生成AIブームの筆頭ともいえるChatGPTは、個人だけではなく、企業の内部システムや外部へのサービスにも活用されています。技術の進歩により高度な業務やデータを扱うようになったChatGPTには、便利さと同時に、リスクも多数存在します。この記事では、ChatGPTの導入で起こり得るリスクについて解説します。また、ChatGPTを安全に利用するためのセキュリティ対策についても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。【基礎知識】ChatGPTはチャット型生成AIツールChatGPTは、自然言語処理を利用してユーザーの問いに対する返答を生成するAIツールです。また、ChatGPTは対話だけでなく、画像生成や文章作成、カスタマーサポートなど、幅広い業務に対応できるため、現在は多くの業界で導入されています。ChatGPT導入で起こり得る5つのリスクChatGPTをビジネスの場面で導入することは多くのメリットをもたらしますが、同時にリスクも伴います。ここでは、特に注意が必要な主要なリスクを5つ紹介します。情報漏洩リスクChatGPTを使用する際に最も懸念されるのが、情報漏洩リスクです。ChatGPTは、入力されたデータを基に返事や作業をするため、入力したデータがChatGPT内に保管されます。そのため、企業が顧客の個人情報をChatGPTに入力し、万が一情報漏洩してしまった場合、外部に個人情報が流出してプライバシー侵害につながる恐れがあります。このようなリスクを防ぐためには、データの入力を慎重に行うとともに、適切なセキュリティ対策を施すことが重要です。以下の記事で、ChatGPTの情報漏洩対策について解説しているので、ぜひ参考にしてください。▼関連記事:ChatGPTの情報漏洩リスクとは?情報漏洩対策5選を徹底解説著作権侵害リスクChatGPTを用いる際には、生成されたテキストや画像が著作権を侵害する可能性があります。ChatGPTは学習データを基に、テキストや画像を作り出すため、生成される内容が元の著作物に似た形で出力されるケースもあります。そのためユーザーは、生成された内容をそのまま公表したり、商用利用したりする前に、著作権の問題がないか慎重に対応する必要がある点を覚えておきましょう。誤情報(ハルシネーション)のリスクChatGPTが生成する情報には、正しくない情報が含まれるリスクがあります。AIが誤情報を生成することを、ハルシネーションといいます。ChatGPTは膨大なデータから学習をして、ユーザーのニーズに対応してくれますが、必ずしも正しい情報が出ると保証されているわけではありません。そのため、ChatGPTによって得られた情報を鵜呑みにせず、事実確認を行うことが重要です。フィッシング詐欺に活用されるリスク高性能なChatGPTを利用し、フィッシング詐欺などをはじめとする犯罪が増えるリスクが指摘されています。ChatGPTが生成する説得力のあるテキストは、不正なメールやSNSの投稿に使われ、ユーザーを騙して機密情報を抜き取る手助けをしてしまう可能性もゼロではありません。ChatGPTは、犯罪につながるような指示は実行しないようにアルゴリズムが組まれてますが、活用方法は無限大なので、よい事にも悪い事にも活用することができます。ChatGPTに依存してしまうリスクChatGPTの便利さにより、過度に依存してしまうリスクも存在します。ChatGPTによる迅速な回答や解決策に慣れることで、自分自身で情報を調べる能力や問題解決力が低下する恐れがあります。また、ChatGPTの提案に頼ることで、創造性や独自性の低下を招くこともあるでしょう。このリスクを防ぐためには、ChatGPTに業務をサポートしてもらいつつ、最終的な判断は人の手で行うことが重要です。ChatGPT導入時に必要なセキュリティ対策ChatGPTの導入に際しては、多くの利点がありますが、適切なセキュリティ対策を行うことが不可欠です。ここでは、ChatGPTを安全に使用するための基本的なセキュリティ対策をいくつか紹介します。「Chat history & training」機能をオフにするChatGPTの「Chat history & training」機能は、ユーザーとの対話を記録し、それを学習データとして使用することができる機能です。この機能がオンになっていると、機密情報が保存され、意図しないデータ漏洩につながる可能性があります。