失業保険(失業手当)は、会社を退職して新しい仕事に就くまでに国から手当が支給される制度です。失業保険は、前職の給与の5~8割程度が支給されるため、支給の対象となるのであれば受け取って独立の準備を進めたいですよね。失業中でも生活の心配が少なくなるありがたい制度ですが、「フリーランスになる場合は、失業保険を受け取れないのでは?」と考えている人も多いのではないでしょうか。この記事では、フリーランスになる際は失業保険の給付対象となるかどうかを解説します。加えて、失業保険の申請する際に気を付けたいポイントなども解説するので、ぜひ参考にしてください。フリーランスになる場合も失業保険はもらえる!失業保険を受け取るための条件を満たせば、フリーランスになる人も失業保険を受け取れます。重要なポイントとなるのは「開業届を提出するタイミング」です。以下の受給条件をしっかり把握して、自分が失業保険の対象となるかどうか見極めましょう。フリーランスの失業保険の受給条件失業保険を受給するためには、3つの条件を満たす必要があります。①ハローワークで求職登録を行った方で、失業状態にあり、かつすぐに働ける方なお、以下の状態にある方は基本手当の給付対象となりません。病気やけが、妊娠、出産、育児のためすぐに就職できない方定年退職などをして、しばらくの間は仕事をせず休養しようと思っている方家事に専念して、すぐに就職できない方②以下に記載する一定期間、雇用保険の被保険者だった方自己都合退職の場合:退職するまでの2年間のうち、12ヶ月以上倒産・解雇などの場合:退職するまでの1年間のうち、6ヶ月以上▼参考:ハローワークインターネットサービス 基本手当について③自営を開始しているとみなされない方フリーランスになる方のうち、以下のいずれかに当てはまる方は失業状態とみなされないため、失業保険の支給対象外となります。自営を開始している方、または自営準備に専念する方自分の名義で事業を営んでいる方▼参考:厚生労働省 離職されたみなさまへ<給付の対象となる例>2021年4月~2022年9月でA社に正社員として勤務し、2022年10月~2024年3月までB社に勤め、B社を自己退職した場合直近2年間で所属する企業は異なるものの、雇用保険の被保険者期間は12ヶ月以上となるため、失業保険の受給条件を満たします。<給付の対象とならない例>①2020年4月~2023年3月までフリーランスとして働いた後、2023年4月会社員に転職し、2024年2月に自己都合で退職した場合フリーランスは原則雇用保険に加入できず(※)、直近2年間の雇用保険の被保険者期間が12ヶ月に満たないため、失業保険の給付条件を満たしません。(※ただし、派遣やアルバイトで週20時間以上就労した場合は加入対象)②会社を退職後すぐ、または会社に在籍している際に開業届を出していた場合開業届を提出すると「新しく事業を起こす」とみなされるため、たとえフリーランスとして仕事を一切受けていなかったとしても、失業状態にあると認定されません。フリーランスになる方が失業保険を受給するためには、開業届を提出するタイミングなど注意すべき点があります。詳しい流れは、「フリーランスで失業保険を受給するための申請の流れ・タイミング」の段落で解説します。失業保険の受給期間失業保険の受給期間は、退職した理由や年齢、雇用保険の被保険者期間によって異なります。自己都合で仕事をやめた場合は年齢を問わず90~150日まで、会社都合の場合は90~330日まで受給可能です。自己都合で退職した場合の失業保険給付日数離職時の年齢雇用保険の被保険者だった期間全年齢(64歳以下)10年未満10年以上20年未満20年以上90日120日150日会社都合で退職した場合の失業保険給付日数離職時の年齢雇用保険の被保険者だった期間1年未満1年以上5年未満5年以上10年未満10年以上20年未満20年以上29歳以下90日90日120日180日-30~34歳120日180日210日240日35~44歳150日240日270日45~59歳180日240日270日330日60~64歳150日180日210日240日▼参考:ハローワークインターネットサービス 基本手当の所定給付日数求職活動実績の定義失業保険を受給するためには、求職活動を行っていること(求職活動実績)を定期的にハローワークへ証明する必要があります。求職活動実績の対象となるものは、求人への応募や、再就職に必要な資格試験の受験、ハローワークや民間の職業紹介事業者が行う職業相談やセミナーの受講などです。求人を閲覧するだけでは求職活動実績と認められず、失業保険は支給されないため注意しましょう。