フリーランスという働き方が一般的になり、個人で働くハードルは以前より低くなっています。しかし、なかには「フリーランスになって自分で社会保険料を支払い続けられるだろうか」「フリーランスになっても、配偶者の扶養に留まれるだろうか」などの不安や疑問を抱く方も多いのではないでしょうか?結論からお伝えすると、フリーランスになっても扶養内で働くことは可能です。しかし、扶養内で働くためには年収の条件があります。また、扶養内でフリーランスとして働く際に必要な手続きをしっかり理解しておく必要があります。今回は、フリーランスが扶養内で働くための、いわゆる「年収の壁」に関する条件をはじめ、扶養内で働くメリットやデメリット、必要な手続きなどを分かりやすく説明します。▼関連記事:フリーランスは配偶者の扶養に入れる?収入の条件や必要な手続きなどを解説フリーランスが扶養内で働く際に知っておきたい「年収の壁」とは?フリーランスが扶養内で働くためには、必ず守らなければならないラインがあります。それが、一般的に「年収の壁」といわれているものです。扶養とは?そもそも扶養とは、1人で生計を立てるのが困難な人が、親族から経済的な援助を受けることを意味します。具体的には、税金や社会保険料を控除(一定の金額を差し引くこと)することで、扶養に入る側の経済的な負担を抑えたり、扶養する側の税金課税対象金額を控除して納税負担を減らしたりできます。そのため、一定額以上の収入を得ると、扶養内にとどまることができなくなり、扶養から外れて自ら納税や保険料を納める必要が生じます。それが「年収の壁」と呼ばれるものです。一般的に知られる年収の壁としては以下の4つがあります。103万円の壁年収が103万円を超えると、自分の給与に所得税がかかる106万円の壁パート・アルバイト先の企業規模によっては、年収106万円以上で社会保険への加入義務が発生する130万円の壁年収130万円以上で、社会保険への加入義務が発生する150万円の壁パート・アルバイトなどの給与所得者が配偶者特別控除を満額適用されるまた、扶養には「税制上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2種類があります。税制上の扶養:所得税や住民税の負担が軽減される社会保険上の扶養:健康保険や厚生年金といった配偶者の社会保険に自己負担なしで加入できるこの2つの大きなメリットを受けるために、扶養内で働く人はそれぞれの「年収の壁」を意識する必要があるのです。税制上の扶養は103万円が基準103万円の壁とは、パートやアルバイトとして働いている人の年収が103万円を超えた場合に、家族の扶養から外れて住民税(全国一律10%)や所得税(累進課税)を納めなければならなくなる「壁」です。103万円は、給与所得者に認められている「基礎控除(48万円)」と「給与所得控除(55万円)」を合計した金額です。つまり、103万円の壁は給与所得者に関係する壁であり、フリーランスにとってはあまり関係がありません。フリーランスの所得税と住民税は、「給与収入」ではなく「所得」で計算されるためです。社会保険上の扶養は130万円が基準配偶者の扶養内にいる人は、自己負担なしで家族が加入している健康保険と年金に加入できます。この場合も年間の収入に制限があり、以下のように勤め先の企業によって要件が異なります。企業規模扶養から外れる年収の基準勤め先の従業員数が101人以上の場合年収106万円未満勤め先の従業員数が101人以下の場合年収130万円未満フリーランスは個人のため、130万円が基準となります。なお、健康保険の加入者が75歳を迎えると、自動的に後期高齢者医療制度に移行します。後期高齢者医療制度では、1人ひとりが被保険者となって保険料を納める必要があり、扶養という概念がなくなります。そのため、75歳を過ぎてもフリーランスとして働く場合は、社会保険上の扶養からは外れることも覚えておきましょう。扶養内で働きたいフリーランスは年間所得95万円・113万円・130万円を意識続いては、扶養内で働くフリーランスは年間いくらまで稼げるかを詳しくみていきましょう。誤解されやすい「収入」と「所得」の違い、そして扶養内で働くことによってどのくらいの税金や社会保険料が控除されるのかが分かれば、イメージしやすくなるでしょう。扶養内で働くフリーランスが意識したい「年間所得」とは?フリーランスが扶養内で働くためには、それぞれの年間所得の壁を意識する必要があります。収入と所得には以下のような違いがあります。【収入と所得の違い】収入:働いて稼いだ金額の総額所得:収入から必要経費や控除額を差し引いた金額フリーランスの場合は、事業によって得られた売上が「収入」となります。