フリーランスは、確定申告の青色申告が必須って本当?青色申告じゃないと控除の額が下がって損をするの?フリーランスになって最大の壁ともいえる確定申告では、青色申告と白色申告の2種類があり、どちらがいいのか悩む方も多いです。この記事では、フリーランスが青色申告をするメリットや申告に必要な準備、申告手順などを解説します。これからフリーランスを目指す方や、めんどくさくて白色申告で済ませていた人は、ぜひ参考にしてみてください。フリーランスの確定申告は青色申告で行うフリーランスとして活動している方にとって、確定申告は年に一度の重要なイベントです。確定申告によって、1年間の収入や経費を正確に申告し、納めるべき税金が確定します。特に、フリーランスは会社員とは異なり、自分自身で税金の申告や納税を行わなくてはいけません。確定申告には、青色申告と白色申告の2種類があります。詳細な違いは後述しますが、フリーランスは青色申告を選択することで、高額な控除や細かい経費計上が可能となり、結果として節税効果を期待できるでしょう。しかし、青色申告を行うためには、一定の要件を満たし、正確な帳簿の記録や申請手続きを行う必要があります。▼関連記事:確定申告はフリーランスに必須!やり方や必要書類と経費管理のコツフリーランスにとっての確定申告の必要性個人事業主として事業を行うフリーランスは、確定申告は社会的な義務です。確定申告を通じて、フリーランスは自らの収入に対する税金を計算し、国に報告する責任があります。適切な税金を納めることで、自身の事業活動が正当であることを証明することにもつながります。確定申告をしないとどうなる?確定申告は、フリーランスとして活動する上で避けて通れない義務なので、確定申告を行わないことには、いくつかのリスクが伴います。まず、最も重要なのが、税務署からのペナルティです。確定申告を怠った場合、未納税に対する延滞税が課されることになります。さらに、税務調査の対象となり、過去数年分の申告漏れが発覚した場合には、追徴税金に加えて、重加算税が課せられる可能性もあります。確定申告で青色申告を選択すれば、特別控除や赤字の繰り越しなどができ、大幅に税負担を軽減することが可能です。確定申告を怠ることで、節税のメリットを逃してしまうことになります。確定申告の時期と方法確定申告の期限は、毎年2月16日から3月15日までです。この期間を過ぎてしまうと、延滞税が発生する可能性があるため、期限内に申告を完了させることが重要です。また、確定申告の手順は後述しますが、紙での提出の他に、e-Tax(電子申告)を利用する方法もあります。e-Taxを利用すると、自宅やオフィスからオンラインで申告が可能で、書類の郵送や税務署への持参といった手間を省くことができます。特に、フリーランスの方々が青色申告を行う場合には、e-Taxを利用することが推奨されます。青色申告をするためには、帳簿の記録が詳細に求められるため、そのデータをデジタルで管理し、申告時に電子的に提出することで、手続きを簡略化することができるでしょう。フリーランスが青色申告を行うメリット確定申告が義務化されているフリーランスは、青色申告を選択することでさまざまなメリットがあります。白色申告との違いを理解したうえで、特別控除の適用、赤字の繰り越し、経費計上の柔軟性などを活用していきましょう。白色申告と青色申告の比較フリーランスにとって、白色申告と青色申告の選択は、税務上のメリットや事業運営に大きな影響を与えます。以下、白色申告と青色申告の主要な違いです。白色申告記帳要件: 比較的簡易。複式簿記の必要がなく、収支の記録が主。特別控除: なし。白色申告者は、基本的な経費計上のみが可能。赤字繰越: 不可。赤字が出た場合、その年で処理しなければならない。税務上のメリット: 限定的。簡易な記帳と申告で済むが、青色申告のような大きな節税効果は期待できない。適用対象: 小規模事業主や副業として事業を行う人に適している。青色申告記帳要件: 複式簿記による正確な記帳が必要。特別控除: 最大65万円の特別控除が可能。赤字繰越: 可能。赤字を最大3年間繰り越し、将来の所得から差し引くことができる。税務上のメリット: 多岐にわたる。特別控除の適用、赤字の繰越、経費計上の柔軟性など適用対象: 成長を目指すフリーランスや、中規模以上の事業を営む個人事業主に適している。