失業保険の給付額失業保険で受け取れる金額は、年齢や離職前の月収などが考慮されるため、人によって大きく異なります。実際に受け取れる金額は、1日あたりの失業保険受給額(基本手当日額)を求めたうえで、以下の計算式で算出が可能です。失業保険の総受給額1日あたりの失業保険受給金額(基本手当日額)×失業保険を受給できる期間(所定給付日数)失業保険の受給額(月額)基本手当日額×28日基本手当日額を出すには段階を追って計算する必要があるため、以下の順に沿って計算してみましょう。①賃金日額を出す賃金日額とは、「離職する前の1日あたりの賃金額」です。離職日の直近6ヶ月間に支払われた賃金(月給)を180で割ることで求められます。賃金日額=離職日の直前6ヶ月に支払われていた賃金の合計÷180賃金には通勤手当や残業代は含まれますが、賞与(ボーナス)や業績手当などのように臨時に支払われる賃金は対象外となるため、計算する際は含まずに計算しましょう。(例)月給25万円の場合25万円×6ヶ月=150万円150万円÷180=8,333.33円※この段階で端数が出た場合は、小数点以下第3位を四捨五入する②自分の賃金日額の給付率を確認する賃金日額の給付率は、以下のように離職時の年齢と賃金日額によって50〜80%まで幅があります。自分の給付率が何%になるか、以下の表で確認しましょう。離職時の年齢賃金日額給付率基本手当日額30歳未満2,746円~5,110円未満80%2,196円~4,087円5,110円~12,580円以下50~80%4,088円~6,290円12,581円~13,890円以下50%6,290円~6,945円13,891円以上-6,945円(上限)30歳~44歳2,746円~5,110円未満80%2,196円~4,087円5,110円~12,580円以下80~50%4,088円~6,290円12,581円~15,430円以下50%6,290円~7,715円15,430円以上-7,715円(上限)45歳~59歳2,746円~5,110円未満80%2,196円~4,087円5,110円~12,580円以下80~50%4,088円~6,290円12,581円~16,980円以下50%6,290円~8,490円16,981円以上 -8,490円(上限)60~64歳2,746円~5,110円未満80%2,196円~4,087円5,110円~11,130円以下80~45%4,088円~5,085円11,300円~16,210円以下45%5,085円~7,294円16,211円以上-7,294円(上限)※2023年8月時点▼参考:厚生労働省 雇用保険の基本手当日額の変更③基本手当日額(1日あたりの失業保険受給金額)を出す基本手当日額は、以下の計算式で求められます。基本手当日額=賃金日額×給付率しかし、上の表を見ると、賃金日額が5,110円~12,580円以下(60~64歳の場合は5,110円~11,130円以下)の場合は、支給率が50~80%と幅があり、基本手当日額に2,000円近く差が生じることがわかります。具体的な基本手当日額を求めるためには計算が複雑になりますが、以下の計算式で求めることができるので、「より詳細に自分の受給金額が知りたい」という方は計算してみましょう。60歳未満の基本手当日額賃金日額×0.8-0.3{(賃金日額-5,110)÷7,470}賃金日額60~64歳の基本手当日額①賃金日額×0.8-0.35{(賃金日額-5,110)÷6,190}賃金日額②賃金日額×0.05+4,520※①②のいずれか低い方の額(例)28歳で離職し、離職前の月給が25万円の場合(賃金日額は8,333円)賃金日額×0.8-0.3{(賃金日額-5,110)÷7,470}賃金日額=8,333×0.8-0.3{(8,333-5,110)÷7,470}8,333=6,666.4-0.3(3,223÷7,470)8,333=6,666.4-0.3×0.43145917001×8,333=5587.79522089=5,587円この段階で端数が出た場合は、小数点以下を切り捨てて整数にします。(例)62歳で離職し、離職前の月給が33万円の場合(賃金日額は11,000円)①賃金日額×0.8-0.35{(賃金日額-5,110)÷6,190}賃金日額=11,000×0.8-0.35{(11,000-5,110)÷6,190}11,000=8,800-0.35(5,890÷6,190)11,000=8,800-0.35×0.95153473344×11,000=5136.59127626=5,136円②賃金日額×0.05+4,520=11,000×0.05+4,520=5,070円60~64歳の場合は、①と②で算出した額の低い方を採用するため、この場合は5,070円となります。