国や公的機関が実施する補助金・助成金の中には、フリーランスや個人事業主を対象とした制度も数多くあります。補助金や助成金を活用すれば、PCなどの機材購入費やシステム維持費といった事業コストを抑えることが可能です。この記事では、フリーランス・個人事業主が申請できる主な補助金・助成金を紹介します。なお、補助金や助成金の不正受給は認められていません。公募要件や対象条件を必ず確認し、制度を正しく活用しましょう。補助金・助成金・給付金の違い事業者を金銭的に支援する制度には、補助金・助成金・給付金があります。いずれも国や地方公共団体、民間企業などが支給するもので、借入や融資とは異なり返済は不要なケースが多いです。補助金:事業計画書をもとに審査が行われ、採択された事業者のみが受給できる助成金:要件を満たしていれば原則として受給できる可能性が高い給付金:生活支援や災害時などに、社会的な課題解決を目的として支給される補助金は、事業者が提出した事業計画書をもとに審査が行われ、採択された事業のみが対象となります。採択件数が限られている場合が多く、要件を満たしていても必ず受給できるわけではありません。また、多くは後払い制のため、費用を一時的に立て替える必要があります。助成金は、対象者や活動内容などの要件を満たしていれば、比較的受給できる可能性が高い制度です。給付金は、災害や緊急事態などの有事に支給されるもので、助成金よりも受給しやすい点が特徴です。フリーランス・個人事業主が申請できる補助金小規模事業者持続化補助金小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が行う販路開拓の取り組みを支援する制度です。機械装置の購入費や広告費、Webサイト関連費、旅費など、幅広い経費が補助対象となります。具体的には、チラシ制作、Webサイト制作、インターネット広告、商品販売用の動画制作などが挙げられます。一方で、通常の業務で使用するPCや文房具、プリンターなどの購入費用は対象外となる点に注意が必要です。補助率3分の2※通常枠の場合補助額上限50万円※通常枠の場合申請期間公募回によって異なる小規模事業者持続化補助金の公募要件や申請期間は随時更新されるため、最新情報は必ず公式サイトで確認してください。▼詳細:小規模事業者持続化補助金デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)は、中小企業や小規模事業者の労働生産性向上を目的に、業務効率化やDXに向けたITツールの導入を支援する制度です。補助対象となるのは、事前に事務局の審査を受け、公式サイトに登録されたITツールです。あわせて、導入時の相談対応などのサポート費用やクラウドサービス利用料も補助対象に含まれます。申請にあたっては、デジタル化・AI導入補助金事務局に登録されたIT導入支援事業者とパートナーシップを組んで進める必要があります。補助率2分の1※通常枠の場合補助額1プロセス以上:5万円以上150万円未満4プロセス以上:150万円以上450万円以下※通常枠の場合申請期間公募回によって異なるデジタル化・AI導入補助金の公募要件や申請期間は随時更新されるため、最新情報は必ず公式サイトで確認してください。▼詳細:デジタル化・AI導入補助金事業再構築補助金事業再構築補助金とは、ポストコロナ時代の経済環境の変化に対応するため、新市場への参入や事業転換・業種転換など、大きな事業の見直しに取り組む事業者を支援する制度です。補助対象には、新事業向けのWebサイト制作費、新システムの購入・構築費、クラウドサービス利用料、外注費などが含まれます。補助率2分の1※成長分野進出枠(通常類型)の場合補助額100万~1,500万円※成長分野進出枠(通常類型)の場合申請期間公募回によって異なる事業再構築補助金の公募要件や申請期間は随時更新されるため、最新情報は必ず公式サイトで確認してください。▼詳細:事業再構築補助金ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、中小企業・小規模事業者の生産性向上に向けた取り組みを支援する制度です。新製品・サービスの開発費や、生産プロセス改善に必要な機械装置の購入費、システム構築費、外注費、運搬費など、幅広い経費が補助対象となります。フリーランスや個人事業主も申請可能ですが、従業員の雇用や賃上げ計画の策定が求められるため、ややハードルが高い制度といえます。一方で、近年は個人事業主の採択率が上昇しています。従業員を雇用している場合は、申請を検討してみる価値があるでしょう。補助率3分の2※製品・サービス高付加価値化枠の場合補助額100万〜750万円※製品・サービス高付加価値化枠の場合申請期間公募回によって異なるものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の公募要件や申請期間は随時更新されるため、最新情報は必ず公式サイトで確認してください。▼詳細:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金フリーランス・個人事業主も申請できる助成金続いて、フリーランスや個人事業主が申請できる助成金を紹介します。