「フリーランスは家賃を経費として計上できる?」「家事按分って、家賃の何%を経費として計上していいの?」と、このような疑問を抱えているフリーランスの方も多いのではないでしょうか。この記事では、フリーランスが家賃を経費計上するときの計算方法や家事按分について解説します!また税務調査が入らないようにするための確定申告の注意点も解説するので、初めて確定申告をする方や、初めて帳簿付けをする方はぜひ参考にしてみてください。フリーランスは家賃を経費として計上できる!はじめに、「フリーランスは家賃を経費計上できるの?」という疑問にお答えします。この疑問に対する答えは、原則YESです!家賃を経費計上するにあたっていくつかのルールがありますが、条件に当てはまれば自宅や仕事で利用している事務所の家賃を経費として計上できます。また家賃を経費として計上することで、課税所得を軽減できるので、節税対策としても高い効果があります。ただし、必ずしも家賃全額を経費として計上できるわけではないので、適当に計上すると税務署から疑いの目を向けられてしまいます。そのため、必ずルールを守って家賃を経費として計上しましょう。▼関連記事:フリーランスの気になる経費事情!経費計上する時の注意点やQ&Aも【住み方別】家賃の家事按分の計算方法家事按分とは、自宅の一部を仕事スペースとして使用している場合、そのスペースにかかる家賃を事業経費として計算する方法です。家事按分の計算方法は、住み方によって変わります。自宅兼事務所の場合自宅とは別に事務所を構えている場合のパターン別に家事按分の計算方法を紹介します!自宅兼事務所の場合自宅で仕事をしているフリーランスは、仕事スペースに対応する家賃の割合を経費として計上できます。自宅が賃貸の場合と持ち家の場合の計算方法を解説します。賃貸物件の場合自宅が賃貸物件の場合、仕事スペースとして使用している面積や使用時間に応じた家事按分の計算を行います。【使用面積で計算する場合】例:広さ50平米のアパートで、20平米のスペースを仕事スペースとして使用している場合全体の40%を仕事で使用しているので、家賃の40%を経費として計上できる【使用時間で計算する場合】例:自宅のリビングで1日8時間仕事をしている場合1日24時間のうち、8時間を仕事で使用しているので、家賃の1/3を経費として計上できる仕事部屋や仕事スペースが明確な場合は使用面積で計算し、仕事スペースを仕事とプライベートで共用している場合は使用時間で計算することをおすすめします。作業環境に応じて、自分にあった計算方法で家事按分しましょう。持ち家の場合持ち家の家賃(ローン)を経費として計上できるかどうかは、家賃を支払っている持ち家の所有者と同居している(生計を一にする)かによって変わります。同居家族が所有する持ち家に家賃を払っている場合:経費として計上不可同居していない家族が所有する持ち家に家賃を払っている場合:経費として計上可能例えば、一緒に暮らす夫名義の持ち家のローンを経費として計上するのは、法律上不可です。税務上はその支払いを家族間の内部取引と見なし、実質的な経費発生とは認められないからです。一方、同居していない家族から賃貸契約に基づき物件を借りている場合は、外部の第三者から賃貸するのと同じ扱いとなります。支払った家賃は仕事用スペースのコストとして正当な経費として計上できます。こちらに該当する場合は、賃貸物件の場合と同じく、使用面積もしくは使用時間で家事按分を計算できます。自宅とは別に事務所を構えている場合自宅とは別に、コワーキングスペースやレンタルオフィスを借りて事務所を構えている場合、その家賃(レンタル費用)は全額経費として計上可能です。また事務所で仕事を行い、自宅で仕事をしない場合は、自宅の家賃は経費計上できないので注意しましょう。家事按分の金額の目安家事按分は最大でも5割、家賃の場合は家賃の3~4割を経費とするのが一般的です。「少しでも所得を安くしよう」と思い、闇雲に按分率を大きくしてしまうと、税務署から過剰計上を疑われてしまうので気をつけましょう。家事按分の具体的な計算例を以下に示します。【使用面積で計算する場合】例:家賃10万円で、広さ50平米のアパートで、20平米のスペースを仕事スペースとして使用している場合→全体の40%を仕事で使用しているので、家賃の40%を経費として計上できる計算式:10万円(家賃)×0.4(家賃の40%)=4万円を家事按分として計上する【使用時間で計算する場合】例:家賃15万円の自宅のリビングで、1日6時間仕事をしている場合1日24時間のうち、6時間を仕事で使用しているので、家賃の1/4を経費として計上できる計算式:15万円(家賃)÷1/4=3万7,500円を経費として計上できる家賃以外に経費計上できる項目家賃以外にも、自宅や事務所で仕事をするうえで使用するものは経費計上することが可能です。