④支給額(月額、総額)を出す基本手当日額(1日あたりの失業保険受給金額)が求められたら、あとは失業保険の受給日数をかけるだけです。月額は一律で28日分をかけ、受給期間トータルでいくらもらえるのか求めたい場合は、「失業保険を受給できる期間や求職活動実績の定義」の見出しで解説したご自身に合う日数をかけてみましょう。支給月額=基本手当日額×28日支給総額=基本手当日額×失業保険を受給できる期間(所定給付日数)(例)28歳で自己都合退職し、離職前の月給は25万円、雇用保険の被保険者期間が6年の場合(基本手当日額は5,587円)支給月額:基本手当日額×28日=5,587円×28日=15万6,436円支給総額:基本手当日額×失業保険を受給できる期間(所定給付日数)=5,587円×90日=50万2,830円【離職前の月給別】失業保険の想定受給額計算が苦手な方向けに、おおよその失業保険の受給額(月額)がいくらになるのか把握できるよう、大まかな月給ごとに表にまとめました。なお、以下はあくまで想定の金額であり、人によっては増減する可能性があります。正確な受給額はハローワークで確認しましょう。離職前の月給失業保険の想定月額20万円13万7,648円※60~64歳の場合:13万2,888円28万円16万4,724円※60~64歳の場合:13万9,608円35万円17万5,308円※60~64歳の場合:14万6,972円45万円19万4,460円※30~59歳の場合:21万円※60~64歳の場合:18万9,000円フリーランスになる際も再就職手当がもらえる!失業保険とフリーランスになろうと考えている方は、失業保険と同じく条件を満たせば再就職手当も受け取れます。再就職手当とは?再就職手当とは、雇用保険の1つで、再就職先が早期に決まった方に給付されるものです。早く就職が決まった方ほど、支給される金額が増える仕組みになっています。失業保険の支給残日数が3分の1以上残っていることや、再就職先に1年以上勤務することが見込まれる場合などの条件を満たす必要があります。また、失業保険の受給手続きを行い、後述する待機期間(7日間)の満了後に「就職、または事業を開始した」と記載されています。そのため、フリーランスになる方も再就職手当の給付対象となることがわかりますね。▼参考:厚生労働省 雇用保険受給資格者のみなさまへ 再就職手当のご案内なお、「事業の開始」とは、主に税務署に開業届を提出することを指します。一方で、なかには開業届を出さずにフリーランスになろうと考えている方もいるかもしれません。開業届を出さない場合は、業務委託契約書の提出や、派遣との掛け持ちが決まることで、受給条件を満たせる可能性があります。派遣の契約は、多くの場合で3ヶ月ごとの更新です。しかし、雇用契約書兼就職条件明示書に「更新の見込みあり」と記載されていれば、受給条件を満たす可能性があるため、ハローワークに確認しましょう。再就職手当の受給額再就職手当の金額は、以下の計算式で求められます。再就職手当の受給額=基本手当日額×支給残日数×再就職手当の給付率支給残日数(再就職日の前日までの期間)は、「待機期間(7日)+1日+所定給付日数-再就職日」で算出可能です。再就職手当の給付率は、失業保険の所定給付日数を3分の2以上残している場合は70%、3分の1以上残している場合は60%です。(例)基本手当日額:5,000円、所定給付日数:90日、ハローワークで給付の申し込みをしてから25日目で再就職した場合残日数=待機期間(7日)+1日+所定給付日数-再就職日=7日+1日+90日-25日=73日この場合、支給残日数が3分の2以上残っているため給付率は70%となります。計算式に当てはめると、再就職手当の受給額は以下の通りです。基本手当日額×支給残日数×再就職手当の給付率=5,000円×73日×70%=25万5,500円(例)基本手当日額:5,000円、所定給付日数:270日、ハローワークで給付の申し込みをしてから100日目で再就職した場合残日数=7日+1日+270日-100日=178日支給残日数が3分の1以上残っているため、給付率は60%となります。計算式に当てはめると、受給額は以下の通りです。