ChatGPTは、文章や画像の生成、翻訳など多彩な機能を備えた革新的なAIツールですが、適切な利用方法を心がけないと、意図せず重要な情報が漏洩してしまうリスクがあります。ChatGPTを業務で活用したい方や個人的に利用したい方は、ChatGPTによる情報漏洩の可能性とその対策について理解しておく必要があるでしょう。この記事では、ChatGPTを使用時に想定される情報漏洩リスクと、情報漏洩を未然に防ぐ方法を解説します。▼関連記事:ChatGPTの活用事例11選!フリーランス・副業で業務効率化の味方に ChatGPTの情報漏洩リスクChatGPTは非常に便利なツールですが、情報漏洩のリスクも考慮する必要があります。ここでは、ChatGPTの情報漏洩リスクとして想定されるケース4つを解説します。プロンプトから情報漏洩するリスクChatGPTに指示をする場合、指示内容によってはプロンプトに個人情報や機密情報となるデータを入力することがあるかもしれません。ChatGPTはユーザーからの質問や指示を学習材料として使用しているため、入力したプロンプトに含まれる情報が外部に漏れる可能性もゼロではありません。そのため、個人情報の入力を控えるのはもちろん、ChatGPTの設定画面か「Chat history & training」機能をオフにしてプロンプトをAIの学習に利用されないように設定することも対策の1つです。チャット履歴から情報漏洩するリスクChatGPTとのチャット履歴には、やり取りした内容や入力した情報が全て記録されます。前述のプロンプトとして意図的に入力している情報以外にも、何気ない会話や返答などチャット履歴に含まれるささいな情報も外部に漏洩するリスクがあるので注意が必要です。実際に2023年に、一部のユーザーに別のユーザーのチャット履歴が表示されてしまうトラブルも発生しています。▼参考:ChatGPTで個人情報漏えい OpenAIが原因と対策を説明学習データから情報漏洩するリスクChatGPTは大量の学習データをもとに構築されたAIモデルですが、万が一学習データが不正アクセスやシステムトラブルによって流出した場合、学習データに含まれる機密情報や個人情報が漏洩するリスクがあります。学習データは前述のプロンプトやチャット履歴をはじめ、ウェブページ、書籍、ニュース記事、雑誌、論文、ウィキペディアなど、さまざまな種類のデータを元にしています。過去には大手IT企業のデータベースから個人情報が漏れた事例もあり、ChatGPTも同様のリスクを抱えています。ChatGPTの情報漏洩対策5選ChatGPTを安全に利用するためには、情報漏洩のリスクを理解し、適切な対策を講じることが不可欠です。ここでは、ChatGPTの情報漏洩を未然に防ぐための5つの対策を紹介します。機密情報・個人情報を入力しないChatGPTに、機密情報や個人情報を直接入力することは避けましょう。たとえ一時的な利用であっても、入力した情報がChatGPTのシステム内に蓄積され、予期せぬ形で漏洩するリスクがあります。機密情報や個人情報を扱う必要がある場合は、情報を匿名化して入力する、もしくは機密情報などに関わる部分はChatGPTを使用せずに対応することをおすすめします。API機能を活用するChatGPTでは、外部のシステムにChatGPTを組み込んで使用するAPI機能を利用することができます。例えば自社製品やシステムにChatGPTを組み込んで使用する場合は、入力情報はAPIを通じて送信されるため、直接ChatGPTに入力するよりも情報漏洩のリスクが軽減されるでしょう。ただし、API利用時も情報の取り扱いには十分な注意が必要なことには変わりません。チャットの履歴を残さないように設定するChatGPTとのチャット履歴が残ってしまうと、履歴に含まれる情報が漏洩するリスクがあります。そのため、ChatGPTとの会話履歴を保存してAIの学習促進を許可する機能「Chat history & training」をオフにすることも情報漏洩対策の1つです。「Chat history & training」をオフにすることで、チャットの履歴は保存されなくなり、チャットの内容は30日後に完全に削除されるので情報漏洩を防げます。この機能は、設定画面よりオンオフ設定が可能です。ただし「Chat history & training」を利用すると、過去の履歴が全く残らなくなるため、利用スタイルによっては不便さを感じるかもしれません。「ChatGPT Enterprise」を導入する「ChatGPT Enterprise」は、セキュリティの精度が高いChatGPT環境を提供する企業向けサービスです。「ChatGPT Enterprise」では、会話データの暗号化やアクセス制御、監査ログの記録などの機能が提供されており、企業の情報管理体制に合わせた柔軟な設定が可能です。専用のAPIや強固なセキュリティ対策が施されており、機密情報の取り扱いに適しています。ただし、導入にはコストがかかるため、費用対効果を見極める必要があります。アカウントのセキュリティ対策を強化するChatGPTを利用する際は、アカウントのセキュリティ対策を万全にしましょう。自分の名前や生年月日など予測されやすい単語は使用せず、英語と数字を混ぜた強力なパスワードを設定することが基本です。また、家族や友人とアカウントを共有することは避け、利用者ごとに個別のアカウントを作成することをおすすめします。まとめChatGPTは利便性の高いツールですが、適切な利用方法を心がけないと、情報漏洩を起こすリスクがあります。機密情報や個人情報を直接入力しない、API機能を活用する、チャット履歴を残さないようにするなど、事前の対策を講じることが大切です。情報漏洩はフリーランスや企業の信頼を大きく損なう非常に大きな問題だからこそ、「自分は大丈夫」と過信せず、日頃から適切な情報漏洩対策を取り入れていきましょう。