ChatGPTは、100以上の言語にも対応した優れたAIチャットツールなので、さまざまな言語から異なる言語へ翻訳をすることができます。翻訳するようにプロンプト(指示)を工夫することで、高精度な翻訳ツールとして、ビジネスでも個人でも活用することができます。この記事では、ChatGPTを翻訳ツールとして使う方法や、適切な翻訳結果を得るためのプロンプト(指示)入力のコツを解説します。ChatGPTで翻訳するメリット・デメリット、他の翻訳ツールとの比較についても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。ChatGPTの翻訳精度は?ChatGPTを利用して翻訳した場合の精度は非常に高く、ニュアンスや文脈を考慮した自然な翻訳が可能です。単語の置き換えではなく、文章全体の意味を理解した上で翻訳するため、流暢で読みやすい翻訳結果が得られます。ChatGPTの翻訳精度の高さは、自然言語処理技術(NLP)とRLHF(Reinforcement Learning from Human Feedback)によって実現しています。自然言語処理技術(NLP)は人が日常的に使用する言語を理解させる技術、RLHFは人間からのフィードバックを学習し、より自然な翻訳のニュアンスや言い回しを学ぶ技術です。このように非常に高精度を誇るChatGPTですが、専門用語や複雑な文章の翻訳では、完璧とはいえない場合もあります。あくまでも翻訳結果は参考程度に捉え、必要に応じて人間が確認・修正することが大切です。ChatGPTによって翻訳の仕事がなくなる可能性については、関連記事:ChatGPTによってなくなる仕事6選!AIの影響を受けにくい仕事も解説にて説明しているので、ぜひ併せてご覧ください。ChatGPTで翻訳するときに入力する内容ChatGPTで翻訳を行うときは、翻訳したいテキストや言語の指定、翻訳のルールなどを適切に入力することが重要です。ここで、ChatGPTで翻訳するときのプロンプト(指示)の例をみてみましょう。【プロンプト(指示)の例】これから以下の指示に従って、翻訳のサポートをお願いします。(何をして欲しいのか)・下記の文章を英語から日本語に翻訳してください(言語の指定)・翻訳するときに敬語は使わないでください(翻訳のルール)※以下に翻訳して欲しい文章を記載する(翻訳するテキスト)プロンプトの例に沿って、ChatGPTで翻訳するときに入力すべき内容について解説します。▼関連記事:【PC・スマホ別】ChatGPTの始め方!AI初心者も使いこなせる丁寧解説翻訳するためのプロンプトはじめに、ChatGPTにどんな作業を行って欲しいかを伝えましょう。ChatGPTは翻訳に特化したツールではなく、文章作成や画像生成などマルチに対応したツールです。そのため、始めに何をして欲しいのか指示をすることが大切です。例えば「これから以下の指示に従って、翻訳のサポートをお願いします」と伝えると、ChatGPTはこれから翻訳をするんだと理解してくれます。言語の指定ChatGPTで翻訳するときは、翻訳元と翻訳先の言語を明示することが大切です。例えば、「この文章を英語から日本語に翻訳してください」という風に、具体的に指示を出しましょう。言語を指定しないと、ChatGPTが翻訳する言語を推測することになり、自分が求めている翻訳を出力してくれません。またChatGPTは100以上の言語に対応していますが、一部のマイナー言語は学習データが少ないため、英語や中国語などのメジャーな言語と比較して翻訳精度が劣ることがあります。そのため、特にマイナー言語を翻訳する場合は、精度に注意が必要です。翻訳のルールChatGPTに翻訳するときのルールを伝えることで、要望に沿った翻訳が可能になります。例えば、次のようなルールを指定できます。敬語は使わないでください。原文の語順は維持してください。専門用語は原語のまま残してください。指示したい翻訳のルールが多い場合は、箇条書きにするとChatGPTが明確に理解して、適切に対応してくれるようになります。目的に応じた翻訳ルールを設定し、ChatGPTに明確に翻訳のルールを伝えましょう。翻訳するテキストプロンプトを入力したら、翻訳したいテキスト(文章)を入力しましょう。文章の長さに制限はありませんが、文章が長すぎると、途中で止まってしまったり、一部しか翻訳してくれないケースもあります。一度入力して思うような回答が得られなかった時は、文章を分割して再度翻訳することをおすすめします。また、改行や段落構成を原文と同じにすることで、より自然な翻訳が可能になります。ChatGPTの翻訳プロンプト例ChatGPTを使った翻訳では、適切なプロンプトを入力することが重要です。ここでは、さまざまな場面で活用できる翻訳プロンプトの例を紹介します。