セキュリティを強化するためには、「Chat history & training」機能をオフにして、ユーザーデータが記録されないように設定することをおすすめします。「Chat history & training」機能は、Settingsのボタンから設定可能です。ChatGPTのAPI版を導入するChatGPTのAPI版を利用すると、自分の管理するサーバーでChatGPTを運用できます。APIを通じてChatGPTを組み込むことにより、不要なデータ共有を避け、セキュリティを向上させることができます。オンライン上でChatGPTを利用し、OpenAI社のサーバーにデータを保管される一般的な使用方法より、情報漏洩のリスクを減らすことができるため、特に機密情報を扱う場合におすすめです。セキュリティ対策ツールを導入する強力なセキュリティソフトウェアを導入することで、外部からの不正アクセスを防ぎ、システムを保護してくれます。これらのツールは、情報漏洩やハッキングなどの怪しい動きを検出し、リアルタイムで警告を発してくれるので、非常に高いセキュリティ力を発揮してくれます。セキュリティ対策ツールの導入には初期費用がかかりますが、トラブルを未然に防ぐための投資として、必ず導入しましょう。個人情報や機密情報を入力しないChatGPTを使用するときは、個人情報や機密情報を絶対に入力しないようにしましょう。入力した個人情報や機密情報をChatGPTが学習材料として使用してしまうと、予期せぬ形で情報が露出する恐れがあります。どうしてもChatGPTを活用したい場合は、個人情報や機密情報は伏字にして利用することをおすすめします。必ず自身で正誤確認するChatGPTが生成する情報には誤情報(ハルシネーション)が含まれている可能性があります。そのため、ChatGPTで生成した文章などを発信する前には、情報が本当に合っているか自分自身で確認することが重要です。2023年にアメリカの弁護士がChatGPTで資料を作成したところ、実際には行われていない実例を反映した資料が生成されて、法廷でトラブルが発生しています。このようなトラブルを避けるためにも、必ず自身で正誤確認を行うようにしましょう。▼参考:ChatGPTで資料作成、実在しない判例引用 米国の弁護士ChatGPTを導入するメリットさまざまな業務の効率化を図れる人材コスト削減につながる24時間365日対応できる体制を作れるChatGPTでは、文章作成や画像生成、カスタマーサポートなどさまざまな業務に対応できるため、業務効率化を促進してくれます。精度も高く、人間がしていた作業を減らしてくれるため、人材コスト削減にも大きく貢献してくれるでしょう。カスタマーサポートなどで導入すれば、24時間365日対応できる体制も作れます。ChatGPTを導入するデメリット情報漏洩などトラブル発生のリスクがあるオリジナリティのあるコンテンツは作成できない人材の成長を妨げる要因になりえるChatGPTはオンライン上で利用するため、情報漏洩などのリスクを100%避けることは難しいです。特に、セキュリティ体制が十分でないと、情報が外部に漏れる可能性が高まります。また、ChatGPTはオンライン上のデータやユーザーの学習データに基づいた回答を行うため、オリジナリティのあるコンテンツを作成することは困難です。さらに、非常に便利なツールだからこそ、ChatGPTに依存してしまい、人材の成長が妨げらえる原因ともなりえます。ChatGPTの導入を検討する際は、これらのメリットとデメリットを適切に評価し、ビジネス環境やニーズに応じた対策を講じることが重要です。まとめChatGPTの導入には多くのメリットがありますが、同時にさまざまなリスクも存在します。起こり得るリスクを理解し、適切に対処することが、ChatGPTを効果的かつ安全に利用するためには不可欠です。ChatGPTを導入することで起こりえるリスクには、著作権侵害・誤情報の拡散・フィッシング詐欺への加担などが挙げられます。これらのリスクを未然に防ぐためには、適切なセキュリティ対策を講じることが不可欠です。ChatGPTの学習機能をオフにする設定や、APIの導入、セキュリティツールの利用を検討しましょう。また、最終的にChatGPTを利用するときは、便利さを活用しつつ、自身のスキルやマインドの向上を忘れないことが大切です。ChatGPTをよきサポートツールとして最大限に活用しながら、リスクを最小限に抑えることを忘れないようにしましょう。