働き方の多様化や、副業を解禁する企業の増加で、会社員とフリーランスを掛け持ちする人が増加しています。会社員とフリーランスの掛け持ちとは、フルタイムで会社員として働きつつ、平日の夜や週末などの時間にフリーランスの案件を請け負う働き方です。「副業フリーランス」と呼ばれることもあります。会社員とフリーランスを掛け持ちすることで収入アップが見込めるほか、フリーランスの難点である「収入の不安定さ」や「社会保障の負担が大きい」点をカバーできます。一方で、掛け持ちを始めるためには事前準備などをしっかり把握する必要があります。この記事では、会社員とフリーランスの掛け持ちのメリット・デメリットをはじめ、掛け持ちを成功させるためのポイントや注意点を解説します。▼関連記事:副業フリーランスのメリットや注意点を解説!案件も紹介会社員とフリーランスを掛け持ちする際に必要な準備や手続き会社員とフリーランスを掛け持ちする際には、必要な準備や手続きがあります。手続きを忘れると、スムーズにフリーランスの仕事に取り掛かれないほか、金銭的に損をする可能性があるため事前に確認しましょう。掛け持ちを始める前に行いたい準備会社員がフリーランスとの掛け持ちを始める前に、以下の準備をしておくと確定申告に役立ちます。会計ソフトの選定事業用のクレジットカードや口座の準備名刺の作成会計ソフトを準備しておくと、経理作業が簡略化でき、確定申告をスムーズに進められます。また、事業用の口座を開設すると、本業やプライベートの収支と事業の収支との明確に区別できます。そのほか、取引先や顧客と会う機会が多い仕事を始める人は、名刺の用意を忘れないようにしましょう。▼関連記事:フリーランスにおすすめの会計ソフト8選!選び方・比較ポイントを解説▼関連記事:フリーランスがクレジットカードを作るならビジネスカードがおすすめ!選び方や審査を通すポイントを紹介▼関連記事:フリーランスに名刺は必要!活用場面や記載事項、おすすめのデザイン例を紹介開業届を提出する会社員が継続的にフリーランスの仕事を掛け持ちする場合は、副業であっても本業のフリーランスと同様に、開業届を税務署に提出する必要があります。フリーランスの仕事で継続して収入を得られる見込みがある場合は、事業の開始から1ヶ月以内に開業届を提出しましょう。提出する際に必要なものは以下の通りです。個人事業の開業・廃業等届出書青色申告承認申請書(※白色申告で確定申告する場合は不要)本人確認書類(運転免許証・パスポートなど)マイナンバーカード(または通知カード)印鑑▼参考:A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁▼関連記事:フリーランスが開業届を出すメリット!不要な場合やインボイス対応も解説所得税の青色申告承認申請書を提出する会社員とフリーランスを掛け持ちする場合も、所得税や住民税の納税額を確定させるために確定申告を行う必要があります。青色申告で確定申告をする最大のメリットは、所得控除額が最大65万円受けられ、税負担を軽減させられる点です。白色申告では控除が10万円までのため、青色申告を行うメリットは大きいといえるでしょう。青色申告の65万円の控除を受けるためには、「所得を複式簿記で帳簿している」「e-taxで確定申告を行う」などの条件を満たす必要があります。また、青色申告は損失の繰越も可能となるため、最大3年間は過去の損失を相殺できたり、専従者給与を経費計上できたりします。青色申告承認申請書は、確定申告をしようとする年の3月15日まで、または事業開始から2ヶ月以内に提出する必要があります。▼関連記事:フリーランスは青色申告で確定申告しよう!控除の活用や節税のコツを解説確定申告を行うフリーランスや副業の年間収入が20万円以上の場合は、確定申告を行います。確定申告は、1~12月に生じた所得をもとに、所得税などの金額を計算して確定させ、翌年2月16日~3月15日に税務署へ申告する手続きです。フリーランスの報酬から源泉徴収されていた場合は、確定申告をすることで税金が還付される可能性が高いため、確定申告を行って還付金を受け取りましょう。▼関連記事:確定申告はフリーランスに必須!やり方や必要書類と経費管理のコツ▼関連記事:副業所得が20万円を超えたら確定申告が必要!初めてでも分かる経費計上の仕方や手続きの流れガイド▼関連記事:フリーランスにとって源泉徴収は重要!