基本手当日額×支給残日数×再就職手当の給付率=5,000円×178日×60%=53万4,000円フリーランスで失業保険を受給するための申請の流れ・タイミングフリーランスになる場合も、失業保険と再就職手当は受給可能であることが分かりました。しかし、開業届を提出するタイミングによっては受給資格がなくなる可能性があります。「本当は受け取れるはずだったのに…」と後悔しないよう、以下のスケジュールに沿って対応しましょう。それぞれのタイミングで行いたいことや必要なものは、このあと各見出しで詳しく解説します。なお、会社都合退職と自己都合退職とでは、開業届を出すタイミングが異なるため、適切なタイミングをしっかり把握しましょう。流れ・タイミング行うこと①退職後早期ハローワークで求職の申し込み(受給資格決定)②求職申し込み後1週間待期③待期期間後ハローワークの説明会に参加開業届の準備(会社都合退職の場合)④受給資格決定から約3週間後失業認定を受ける⑤4週間に2回以上ハローワーク認定の求職活動⑥給付制限から1ヶ月以上経過後開業届などの書類の準備・提出(自己都合退職の場合)①ハローワークで求職の申し込みを行うまずは、退職後なるべく早いうちに、お住まいの住所を管轄するハローワークで失業保険の手続きを行いましょう。離職票をハローワークに提出し、失業保険の受給資格を満たすか確認する手続きを「受給資格決定」といいます。失業保険を受給できる期間は「離職日の翌日から1年間」です。たとえ所定給付日数がいくら残っていたとしても、離職から1年経過した際に給付が打ち切りとなります。そのため、ハローワークでの手続きは早めに済ませましょう。受給要件を満たしていることが確認されると、失業保険の受給資格が決定されます。求職の申し込みに必要なもの雇用保険被保険者離職票―1(離職する会社を通じてハローワークが発行)雇用保険被保険者離職票―2(離職した会社を通じてハローワークが発行)個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票のうちどれか1つ)身元確認書類(運転免許証、運転経歴証明書、マイナンバーカードなど)写真(縦3.0cm×横2.4cm)2枚(手続きにマイナンバーを提示することで省略可能)本人名義の預金通帳またはキャッシュカード②待期期間求職の申し込みのあとは、7日間の「待期期間」があります。待機期間とは、申し込み者が失業状態であることを確認するために設けられた期間です。待機期間中に仕事をすると失業状態とみなされません。短時間でも仕事をすると、その分待期期間が延長される仕組みになっているので注意しましょう。また、自己都合退職の場合は、7日間の待機期間明けに原則2ヶ月間(※)の「給付制限」期間が設けられます。給付制限期間中の過ごし方も気を付けたいポイントがあるため、注意が必要です。(詳しくは後述)なお、2025年4月1日からは、自己都合退職された方が職業訓練などの教育訓練を受ける場合、給付制限期間が1ヶ月に短縮されます。(※職務上の犯罪行為などによって重責解雇された方や、5年間で3回以上自己都合退職した方は3ヶ月に延長される)③ハローワークの説明会に参加する待機期間のあとは、ハローワークが開催する「雇用保険説明会」と「雇用保険受給者初回説明会」への参加が必要です。失業保険を受給するうえで必須要件となっているため、ハローワークから指定された日時に必ず参加しましょう。また、会社都合退職の場合、待機期間後はいつ開業届を提出しても失業保険と再就職手当の受給に影響はありません。自分に合ったタイミングで開業届を作成して税務署に提出しましょう。開業の際に必要なもの開業届(提出用、控え用)青色申告承認申請書(※青色申告を行う場合)マイナンバーカード、または通知カード本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)印鑑④失業認定を受ける失業保険を受け取るためには、失業状態にあることと、求職活動を行っていることの「認定」を定期的に行う必要があります。認定日はハローワークから指定されるため、必ず管轄のハローワークに行って手続きを行いましょう。目安は、失業保険の受給資格決定から約3週間後です。初回認定は、ハローワークが開催する「雇用保険説明会」と「雇用保険受給者初回説明会」に参加することで受給要件が満たされます。失業保険の認定日に必要なもの雇用保険受給資格者表失業認定申告書受給資格者のしおり筆記用具(黒のボールペン)ハローワーク受付票⑤ハローワーク認定の求職活動を行う2回目以降の認定には、求人への応募や職業紹介などの求職活動を4週間に2回以上行う必要があります。