告などの作業は必要になりますが、その分、自分で収支を管理できるというメリットがあります。ただし、フリーランスの中には、正社員にはない以下の納税義務が生じる人もいます。税金の種類内容個人事業税法律で定められた70の業種(法定業種)で事業を営む個人事業主が課税対象となる。税率は業種ごとに異なり、3%・4%・5%のいずれかで、事業所得が年間290万円を超える部分に課税される。消費税原則として、2年前の課税売上高が1,000万円を超えた場合、または前年の1月1日〜6月30日の課税売上高が1,000万円を超えた場合に課税対象となる。そのほか、インボイス制度(適格請求書発行事業者)に登録した場合なども、売上規模にかかわらず課税事業者となる。税率は原則10%。フリーランスは、税制の仕組みをうまく活用できれば、正社員よりも実質的な手取りが多くなるケースもあります。ただし、業種や売上などによっては正社員よりも負担感が増えることは押さえておく必要があります。▼関連記事:フリーランス・個人事業主の節税対策11選!税金の基礎知識も解説【手取り】正社員とフリーランスの特徴を比較実際に手元に残る金額(=手取り)は、多くの人にとって最も気になるポイントでしょう。いくら年収が高くても、税金や保険料で多くが引かれてしまうと、生活にゆとりが生まれにくくなります。ここでは、正社員とフリーランスで手取り額にどのような違いがあるのかを解説します。正社員:安定している一般的に、正社員の手取りは収入の8割程度といわれています。これは、正社員が保険料や税金が給与から自動的に引かれる仕組みであり、かつ企業が保険料を半分負担してくれるため、実質的な負担が抑えられているためです。さらに、通勤手当や住宅手当など、福利厚生が手厚い企業も多く、これらを含めると手取りはさらに高くなることもあります。ただし、正社員が手取りをさらに増やすには副業などの収入源を持つ必要があり、本業だけで大きな増収を目指すのは一般的に困難です。安定性は魅力ですが、飛躍的な収入アップを望むには限界があるといえます。フリーランス:実力と工夫で変わるフリーランスは、収入に対する手取りの割合が、一般的に6〜7割程度といわれています。これは、フリーランスが保険料や税金を全額自己負担するためで、初期のうちは「思ったより手元に残らない」と感じることもあるでしょう。しかし、必要経費をしっかりと管理し、節税制度を活用すれば、結果的に手取りを増やせます。また、スキルを高めて単価の高い案件を受けられるようになれば、年収そのものを大きく伸ばすことも可能です。つまり、フリーランスの手取りは、自分の実力と工夫によって大きく変動するといえます。▼関連記事:【早見表】フリーランスの手取りを年収・月収別に紹介!計算方法や節税・手取りを増やす方法も【福利厚生】正社員とフリーランスの特徴を比較続いて、働き方によって受けられる福利厚生の違いに注目します。収入だけでは比較しきれないお得さは、保険や休暇制度といった目に見えにくい部分にも表れます。正社員とフリーランス、それぞれの制度の違いを理解することで、自分に合った働き方を見つけやすくなります。正社員:手厚い制度を受けられる正社員は、自分で準備しなくても会社側が多様な福利厚生や制度を提供してくれるため、少ない負担で充実した保障を受けられます。例えば、健康保険や厚生年金といった社会保険は、会社が保険料の半分を負担してくれるうえに、年金はフリーランスが加入する国民年金に比べて、将来的な受け取り額も高くなります。また、有給休暇や産休・育休制度が整備されており、比較的安心して休みを取れる環境があるのも特徴です。さらに、会社によっては住宅手当や交通費支給、企業年金制度などの独自の福利厚生が用意されていることもあります。特に、大企業では制度が手厚く、保養施設の利用や社員食堂の補助といった支援も受けられるため、実質的な生活費の負担が軽減されることも少なくありません。正社員は、会社側のサポートを受けながら安心して働けるという点でメリットが大きいといえます。