メリット①青色申告特別控除が受けられる青色申告特別控除は、フリーランスが青色申告を選択するうえで最大のメリットといえるでしょう。青色申告者は、最大65万円の特別控除を受けることが可能です。青色申告特別控除を受けるためには、いくつかの要件を満たす必要があります。まず、青色申告承認申請書を税務署に提出し、青色申告者としての承認を受ける必要があります。また、複式簿記による正確な帳簿の記録が求められます。これには、収入や経費、資産や負債に関する詳細な記録が含まれます。e-Taxで確定申告を行うか、「優良な電子帳簿」も条件の1つです。「優良な電子帳簿」とは、電子帳簿保存法が定める仕訳帳と総勘定元帳などの対象帳簿のことです。メリット②各種控除を活用できる青色申告で受けられる控除は、青代申告特別控除だけではありません。医療費控除や社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除などさまざまな控除を活用することができ、税金の負担を軽減させることができます。フリーランスの節税につながる控除に関しては、以下の記事でも解説しているので、参考にしてみてください。▼関連記事:フリーランス・個人事業主なら節税は必須!税金の基礎知識も解説メリット③赤字を最大3年間繰越しできる事業を行っていれば、損失(赤字)が出てしまうこともありますが、青色申告であれば赤字を最大3年間繰り越すことができます。黒字化した時に赤字分の損失を差し引くことができるので、課税所得が減り、税金が減ります。白色申告では、赤字の繰越しは1年のみなので注意しましょう。メリット④経費を柔軟に計上できる青色申告では、事業に必要な経費を柔軟に計上することが可能です。交通費、通信費、材料費、外注費など、事業運営に直接関連する費用は積極的に経費として計上し、所得を適正に計算しましょう。フリーランスの経費に関しては、以下の記事で詳細に解説しているので、参考にしてみてください。▼関連記事:フリーランスの気になる経費事情!経費計上する時の注意点やQ&Aも 青色申告の事前準備・必要書類メリットの大きな青色申告ですが、事前準備や必要書類があり、煩雑に感じるかもしれません。ポイントを理解して、義務である確定申告に向けて準備していきましょう。帳簿付け:日々の記録が重要青色申告では、複式簿記に基づく帳簿の記録が必須となります。フリーランスとして以下の点に注意して帳簿付けを行いましょう。定期的な記録:取引が発生したその日に帳簿を更新することが理想的です。これにより、記録漏れや誤記を防ぎ、時間が経過してからの記憶に頼るリスクを減らします。明確な区分:収入と支出は明確に区分し、事業に直接関連するものとそうでないものを正確に判別します。これは、必要経費の計上を適切に行うために重要です。領収書や請求書の保管:税務調査の際に必要となる可能性があるため、関連する領収書や請求書は丁寧に保管しましょう。これらの文書は、経費計上の根拠となります。正確で透明な財務管理を行っていなければ、青色申告をすることができません。税務調査の対象になった時にも備えて、きちんと日々の記録を残しておきましょう。経費の計上:節税対策にも有効せっかく青色申告を選択するのであれば、正確に経費を計上することで節税のメリットを最大化させましょう。経費として計上できる項目は多岐に渡り、事業運営に必要な費用を適切に経費として計上することで、課税所得を減少させ、税負担を軽減することが可能です。例えば、自宅で仕事をしているフリーランスは、家賃を経費として計上することも可能です。家事按分という方法をとり、以下の記事で解説しているので参考にしてみてください。▼関連記事:フリーランスは家賃を経費計上できる!家事按分の計算方法や確定申告の注意点を解説青色申告承認申請書青色申告を行うためには、事前に税務署に「青色申告承認申請書」を提出し、承認を受ける必要があります。この申請書の提出は、青色申告を希望する年の3月15日までに行う必要があり、一度承認を受けると、特別な理由がない限り、その後は自動的に青色申告者としての資格が継続されます。個人事業主として活動を開始する際に提出する「開業届」と一緒に提出することが多いでしょう。「開業届」に関しては、以下の記事も参考にしてみてください。▼関連記事:フリーランスが開業届を出すメリット!