「このまま会社員として働き続けていいのかな?」「フリーランスって自由そうだけど、実際どうなんだろう?」このような働き方に対する悩みは、多くの社会人が一度は抱えるものです。また、そのような悩みを抱いている際に、フリーランスと会社員の違いが気になる人も多いでしょう。フリーランスと会社員には、それぞれ魅力的な点と難点があり、どちらが自分に合っているかは、意外と見えづらいものです。この記事では、金銭面と働き方を軸に、フリーランスと会社員の違いを比較して紹介します。実際に、会社員からフリーランスになった筆者の体験談も交えて紹介するので、自分に合った働き方を選ぶヒントにしてくださいね。【金銭面】フリーランスと会社員の違いを比較まずは、フリーランスと会社員の収入や支出に関する具体的な違いを紹介します。金銭面は生活に直結する大切な要素です。しっかり比較して、自分に合った働き方を考えるヒントにしてください。手取り年収の違い会社員・給与から税金や社会保険料が引かれた額が手取り・一般的な手取りは年収の約80%フリーランス・売上から経費・税金・社会保険料が引かれた額が手取り・一般的な手取りは年収の約60~70%会社員は、あらかじめ給与から、税金や社会保険料が自動的に引かれて(天引き)振り込まれます。会社員の場合は、年収の約70〜80%が手取りになるといわれています。一方で、フリーランスの手取りは、売上から経費や税金、社会保険料を差し引いた額です。一般的にフリーランスは、年収の約60〜70%が手取りになるといわれています。なお、フリーランスが会社員と同じ手取りを得るためには、売上ベースで1.2〜1.3倍の年収が必要とされています。これがいわゆる「損益分岐点」と呼ばれる考え方です。つまり、年収500万円の会社員と同じくらいの手取りをフリーランスが得るためには、約600万円以上の売上が必要ということになります。▼関連記事:【比較早見表あり】フリーランスと会社員の年収・手取りの違いを解説収入の安定性の違い会社員毎月固定の給料が支払われるフリーランス案件量によって変動する会社員は、毎月決まった給料が支払われます。そのため、生活設計を立てやすいという特徴があります。一方で、フリーランスは、こなした案件や業務の量に応じて収入が変動します。また、案件が獲得できなかったり、体調を崩して仕事ができなかったりすると、収入がゼロになる可能性もあります。ただしその反面、実力次第で高単価の案件を継続して受注できます。フリーランスは、努力した分だけ収入に反映されやすいという魅力があります。税務処理の違い会社員給与から税金が天引きされ、年末調整が行われるフリーランス自分で確定申告を行い、税金を納める会社員は、毎月の給与から所得税と住民税が自動で差し引かれます。年末には「年末調整」と呼ばれる処理が行われ、1年分の税額の過不足を会社が調整してくれます。そのため、税金についてあまり意識する機会がないまま、納税が完了しているケースがほとんどです。一方で、フリーランスは、所得税や住民税に加え、国民健康保険料や国民年金保険料、40歳以上になれば介護保険料も個人で支払います。さらに、自分で確定申告をして、正確な所得と必要な税金を申告する必要があります。フリーランスは、経費の扱いや控除の適用次第で税金の額が大きく変わるため、税金に関する知識を身につけることが大切です。▼関連記事:確定申告はフリーランスに必須!やり方や必要書類と経費管理のコツ社会保険と年金の負担割合の違い会社員・健康保険・厚生年金・雇用保険に加入する・保険料は会社と折半フリーランス・国民健康保険・国民年金に加入する・保険料は全額自己負担会社員は、健康保険や厚生年金、雇用保険などに自動的に加入します。保険料は企業と個人が半分ずつ負担する折半方式のため、実際に会社員が支払う金額は大きく抑えられます。さらに、社会保険の内容は手厚く、病気やケガ、失業など幅広いリスクに対して保証を受けられるほか、将来的にもらえる年金額も多いのが特徴です。一方で、フリーランスは、国民健康保険と国民年金に個人で加入し、保険料は全額自己負担です。また、国民健康保険には扶養の概念がないため、配偶者や子どもの保険料も全額支払う必要があります。