そして、収入から必要経費を差し引いたのが「所得」です。さらにフリーランスの場合は、控除額も差し引くことが可能です。【フリーランスの所得の計算式】所得=売上ー必要経費-控除例えば、フリーランスとして事業を行い、年間売上が200万円だったとします。この場合、収入は200万円です。事業を行うには、事務所の家賃や光熱費、仕入れの費用や交通費などが発生します。それらを全て合わせたのが「必要経費」となります。仮にここでは、必要経費が1年間に80万円かかったとしましょう。さらに、フリーランスが青色申告の特別控除を受けた場合は、特別控除として最大65万円を差し引くことができます。つまり、この場合の所得は、以下の通りになります。200万円(売上)ー80万円(必要経費)ー65万円(控除)=55万円(所得)売上が200万円あると、扶養の年収ラインを超えているように感じるかもしれません。しかし、経費や控除額を加味すると所得は55万円となるため、扶養内にとどまれることになります。この「収入」と「所得」は、扶養内で働くフリーランスにとって大切な概念なので、しっかり理解しておきましょう。年間所得95万円以下で配偶者特別控除が適用されるフリーランスが扶養内で働くことで、家族にもメリットがあります。年間所得が95万円以下であれば、フリーランスではない配偶者(納税者本人)に配偶者特別控除が満額適用されます。配偶者特別控除とは、納税者本人の所得に一定額の控除が認められる制度です。ただし、配偶者特別控除を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。控除を受ける配偶者の年間所得が1,000万円以下であること民法上の配偶者であること(事実婚は不可)生計を共にしていること配偶者が青色申告または白色申告の事業専従者ではないこと(フリーランスの家族従業員でないこと)配偶者特別控除は、扶養内で働くフリーランスの年間所得が48〜95万円以下の場合に適用されます。また、年間所得が48万円以下の場合に適用される「配偶者控除」という制度もあります。いずれも控除額は38万円です。所得が95~133万円以下の場合は、金額の増加に応じて控除額が減少します。そのため、配偶者特別控除を最大限受けられる年間所得95万円以下が1つの基準となります。年間所得113万円以下で所得税が免除される控除には、誰でも一律で受けられる「基礎控除」があります。(年収2,500万円を超える人は対象外)基礎控除の金額は、年間所得金額が2,400万円未満の場合は48万円です。また、フリーランスが青色申告で確定申告を行う場合には、さらに65万円の「青色申告特別控除」が適用されます。つまり、48万円+65万円の合計113万円を、年間の売上から差し引いて申告可能です。これにより、年間収入が113万円未満の場合、所得は自動的に「0円」になるため、所得税が免除されることになります。ただし、青色申告で65万円の特別控除を受けるには、以下の2つの要件を満たす必要があります。要件を満たさない場合、青色申告特別控除額は55万円となるので注意しましょう。e-Taxを利用して申告書と青色申告決算書を提出すること電子帳簿保存法に対応する会計ソフトを使って記帳し、電子帳簿保存の承認申請書を税務署に提出することまた、住民税にも基礎控除があり、限度額は「43万円」です。青色申告を行うフリーランスの場合は、青色申告特別控除の65万円を差し引くことができるため、43万円+65万円=108万円未満であれば住民税が控除されます。年間所得130万円未満で社会保険が免除される年間所得が130万円未満であれば、配偶者の社会保険に自己負担なしで加入できます。なお、基礎控除や青色申告特別控除は差し引けないので注意しましょう。会社員が加入する健康保険と厚生年金は会社と折半ですが、フリーランスが加入する健康保険と国民健康保険の保険料は全て自己負担です。フリーランスにとって国民健康保険と国民年金の保険料の負担は大きく、扶養内で社会保険料が免除されるのは大きなメリットといえるでしょう。そのため、フリーランスとして継続的に収入が得られるかどうか不安な間は、年間の収入(純利益)を130万円にとどめておいた方が安心できるのではないでしょうか。フリーランスの仕事が軌道に乗ってきた頃に、国民年金保険料の額や医療費の負担軽減分などを鑑みながら、扶養から外れてでも収入を増やすかどうかを検討するとよいでしょう。