フリーランス:自分で備えないといけないフリーランスは、原則として福利厚生がないため、万が一の事態に備えるには自分自身で制度や保険を整える必要があります。健康保険や年金は、国民健康保険と国民年金が基本となり、全額自己負担です。正社員のように保険料を負担してくれる存在はないうえに、将来受け取れる年金額も正社員より大幅に少なくなります。そのため、国民年金基金などに加入して受給額を増やす対策が必要です。また、有給休暇や育児・介護休業といった制度も適用されないため、働けない期間がそのまま収入の減少につながります。労災保険に特別加入することで休業補償を受けることも可能ですが、任意加入であるため手続きを自分で行う必要があります。病気やケガ、老後に備えるには、民間の保険や積立制度などを活用して、自ら準備を進めておくことが欠かせません。フリーランスとして働く場合は、収入から将来への備えを差し引いたうえで生活設計を立てることが求められます。管理の手間やコストも伴うため、福利厚生のお得感は得にくいでしょう。▼関連記事:フリーランスも利用できる福利厚生サービス13選!選ぶポイントや注意点を解説【自由度】正社員とフリーランスの特徴を比較ここでは、働き方の自由度に焦点を当てて比較します。お金の多さだけではなく、「どこで、いつ、どう働くか」を重視する人にとって、自由度の違いは非常に重要なポイントです。ライフスタイルや価値観によって理想の働き方は変わるため、自分に合ったバランスを見極めることが大切です。正社員:自由度が低い正社員は、勤務先の規則に従って働く必要があるため、働き方の自由度はあまり高くありません。出勤時間や勤務地、職種の異動や部署変更などは会社によって決められており、自分の都合で変更するのは難しいのが一般的です。また、副業が認められていない会社も多く、本業以外で収入を得たい場合には制限がかかることもあります。プロジェクトの内容や業務の進め方も、上司や会社の方針に従う必要があり、自分でコントロールしにくい側面があります。フリーランス:自由度が高いフリーランスは、働く時間や場所、仕事の内容まで自分で選べるため、自由度の高さが大きな魅力です。朝型の人は早朝から稼働して午前中に仕事を終わらせることができ、夜型の人は自分のペースで夜に作業することも可能です。また、自宅での作業に限らず、カフェやコワーキングスペース、あるいは旅先からでも仕事ができるのは、フリーランスならではのメリットです。さらに、どの仕事を引き受けるか、どのクライアントと付き合うかも自分で決められるため、自分の価値観や得意分野に合った働き方ができます。家族との時間を優先したい人や、地方に住みながら都心の案件を受けたい人など、ライフスタイルに合わせた柔軟な選択が可能です。ただし、自由な反面、納期管理や収入の波に備える自己管理能力が求められます。スケジュールを調整する力や自分を律する力がなければ、仕事とプライベートのバランスを保つのが難しいかもしれません。▼関連記事:フリーランスはどんな働き方をする?リアルなスケジュールや働く時間・場所などを徹底解説正社員とフリーランスどっちがお得?向いている?ここまで、正社員とフリーランスの年収や手取り、社会保険などの違いを見てきました。ただ、どちらが「お得」と感じるかは人それぞれです。数字だけでは決められない部分も多く、自分に合った働き方を選ぶには、もう少し自分自身のことを知っておく必要があります。そこで、正社員とフリーランス、それぞれに向いている傾向を判断できるチェックリストを紹介します。働き方を選ぶヒントとして、軽い自己診断のつもりで試してみてください。