求職活動を行わないと失業手当の給付が延期されるため、計画的に求職活動を行いましょう。⑥開業届などの書類を準備・提出する自己都合退職した場合は、失業保険の受給資格決定から待機期間の7日と1ヶ月を経過したタイミングで開業届を提出しましょう。例えば、8月1日が受給資格決定の場合、待機期間は8月8日までとなるため、給付制限の1ヶ月経過はそこから1ヶ月後の9月8日以降となります。開業後、ハローワークに報告することで失業保険の受給資格がなくなり、支給残日数に応じて再就職手当が支給されます。再就職手当の申請に必要なもの再就職手当支給申請書(ハローワークが発行するものに、必要事項を記入)関連事業主に関する証明書(ハローワークが発行するものに、必要事項を記入)雇用保険受給資格者証紹介証明書(給付制限の1ヶ月以内に、職業紹介事業者の紹介で採用された方)失業認定申告書フリーランスで失業保険の受給に影響が出るケースとは?フリーランスになる場合、特定のケースで失業保険が受給できなくなったり、受け取れる金額に影響が出たりすることもあります。どのような場合に影響が生じるのか詳しくみてみましょう。【給付対象外】会社員のとき受けていた副業を退職後も続ける人失業保険を受けるためには「失業状態にある」と認められることが重要です。会社員時代に受けていた案件を退職後も引き続き受ける場合は、失業状態にあると認められません。失業保険の受給を優先したい場合は、取引先と相談のうえ、開業後に再開するなどの対応を取るとよいでしょう。【給付対象外】独立準備をしていると見なされる人求職活動を行いながら独立の準備を行う場合は問題ありませんが、開業届を提出するなど、「独立の準備期間を終えた」と判断されると受給資格を失います。その他にも、取引先と業務委託契約を交わした場合や、商品を仕入れた場合、事務所や店舗の賃貸契約書を結んだ場合なども、独立準備をしていると見なされます。【給付対象外/金額減】受給中にフリーランスの仕事やアルバイトで収入を得る人失業保険の受給中にフリーランスやアルバイトの仕事をすると、仕事の程度によって受給資格がなくなったり、受給金額が減額となったりする可能性があります。給付対象外パートまたはアルバイトで週20時間以上、31日以上継続して働く場合受給金額減少労働時間や収入に応じて失業保険の受給金額が減少することがある週20時間以上働くと就業(雇用保険の加入対象)扱いとなり、失業保険が受けられなくなります。業務委託は原則雇用保険の加入対象にならないため稼働時間は関係ありませんが、パートやアルバイト、派遣などでダブルワークする際は注意しましょう。求職活動をしながら、週20時間未満で就業する場合は失業保険を受給できます。しかし、週20時間未満でも、労働時間や収入に応じて給付額に影響が生じるため、注意が必要です。具体的には、以下のようになっています。1日4時間以上働いた場合働いた日は失業保険は不支給(働いた日数分が繰り越される)1日4時間未満働いた場合減額なお、アルバイトなどをした際の支給額は、「基本手当日額-減額幅」で求められます。※減額幅=(4時間未満の賃金÷4時間未満の労働日数-内職控除額+基本手当日額)-賃金日額×0.8※内職控除額は2023年8月1日以降、一律1,331円(例)賃金日額が5,000円、基本手当日額が4,000円、アルバイト(1日のみ・3時間就労)の収入が3,000円の場合減額幅=(4時間未満の賃金÷4時間未満の労働日数-内職控除額+基本手当日額)-賃金日額×0.8=(3,000円÷1日-1,331円+4,000円)-5,000×0.8=5,669-4,000=1,669円支給額=4,000-1,669=2,331円上記の場合、アルバイトした日は1,669円分が減額されて、2,331円が支給されます。失業保険を正しく受け取るために、失業保険の受給中に収入が生じた場合は、金額の大小を問わずハローワークへの申告が必要です。失業保険の不正受給はバレる!理由や処分の内容多くの人は、失業保険を少しでも多く受け取りたいと考えるでしょう。なかには、「アルバイト収入があっても、ハローワークに申告しなければ失業保険を減額されずに済むのでは?」と考える人もいるかもしれません。もしハローワークに収入があったことを申告しなかった場合、どのような事態が考えられるのか詳しく見てみましょう。失業保険受給中の収入隠ぺいは不正受給に該当アルバイトなどで収入が生じたにもかかわらず、ハローワークに収入の申告をしない場合は失業保険の不正受給に該当します。