さらに、会社員に比べて、将来受け取れる年金額が少なくなります。これは、会社員は国民年金に加えて厚生年金にも加入する「2階建て構造」となっているのに対し、フリーランスは国民年金のみとなっているためです。▼関連記事:フリーランス必見!社会保険の基礎と年収別の社会保険料一覧経費の取り扱いの違い会社員基本的に経費計上できないフリーランス仕事に必要な支出を経費計上できる経費とは、事業に関わる支出のことです。会社員は、原則として個人が支払った仕事に関する費用を経費として計上できません。税金の計算上は会社からの給与額がそのまま課税対象となるため、経費を活用して税負担を軽減する方法は基本的に取れません。一方で、フリーランスは、仕事に必要な支出であれば経費として計上でき、その分だけ課税対象となる所得を減らせます。例えば、PCやソフトウェアの購入費、通信費、打ち合わせ時の交通費やカフェ代などが経費として認められます。▼関連記事:フリーランスの気になる経費事情!経費計上する時の注意点やQ&Aも【働き方】フリーランスと会社員の違いを比較働き方を変えると、生活スタイルや心のあり方にも大きな影響が出ます。特に会社員からフリーランスに転向したいと考えている人にとっては、「自由そうだけど責任はどうなる?」「本当に1人でやっていけるの?」という不安もあるでしょう。ここでは、雇用形態から働く時間、責任の持ち方、人間関係に至るまで、フリーランスと会社員の働き方の違いを解説します。雇用形態の違い会社員企業と雇用契約を結ぶフリーランス取引先と業務委託契約を結ぶ会社員は「雇用契約」に基づいて働きます。雇用契約では、企業側が働く場所や時間、業務内容を明確に定め、従業員に対して指揮命令を行います。そのため、会社員は基本的に会社のルールに従いながら働くことになります。対して、フリーランスは「業務委託契約」によって仕事を請けます。仕事の進め方に対する指示は受けない代わりに、成果に対する責任は全て自分にあります。適用される法律の違い会社員労働契約法・労働安全衛生法・労災保険法などフリーランス民法・下請法・独占禁止法・フリーランス新法など会社員は、労働契約法や労働安全衛生法、労災保険法など、多くの法律で守られています。労働環境の整備や万が一の事故への対応も企業側の責任となります。一方で、フリーランスは、法律上で労働者とは見なされないため、民法や下請法、独占禁止法、フリーランス新法など、会社員とは異なる枠組みでの保護となります。そのため、トラブル時も基本的には自分で交渉や対処を行う必要があります。自由度の違い会社員企業の指示に従うフリーランス自分で決められる会社員は、勤務時間や勤務地があらかじめ決められており、自分の裁量で労働条件を変更することは基本的にできません。フレックスタイム制度やテレワーク制度などを導入している会社もありますが、最終的には会社のルールや上司の判断に従う必要があるため、自由度は低いといえるでしょう。一方で、フリーランスは、自宅やカフェ、コワーキングスペースなど自分の好きな場所で仕事ができます。また、早朝や深夜に作業を進めるなど、ライフスタイルに合わせて働き方を柔軟に調整できるため、自由度の高い働き方といえます。仕事の進め方の違い会社員チームで分担・連携して対応するフリーランス基本的に全て自分で対応する会社員は、業務をチームで分担しながら進めます。上司が進捗を確認したり、困ったときには同僚に相談したりと、周囲のサポートを受けながら仕事を進められる環境があります。また、業務上のトラブルが発生した場合でも、会社全体で対応することが多く、個人に責任が集中しにくい点が特徴です。組織での連携があるからこそ、安心感を持って働けます。対して、フリーランスは、仕事の受注から納期の調整、成果物の品質管理、クライアントとのやり取り、そしてトラブル対応まで、全ての業務を1人で行います。納期を守れなかったり、品質に問題があったりした場合には信頼を失うことにもなりかねません。仕事の進め方を自分で決められる反面、責任も全て自分にのしかかります。人間関係の違い会社員人間関係が密になりやすいフリーランス人間関係のストレスを受けにくい会社員は、日々上司や同僚と顔を合わせながら仕事を進めます。