【チェックリストA】収入や仕事量の波に左右されず、安定した暮らしを重視したい1人で何かを始めるのは気が進まない上司や先輩からのフィードバックがある方が仕事をしやすい昇進や昇給など、組織内でのステップアップに魅力を感じる組織に属していること自体に安心感があるチーム全体で動く仕事の方がやりがいを感じる福利厚生や制度の整った環境を大切にしたいトラブルや困ったことがあったとき、相談できる相手が近くにいる方がよい決められた役割や職務のなかで力を発揮しやすいタイプだと思う成果を上げることよりも、過程や人との関係性を大事にしている【チェックリストB】年功序列や社内の力関係にしばられるのは苦手だ成果やスキルはしっかり評価されたい仕事を通じて得たいのは「安定」よりも「成長」だ収入が月によって変わっても、なんとかやりくりできる自信がある他人のスケジュールに縛られすぎるとストレスを感じやすい仕事上の人間関係は、必要最小限でも構わないと思っている自分の行動に責任を持ちたいタイプだが、誰かに管理されるのは苦手仕事を請けるかどうかを自分で選べる自由さに魅力を感じる1人で集中する時間が多い方が力を発揮しやすい「今のスキルで一生食べていけるか?」を自分自身で常に問い続けたい【結果】チェックリストAでYesが多い:正社員向き安定性や協調性を重視した正社員としての働き方が合っています。長く安心して働ける環境や、制度の整った会社でのキャリア形成がおすすめです。チェックリストBでYesが多い:フリーランス向き自由や自律性を大切にしたフリーランスとしての働き方が合っています。自分の力で収入や仕事の内容を決められる点にやりがいを感じられるでしょう。どちらもバランスよくYesがある:ハイブリッド型副業や業務委託など、両方を組み合わせるスタイルから試してみると、自分に合った働き方を見つけやすくなります。【体験談】フリーランスと正社員の行き来は可能正社員からフリーランスに転身するのはもちろんのこと、フリーランスから正社員への転身も十分に可能です。フリーランスから正社員、または正社員からフリーランスへの移行は、キャリアを広げる有効な選択肢の1つです。実際に筆者自身も、これまで以下のように幾度となく正社員とフリーランスを行き来してきました。【筆者の経歴】新聞記者(新卒:正社員)海外でフリーランスライター人材会社の営業(正社員)フリーランスライターコンテンツディレクター(正社員)フリーランスライター(現在)転身の回数は多い方かと思いますが、それを採用側にネガティブに捉えられたことはなく、転職活動や新規案件の獲得で苦戦した経験はほとんどありません。また、複数の会社で「正社員↔︎フリーランス」を繰り返してきたことで、携わっているジャンルの専門性が深まり、キャリアアップや年収アップが叶っています。ただし、単に「収入を安定させたいから正社員になろう」「自分の好きなように働きたいからフリーランスになろう」とだけ考えていると、思うようにキャリアアップができないだけでなく、転身自体が失敗する可能性もあるため注意が必要です。フリーランスから正社員になるために意識すべきこと企業の中には、即戦力となるスキルや、自ら仕事を掴みにいく姿勢を評価し、フリーランス経験を前向きに受け取ってくれるところも多くあります。これは、裁量が大きく、自分1人で仕事を進行できるフリーランスならではの強みです。実際、筆者が正社員転職に成功した際、採用担当だった上長に聞いたところ、フリーランスとして活動した経験は、「馬力が高そう」と評価してもらえ、ライバルだったほかの正社員の転職希望者よりも有利に働いたようです。ただし、場合によっては、フリーランスの協調性や組織への適応力については慎重に見られる可能性もあります。「個人プレーだけでなく、チームで成果を出せるか」「組織に定着してくれるか」という点は重視されがちです。そのため、フリーランスから正社員へ転身する場合は、以下の3つのポイントを押さえることが重要だと感じています。実績と対応力をできるだけ具体的に伝えるフリーランスから正社員になる際には、「どのような案件を、どの規模で、どのような成果につなげたか」を整理することが重要です。そのうえで、「売上を◯%伸ばしたプロジェクトに関与」など、客観的に成果を伝えることが企業側の信頼につながります。