フリーランスが扶養内で働くうえで知っておきたいメリット・デメリットフリーランスが扶養内で働くべきかどうかは、メリットだけでなく、デメリットを十分踏まえたうえで検討することが重要です。詳しくみてみましょう。フリーランスが扶養内で働くメリットフリーランスが扶養内で働く最大のメリットは、税金や社会保険料の負担がなくなる点でしょう。年間所得が130万円未満であれば、配偶者の健康保険と国民保険に自己負担なしで加入できます。年間の売上が113万円未満で青色申告特別控除が適用されれば、所得税も非課税となります。また、年間所得が95万円以下なら、扶養している側の配偶者にも配偶者特別控除が満額適用されるため、世帯全体が納める税金も節税できることになります。フリーランスはどうしても仕事と収入が不安定になりやすいため、税金や社会保険料を大幅に節約できることは、仕事を続ける上でも大きな安心材料となるでしょう。フリーランスが扶養内で働くデメリットフリーランスが扶養内で働くデメリットは、自分の収入に制限をかける必要がある点です。自分の仕事が軌道に乗ってきたり、興味のある案件が募集されたりしても、扶養から外れないように仕事量をセーブしなければならない点は、大きなストレスとなる可能性があります。また、仕事量が限られると、その分キャリアアップも難しくなります。フリーランスとして収入が少ないうちは、扶養内で働くことには大きなメリットがあります。しかし、仕事が順調になって収入が増やせそうな状況となった場合は、扶養から外れてしっかり稼ぐことを検討するとよいでしょう。フリーランスが扶養内で働く際に必要な手続きフリーランスが扶養内で働くために必要な手続きを順番に確認しましょう。税務署に開業届を提出する開業届は、正確には「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。個人事業を開業してから1ヶ月以内に、管轄の税務署に提出する必要があります。なお、扶養に入れるかどうかは年間の収入・所得によって決まるため、開業届を提出しても扶養から外れることはありません。特に、65万円の控除が得られる青色申告特別控除を受けるためには開業届の提出が必須のため、忘れずに提出しましょう。開業届の提出に必要なものは以下の通りです。開業届青色申告承認申請書(青色申告を希望する場合)本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)マイナンバーがわかる書類(マイナンバーカード、マイナンバーが記載された住民票など)印鑑▼関連記事:フリーランスが開業届を出すメリット!不要な場合やインボイス対応も解説▼関連記事:フリーランスは青色申告で確定申告しよう!控除の活用や節税のコツを解説社会保険の加入手続き配偶者の社会保険に加入するためには手続きが必要です。対応は会社によって異なりますが、一般的には会社から「健康保険被扶養者(異動)届」をもらって書類に記入して、会社の担当部署が年金事務所へ提出します。届けに必要な書類は、主に以下のものが求められることが多いでしょう。フリーランスの収入額を証明できる書類(確定申告書のコピーなど)住民票・戸籍謄本などのコピー手続きの詳細は、配偶者が加入している社会保険の案内を参照するか、配偶者の勤め先に確認して抜け漏れがないよう進めましょう。▼関連記事:フリーランス必見!社会保険の基礎と年収別の社会保険料一覧確定申告を行うフリーランスの場合は、扶養内で働く場合でも、毎年2月16日から3月15日までの期間に確定申告を行う必要があります。確定申告をすることでその年の所得税が確定します。確定申告は、特にフリーランスになったばかりの頃は大変に感じるかもしれませんが、還付金が入る可能性もあるため、忘れずに申告しましょう。▼関連記事:確定申告はフリーランスに必須!やり方や必要書類と経費管理のコツ【体験談】扶養内でフリーランスとして働くためにやったこと現在フリーランス7年目の筆者も、以前は扶養内でフリーランスとして働いた経験があります。扶養内で働き続けるために取り組んだポイントがあるので、ここでは3点紹介します。【当時の筆者の状況】・前職は法人営業職で、独立後はライターとして活動・社会保険の扶養内で働くため、2年近く月収を10万円ほどにセーブ①興味のある案件に応募する際は「扶養内で働きたい」ことを伝える応募の時点で扶養内に収めたいと伝えることで、仕事量を抑えやすくなります。もし複数社と取引する場合は、「1ヶ月どれくらい仕事量をこなせるか」だけではなく、「1ヶ月〇万円まで請けられる」という点も伝えることで、実際に稼働し始めた際に作業ボリュームでクライアントとのトラブルを避けられます。