そのため、組織としての一体感や連帯感を感じやすく、雑談や相談ができる気軽さがあります。対して、フリーランスは基本的に1人で仕事を進めます。また、そりが合わないクライアントとは契約を更新しないなど、関わる相手をある程度選ぶことができるため、ストレスの少ない関係を築きやすいといえます。会社員にはないフリーランスのメリット自分の裁量で働ける自由さは、フリーランスならではの魅力です。働く時間や場所、仕事の選び方など、会社員ではなかなか得られない柔軟性があります。ここでは、そんなフリーランスの働き方にどのようなメリットがあるのかを詳しく見ていきます。働く時間や場所を自分で決められるフリーランスの大きなメリットは、働く時間や場所を自分で柔軟に決められる点です。会社員のように毎日決まった時間に出社する必要がないため、自分の生活スタイルに合わせて仕事のスケジュールを組めます。例えば、早朝に集中できる人は朝の時間帯に仕事を終わらせて午後は自由に過ごすことができ、反対に夜型の人は遅い時間に作業を進めることも可能です。また、カフェや自宅、図書館、地方や海外など、インターネット環境が整っていれば場所を問わず仕事ができるため、働き方の自由度は大きく広がります。子育てや介護といったライフステージの変化にも対応しやすいのが特徴です。▼関連記事:フリーランスはどんな働き方をする?リアルなスケジュールや働く時間・場所などを徹底解説収入の上限に制限がないフリーランスは、会社員のような固定給ではなく、働いた量や成果に応じて収入が決まります。そのため、収入の上限がなく、自分の努力やスキルの成長次第で大きく収入アップを目指せます。ある程度の経験を積み、クライアントから信頼されるようになると、単価を上げてもらえるケースも珍しくありません。会社員のように年功序列や評価制度に縛られず、頑張った分が報酬に反映されやすいため、やりがいも感じやすいでしょう。仕事の内容や取引先を選べるフリーランスは自分が引き受ける仕事の内容や取引先を選べます。会社員のように上司や組織の指示で仕事を進めるのではなく、自分の得意分野や興味のある分野に沿って仕事を受けるかどうかを判断できる点が魅力です。また、相性の悪いクライアントや報酬が見合わない案件を避けることもできるため、働くうえでのストレスをコントロールしやすくなります。人間関係のストレスを最小限に抑えられるフリーランスは、基本的に個人で仕事を進めるため、会社員にありがちな職場の人間関係に悩まされることが少なくなります。上司の目を気にしたり、飲み会や社内イベントに無理に参加したりする必要もありません。もちろん、クライアントとのコミュニケーションは必要ですが、メールやチャットなどで完結するケースも多く、対面でのやり取りや関係構築の負担は軽減されやすい傾向にあります。自分で関係を築く相手を選べるため、人間関係によるストレスは比較的コントロールしやすい働き方です。自分でキャリアを選択して積み重ねられるフリーランスは、自分自身でキャリアの方向性を決めて、その道に必要なスキルや経験を選んで積み重ねることができます。会社員のように異動や配置転換によって、希望と異なる部署に配属されることはありません。例えば、フリーランスのライターが編集やディレクション業務に進んだり、フリーランスのデザイナーが動画編集やブランディングなどの分野へと展開したりなど、自分の意志でキャリアを広げられます。会社員にはないフリーランスのデメリットここでは、自由で柔軟な働き方が魅力のフリーランスに、どのような落とし穴があるのかを詳しく紹介します。安定した収入や社会的な信頼など、会社員であれば得られていたものが失われる場面もあります。自由の裏にあるリスクを正しく理解することが、後悔しない選択につながります。仕事が不安定になるリスクがあるフリーランスは、仕事が不安定になりやすいです。特に始めたばかりの頃は「仕事が全然取れない」「月収がほぼゼロ」という事態も珍しくありません。毎月決まった給与が入る会社員と違い、フリーランスは自分で案件を探し、納品しない限り報酬が発生しません。また、景気に仕事量が大きく左右されやすく、クライアントの業績や予算などの都合で契約が終了し、突然仕事が途絶えるリスクもあります。