フリーランスや個人事業主の中には、将来的に経営者を目指す人も少なくないでしょう。会社員の方でも会社経営に近いポジションの方は「経営者に必要なスキル」が役に立ちます。自分が経営者に向いているかどうかを知りたい人や、今のうちに勉強しておくとよい知識を知りたい人に向けて、経営者に必要なスキルや知識を紹介していきます。将来的に経営者を目指している方は、以下の記事も参考にしてみてください。▼関連記事:経営者になるには?具体的な方法や必要な経験・準備を紹介経営者がスキルを身につけるべき理由経営者は、会社や事業の方向性や戦略を決める存在です。そのため、経営者を志す場合は、一定のスキルや知識を身につける必要があるでしょう。ビジネスに対する考え方やマインド、人を巻き込む力、リーダーシップ、法律や会計などの経営に関する知識などです。もちろん、1つ1つの業務は専門の人材を雇って任せることもできます。一方で、経営者自身が会社や経営の仕組みや構造を理解していないと、なぜその業務を行うのか、それが効果的なのか、どのくらいのリソースを割くべきなのか、などの実態がわからなくなります。業績が伸び悩んだり、何か問題が発生したりした際にも、スキルや知識がないと、適切な判断や軌道修正が行えなくなるでしょう。経営者に必要なスキル【ビジネス・ヒューマンスキル】まず、経営者には、ビジネスへの考え方やマインドが必要とされます。それぞれの項目で具体的に求められるスキルを解説します。コミュニケーション力経営者は、人と関わることが多いポジションです。営業活動や交渉・プレゼン、従業員との面談や採用活動における面接など、さまざまな場面で経営者としてのコミュニケーション能力が試されます。年齢や性別、業界など、幅広い属性の人と関わることになるので、相手との関係性を踏まえたコミュニケーションが取れることが必要不可欠でしょう。特に経営者は、経営者同士の交流や事業拡大に向けた重要機関との折衝などもあります。論理的思考力経営者には、論理的思考力が必要です。さまざまな経営に関する判断をする中で、適切な判断を下すためには、数字や理論、傾向、トレンドなどに基づいて総合的に判断する力が求められます。常に根拠を持って、従業員や顧客に納得感を示せるとよいでしょう。課題発見・課題解決力経営者には、現状に満足せず、課題を見つけ、解決することが求められます。多角的な視点で物事の本質を見極める力が必要です。社内の小さな問題が致命的な問題に発展することもあるかもしれません。また、社会課題が新規事業の種となり、大きな飛躍をもたらすかもしれません。課題の解決には、師となる経営者に相談したり、社内で課題を共有しつつ、リーダーとしての指針を示したりできるとよいでしょう。判断・決断力経営者は、業務のあらゆる場面で判断力と決断力が求められます。他の人から反対があったり、決断に迷ったりするような状況に直面しても、自分が責任を持って最終的な判断を下す必要があります。決断したことには責任を持ち、他のメンバーを率いるリーダーシップも重要になってくるでしょう。情報収集力経営者は、優れた情報収集能力も必要でしょう。誰しも最初から全ての分野に精通していることはなく、会社経営や事業をする中でさまざまなことを学んでいきます。分からないことは専門家に聞いたり、本を読んだりすることで、必要な情報を都度集めます。無闇にリサーチするのではなく、トレンドを押さえて、効率的に情報収集することが重要です。同時に、物事を先読みできる先見性も求められます。変化対応力経営に変化はつきものです。「生き残るのは変化できる者である」というダーウィンの進化論にもあるように、市況やトレンド、時代に合わせて常に新しいものを生み出していく必要があります。経営者は、古い慣習や過去の成功に囚われずに、新しいものにチューニングさせるスキルが求められます。行動・実行力何はともあれ、経営者に最も重要なスキルは行動力と実行力でしょう。いくら論理的思考力や情報収集能力に長けていても、実行に移さない限りは、経営者としての成功はあり得ません。考えや導いた答えを行動に移すことで、経営者としての仕事が始まります。行動・実践しないことには改善点も見えてきません。経営者に必要なスキル【経営スキル・知識】経営者には、マインドや人間性以外にも経営に関するスキルや知識が必要です。