ただし、ここで取り上げる助成金の多くは、従業員を雇用している小規模事業者が主な対象となるため、フリーランスや個人事業主にとっては申請のハードルが高い場合があります。助成金ごとに申請要件や支給額は細かく定められています。申請を検討する際は、必ず各助成金の公式サイトで最新の要件や金額を確認しましょう。早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)は、雇用管理制度を整備したうえで中途採用の拡大に取り組む事業主を支援する助成金です。制度は厚生労働省が実施しています。中途採用率を20ポイント以上引き上げた場合、50万円の助成を受けることが可能です。【助成額】中途採用率の拡大:50万円45歳以上の中途採用率の拡大:100万円早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)の最新情報は、必ず公式サイトで確認してください。▼詳細:早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)は、高年齢者や障害者などの就職が困難な求職者を、ハローワークの紹介を通じて継続雇用する事業主に支給される助成金です。対象となるのは、雇用保険の一般被保険者として雇い入れるケースです。助成額は、対象労働者の類型や企業規模に応じて設定されており、雇い入れた1人あたりに支給されます。【助成額】高年齢者(60歳以上)、母子家庭の母など:60万円(短時間労働の場合40万円)重度障害者などを除く身体・知的障害者:120万円(短時間労働の場合80万円)重度障害者など:240万円特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)の最新情報は、必ず公式サイトで確認してください。▼詳細:特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)は、職業経験の不足などにより就職が難しい求職者を、無期雇用への移行を前提として一定期間試行雇用する事業主を支援する助成金です。求職者の早期就職や雇用機会の創出を目的としています。対象となるのは、週30時間以上の無期雇用を希望し、トライアル雇用制度を理解したうえで試行雇用による就職を希望する労働者です。事業主は、ハローワークなどの紹介を通じて雇い入れ、原則3か月間のトライアル雇用を行う必要があります。【助成額】支給対象者1人あたり月額4万円ただし、条件によって支給額や要件が異なる場合があるため、申請前に必ず公式サイトで最新情報を確認しましょう。▼詳細:トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)は、雇用機会が特に不足している地域において、事業所の設置・整備を行い、あわせて地域在住の求職者を雇い入れる事業主を支援する助成金です。設置・整備にかかった費用や、増加した対象労働者数に応じて支給されます。原則として、計画日から完了日までに要した事業所の設置・整備費用と対象労働者の増加数をもとに、所定の金額が1年ごとに最大3回支給されます。【助成額】▼引用:地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)対象地域や支給条件には特例措置もあり、内容は細かく定められています。申請前に、必ず公式サイトで最新情報を確認しましょう。▼詳細:地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)人材開発支援助成金人材開発支援助成金は、事業主が雇用する労働者に対し、職務に関連する専門知識や技能を習得させる職業訓練を計画的に実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部などを助成する制度です。人材開発支援助成金には複数のコースがあり、対象者や支給要件がそれぞれ異なります。人材育成支援コース教育訓練休暇等付与コース人への投資促進コース事業展開等リスキリング支援コース建設労働者認定訓練コース建設労働者技能実習コース障害者職業能力開発コース各コースごとに細かな支給要件が定められているため、申請を検討する際は、必ず公式サイトで最新情報を確認しましょう。▼詳細:人材開発支援助成金キャリアアップ助成金キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者や短時間労働者、派遣労働者など、非正規雇用労働者のキャリアアップを目的に、正社員化や処遇改善に取り組む事業主を支援する助成金です。複数のコースが用意されており、対象者や支給要件はそれぞれ異なります。正社員化コース障害者正社員化コース賃金規定等改定コース賃金規定等共通化コース賞与・退職金制度導入コース社会保険適用時処遇改善コース(2026年3月31日まで)短時間労働者労働時間延長支援コースなお、キャリアアップ助成金を利用するには、各コースの実施日の前日までにキャリアアップ計画を作成・提出する必要があります。