特に、ライターのように作業ボリュームによって報酬が変動しやすい職種の人は伝えるとよいでしょう。②クライアントに相談して報酬を月額固定にしてもらう月額の収入が固定されている案件を持つことで、月々の所得計算がとても楽になります。ライターの仕事は、文字量などに応じて原稿1本あたりの報酬が変動するため、扶養から出ないよう調節や計算をするのが大変でした。そのため、1社としか取り引きをしていないタイミングで、「月に〇本の記事を公開する」ことを前提に、クライアントに月々の報酬を扶養上限の固定(約10万円)にしてもらいました。もちろん、全てのクライアントが同様に対応できるわけではありませんが、継続して案件を受注するなどして信頼関係がある程度築けていれば相談の余地はあるかもしれません。ただし、扶養内の固定報酬では仕事の受け方に注意が必要です。扶養から外れたくない意思を逆手にとられ、「ついでにこの軽作業もやってほしい」などと次々と仕事を振られ、固定報酬に見合わない仕事量になる可能性があります。私はその経験があるので、扶養内でも安請け合いしないよう注意しましょう。③興味のある案件を見つけたら報酬や仕事量の調節を打診時々、別の企業から短期案件の相談を受ける機会がありましたが、月額固定(扶養の上限)の案件は継続して請けていたため、ほかの案件を受けると扶養から外れてしまいます。そうならないために以下の対応をとりました。【継続案件のクライアントに対する相談】2~3ヶ月ほど仕事量を若干抑え、月額報酬を2~3万円下げてもらえないかを打診※クライアントの迷惑にならないよう、前提である「記事の公開本数」は担保し、代わりにほぼボランティアで受けていた雑務などの負担を減らしてもらいました。【短期案件のクライアントに対する相談】報酬を一括振り込みではなく、数ヶ月分割して振り込んでもらえるかを相談幸いにも、両社から了承してもらえたため、無事扶養から外れずに複数の案件を請けられました。報酬が月額固定ではなく、さらに契約で本数を担保していない人の場合は、仕事量を減らしたいことを伝えるとよいでしょう。もし報酬の調節が困難になってきたと感じたら、扶養を抜けるタイミングです。既存のクライアントに仕事量を増やせるか相談したり、同時に別の案件を探したりしましょう。扶養内でフリーランスの仕事を探す方法扶養内で働く場合も、フリーランスは自分で仕事を見つけなければいけません。ここからは、扶養内でフリーランスとして働く際の仕事の探し方について一緒に考えてみましょう。クラウドソーシングサイトを活用するクラウドソーシングサイトは、仕事を外部に発注したい企業と、仕事を探しているフリーランスを結ぶサービスです。初心者も応募しやすい案件も多いほか、職種や稼働期間など多様な案件が募集されているため、自分の希望に合うものが見つかりやすいでしょう。また、自分のスキルや経歴を記載したポートフォリオを作成しておけば、企業側からスカウトや相談を持ちかけられることもあります。ぜひ、定期的に自分の強みをブラッシュアップしてアピールしましょう。▼関連記事:クラウドソーシングとは?副業や在宅ワークで稼ぐための始め方ガイド▼関連記事:おすすめのクラウドソーシングを総まとめ!求人検索サイトを活用する求人検索サイト(求人検索エンジン)とは、求人情報のみを掲載しているサイトです。幅広い企業や業種、職種の業務委託案件が登録されているため、自分の職種やスキル、条件などをキーワード入力して、関連する案件を見つけられます。特に業務委託案件は、一般的な求人サイトではなく、求人検索サイトを活用したほうが見つけやすい傾向にあるため、しっかり活用するとよいでしょう。案件マッチングサイトを活用する案件マッチングサイトとは、企業と求職者を直接つなげるサービスを提供するサイトです。クラウドソーシングサイトは案件ごとの案件が多いのに対し、案件マッチングサイトでは委託案件などの募集もあり、特定の企業と継続的に働くことも可能です。案件マッチングサイトでは、企業が求人情報を掲載するだけではなく、企業がフリーランスに対してスカウトをするマッチングが可能なため、自分のスキルや経歴を活かした案件を受注できるでしょう。▼関連記事:フリーランス向け案件マッチングサービスのおすすめ8選〜利用者の声もご紹介〜扶養内でフリーランスとして働くならSOKUDANがおすすめ!扶養内でフリーランスとして働きたい場合は、案件マッチングサイト「SOKUDAN」の活用がおすすめです。SOKUDANには、次の3つの特徴があります。週1日~稼働OKの案件多数リモート案件率92%平均時給4,500円SOKUDANは、ほかの案件と掛け持ちしやすく、扶養内で働きやすい週1日から稼働がOKの案件が豊富です。