フリーランスになると、請求書を自分で用意してクライアントに送付する作業が発生します。請求書に消費税は記載するの?フリーランスの場合は、名前の他に何を書けばいいの?インボイス制度の影響は?など、フリーランスにとって初めて作る請求書は未知のことばかりです。この記事では、請求書に記載すべき項目や消費税の表記の仕方、インボイス制度開始に伴う注意事項などを解説していきます。フリーランス・個人事業主の請求書の書き方・記載項目フリーランスや個人事業主が請求書を作る際の書き方や記載事項を解説します。取引先の宛名請求書を送る相手である取引先(クライアント)の宛名を記載します。取引先が会社の場合は「御中」、個人の場合には「様」などの敬称をつけます。請求日請求書を作成・提出する請求日を記載します。請求書番号クライアントや自分が、ファイルの順番などを管理・整理しやすくするために、請求書番号を記載するとよいでしょう。請求者情報請求者である自分の情報を記載します。基本的には、氏名、住所、電話番号、メールアドレスを記載するとよいでしょう。請求金額クライアントに請求する金額を記載します。支払い期日翌月末や翌々月末など、クライアントとの契約で決められた支払い期日を記載します。取引年月日商品を納品した日時や、業務が発生した日時を記載します。取引内容商品やサービス内容、数量、単価、金額を記載します。小計・消費税・合計額取引内容を合算した小計や消費税、小計と消費税を含んだ合計の請求金額を記載します。振込先振込先の情報がわかるように、金融機関名、支店名、口座の種類、口座番号、口座の名義を記載します。備考・特記事項その他、クライアントが振込時に必要な情報や補足が必要な内容があれば記載します。適格請求書・インボイスの書き方・記載項目続いて、インボイス制度に対応する場合に必要となる適格請求書の書き方や記載項目を解説します。インボイス制度とは、消費税の仕入税額控除の方式の1つで、2023年より始まった制度です。課税事業者が発行するインボイスに記載された税額のみを、仕入税額控除することができます。法人か個人事業主かに関わらず、適格請求書発行事業者が発行する適格請求書を保存する必要があります。対象のフリーランスの方は、以下の記事を参考にインボイス制度の知識を深めてみてください。▼関連記事:インボイス制度がフリーランスに与える脅威!やるべき対策や今後の予想適格請求書では従来の請求書の必要事項に加えて、下記の項目の記載が必要になります。登録番号請求者となる適格請求書発行事業者の登録番号を記載します。フリーランスや個人事業主は、「T+数字13桁(事業者ごとの番号)」となります。登録がまだの場合は、納税地を管轄する税務署で登録申請を行いましょう。適格請求書発行事業者として登録されると、事業者ごとに異なる登録番号が発行されます。軽減税率対象の表記軽減税率での請求書作成の場合は、軽減税率の対象項目がわかるように、「※」などの記号を付けるといった対応が必要になります。税率ごとに区分して合計した税抜・税込対価の額と適用税率税率ごとに分けて合計した項目の金額を税抜、または税込価格で表示し、適用税率を記載する必要があります。税率ごとに区分した消費税額消費税額も税率ごとに分けて記載する必要があります。フリーランス・個人事業主の請求書の作成方法フリーランスや個人事業主が請求書を作成する方法はいくつかあります。自分がやりやすい方法で作るとよいでしょう。市販の請求書に直接書く文房具店や100円ショップなどで販売されている、市販の請求書に手書きで記入する方法です。国税庁が指定している記載項目を必要最低限記載する場合や、請求書の発行数が少ないフリーランスにおすすめです。電卓やスマートフォンなどで合計金額の計算を行う必要があるので、手間がかかる場合があります。WordやExcelで作成するWordやExcelなどのソフトを利用して自分でフォーマットを作成したり、テンプレートをダウンロードしたりして記入します。ミスなどがあった際に修正しやすく、コストもかからないので、シンプルで作成しやすい方法といえます。会計ソフトを利用する一連の会計業務をスムーズに行える会計ソフトを利用する方法もあります。月額費用やソフトの購入費用がかかる場合が多いものの、複雑な仕訳や会計作業を行う場合は、業務効率化のために取り入れるとよいでしょう。▼関連記事:フリーランスにおすすめの会計ソフト8選!