また、各コースごとに細かな支給要件が設定されているため、申請前に必ず公式サイトで最新情報を確認しましょう。▼詳細:キャリアアップ助成金フリーランス・個人事業主が受けられる支援制度補助金や助成金の対象外であっても、フリーランスや個人事業主の金銭的負担を軽減できる制度はあります。ここでは、フリーランス・個人事業主が利用できる主な支援制度を紹介します。創業補助金創業補助金は、事業の立ち上げや継続に必要な資金を地方自治体が支援する制度です。正式名称や補助内容は自治体ごとに異なります。例えば、東京都では、都内での創業を予定している人や創業5年未満の中小企業者などを対象に、賃借料・広告費・器具備品購入費・人件費などを助成しています。助成額は100万〜400万円です。要件や申請期間は自治体によって異なるため、申請前に必ず各自治体の公式サイトで最新情報を確認しましょう。▼参考:創業助成金(東京都中小企業振興公社)|東京都創業NET国民年金の減免措置国民年金には、保険料の免除制度や納付猶予制度があります。フリーランスや個人事業主にとって国民年金保険料は大きな負担になりやすく、案件終了などで収入が減り、納付が難しくなった場合には、免除や猶予を受けられる可能性があります。免除額は、全額・4分の3・半額・4分の1の4種類です。申請できる期間は、保険料の納付期限から2年以内となっています。例えば、納付期限が2026年3月31日の場合、申請期限は2028年3月31日です。なお、免除を受けると将来受け取れる年金額が減少する点には注意しましょう。▼詳細:国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度|日本年金機構▼関連記事:フリーランスが加入する国民年金とは?将来の年金受給額を増やす方法も解説経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)は、災害や経済情勢の変化など外部要因により一時的に業績が悪化した事業者を対象とした融資制度です。設備投資や運転資金に利用できます。直近の決算期の売上高が、前期または前々期と比べて5%以上減少しているなど、所定の要件を満たす場合に申請が可能です。融資額最大4,800万円返済期間設備投資:15年以内運転資金:8年以内申請期間常時申請に必要なもの・借入申込書・最近2期分の確定申告書・試算表(直近決算後6カ月以上経過している場合)・見積書(設備資金の場合)など▼詳細:経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)|日本政策金融公庫補助金・助成金・支援制度の申請時の注意点補助金や助成金、各種支援制度は、フリーランスや個人事業主にとって、活用できるのであれば積極的に検討したい制度です。ただし、申請要件を満たしているからといって安易に申し込むのはおすすめできません。ここでは、補助金・助成金・支援制度を活用する前に、事前に押さえておきたい注意点を解説します。事業内容や将来像に合った制度に絞る複数の補助金・助成金に興味を持った場合でも、自分の事業に合った制度に絞って申請することが重要です。補助金や助成金の申請には多くの準備時間がかかります。特に補助金は、要件を満たしていても必ず採択されるとは限らず、採択後も事業の成長や計画達成状況を確認されます。そのため、採択されたからといって必ず受給できるわけではありません。事業内容や将来の方向性と合致している場合にこそ、労力をかける価値があります。一方で、目的が曖昧なまま申請すると、かけた時間が無駄になる可能性が高いでしょう。各制度の公式サイトで応募要項を十分に確認し、自分に最適な補助金・助成金を選んでください。最新情報をチェックして余裕を持って申請するフリーランスや個人事業主にとって、仕事と並行して申請準備を進めるのは、大きな負担になりがちです。繁忙期と重なると、締め切りに間に合わないリスクもあります。補助金などの募集は、「〇月〇日から第〇次公募を開始」といった形で、事前に公式サイトで告知されるのが一般的です。余裕をもって準備を進めるためにも、気になる補助金がある場合は、公式サイトを定期的に確認し、募集開始の情報を早めに把握しておきましょう。支給額や給付日に注意する補助金や助成金は、原則として後払い制です。PCやカメラなどの機材を購入する場合でも、一時的に自己資金で立て替える必要があります。また、支給額は必ずしも満額ではなく、制度ごとに補助率が設定されています。さらに、申請した事業の実施状況によって、実際の助成額が変動する可能性もあります。そのため、「この金額が必ずもらえる」といった前提で判断せず、無理な高額投資は避けることが重要です。まとめフリーランスや個人事業主の金銭的負担を軽減できる補助金・助成金、各種支援制度は数多くあります。フリーランスや個人事業主は、PCなどの高額な機材費から、社会保険料のような毎月発生する支払いまで、全てを自己負担する必要があります。補助金や支援制度を上手に活用すれば、支出や不安を抑えられるだけでなく、事業の拡大や生産性向上にもつながります。少しでも気になる制度があれば、注意点を押さえながら詳細を確認してみてください。