計算方法・確定申告のポイントを解説会社員とフリーランスを掛け持ちすると社会保険や税金はどうなる?会社員とフリーランスを掛け持ちすると、社会保険や税金の負担はどのように変わるのかを具体的に見てみましょう。社会保険と厚生年金で変わることはない会社員がフリーランスと掛け持ちを始めても、社会保険と厚生年金に関しては、基本的に変更はありません。これは、副業の収入金額に関係なく、本業である会社員を続けることで社会保険制度上の「主たる事業所」が変わらないためです。つまり、フリーランスの収入が増えたとしても、会社員として加入している健康保険や厚生年金の資格は継続されるため、新たな手続きや追加の保険料支払いは発生しません。▼関連記事:フリーランス必見!社会保険の基礎と年収別の社会保険料一覧税金は収入の増加によって高くなる会社員がフリーランスと掛け持ちすると収入が増加するため、支払う税金の負担も増える可能性が高くなります。所得税は累進課税制度が採用されており、住民税は収入に対して一律10%の税率が適用されます。所得税と住民税の計算式は以下の通りです。【所得税の計算式】収入-経費=所得所得-所得控除額=課税所得金額課税所得金額×所得税の税率(※税率は以下の表を参考)【所得税の税率区分】課税される所得金額税率控除額1,000円~194万9,000円5%0円195万円~329万9,000円10%9万7,500円330万円~694万9,000円20%42万7,500円695万円~899万9,000円23%63万6,000円900万円円~1799万9,000円33%153万6,000円1800万円~3999万9,000円40%279万6,000円4000万円以上45%479万6,000円▼参考:No.2260 所得税の税率|国税庁【住民税の計算式】課税所得金額×税率10%+均等割※均等割:一定額の納付が求められる税金(通常は5,000円)例えば、会社員がフリーランスとして年間100万円の副収入を得た場合(経費20万円)は以下の税額になります。【所得税】100万円-20万円=80万円80万円×5%=4万円【住民税】80万円×10%+5,000円=8,500円▼関連記事:フリーランス・個人事業主の税金の種類!確定申告や納税方法を徹底解説▼関連記事:フリーランスが理解すべき所得税の基礎知識を解説【初めての確定申告でも安心】▼関連記事:フリーランスが知っておきたい住民税の基礎知識!計算・納付方法を解説会社員とフリーランスを掛け持ちするメリット会社員としての安定性を保ちながらフリーランスで働くと、収入アップ以外にもさまざまなメリットがあります。特に、将来的にフリーランスとして独立を目指している方にとっては、会社員とフリーランスの掛け持ちは大きなメリットがあるので、詳しく見てみましょう。手厚い社会保障を受けながら独立準備ができる会社員とフリーランスを掛け持ちする最大のメリットは、会社員の手厚い社会保障を受けながら独立準備ができる点です。基本的にフリーランスは、国民健康保険や国民年金への加入が必要です。会社員は社会保険の保険料を会社と折半できるのに対し、フリーランスは自分1人で支払う必要があるため負担が大きくなります。特にフリーランス駆け出しでは、仕事が安定せず、保険料の負担は大きくなるでしょう。会社員とフリーランスを掛け持ちすることで、本業で安定した収入と手厚い社会保険を確保しつつ、独立を見据えたスキルアップや顧客獲得が可能になります。リスクを最小限に抑えながら、キャリアの幅を広げられるため、安定と挑戦を両立させられると言えるでしょう。収入とスキルアップにつながる会社員とフリーランスを掛け持ちすることで、収入アップはもちろん、スキルアップも叶います。フリーランスでは多様な会社の案件に携われるため、新たな経験や知識を得る機会が増えます。フリーランスで請け負う案件は、本業で身につけたスキルを活かしながら、他の企業のノウハウや最新のトレンドを得られる可能性があります。新しい知識を身につけることで、本業のパフォーマンス向上にもつながるでしょう。将来独立を考えている人はもちろん、会社員として働き続けようと考えている人も、本業とフリーランスを掛け持ちすることで、仕事の質を向上させられる可能性があります。所得税の節税につながる会社員とフリーランスを掛け持ちすることで、所得税を節税できる可能性があります。