組織の中で各部門の専門家が担ってくれることも多いそれぞれのスキルですが、経営者自身が持っていることでよりスムーズに経営が行えます。戦略立案スキル経営者は、経営戦略や事業戦略を立てるスキルが必要です。論理的思考や情報収集などを用いて、会社全体の目標や方針、事業ごとのビジネスモデルや競争戦略などを決めます。戦略が破綻していると、経営や事業を成功させることは難しいでしょう。売り上げを立てるために、戦略立案スキルが必要になります。マーケティングスキルマーケティングは、商品やサービスが売れる仕組みを作ることです。市場調査を行ったり、ブランディングを行ったりと、幅広い作業を通して行われます。近年では、Webマーケティングが活用される場面も増えています。細かいマーケティングスキルまで網羅する必要はありませんが、基本的な知識があると、事業やビジネスモデルを考えるうえで役立つ場面が多いでしょう。マネジメントスキル経営者は、従業員やチームメンバーなどの「ヒト」だけでなく、時間や売り上げなどの「モノ」「カネ」といった、経営に必要な要素を管理するスキルが求められます。利益を最大化するために、ヒト・モノ・カネを適切に管理することが重要です。会計知識経営者には、ある程度の会計知識も必要です。経営状況を把握し、事業を推進していくために、決算書や貸借対照表の理解、損益計算が求められます。経営者に会計知識がないと、経営状況を正確に把握できないだけでなく、最悪の場合には、会社内外で金銭面のトラブルが発生する可能性もあります。法務知識経営には、商品・サービス開発や人材採用、契約など、さまざまな場面で法律が関わってきます。経営者に法律の基本的な知識がないと、正しい判断ができなかったり、不利な契約を強いられてしまったりします。専門家に頼るとしても、適切なやり取りや相談ができなくなる可能性もあります。また、知識がないことを利用されて、騙されることもあるかもしれません。経営者に必要なスキル・知識を身につける方法「経営者に必要なスキルや知識を身につけたい」と思った時にできることを紹介します。今すぐに実践できることばかりなので、日々の生活に取り入れてみましょう。相手目線・顧客目線を持つ相手がどのような意図で行動したのか、どんな感情なのかを理解できるように、日頃から相手目線を持つとよいでしょう。経営者としての立場が確立されると、経営者目線で物事を考えてしまいがちになります。従業員や顧客などの立場や考えを理解して、経営判断を行うことも重要です。特に経営者が顧客として関わる相手は、経営者であることが多いです。同じようにビジネスの視点や会社経営の観点が強いため、相手の会社の状況やビジネス戦略を汲み取るよう意識しましょう。意思決定の機会を増やす経営者は組織のトップとして決断をする場面が多くあります。膨大な情報の中から常に最善の選択肢を選び続ける必要があります。日頃から自分で決断するクセをつけておくことで、経営者の立場になったときに、自分の意思決定に自信を持つことができるでしょう。自分の選んだ選択に対して責任を持つ経験を積むことで、よりよい選択ができるようになっていきます。外部のコミュニティとのつながりを築く経営者でなくとも、人との関わりが仕事でプラスの影響をもたらすことは多いです。自分と異なる業界や職種、経験を持つ人と話すことで、新たな気づきやひらめきが生まれるでしょう。さまざまなコミュニティとのつながりを持つことで、何か助けが必要な時に協力し合えたり、自分自身の成長のきっかけになったりします。本や動画を活用する本や動画を活用して、自分に足りないスキルを学ぶ方法もおすすめです。本や動画で学ぶ際は、目的を明確にすることが大切です。自分の関連する業界や商材、その時必要な知識などによって、最適な教材は異なります。目的を明確にし、今の自分に必要な知識・スキルを効率的に身につけましょう。以下の記事では、これから経営を始める方や経営者1年目の方におすすめの本を紹介しています。▼参考記事:経営初心者におすすめの本12選!ビジネス戦闘力が上がる書籍を厳選実際に行動してみる経営スキルを身に着つけるためにさまざまな手段があるものの、インプットだけしていては、経営者としての経験値は上がっていきません。学んだことを実際の行動につなげることで、経営に関連するさまざまなスキルも上がっていきます。行動することで、自分に足りない知識や次に必要なアクションなどが見えてくるでしょう。