【筆者の場合】Webメディアで、毎月複数ライターを統括して20本の記事の編集を担当SEOを意識したライティングで上位獲得経験が複数ありライティングに対する熱量を存分にアピール組織で働く適性をしっかりアピールする過去にチームで動いた経験や、クライアントとのやり取りで築いた信頼関係などを具体的に伝えると、組織への適応力を示しやすくなります。【筆者の場合】スムーズな納品とクライアントからの評価をアピールし、一緒に働きやすいことをイメージ喚起面接では話しやすい雰囲気作りを意識し、面接官と会話をするよう注力正社員に転職したい理由と今後のビジョンを明確にするなぜ裁量のあるフリーランスから会社勤めを希望するのか、納得のいく、かつポジティブな理由を考えます。安定志向のみに見えると、懸念される場合があるため注意が必要です。【筆者の場合】複数人で戦略的にコンテンツをつくり上げる経験を深めたい企画や運用など上流から携わる立場に就いてスキルアップを図りたいマネジメントではなく、特定の分野のエキスパートとして現場で活躍したい(フリーランスでは叶えにくい、具体的なジャンル・テーマを明示)正社員からフリーランスになるために準備すべきことフリーランスとして独立するためには、正社員のうちから準備を始めておくことが非常に重要です。単に「自由そう」といった漠然としたイメージだけで動くと、不安定さなど思わぬ壁に直面しやすくなります。正社員からフリーランスに転身する際に、準備・意識するべきことは以下の通りです。在職中に副業を始める退職後にイチから営業を始めるのはハードルが高いため、在職中に独立後にもつながる副業を開始し、人脈の形成と実績を積み重ねるとよいでしょう。【筆者の場合】退職3ヶ月前からポートフォリオと履歴書を整理し、ライター関係の案件を探して応募退職2ヶ月前には独立後の仕事を確保し、在職中にトライアル稼働をスタート以降、営業活動はゼロ自分の市場価値をしっかり見極める自分が「何ができるのか」「どの分野で価値を提供できるのか」「どんな成果を出してきたのか」を整理します。そのうえで、報酬相場を調べて妥当な金額を設定しましょう。特に、フリーランス駆け出しの頃は「仕事を受けてもらえるだけありがたい」と考え、相場より大幅に安い報酬で引き受けがちです。しかし、一度安く受けてしまうと、その金額が「当たり前」と見なされ、単価を上げにくくなります。安請け合いすると後々苦しくなるため、しっかりキャリアを棚卸して、適切な対価を設定しましょう。【筆者の場合】これまでどのようにライターとしての実績を積み、仕事のレベルを上げてきたかを整理「キーワード検索1〜3位の記事」「編集者として毎月大量に回していたメディアの記事」「取材記事などの需要が大きい記事」を選定し、求人サイトやSNSで単価をチェック「〇円以下は受けない」とボーダーを設置フリーランスになりたい確固たる軸を立てるフリーランスを目指す軸があることで、受けるべき仕事の判断や営業方針もブレず、長く安定して活動しやすくなります。【筆者の場合】自分と家族の時間を大切にしつつ、年収アップをかなえるために独立「単価はよくても、稼働時間が固定されている」など、どちらかが障害される案件は、辞退または交渉してQOL向上を図る社会保険や税金の仕組みを理解するフリーランスになるために、国民健康保険や国民年金への切り替え、確定申告の準備など、最低限の知識を持っておくことは非常に重要です。知識があることで、節税や社会保険の節約にもつながります。特に、開業届の提出や青色申告の申請、国民健康保険や国民年金への切り替え手続きなどは、早期に行うことが重要です。早めに行うことで、支出を抑えられるため、忘れないうちに手続きを行いましょう。【筆者の場合】健康保険・年金・開業届の手続きを早期に対応国民年金は一定期間分をまとめて納めることで保険料を抑えられるため、後回しにせず一括納付正社員とフリーランスを兼業・掛け持ちする選択肢もここでは、正社員として働きながら、フリーランスとしても活動するという働き方に注目します。副業解禁の流れを受け、企業に勤めながら別の分野でスキルを活かす人は増えています。正社員とフリーランスの「いいとこ取り」ができる働き方に興味がある人は、メリットとリスクをしっかり理解しておきましょう。