リモート案件率92%のため、時間を活用できる案件を見つけやすいのも特徴です。また、取り扱い案件の平均時給が4,500円と高単価のため、短時間でもしっかりと稼ぐことができます。扶養から外れる際の検討材料にもなるので、フリーランス案件を探している人はぜひチェックしてみてください。▼フリーランス・副業の案件・求人を探すならSOKUDAN▼SOKUDANのフリーランス案件一覧▼SOKUDANの週1~稼働OK案件一覧▼SOKUDANのリモート案件一覧【おさらい】フリーランスが扶養内で働くためのQ&A最後に、フリーランスが扶養内で働くことについて多く寄せられる質問をまとめました。扶養内でフリーランスとして働くことを検討している人は、ぜひ参考にしてください。青色申告・白色申告どちらにするべき?扶養内で働くフリーランスも、青色申告を行うのがおすすめです。青色申告のメリットとしては以下が挙げられます。【青色申告の主なメリット】青色申告特別控除で最大65万円の控除が受けられる赤字を3年間繰越できる家族への給与を経費として計上できる30万円未満の資産を一度に経費に計上できる白色申告とは、青色申告を行わないフリーランスが確定申告する方法です。青色申告よりも確定申告で記入する項目が少なく、初めての人でも比較的簡単に確定申告を終えられるメリットがあります。ただし、事業所得に対する控除額が10万円のみ、赤字の繰り越しができないといったデメリットもあります。そのほか、白色申告できるボーダーラインは、一般的に年間の合計所得が300万円までとされています。300万円を超えると白色申告でも記帳が義務づけられるため、白色申告のメリットはなくなるでしょう。青色申告をするためには、事前に申請する必要があるほか、特に損益計算書と貸借対照表、付記式簿記など、専門的な知識が必要なものもあります。しかし、最大65万円の青色申告特別控除は扶養内で働くためにも有効なため、ぜひ青色申告を検討しましょう。書類の作成が大変に思えるかもしれませんが、オンラインでも利用できる会計ソフトを使えば、知識がなくても難なく書類を仕上げられます。▼関連記事:フリーランスは青色申告で確定申告しよう!控除の活用や節税のコツを解説▼関連記事:フリーランスにおすすめの会計ソフト8選!選び方・比較ポイントを解説扶養内で働けるのはいくらまで?扶養内でフリーランスとして働くためには、以下の3つの基準を覚えておきましょう。年間所得95万円以下なら、配偶者特別控除の対象となる年間所得が113万円以下なら、所得税が非課税となる年間所得(純利益)が130万円未満なら、自己負担なしで配偶者の社会保険に加入できる開業届は提出するべき?開業届は必ず提出しましょう。開業届を出しても扶養から外れるということはなく、青色申告するためには開業届は必須です。ちなみに、開業届には「屋号」の欄があります。屋号が決まっていない場合や、屋号を付ける予定がない場合は空欄でも構いません。屋号は後からでも変更可能です。開業届は開業してから1ヶ月以内に管轄の税務署に提出するのが原則です。ただし、遅れて出しても罰則はないため、もし出し忘れている方は、この機会に出しておきましょう。▼関連記事:フリーランスが開業届を出すメリット!不要な場合やインボイス対応も解説扶養が外れるタイミングは?基本的には、事業が軌道に乗って年間の所得が130万円を超えそうになったら、扶養から外れるタイミングです。また、「キャリアアップを図りたい」「仕事の幅を広げたい」と思うようになった時も、扶養から外れる準備をする良い機会です。ただし、扶養から外れると、健康保険も国民年金も自己負担となります。全体の年間支出をよく計算したうえで、扶養から外れても損にならないタイミングをしっかりと見極めてください。そのためにはフリーランスの仕事を着実にこなし、継続案件を得ることが重要になります。まとめフリーランスが扶養内で働くためには、「95万円」「113万円」「130万円」それぞれの年収の壁を意識することが重要です。これを超えると、税金や保険料の支払いが必要となったり、配偶者特別控除が満額適用されなくなったりします。フリーランスが扶養内で働くことにはメリットだけではなくデメリットもあるので、自身の働き方をしっかりと踏まえた上で検討することが大切です。いずれにしても、フリーランスが扶養内で働くことは可能なので、制度を上手に活用してフリーランスとしての一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。