さらに、体調不良や急な家庭の事情などで働けなくなった場合、その期間は完全な無収入となる可能性もあります。継続的に収入を得るには、営業力やスキル向上、複数の収入源の確保といった工夫が求められます。社会保険料の負担が大きいフリーランスは、社会保険の負担が大きくなりがちです。会社員の場合は、健康保険や厚生年金、介護保険の保険料を会社が半額負担してくれますが、フリーランスは全額を自己負担しなければなりません。また、会社員と比べて将来受け取れる年金額も少なくなるため、個人年金やiDeCoなどの私的年金に加入したり、資産運用を行ったりして対策をとる必要があります。自分で確定申告を行う必要があるフリーランスは、税金の申告と納付を全て自分で行う必要があります。会社員であれば、所得税や住民税は給料から自動的に天引きされ、年末には会社が年末調整を行って税額の過不足も調整してくれます。しかし、フリーランスはそうした仕組みがなく、自分で1年分の収入や経費をまとめて「確定申告」を行わなければなりません。帳簿をつけたり、レシートや領収書を整理したりする作業も発生するため、特に駆け出しの頃は、知識が乏しく申告ミスが起こりやすくなります。さらに、節税につながる経費や控除の仕組みも自分で把握して活用する必要があります。知らなかったことで余計な税金を払ってしまう可能性もあるため、税務知識を身につけ、必要に応じて税理士に依頼するといった対策も検討しなければなりません。高い自己管理能力が求められるフリーランスは自由な分、全てを自分で管理しなければならず、高い自己管理能力が求められます。スケジュールの調整やタスクの優先順位付け、体調管理など、どれが欠けても仕事に支障が出ます。納期や連絡が遅れると信用を失い、次の仕事につながらなくなるリスクもあります。規則正しい生活を心がけ、タスク管理ツールを活用するなど、自分なりの管理方法を確立することが重要です。社会的信用が得にくいフリーランスは会社員に比べて社会的信用が得にくく、住宅ローンやクレジットカードの審査に通りにくい傾向があります。収入が不安定であると見なされるため、特に独立初期は金融機関や不動産業者にとって「リスクのある存在」と扱われがちです。社会的信用を補うためには、確定申告書の提出や、安定的な収入が続いていることを示す資料を整えておく必要があります。▼関連記事:フリーランスで働くデメリット11個を暴露!意外なメリットも解説フリーランスにはない会社員のメリット独立や副業など多様な働き方が広がる中でも、会社員という働き方には安定や安心感といった多くの魅力があります。ここでは、会社員として働くことのメリットを紹介します。収入が安定している会社員の最大の魅力は、毎月決まった日に安定した給与が支払われる点です。収入の波が少ないため、生活費や将来の計画を立てやすく、精神的な安心感にもつながります。毎月の家賃やローンの支払い、教育費の積立なども、一定の収入があることで無理なく管理できるでしょう。ボーナス(賞与)がある会社であれば、年2回のまとまった収入も期待でき、急な出費にも備えやすくなります。社会保険や年金制度が手厚い会社員は、健康保険や厚生年金などの社会保障制度が手厚く整備されており、医療費や将来の生活費に対する不安を軽減できます。例えば、健康保険は医療費の一部が補助されるだけでなく、長期の病気やケガで働けなくなった場合に傷病手当金が支給され、収入が完全に途絶えることを防げます。また、厚生年金は、保険料や年金の半額を会社が負担してくれます。個人の支払額が少ない半面、老後に受け取れる年金額が多くなるため、将来の生活資金として心強い支えになるでしょう。福利厚生を受けられる会社員は、住宅手当や通勤手当など、金銭的負担を軽減する福利厚生を利用できます。住宅手当がある場合は、家賃の一部を会社が補助してくれるため、住まいにかかる負担を大きく抑えられます。企業によっては、家族手当や食事補助、社員旅行、研修制度、保養所の利用といったさまざまな制度があり、生活やスキルアップを幅広く支援してくれます。キャリアパスが明確に設計されている会社員は、昇進や異動、研修制度などを通じて、将来的なキャリアの道筋が見えやすいというメリットがあります。