会社員の場合は、出産日が近づいてくると、育休を取得する流れが一般的です。しかし、フリーランスは育休制度を利用できません。その他の育児支援制度も、フリーランスだと利用できるものとできないものがあるので、しっかりと把握しておく必要があるでしょう。また、仕事をどのくらいの期間休むのか、その間の仕事は誰が行うかなどをクライアントと相談するなど、あらかじめ計画的に動く必要があります。この記事では、出産・育児に備え、利用できる制度や気をつけるポイントを紹介します。フリーランスは育休を利用できない育休制度は国の休業制度で、内容に関しては事業者によって独自に定められています。会社員は育休を利用できますが、フリーランスは利用できません。その理由は、育児休業制度の対象になるのが、労働者に限定されるためです。特定の会社に属していないフリーランスは、雇い主に雇用されていないので、労働者とはみなされません。ただし、会社に属しながら副業でフリーランスとして仕事をしている副業フリーランスは、会社員でもあるため、育休を利用できます。▼関連記事:フリーランスに産休は適用されない!代わりとなる手当・制度や休業に備えたいポイントを解説フリーランスだと利用できない出産・育児に関する制度出産・育児に関する制度は調べてみるといくつかありますが、フリーランスが利用できない制度もあります。利用できると思っていて、いざ利用しようとしたらフリーランスには適用されなかったということがないよう、あらかじめフリーランスでは利用できない制度は知っておきましょう。出産手当金フリーランスだと利用できない制度の1つが、出産手当金です。出産手当金は、出産のために会社などを休んで給料の支払いを受けなかった場合に、仕事を休んだ期間を対象として健康保険から支給される制度です。具体的には、出産の日以前42日目(双子など多胎妊娠の場合は98日目)から、出産日の翌日以後56日目までの期間で、会社を休んだ日数分の手当金が支給されます出産手当金は、所属する健康保険から労働者に対して支給されるため、残念ながらフリーランスには支給されません。産後パパ育休2022年10月から、産後パパ育休制度が開始されました。産後パパ育休は、出産後8週間以内に、最大で4週間の育休を2回に分割して取得できる制度です。雇用保険の被保険者が利用できる制度で、フリーランスは利用できません。しかし、例えば母親がフリーランスで父親が会社員の場合は、父親が産後パパ育休を取得できます。出生時育児休業給付金出生時育児休業給付金は、前述した産後パパ育休を取得した場合に、支給要件を満たすと支給されます。対象期間は出生後8週間以内で、最長4週間を2回に分けて取得できます。しかし、出生時育児休業給付金も雇用保険の被保険者が利用できる制度なので、フリーランスの場合は利用できません。フリーランスが利用できる支援制度フリーランスが利用できない制度を紹介しましたが、利用できる制度ももちろんあります。フリーランスで利用できる出産・育児支援制度がないか調べている方は、一緒にチェックしていきましょう。妊婦健診の補助妊娠中は、病院に定期的に妊婦健診を受けに行きます。妊婦健診の補助は、1度の検診につき5,000〜10,000円ほど支給される制度です。会社の健康保険の制度ではないため、フリーランスも利用できます。自治体の窓口で妊娠の届出を出すと、母子手帳などと共に検診の補助券をもらえます。各自治体によって補助金額などは異なるので、お住まいの自治体のホームページを確認しましょう。国民年金保険料の免除フリーランスが支払う社会保険料の1つに、国民年金保険料があります。妊娠すると、国民年金保険料の免除が受けられます。出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間保険料が免除され、双子などの場合は最大6か月間保険料が免除されます。免除された期間の保険料は、納付したものと記録され、老齢基礎年金の受給額にも反映されます。国民年金保険料の免除を利用するには、自治体にあらかじめ届出を出さなければなりません。出産予定日の6か月前から申請できるので、お住まいの区役所で手続きを行いましょう。出産育児一時金出産育児一時金は、健康保険や国民健康保険の被保険者が出産したときに支給されます。国民健康保険に加入しているフリーランスも受け取れる一時金です。妊娠22週以上で産科医療補償制度に加入している医療機関での出産なら、子ども1人につき50万円が支給されます。妊娠週数が22週に達していないなど、産科医療補償制度の対象とならない出産の場合は、48.8万円が支給されます。なお、双子など多胎児を出産した場合は、1人分の支給額に人数をかけた金額を受け取れます。 申請方法は、公的医療保険から病院に直接支払われる直接支払制度、病院が被保険者に代わって受け取る受取代理制度、直接支払制度や受取代理制度を利用せずに自分で手続きをする事後申請があります。児童手当フリーランスが利用できる制度の中には、児童手当も含まれます。子どもが生まれてから中学卒業までの期間支給され、子どもの年齢によって支給額が異なります。支給時期は6月・10月・2月の年3回で、4か月分をまとめて受け取れます。また、2024年10月からは、支給対象となる子どもの年齢が高校卒業までに引き上げられます。児童手当を受け取るには、お住まいの市区町村へ「認定請求書」を提出しなければなりません。提出を忘れると児童手当がもらえないので、注意が必要です。子どもの医療費助成子どもの医療費助成は、子どもが一定の年齢になるまで各自治体が医療費の自己負担分を助成する制度です。公的医療保険に加入する子どもが対象で、国民健康保険に加入するフリーランスも、子どもが国民健康保険に加入していれば利用できます。ただし、自治体によっては所得制限が設けられており、世帯の所得によっては助成が受けられません。助成の対象となる子どもの年齢や所得制限などは自治体ごとに異なるため、お住まいの自治体で確認が必要です。