不要な場合やインボイス対応も解説その他の必要書類青色申告を行う際には、「青色申告承認申請書」の提出の他にもいくつかの重要な書類が必要になります。収入金額証明書:事業や業務から得た収入の合計額を証明する書類。経費明細書:事業運営にかかった経費の内訳を示す書類。具体的な支出の内容と金額が記載されています。資産・負債一覧表:事業の資産や負債の状況を示す書類。事業の財務健全性を把握するために重要です。減価償却資産の内訳書:事業で使用している減価償却資産(機械装置や車両など)の購入価格や償却方法、償却額などを記載した書類。帳簿のコピー:複式簿記に基づく帳簿の記録(現金出納帳、売掛金・買掛金帳など)のコピー。税務調査時の参考資料となります。これらの書類は、フリーランスの税務申告の正確性と透明性を確保するために必要です。適切な準備と管理を行い、必要な書類を確実に提出することでスムーズに確定申告を行うことができるでしょう。フリーランスが青色申告を行う手順青色申告の手順は、以下のステップに沿って行います。①確定申告書の記入②収支内訳書の記入③帳簿書類の保存④提出方法①確定申告書の記入確定申告書は、収入、経費、課税所得など、複数のセクションで構成されています。収入の欄には、事業から得た収入を全て記録し、隠し収入がないようにします。これには、直接の事業活動だけでなく、副業やその他の収入源から得た収入も含まれます。経費の欄には、事業運営に必要だった経費を正しく計算し、記入します。これには、材料費、人件費、広告宣伝費など、事業に直接関連する全ての支出を含める必要があります。収入から経費を差し引いた後の金額が課税所得となります。②収支内訳書の記入収支内訳書は、一年間の収入と支出の詳細をより具体的に記載します。事業から得た収入を種類ごとに分類し、それぞれの金額を記載することで、どの活動がどれだけの収入を生んだかを明確にします。また、事業運営にかかった具体的な経費の種類と費用も記載します。収支内訳書は、税務調査の際に重要な資料となるため、誤りがないように慎重に記入する必要があります。③帳簿書類の保存青色申告を行うフリーランスにとって帳簿書類の適切な保存は、法的義務だけでなく事業の財務透明性を高め、税務調査時のリスクを軽減するためにも重要です。法律では、帳簿書類や関連する証拠書類を7年間保存することが義務付けられています。また、 紙の書類だけでなく、電子データとしての帳簿書類の保管も認められています。金庫や防水・防火性のファイルキャビネットなど安全な保管場所で、体系的に整理・保管しておきましょう。④税務署へ確定申告に関する書類を提出青色申告の確定申告書類は、以下の方法で提出することができます。提出方法を選択する際には、自身の利便性や書類の準備状況を考慮することが重要です。税務署への直接提出:確定申告書類を税務署の窓口に直接持参します。この方法では、提出時に直接確認を受けることができるため、不備があればすぐに対応することが可能です。郵送による提出:確定申告書類を税務署宛に郵送する方法もあります。郵送の際には、書類が失われるリスクを避けるため、書留や特定記録郵便などの追跡可能な方法にしましょう。e-Taxによる電子申告:e-Taxは、国税庁が提供するオンラインでの確定申告システムです。パソコンやスマートフォンから確定申告書類を電子的に作成し、提出することができます。e-Taxを利用することで、郵送や直接提出の手間を省き、迅速かつ簡便に確定申告を行うことが可能になります。各提出方法にはそれぞれメリットとデメリットがあるので、自分の状況に最適な方法を選択しましょう。また、提出期限に遅れないよう、事前の準備と計画をしっかりと行うことが重要です。フリーランスにおすすめの会計ソフトフリーランスが日々の帳簿付けや確定申告を行う上で、会計ソフトは非常に便利です。会計ソフトは、日々の収支管理や請求書の作成、確定申告の準備など、事業運営の多岐にわたる業務を効率化し、時間とコストの節約につながります。まとめ:青色申告で節税と事業拡大を目指そう確定申告には、青色申告と白色申告があり、青色申告を選択することで、特別控除や赤字の繰り越しなど、税負担を軽減できるさまざまなメリットがあります。フリーランスは青色申告を選択することで、メリットを最大限に活用し、税負担を軽減させましょう。そのために、正確な帳簿の記録と適切な経費の計上を心掛け、期限内に正しく確定申告を行うことが重要です。