家賃以外で経費として計上できる、意外と見落としがちなものを4つ紹介します。光熱費電気代や水道代などの公共料金は、仕事と私用の割合を家事按分設定したうえで経費計上可能です。確定申告における一般的な勘定項目は、「水道光熱費」です。例えば、自宅オフィスの照明や暖房にかかる電気代を、使用面積もしくは使用時間に応じて按分して経費として計上できます。オフィス家具ワークデスクやオフィスチェアなど仕事用に購入した家具は、快適な作業環境を整えるために必要なものとして経費計上できます。ただしオフィス家具は、購入品の耐用年数と購入額に応じて勘定項目が変わるので注意が必要です。耐用年数1年未満・10万円以下:消耗品費耐用年数1年以上・10万円以上:事務用品費また10万円以上のオフィス家具は減価償却資産となり、耐用年数に応じて経費計上できます。例えば、20万円のデスクは5年ずつ均等に経費に分けられ、毎年4万円が計上可能です。インターネット料金仕事で使用するインターネット料金も経費として計上できます。勘定項目は「通信費」です。また次のインターネット関係の料金も「通信費」として計上できます。ChatworkやSlackなどのチャットツールの利用料ホームページやブログのレンタルサーバー費用駐車場代運送業や営業職など、仕事で車を使用する場合は、駐車場代も経費計上できます。勘定項目は「地代家賃」です。また車に関する次の費用も経費として計上できます。高速道路や有料道路の料金・ガソリン代:車両費自動車保険や自賠責保険:保険費▼関連記事:確定申告はフリーランスに必須!やり方や必要書類と経費管理のコツ税務調査が入らないための確定申告の注意点最後に、税務調査が入らないために確定申告で注意すべきポイントを3つ解説します。家事按分の基準を明確にする家賃をはじめ、光熱費やインターネット料金を経費として家事按分するときは、按分比率の基準を明確にしておきましょう。明確な基準を設けることで、税務調査のときに経費計上の妥当性を証明できるようになります。家事按分の基準の決め方は、使用面積か使用時間です。どの部屋を仕事スペースとして活用しているのか、どのくらいの面積や時間を何%家事按分として計上しているのか、自分で説明できるようにしておくことで税務調査のリスクを軽減できます。過度な経費計上を避ける「経費計上して節税しよう!」と躍起になって、何でも経費計上しないように注意が必要です。過度に高額な経費や、業務と直接関連しないものを経費計上すると、税務局から疑いを向けられる原因となり、調査の対象になりやすいです。例えば、仕事で使用しないプライベート用のソファをオフィス用品として経費計上するのはNGです。勘定項目のうち、雑費の部分が過度に多い場合も税務調査が入りやすくなります。節税したい気持ちは分かりますが、ルールを守って適切な節税を行いましょう。▼関連記事:フリーランス・個人事業主なら節税は必須!税金の基礎知識も解説領収書や契約書を保管しておく経費計上した項目に関する領収書や契約書は、必ず保管しておきましょう。万が一税務調査が入った際に、領収書や契約書があれば経費の正当性を証明する資料として提示できます。青色申告で確定申告を行っている方は、領収書や預金通帳などの現金預金取引に関する書類は7年間保管すると定められています。年度毎に書類をまとめて、税務調査が入ったときにすぐに提示できるように保管しておきましょう。まとめフリーランスの方は、条件が当てはまれば家賃を経費として計上することが可能です。自宅兼事務所として在宅で働いている人は、仕事で使用している面積か、仕事の時間で家事按分の比率を決定します。自宅とは別に事務所を借りている人は、事務所の費用を全額経費として計上可能です。ただし、この場合は自宅の家賃は経費計上できないので注意しましょう。家賃を経費として計上するときは、家事按分の比率を明確にして、領収書や契約書などの金額を提示できる費用を保管しておくことがポイントです。ルールを守り、資料を提示できる状態にしていれば、税務調査の対象にもなりにくいです。日頃から適切に、家賃を経費計上していきましょう。