プロンプトを参考に、自分の目的に合ったプロンプトへ応用してみてください。ビジネスメールの翻訳ビジネスメールの翻訳では、敬語の使い方や適切な表現の選択が重要です。翻訳して欲しい文章に加え、ビジネスメールであるという背景を伝えるようにしましょう。【プロンプト例】・以下のメールを日本語から英語に翻訳してください。・ビジネスメールに適した丁寧な表現にしてください。※指示の下に翻訳する文章を記載するこのようなプロンプトを与えることで、ビジネスシーンに合った自然な翻訳が得られます。メールの目的や相手との関係性に応じて、「フランクな雰囲気で」など、プロンプトを調整するのも効果的です。専門用語を含む文章の翻訳専門用語を多く含む文章の翻訳は、言語の知識だけでなく専門分野の理解も必要です。ChatGPTをはじめ、AIツールは専門用語や最新の専門知識まで対応できない場合があります。そのため、専門用語は原文のまま残し、専門用語に関しては自分で確認して翻訳することがよいでしょう。【プロンプト例】・下記の医学論文の要約を、日本語から英語に翻訳してください。・医学や薬学に関する専門用語は原語のまま残し、文脈に合った適切な表現を使ってください。※指示の下に翻訳する文章を記載する専門用語に関しても「何の」専門用語なのか分かるように「〇〇に関する」など範囲や条件を明確に伝えることで、適切な用語のみ原語として残ったテキストが得られます。プロジェクト提案の翻訳海外のクライアントやグローバルなプロジェクトでの提案書では、提案書を読む人が必ずしもその道の専門家とは限りません。そのため、提案内容を相手が容易に理解できるように翻訳することが求められます。【プロンプト例】下記のプロジェクト提案書を日本語から英語に翻訳してください。・提案内容を明確に伝えるために、受け手が専門家でないことを想定し、専門用語を使用する場合はそれが何を意味するのかを説明してください。説明は括弧書き、または注釈を用いてください。・読み手に敬意を払い、礼儀正しい表現を用いてください。※指示の下に翻訳する文章を記載するこのように提案書のポイントを的確に捉えた翻訳により、プロジェクトの成功率向上が期待できます。ポートフォリオやWebサイトの多言語化自分のポートフォリオやWebサイトを英語や中国語など、多言語対応する場合は、内容に一貫性のある翻訳が求められます。【プロンプト例】・以下に私のポートフォリオサイトの文章を入力するので、日本語から英語に翻訳してください。(言語の指定)・プロフィールや作品説明では、親しみやすい表現を使ってください。※指示の下に翻訳する文章を記載するChatGPTでは、URLからデータを読み込んでの翻訳には対応していません。そのため、以下のいずれかの方法でポートフォリオやWebサイトの翻訳を指示しましょう。ChatGPTに翻訳して欲しいテキストを入力する翻訳して欲しいテキストをPDFやWordなどのデータで共有するChatGPTはPDFやWordをはじめ、Excelやテキストファイル(.txt)、PowerPointプレゼンテーション(.pptx)やCSVファイル(.csv)のデータを読み込むことが可能です。また少し手間はかかりますが、メニューや画像キャプションなども忘れずに翻訳するようにしましょう。ChatGPTの翻訳機能のメリットここでは、ChatGPTの翻訳機能の主なメリットについて詳しく解説します。ChatGPTの翻訳機能のメリットを理解することで、よりChatGPTを効果的に活用し、翻訳作業の効率化を図ることができるでしょう。翻訳精度の高さChatGPTの翻訳精度は非常に高く、自然な言い回しや文脈に合った適切な訳語選択が可能です。ChatGPTでは、大量の言語データを学習したAIモデルが組み込まれており、流暢で読みやすい翻訳を提供するための自然言語処理技術や、人間のフィードバックを学習して精度を上げていくRLHFと呼ばれる技術を採用しています。そのため、ただ単語の置き換えた翻訳ではなく、文章全体の意味を理解した上で翻訳することができるのです。ただし、専門用語や複雑な文章の翻訳では、完璧とはいえない場合もあるため、注意が必要です。迅速な翻訳スピードChatGPTの翻訳スピードは非常に速く、長文でも短時間で翻訳が完了します。これはAIによる自動翻訳の大きなメリットの一つでしょう。人力での翻訳と比べると、圧倒的な速さで翻訳作業を進めることができます。翻訳のクオリティを維持しつつ、時間を大幅に短縮できるため、業務の効率化やコスト削減に役立ちます。対応言語の多さChatGPTは、英語や日本語をはじめとする主要言語をはじめ、多くのマイナー言語にも対応しており、対応言語数は100言語以上といわれています。対応言語が多い分、より多くの言語間での翻訳が可能になります。特に、マイナーな言語で翻訳者の確保が難しい言語での翻訳に非常に便利です。