正社員とフリーランスを掛け持ちするメリット【メリット】安定した収入や社会保険をキープしながら副収入を得られるスキルや専門性を深められる節税効果を見込める正社員として働きながら、フリーランスとして副業をする最大のメリットは、安定した収入や手厚い社会保険をキープしながら、副収入を得られる点です。生活に余裕が生まれるだけでなく、将来に向けた備えもしやすくなります。さらに、フリーランスとして取り組む仕事を通じて、自分のスキルや専門性を深めることも可能です。会社では経験できないジャンルの仕事に挑戦することで、新たな知識や実践力が身につきます。そのため、本業での業務の幅を広げたり、転職やキャリアアップの際にも強みになったりします。また、開業届を出して事業として活動すれば、必要経費を差し引いて確定申告ができるため、節税の効果も見込めます。もしフリーランスの収入が赤字になった場合でも、損益通算によって税負担を軽くできるケースがあります。将来的に独立を考えている人にとっては、正社員の安定を確保しつつ、営業力や確定申告などの実務経験を積むチャンスにもなります。いきなり独立するのではなく、準備期間としてフリーランス活動を並行することで、リスクを抑えて着実にステップを踏めます。正社員とフリーランスを掛け持ちするデメリット・リスク【デメリット】時間や体力などの自己管理が求められる確定申告が必要になる正社員とフリーランスの掛け持ちを成功させるには、時間や体力などの自己管理が非常に重要になります。特に、仕事量が増えすぎると、疲労がたまって本業に支障が出てしまうリスクもあるため注意が必要です。そのため、副業を行う際は、「いつどれくらい作業するか」を実生活に当てはめたうえで入念にシミュレーションすることが大切です。無理に詰め込みすぎると、プライベートの時間が減り、心身の負担が大きくなります。また、フリーランスとしての所得が年間20万円を超えた場合は、確定申告も必要になります。帳簿付けも行う必要があるため、日々のお金の管理をしっかり行って確定申告に備えることで、納税トラブルを回避しつつ、節税につなげられます。▼関連記事:会社員とフリーランスは掛け持ちできる!成功させるコツや確定申告の注意点などを解説フリーランス・副業案件を探すときはSOKUDANがおすすめフリーランスや副業の案件を探すときにおすすめなのが「SOKUDAN」です。SOKUDANは、フリーランス・副業案件を豊富に取り扱うマッチングサイトで、次の3つの特徴があります。週1日~稼働OKの案件多数リモート案件率92%平均時給4,500円SOKUDANは、正社員の仕事と掛け持ちしやすい、週1日から稼働OKの案件が豊富です。さらに、リモート案件率92%のため、スキマ時間を活用できる案件を見つけやすいです。また、取り扱い案件の平均時給が4,500円と高単価のため、短時間でもしっかりと収入を得られます。SOKUDANは無料で登録・利用できるため、フリーランス・副業案件を探している人は、ぜひチェックしてみてください。▼SOKUDANのフリーランス・副業案件一覧▼SOKUDANの土日稼働OKの案件一覧▼SOKUDANの経験少なめOK案件一覧まとめ正社員は有給休暇や育児休暇、企業によっては住宅手当や交通費支給もあり、働くうえでの安心感が高いのが特徴です。また、年金や健康保険の負担も会社が一部負担してくれるため、手元に残るお金の安定性が期待できます。対してフリーランスは、自分の裁量で仕事を選び、働く時間や場所も自由に決められるため、自由度を求める人には魅力的です。ただし、病気やケガの際の保障や収入の安定は自分で備えなければならず、自己管理力が求められます。近年は、働き方の多様化が進み、正社員を続けながら副業的にフリーランス活動をする人も増えています。大切なのは、どちらがお得かを重視するよりも、自分が無理なく長く続けられる働き方を見つけることです。新しい一歩を踏み出す勇気を持ち、じっくり自分に合った選択をしてください。