フリーランスとして活動することで、会社員では申告できない経費を確定申告時に計上可能です。経費として計上が可能な一例として以下が挙げられます。自宅の一部をオフィスとして使用する場合の光熱費や家賃の一部文房具など業務に必要な消耗品データ通信費や電話代経費計上することで、課税対象となる所得を減らして支払う税金を軽減できます。ただし、経費の申告には記録と証明が必要で、正確な申告が求められます。不適切な申告は税務調査の対象となる可能性があるため、不安な方は専門家に相談しながら少しずつ進めるとよいでしょう。▼関連記事:フリーランス・個人事業主なら節税は必須!税金の基礎知識も解説会社員とフリーランスを掛け持ちするデメリット会社員とフリーランスの掛け持ちには魅力的な側面がある一方、デメリットも存在します。「こんなはずではなかった」と後悔しないためにも、あらかじめデメリットを把握しましょう。収入に応じて確定申告をする必要がある会社員とフリーランスを掛け持ちする場合は確定申告が必要です。確定申告は、収入と経費を詳細に記録する必要があり、さらに青色申告をする際は複式簿記を行う必要があります。領収書やインボイスなどの書類は、適切に保管して確定申告に使用しましょう。多くの会社員は、税務手続きを会社の担当部署に一任するため、フリーランスを掛け持ちする多くの方にとって、確定申告は負担となる可能性があります。確定申告は、毎年2月16日から3月15日までに行います。会社員とフリーランスの掛け持ちを検討する際は、この時期に備えて準備し、確定申告のための作業時間をしっかり取りましょう。自由に使える時間が減るフリーランスの仕事は平日の夜間や週末に行うため、家族や友人との時間、趣味に充てられる時間、リフレッシュの時間などはある程度減少することは念頭に置きましょう。また、両方の仕事をこなすことで疲労が溜まる可能性もあり、場合によっては本業のパフォーマンスにも影響が出ることもあります。会社員とフリーランスを掛け持ちする際は、スケジュールに無理なく始められるかどうか、慎重に判断することが重要です。無理のない範囲内で、フリーランスの仕事を徐々に増やしていきましょう。開業した場合は退職後に失業保険が受け取れない会社員とフリーランスを掛け持ちする際に開業届を提出すると、会社の退職後に失業保険を受給できなくなります。失業保険とは、会社員が退職して新しい仕事に就くまでの間に国から支給される手当です。会社を退職してフリーランスになる場合も条件を満たせば失業保険を受給できますが、失業保険を受け取るには、「失業状態」であることが必須条件となります。開業届を提出すると、事業を開始しているため失業中とみなされず、受給資格がなくなります。そのため、独立を考え、会社員のうちに開業届を提出する場合は、退職直後から手当をあてにせず自分1人で稼ぐ力が求められます。▼関連記事:フリーランスになるとき失業保険はもらえる?申請の流れや開業届の注意点などを解説会社員とフリーランスの掛け持ちを成功させるためのポイント会社員とフリーランスの掛け持ちを成功させるために、意識したいポイントが4つあります。知らずに掛け持ちを始めると継続できなかったり、体調に影響が生じたりする可能性があるので注意が必要です。単発の依頼から無理なく始めてみる掛け持ちを始める際は、単発の依頼から無理なく始めましょう。単発の依頼は、一度納品すれば案件を終了できるものなので、比較的スケジュール調整がしやすいというメリットがあります。はじめから継続案件を受注すると、会社員の業務との両立に苦労する可能性が高く、ストレスや疲労が蓄積しやすくなります。例えば、週末のみで完結する短期の仕事や、数時間で終わるタスクなどから始め、自分のペースで仕事量を調整しましょう。WebデザインやWebライティングなどの分野では、単発の仕事が見つけやすい傾向にあります。単発の仕事から少しずつ仕事を増やすことで、フリーランスの仕事の流れや、スケジュール管理を無理なく押さえられます。フリーランスの仕事内容は目的を見据えて慎重に選ぶフリーランスの仕事内容は自身の目的に合わせて慎重に選ぶことが重要です。目的意識をしっかり持つことで、モチベーションの向上につながります。選び方の一例としては、以下が挙げられます。