ChatGPTの翻訳機能のデメリット・注意点ChatGPTの翻訳機能は優れたツールですが、いくつかのデメリットや注意点があります。注意点を理解し、適切に対処することで、ChatGPTの翻訳機能をより効果的に活用しましょう。必ずしも正しい翻訳とは限らないChatGPTの翻訳精度は高いですが、完璧ではありません。文脈や言語の微妙なニュアンスを汲み取れない場合があり、誤訳や不自然な訳文が生じることがあります。特に、複雑な文章やスラングや若者言葉などの曖昧な表現、医学や法律などの専門用語の翻訳では、注意が必要です。ChatGPTが把握しているのは、一定期間のデータのため、最新のデータには対応していない場合もあります。そのため、専門性が高い分野の翻訳は自身で確認することをChatGPTを制作したOpenAI社も推奨しています。これらの理由から、ChatGPTの翻訳結果はあくまでも参考として活用し、最終的には自分自身でチェックすることが非常に重要です。翻訳の質を確保するために、翻訳結果の見直しを怠らないようにしましょう。専門用語の翻訳は難しい専門用語や業界特有の用語の翻訳は、ChatGPTにとって難しい課題の一つです。これらの専門用語や業界の専門用語は、一般的な言語モデルでは十分に学習されていない場合があるためです。その結果、専門用語が誤訳されたり、不適切な訳語が出力されたりする場合があります。専門用語を含む文章の翻訳では、用語集や辞書を参照しながら、人間の知識と経験を活かして翻訳をチェックすることが大切です。情報漏洩のリスクがあるChatGPTに翻訳を依頼する際には、情報漏洩のリスクも考慮する必要があります。機密情報や個人情報を含む文章をChatGPTに入力すると、入力した情報が外部に漏洩する恐れがあります。ChatGPTのサーバーに送信されたデータは、一定期間保存され、ChatGPTのデータ学習に活用されるからです。重要な情報を扱う際は、ChatGPTの利用を避けたり、機密情報や個人情報は別の内容に差し替えて入力したりするなどの対策が必要です。情報漏洩のリスクについては、関連記事:ChatGPTの情報漏洩対策5選!トラブルを未然に防ぐ対策方法も解説にて、詳しく説明しているのでぜひ併せてご覧ください。ChatGPTと他の翻訳サービスとの比較最後に、ChatGPTと他の翻訳ツールを比較します。ChatGPTと人気の翻訳ツールである「Google翻訳」と「DeepL」それぞれの違いは以下の通りです。ChatGPTGoogle翻訳DeepL対応言語数100言語以上130言語以上30言語入力文字数制限非公開5,000文字まで上限なしテキスト翻訳可能PDF・Word(.docx)Excel(.xlsx)・テキストファイル(.txt)PowerPoint(.pptx)・CSVファイル(.csv)可能Word(.docx)・.pdf・PowerPoint(.pptx)・.Excel(xlsx)可能PDF、Word(.docx)、PowerPoint(.pptx)ファイル翻訳可能可能可能※Chrome拡張機能URL翻訳不可可能可能費用無料もしくは有料プラン※どちらでも翻訳機能を利用可能無料DeepL Translator:無料Starter:1,000円Advanced:3,167円Ultimate:6,250円3つのツールを比較すると、ChatGPTとGoogle翻訳が100言語以上に対応しており、カバーできる言語数の幅が広いことがわかります。また3ツールともテキスト翻訳とファイル翻訳に対応しており、ChatGPTのみURLからの翻訳は非対応となっています。1番大きな違いは、入力文字数です。ChatGPTは明確な上限文字数は公表されてなく、Google翻訳は5,000文字、DeepLは上限なしとなっています。そのため、3つのツールは以下のような方におすすめです。ChatGPT:文書作成や画像生成など他機能を使いつつ、翻訳もしたい方Google翻訳:無料の翻訳ツールを探している方DeepL:たくさん翻訳をしたい方、用語のカスタマイズをしたい方DeepLの有料プランには用語のカスタマイズ機能があり、さらに一度に大量の翻訳をできるため、機能性を求める方にぴったりです。またChatGPTとGoogle翻訳は無料でも利用できるため、翻訳以外の機能が必要かによって選ぶとよいでしょう。まとめChatGPTの翻訳機能は、高い翻訳精度と迅速な翻訳スピード、多言語対応などの優れたメリットがあります。一方で、必ずしも正しい翻訳とは限らないことや専門用語の翻訳が難しいなどのデメリットも存在します。ChatGPTを効果的に活用するためには、適切な翻訳プロンプトを入力し、翻訳結果を自分自身でチェックすることが重要です。ChatGPTの翻訳機能に依存してしまうと、自身の翻訳スキルが磨かれない、誤訳に気がつかないなどのトラブルが起こるリスクもあるので気をつけましょう。