失業保険の受給中に隠れて仕事をした場合、受給中は発覚しなかったとしても、ハローワークによる事業所の帳簿録と失業保険受給記録の照合、外部からの通報、確定申告、就労先に提出したマイナンバーなど、さまざまな要因によって後々不正受給が明らかになる可能性が高いといわれています。また、不正受給に該当する行為としては収入の申告漏れのほか、主に以下の行為が挙げられます。求職活動の実績に嘘をついて申請した場合就労や就職したことを申告しなかった場合就職できる状態ではなくなったことを申告しなかった場合自営業や請負で仕事を始めていることを隠ぺいした場合不正受給がバレた際に科されるペナルティとは?不正受給が発覚した場合は、不正行為があった日以降の失業保険が支給停止となり、不正受給した失業保険を即刻返還しなければなりません。さらに、不正受給が悪質な場合は、不正に得た額の2倍の金額を納付する、いわゆる「3倍返し」のほか、刑事告発(詐欺罪)、返還を怠った場合は財産の差し押さえなどといった重いペナルティが科されるそうです。過失で受給した場合は早急にハローワークに報告をもし、誤って不正受給となった場合は、すみやかにハローワークに申告しましょう。自主的に申告した場合もペナルティは生じますが、悪質性などを判断される際に考慮される可能性があります。不正受給とならないためにも、失業保険の受給中に疑問が生じた場合は、軽く考えずにハローワークに相談することが重要です。フリーランスを廃業したあと失業保険はもらえる?現在フリーランスとして働いている方のなかには、「万が一仕事がなくなった際、失業保険のような補償を受けられないだろうか」と考えている方も多いかもしれません。業務委託をメインに仕事を受けているフリーランスは、原則雇用保険に加入できないため、失業保険を受け取ることはできません。一方で、フリーランス向けに特化した多様な保証を受けられます。ここでは、フリーランスが受けられる2つの保証を紹介するので、ぜひ参考にしてください。失業保険の特例を活用する1つ目は、「開業した人が事業を行っている期間、最大3年間は失業保険の受給期間に算入しない」という、2022年7月に新設された失業保険の特例を活用する方法です。例えば、失業保険の給付対象だった方が開業し、2年間フリーランスとして働いた後に廃業した場合、通常であれば、失業保険を受け取れるのは最大1年間で、その後は給付期間が残っていても打ち切りとなります。しかし、特例によって開業期間は受給期間に算入しないこととなったため、廃業した翌日から1年間、失業保険の受給資格が得られます。ただし、この特例を活用するためには、以下のような要件をすべて満たす必要があります。事業の実施期間が30日以上であること事業開始日(または事業に専念した日、事業の準備に専念し始めた日)から数えて30日を経過する日が失業保険受給期間の末日以前であることまた、開業してから2ヶ月以内に申請する必要があるため、あらかじめハローワークに確認しましょう。小規模企業共済・フリーランス向けの福利厚生サービスを活用する2つ目には、小規模企業共済や、民間企業が運営するフリーランス向けの福利厚生サービスを活用する方法が挙げられます。小規模企業共済とは、個人事業主や小規模会社の役員向けの共済制度です。廃業や退職を考慮し、生活の安定や事業再建のための資金を準備するもので、掛金は千円から7万円まで自由に選べます。(全額所得控除対象)また、民間企業が提供する福利厚生サービスのなかには、健康診断や人間ドックの割引、レジャーや飲食店の優待サービス、オンラインスクールの割引などを提供しているものがあります。内容はサービスによって大きく異なるので、自分に合ったサービスを探してみましょう。フリーランスの案件マッチングサービス「SOKUDAN」でも、フリーランス向けの福利厚生サービスを多数展開しています。SOKUDAN登録者は自由に活用できます。▼関連記事:小規模企業共済とは?フリーランスの将来の備えと節税効果を解説▼SOKUDANの福利厚生サービス一覧まとめ会社を退職してフリーランスになろうと考えている方は、受給条件を満たせば失業保険だけでなく、再就職手当も受け取れます。求職活動をしっかり行うのはもちろんのこと、いずれも大きなポイントとなるのは「開業届を出すタイミング」です。就業中に雇用保険として納めてきた分、失業保険は対象となる方全員に受け取る権利があります。フリーランスになろうと考えている方は、この記事で解説した手順や注意点を参考にハローワークや税務署への申請を行い、不安を少しでも軽減させてフリーランスとして働く準備を進めてくださいね。