フリーランスとして働く目的選び方のポイント収入アップの場合高単価の案件や短期間で多くの報酬を得られる仕事を選ぶ新しいスキルの習得の場合未経験者歓迎の案件や、さまざまな人と協力したり相談したりしながら進められる仕事を選ぶ独立準備の場合独立後の事業に関連する分野や、クライアントとコミュニケーションを取る仕事を選ぶ時間にメリハリをつけてプライベートの時間も意識する掛け持ちを成功させるためには、時間にメリハリをつけ、プライベートの時間を意識的に確保することがとても重要です。フリーランスの仕事には労働基準法が適用されないため、自分がやろうと思った分だけ“仕事を詰め込む”ことができます。しかし、過度な仕事量は本業への影響が生じるほか、心身の健康を損なう可能性があります。例えば、「平日は2時間まで」「週末は5時間まで」というように、フリーランスの仕事量はしっかり境界線を引くとよいでしょう。時間を意識して効率よく仕事をこなせるうえに、QOL(生活の質)も向上します。会社員と掛け持ちできるフリーランス案件の探し方会社員と掛け持ちできるフリーランス案件の探し方には、大きく分けて、求人サイトを活用する方法と案件マッチングサービスを利用する方法の2点が挙げられます。これらを利用すると、多くの求人のなかから自分にあった仕事を効率的に見つけられます。具体的に活用方法を見ていきましょう。求人サイトを活用する求人サイトには、企業規模や業界を問わず、多様な業務委託案件が掲載されています。自分のスキルや希望に合った仕事はもちろん、掛け持ちに適した案件も効率的に探せます。キーワード検索や条件絞り込みを活用し、自分の専門性や希望する勤務形態に合った案件を効率的に見つけましょう。また、アルバイトの求人サイトも掛け持ちの仕事探しにおすすめです。業務委託案件以外にも、短期や単発の仕事が掲載されているケースが多いため、会社員との掛け持ちに都合のよい案件が見つかる可能性があります。案件マッチングサイトやクラウドソーシングサイトを利用する案件マッチングサイトやクラウドソーシングサイトは、発注したい企業と、仕事を探しているフリーランスを取り持つサイトです。案件マッチングサイトは、比較的高単価な案件や、即戦力が求められる案件が多く登録されています。幅広い職種を対象としたサイトと、特定の職種に特化したサイトの2種類があるため、自分のやりたい案件をイメージして登録するとよいでしょう。一方、クラウドソーシングサイトには、未経験歓迎からプロフェッショナル希望まで多様なスキルレベルの案件が集まっているため、初心者の方でも案件を獲得しやすい点が魅力です。いずれの場合も、案件を獲得後、早期に稼働が始まる傾向にあるため、少しでも早くフリーランスとの掛け持ちをしたい方にぴったりです。▼関連記事:フリーランス向け案件マッチングサービスのおすすめ8選〜利用者の声もご紹介〜▼関連記事:【厳選】副業マッチングサービス・サイトのおすすめ30選を紹介▼関連記事:おすすめのクラウドソーシングを総まとめ!会社員と掛け持ちできるフリーランス案件を探すときはSOKUDANがおすすめ会社員とフリーランスを掛け持ちする際には、「SOKUDAN」で案件を探すのがおすすめです。SOKUDANは、フリーランス・副業案件を取り扱うマッチングサイトで、次の3つの特徴があります。週1日~稼働OKの案件多数リモート案件率92%平均時給4,500円会社員の仕事と掛け持ちしやすい週1日から稼働OKの案件が豊富で、リモート案件率92%のため、時間を活用できる案件を見つけやすい点がメリットです。また、取り扱い案件の平均時給が4,500円と高単価のため、短時間でもしっかりと稼ぐことができます。フリーランス案件を探している人は、ぜひチェックしてみてください。▼フリーランス・副業の案件・求人を探すならSOKUDAN▼SOKUDANのフリーランス・副業案件一覧▼SOKUDANの週1日稼働OKの求人▼SOKUDANのリモート案件まとめ会社員を続けながらフリーランスの仕事を掛け持ちすることは可能です。自身で確定申告を行うほか、スケジュールや体調管理にもより一層気を配る必要がありますが、フリーランスの仕事を掛け持ちすることで、手厚い社会保険はそのままに、収入やキャリアアップのほか、独立を見据えた準備もできるメリットがあります。ただし、掛け持ちする際は無理は禁物です。スケジュールにも身体にも過度な負担がかからないよう、目的や自分の余裕を踏まえて案件探しや準備を進めてくださいね。