フリーランスが出産・育児で休みを取る時の準備フリーランスは、会社員のような育休制度は利用できませんが、出産・育児にあたって休みが必要です。取引先とのやり取りや、休暇を取るためにやっておくべきことなど、どのような準備をしておけばよいかを確認していきましょう。取引先と育児休暇について相談する妊娠がわかったら、早い段階で取引先に妊娠中であることと、出産時期を報告しましょう。フリーランスの中には、出産直前まで仕事をしていたり、出産後もすぐ仕事に戻ったりする人もいます。フルリモートで仕事ができたり、仕事時間をうまく調整できたりする環境にあるなら、きちんとした育児休暇を取らない選択肢もあるかもしれません。育児休暇を取る場合は、仕事を完全に休むのか、どのくらいの期間休むのか、休んでいる間に受け持っていた仕事を代わりにやってくれる人はいるのかなどを取引先と相談しておきましょう。休暇中だけ代行してくれる人を探す出産・育児にしっかりと時間をかけて取り組みたいと思う一方で、フリーランスで受けていた仕事も手放したくない人もいるでしょう。その場合は、自分が休暇を取っている間だけ仕事を請け負ってくれる人を探しておくとよいかもしれません。取引先と、休暇中に仕事を請け負ってくれる人双方がしっかり納得しているのであれば、関係者全員がWin-Winの関係になるでしょう。収入が途絶えた時のために貯金する出産を終えたらすぐに仕事に戻ろうと思っていた人でも、体力的にも精神的にも仕事に復帰するのが難しい状況になる場合もあるでしょう。そのような状況の中でも、収入が途切れると思うと、働かなくてはならないと感じるかもしれません。しかし、貯金があれば急いで仕事に復帰しなくてもよいため、心に余裕が生まれます。出産・育児に向けて少しずつでもいいので、貯金をするように心がけておくとよいでしょう。▼関連記事:フリーランスは貯金が重要!独立前のお金準備や将来の資産形成について負担にならない程度の仕事を継続するフリーランスは、仕事量や仕事時間を調節しやすいのがメリットの1つです。育児をしながら、負担にならない程度の仕事を継続する選択肢もあるでしょう。できる範囲で仕事を継続すれば、収入が完全に途切れることはないので、育児休暇を取ることで収入が途絶えてしまうのが怖い人にとってはよい働き方でしょう。また、育児だけの生活よりも、ある程度社会と関わる時間がある方がよい人にとっても、メリットが多いでしょう。▼関連記事:育休中の副業はいくらまでOK?おすすめの職種や会社にバレない方法も解説▼関連記事:主婦からフリーランスへ!子育てしながら副業で稼ぐメリット・デメリットフリーランスが保活する時のポイント3つ保活とは、子どもを預ける施設を確保する一連の活動を指します。フリーランスが保活を通して、保育施設を決めるためのポイントをチェックしていきましょう。情報収集するまずは、自分が住んでいる地域の保育施設を調べ、施設を見学をして話を聞くなど、情報収集を早い段階で始めましょう。認可保育園の選考に通らなかった場合を考えて認可外保育園を探したりと、やるべきことはたくさんあります。産後の万全ではない身体で子どもの世話をしながら保活を行うのは、多くの苦労を伴うものです。できるだけ早く保活を始めて、子どもと自分にとってベストな状態を実現しましょう。認定を受ける保育園や幼稚園など、子どもを預ける施設を利用するには、市区町村から保育が必要である「認定」を受ける必要があります。認定が受けられるかどうかは、それぞれの自治体が定めた方法による点数で決まります。多くの自治体は入園審査を点数制で行っていますが、各自治体により認定基準は異なります。そのため、フリーランスは認可保育園の審査に不利になることもあります。子どもを預けたい人は対策を考えましょう。点数制の選考のための就労実績を作る前述したように、保育園などの保育施設に入る審査は、各自治体が定めた点数制で行われます。育児と仕事の両立の難しさを点数化し、合計点が高い家庭から保育園へ入園させる仕組みです。ここで重要なのが、就労実績です。しかし、フリーランスは会社員に比べて就労を証明するのが難しいため、頭を悩ませる人も多いでしょう。フリーランスが就労実績を作るには、仕事での成果物を残し、クライアントとのミーティングを記録するなど、目に見える実績を積み重ねていくことです。保育園に入園させることを決意したら、すぐに取り組みましょう。▼関連記事:【フリーランス向け】就労証明書の書き方を解説!保育園の入園手続きで必要な書類や準備もフリーランスが育児休暇を取る際は計画的に!使えるものは全部使うフリーランスは、会社員に比べると出産や子育てで利用できる制度が少ないものの、計画的に準備していけば乗り切れます。現行の制度でフリーランスが利用できるものはすべて使って、出産・育児に備えましょう。長い時間を仕事に費やすのは難しいけれど、育児をしながら副業程度に仕事がしたい方は、さまざまな職種のフリーランス・副業案件を扱っているSOKUDANを活用してみてください。SOKUDANは、リモート案件92%で、週1日から稼働できる案件も多数掲載されています。さまざまな条件で検索できるため、ぜひ自分に合う案件を探してみてください。▼SOKUDANのリモート案件一覧▼SOKUDANの週1日案件一覧▼SOKUDANの副業歓迎案件一覧▼SOKUDANの経験少なめOK案件一覧まとめ出産・育児に関する制度は、フリーランスには利用できないものがあります。しかし、フリーランスも利用できる支援制度もあるため、活用できるものはすべて活用していきましょう。フリーランスは、リモートワークや時短業務にも向いているので、うまく調整しながら出産・育児にのぞみたいところです。夫婦どちらかが会社員なら、会社員が利用できる育児支援制度を利用するのも検討しましょう。出産後は保育施設を探す必要がありますが、計画的に動いていくとよさそうです。