フリーランスとして仕事をしていく上で避けて通れないのが確定申告です。フリーランスは、事業所得が月に20万円以上ある場合は、確定申告が必要です。フリーランスで確定申告の必要が出てきたときは、自分で行うのか、税理士に任せるべきなのか、悩む人も多いでしょう。今回は、確定申告を税理士に依頼する際にかかる費用や、税理士に丸投げするメリットなどを解説していきます。▼関連記事:確定申告はフリーランスに必須!やり方や必要書類と経費管理のコツ確定申告を税理士に依頼・丸投げする際の費用相場まずは、フリーランスや副業をしている人が、確定申告を税理士に依頼するときにかかる費用感を紹介します。費用を決める要素確定申告を税理士に依頼する際は、下記のような要素によって費用が変動することが多いです。契約の種類(顧問契約 or スポット契約)申告の種類(青色申告 or 白色申告)消費税の申告の有無売上高仕訳数業務を依頼する範囲専属の顧問契約を結ぶか確定申告スポットでの依頼か、青色申告か白色申告かといった、契約や申告の種類で費用が変わります。一般的には、手厚いサービスを受けられる顧問契約や、細かな記帳が必要となる青色申告の方が、費用が高くなる傾向にあります。また、消費税の申告が必要だったり、売上額や仕訳数が多かったりすると、その分行う業務も増えるため、費用が高額になります。記帳作業や確定申告書の作成といった、業務を依頼する範囲によっても料金は変動します。フリーランス・個人事業主の場合フリーランスや個人事業主の場合は、下記のような内訳で税理士費用の相場が変わってきます。依頼内容費用相場確定申告書類の作成数万円記帳仕訳数200未満1.5万円程度仕訳数200〜300未満2万円程度仕訳数300〜400未満2.5万円程度仕訳数400〜500未満3万円程度仕訳数500以上3.5万円程度確定申告に関する業務売上500万円未満10万円〜売上500万~1,000万円未満15万円〜売上1,000万円以上20万円〜顧問契約顧問料月額2万円程度記帳あり月額3万円程度記帳なし月額1万円程度ただし、あくまでも一例であり、税理士や事務所によって料金体系が決められているため、詳細は直接問い合わせて確認しましょう。会社員などの副業の場合会社員が、給与所得以外の「20万円を超える副業所得」を確定申告する際に、税理士に依頼するケースもあります。税理士費用の相場は、下記のようなイメージです。副業所得の金額費用相場100万円未満5万円〜100万〜500万円未満8万円〜不動産所得や不動産売却の場合不動産による所得や、土地売却時に発生する譲渡所得を確定申告する場合にも、税理士に依頼することがあります。税理士費用の相場は、下記のようなイメージです。不動産売却に伴う譲渡所得額費用相場1,000万円まで5~6万円3,000万円まで9~12万円5,000万円まで12~15万円8,000万円まで15~24万円1億円まで18~30万円確定申告を税理士に依頼・丸投げするメリット日々忙しく仕事に追われる中で、自分で確定申告を行うのは手間がかかり、慣れるまでは難しく感じるかもしれません。確定申告業務を税理士に依頼するメリットは多くあります。手間や時間を削減できる確定申告を行うためには、仕事に関わるレシートの収集や、クレジットカードの明細の確認などの作業が必要です。税理士に依頼すると、税理士が代わりに申告書を準備し、必要な手続きを行うため、手間や時間を削減できます。正確な内容で申告できる税理士は、税務法や会計基準などの専門知識を持ち、日々確定申告に関わる業務も行っています。税理士に依頼することで、正確な内容での申告が可能になります。確定申告書の信頼性が高まる税理士に確定申告を依頼することで、記帳や書類の精度が上がり、確定申告書の信頼性が高まります。誤った計算や記入漏れのリスクを最小限に抑えられます。節税が期待できる確定申告を正確に行うことで、場合によっては還付金が支払われることがあります。また、最大限経費計上を行い、控除を受けることにより、節税につながります。【判断基準】確定申告を税理士に依頼したほうがいいケース確定申告を自分で行うか、税理士に依頼するか、悩む人もいるでしょう。下記の状況に当てはまる場合は、税理士に依頼した方がいい場合があります。確定申告業務を丸投げしたい場合年間の売上額にかかわらず、自分で確定申告できるか心配だったり、難しいと感じたりする場合には、税理士に依頼した方が安心でしょう。税理士に確定申告を任せられるので、自分の案件や業務に集中できます。年間の売上が1,000万円を超える場合年間の売上が1,000万円を超える場合は、税理士に確定申告を依頼するのがおすすめです。年間の売上が1,000万円を超えると、個人事業主でも2年後から消費税の申告義務が生じます。