選び方・比較ポイントを解説フリーランス・個人事業主の請求書の提出方法請求書を作成したら、提出のタイミングや提出方法も確認しておきましょう。請求書を発行・提出するタイミング請求書を送る時期やタイミングは、基本的にはクライアントから指示されることが多いです。契約時に説明される場合が多く、契約書に明記されていることもあります。わからない場合は、クライアントに確認しましょう。月末締めで、翌月の2〜3営業日以内に請求書を提出するのが一般的です。請求書の提出の仕方請求書の提出方法もクライアントごとに異なるので、事前に確認しておきましょう。メールやクラウドサービスの提出フォームで提出することが多いです。▼関連記事:フリーランスがメールで請求書を送るときの例文3選!ポイントや電子帳簿保存法に則った管理方法も解説フリーランス・個人事業主の請求書の保存方法税務調査に入られた際などにスムーズに対応できるように、請求書は自分で管理しやすい方法で保存しておきましょう。保村期間も定められている期間があるので確認しておくとよいでしょう。提出した請求書の保存方法提出した請求書には保存義務があります。請求書の保存方法には、紙で保管する場合と、PDFなどに電子化してデータ保存する2種類の方法があります。電子化する場合は、電子帳簿保存法に則って保存する必要があります。電子帳簿保存法の要件を満たせば紙の原本の保存は必要ありません。提出した請求書の保存期間フリーランスや個人事業主の請求書の保管期間は、最低5年間です。インボイス制度に対応するために適格請求書や適格簡易請求書を発行する場合は、受け取った側だけでなく、送付した側も控えを保管しなければなりません。【よくある質問】フリーランス・個人事業主の請求書に関する疑問を解決!フリーランスや個人事業主の請求書に関する、よくある質問や疑問点を解説します。消費税は請求するべき?フリーランスや個人事業主が、クライアントに消費税を請求することは可能です。ただし、契約内容によっては、消費税は報酬に含まれない場合もあるため、契約書やクライアントに確認しましょう。請求書に消費税を明記する場合は、小計の下に記載します。▼関連記事:フリーランスは消費税を請求できる?免税事業者と課税事業者の対応の違いや計算方法を解説源泉徴収(源泉所得税)の記載は必要?請求書に源泉徴収額を記載することは、義務ではありません。源泉徴収とは、報酬を支払う側(クライアント)が特定の所得から所得税を徴収し、納付する制度のことです。フリーランスや個人事業主が源泉徴収の対象の場合、請求書に源泉徴収の金額を記載することがあります。原則、消費税の額を含めた金額が源泉徴収の対象です。源泉徴収の計算に消費税を含めるか含めないかで受け取る報酬額は以下のように変わってきます。「税込価格表記」消費税を含めて報酬が提示されている場合源泉徴収額110,000 × 0.1021 = 11,231円実際に支払われる金額110,000 - 11,231= 98,769円「税抜価格表記」消費税を含めずに報酬が提示されている場合源泉徴収額100,000 × 0.1021 = 10,210円実際に支払われる金額110,000 - 10,210= 99,790円請求書にどのように源泉徴収を記載したらよいかも、クライアントによって違うので確認するようにしましょう。▼関連記事:フリーランスにとって源泉徴収は重要!計算方法・確定申告のポイントを解説金額はどう表記すればいい?金額の表記は「¥1,000」「1,000円」などといくつか方法がありますが、クライアントからの指定がない場合にはどちらでも問題ありません。数字には3桁ごとにカンマをつけて、金額がわかりやすいように表記するとよいでしょう。(例:100,000円)請求書に押印は必要?請求書に押印することは、義務ではありません。押印はあってもなくてもよいですが、押印があることにより、本人から発行されたことの証明として信用が高まるでしょう。捏造や偽造の防止にもなります。振込手数料はどちらが負担する?一般的には、報酬を支払う側(クライアント)が振込手数料を負担することが多いです。ただし、事前に取り決めがある場合には、受け取る側(フリーランス)が支払う場合もあります。契約時などに確認するとよいでしょう。まとめフリーランスや個人事業主にとって、請求書の作り方や提出方法などの知識は必須です。書き方や記載事項を確認して、スムーズにクライアントとやりとりができるように備えましょう!