実際に行動してみると、学んだ理論とは違うことや、予想通りにはいかない場面が多く出てきます。何事も行動することが大切です。経営者に一番必要なのは「強い意志」ここまでに紹介してきたスキルはもちろん大切ですが、それが全てではありません。経営者に最も必要なのは、土台となる強い意志(マインド)です。強い意志(マインド)を持って成功した経営者の名言集も参考にしてみてください。▼関連記事:【経営者・成功者の名言】成功したい人・経営者を志す人の心に響く言葉392選これから経営者を志す人「経営者になるんだ!」という強い意志や、経営者を目指すに至った理由を常に持ち続けることが重要です。会社員やフリーランス、個人事業主としてではなく、会社という、ある意味面倒な手続きを踏んでまで成し遂げたいことがある人が、経営者として成功できます。現在経営を行っている人すでに会社を興して経営を始めている人は、「絶対に事業を成功させる!」「さらにスケールさせる!」という強い意志があるとよいでしょう。書類仕事さえこなしてしまえば、会社は誰でも作ることができます。一方で、会社を畳む「解散・清算」の業務は、なかなか骨の折れる作業です。やり始めたからには、一生付き合っていく、もしくは成長させて売却するくらいのところまで想定して経営する必要があります。自分が全責任を持つ覚悟事業規模や扱うサービス・商材にもよりますが、経営者は、会社員やフリーランスよりも大きな金額を扱い、社会に大きな影響を与えることがあります。そういった状況で、何かトラブルなどがあった際にも、環境や他人のせいにせず、全責任は自分が持つ覚悟で取り組んでいくことが求められます。プレッシャーや不安で押しつぶされそうな瞬間もあると思いますが、それすらも楽しめるような覚悟がある人が経営者に向いています。経営者としての強い意志があれば、自分に足りないことや身につけなければならないスキルが自ずと見えてきて、それに向かって行動するようになるでしょう。個人事業主・フリーランスから経営者になるには?現在すでに個人事業主やフリーランスとして働いている人が、経営者になりたいと思った時に知っておくとよいことや必要なことを解説します。個人事業主・フリーランスと経営者の違いそれぞれの特徴や法律上の区分の違いは以下です。個人事業主(自営業)法人登記をしていない自分で事業を立ち上げ、自らビジネスを行っているフリーランス法人登記をしていない委託された業務に対して責任を持っている任された業務に対しては責任を負うが、会社や事業に所属はしてない経営者法人登記をしている自分で事業を立ち上げ、ビジネスを行う会社に関する全ての責任を持っているこのように、「法人登記をしているか、していないか」で名称が変わってきます。さらに、経営者の場合は、責任を負う範囲が変わってきます。個人事業主・フリーランスが経営者になるために必要なこと現在、個人事業を営んでいる人やフリーランスの人が経営者になるためには、法人登記をする必要があります。株式会社であれば約3週間で手続きが完了します。すでに個人事業やフリーランスとして売り上げが立っている事業を継続する場合もあれば、新たに事業を始めるパターンもあるでしょう。経営者は、立ち上げた会社や事業に対して全責任を持ちます。戦略立案から事業推進、販売促進、人材採用まで、個人事業主やフリーランスと比べて、広範囲の業務を管理していくことになります。フリーランスが法人化するメリットはこちらの記事をご参考ください。▼参考記事:フリーランスが法人化する7つのメリット!インボイス制度後の注意点も解説 まとめ組織に属さずに、フリーランスや個人事業主として働く人が増えつつある昨今で、さらにステップアップして、会社経営者を目指す人も今後増えていくことが予想されます。会社法の改正により最低資本金の定めがなくなったことで、起業のハードルはますます下がっています。これから経営者を目指す人は、必要なスキルを今のうちに身につけて、スムーズな会社経営への道をスタートさせましょう。関連リンク企業の財務情報を簡単に検索 |FinboardFinboardは、なるべく多くの上場企業を一気にチェックするためのツールです。日本と米国に上場する1万社以上をカバーしており、財務情報や株価データを利用できます。株式投資から事業企画まで、ぜひFinboardのデータをご活用ください。