消費税の申告手続きを自分で行うのは手間がかかるため、確定申告だけでなく、税理士と顧問契約をした方が安心でしょう。課税所得が500万円を超える場合課税所得が500万円を超えた場合も、税理士に確定申告を依頼した方がよいでしょう。年間の売上が1,000万円を超えていなかったとしても、経費や控除額によっては、課税所得が大きくなる場合があります。課税所得が500万円を超えたら、節税の目的も含めて税理士に依頼してみましょう。フリーランス・個人事業主から法人化する場合フリーランスや個人事業主が法人化する場合も、税理士に依頼するのがおすすめです。フリーランスや個人事業主が個人事業を廃業して法人化する場合、最終年度の確定申告を正しく行う必要があります。売上や経費の区分などを正しく計上して確定申告を行うのは、知識が必要で手間もかかります。相続財産を引き継いだ場合相続に関する税務手続きや法的手続きは複雑であり、専門的な知識が必要です。 税理士は相続税を最小限に抑えるための節税策も提案してくれるでしょう。税理士に相談することで、スムーズな相続手続きや最適な税金対策を行えます。確定申告を税理士に依頼・丸投げする際の注意点確定申告を税理士に依頼する際の注意点も知っておくと、確定申告の際のトラブルを防げるでしょう。信頼できる税理士を選ぶスムーズに確定申告が行えるように、信頼できる税理士を選ぶようにしましょう。正しい申告をするために、税理士とは密にコミュニケーションを取り合うことになります。確定申告業務を丸投げできるとはいえ、確定申告や会計業務は自分の仕事に関わることなので、パートナーシップを築ける税理士を選ぶことが重要です。業務の進捗共有やコミュニケーションを疎かにする税理士を選ぶと、確定申告がうまく進まない可能性もあります。せっかく税理士に確定申告を依頼しているのに、かえってストレスがかかるかもしれません。もちろん、自分もしっかりとコミュニケーションを取り、必要な書類などを準備するなど、協力する姿勢は大切です。余裕を持ったスケジュールで動く自分で確定申告を行う場合では、3月に入ってから慌てて領収書をまとめたり、書類作成をしたりすることもあるでしょう。税理士に依頼する場合は、契約の締結を行い、書類や情報などを共有しながら進めていくため、早め早めに動かなければなりません。申告期間が始まってから税理士を探すのでは、期限内に提出が間に合わない可能性があります。また、税理士にとっても確定申告期間は繁忙期です。そもそも税理士が見つからなかったり、ギリギリの対応になるため費用が上乗せされたりする場合もあるでしょう。確定申告を税理士に依頼する際の流れ・スケジュール確定申告を税理士に依頼する場合の流れやスケジュールを確認しておきましょう。依頼する税理士の比較・検討まずは、依頼する税理士を選定します。インターネットで検索したり、知人から紹介してもらったりするとよいでしょう。税理士ごとに費用や専門分野が異なるので、複数の税理士を比較しながら検討するのがおすすめです。契約の締結実際の業務に入る前に、税理士と契約を締結します。仕訳数や売上高に応じて、税理士費用も変わります。トラブルにならないように、事前に任せたい税務範囲や自分の情報を共有しておきましょう。契約締結時には以下の書類が必要になります。顧問契約書定款商業登記簿謄本直近3期分の税務申告書総勘定元帳の写し契約金額分の印紙(顧問契約の場合のみ)必要書類の準備・提出税理士に確定申告を依頼する場合、領収書や現金出納帳、決算書などの収支に関する書類を提出します。揃えるのに時間がかかることもあるため、早めに準備しましょう。税理士に提出する主な必要書類は以下の通りです。試算表推移表給与台帳現金出納帳仕訳帳決算書領収書や請求書実地棚卸表賃貸借契約書の写し通帳の写し確定申告書の確認・提出確定申告書が完成したら、税理士と一緒に内容を確認します。間違いや誤りがあれば修正を行い、正確な申告書を完成させます。確定申告書が完成したら、e-Taxや郵送などで提出します。確定申告書の提出は、契約によって自分で行うか、税理士が行うかが変わります。提出後、税務当局からの確定通知書が届くまで待ちます。【仕訳処理】税理士への支払いは経費になる税理士費用は経費計上可能です。税理士への顧問料の支払いは、税理士報酬と源泉所得税を分けて仕訳を行います。税理士から請求を受けるときは、源泉所得税が必要かどうかを確かめましょう。まとめ確定申告を税理士に依頼することで、自身の業務に集中できるようになります。時間や労力を事業に費やせるため、フリーランスや個人事業主、会社経営者にとって、税理士はとても助かる存在です。一方で、税理士費用も当然発生するため、業務範囲や費用対効果を考えて、依頼するかどうかを考えましょう。▼関連記事:フリーランス・個人事業主の税金の種類!確定申告や納税方法を徹底解説