多くの企業では、「〇年後には主任に昇格」「管理職を目指すための研修を受ける」といった明確なステップが設定されています。目標が具体的に示されていることで、成長の方向性が分かりやすく、やりがいにもつながるでしょう。また、業務の中で自然と新しいスキルが身についたり、他部署との異動で経験の幅が広がったりするのも、会社員ならではの魅力です。社会的な信用を得やすい会社員は、金融機関や不動産会社など、外部からの信用を得やすい立場にあります。企業に所属していることで「安定した収入がある」と見なされるためです。例えば、クレジットカードの申請や住宅ローンの審査では、安定した給与所得がある会社員のほうが有利に扱われます。社会的信用があることで、生活上の手続きや契約がスムーズに進んだり、計画が立てやすくなったりする点は大きなメリットでしょう。フリーランスにはない会社員のデメリット会社員には、安定した収入や手厚い福利厚生などの魅力がありますが、窮屈さを感じている人も少なくありません。フリーランスなど、ほかの働き方と比較したときに見えてくる会社員ならではのデメリットを具体的に見ていきましょう。勤務時間・場所が固定されやすい会社員は、一般的に勤務時間や働く場所を所属する企業に決められており、自分で自由に選べる場面は限られます。毎朝決まった時間に出社しなければならない環境では、通勤ラッシュのストレスを避けるのが難しく、体力的にも精神的にも負担がかかります。また、フルリモートやフレックスタイム制度が導入されていない職場では、育児や介護といった家庭の事情に柔軟に対応することも難しくなります。会社の方針や指示に従う必要がある会社員は、自分のやりたい仕事だけを選ぶのは難しく、基本的には会社の方針や上司の指示に沿って業務を進める必要があります。「もっとクリエイティブな仕事がしたい」「顧客対応よりも裏方業務に集中したい」といった希望があったとしても、配属先の方針や業務分担に合わない限り、自分の意思だけでは業務を選べません。特に大企業や組織が大きい職場では、個人の意見が通りにくく、異動やプロジェクトの変更なども会社の都合で決まることが多いです。もちろん、さまざまな業務を経験することで視野が広がることもありますが、「いまやりたいこと」とのギャップが生まれるとモチベーションを保ちにくくなることがあります。昇給や昇進のスピードに制約がある成果が会社員の昇給や昇進には、多くの場合で年功序列や評価制度といった組織のルールが影響します。そのため、たとえ高い成果を上げたとしても、昇給や役職アップまでに時間がかかるケースは少なくなく、もどかしさを感じることもあるでしょう。また、評価の仕組み自体が不透明だったり、上司との相性によって評価が左右されたりすることもあり、不公平感を覚える可能性もあります。人間関係のストレスを受けやすい毎日同じメンバーと関わりながら働くため、会社員にとって人間関係のストレスは避けられない問題の1つです。上司や同僚、後輩など、さまざまな立場の人と協力して業務を進めていく中で、価値観の違いや意思疎通のズレが生まれることは珍しくありません。「議論がかみ合わない」「依頼した仕事を期日までにやってくれない」といった心理的なハードルが少しずつ積み重なり、ストレスが慢性化するケースもあります。意思決定の自由度が低い会社員の立場では、プロジェクトの方針や業務の進め方について、自分だけで決められることは限られています。新しいツールを導入したいと思っても、何度も上長や他部署の承認を得る必要があったり、組織全体の方針に合っていなければ却下されてしまったりすることもあります。「もっと効率的にできる方法があるのに」と思っても、それを実現するには長い調整期間や多くの説得が必要になるのが現実です。裁量を持って働きたいという思いがある人にとっては、意思決定の自由度の低さが大きな壁になることもあります。【体験談】会社員からフリーランスになって変わった生活筆者は、フリーランスとして活動する前は会社員として働いていました。会社員から独立してフリーランスになった理由はさまざまありますが、私はフリーランスの働き方が向いていると感じているので、とても充実した生活を送っています。会社員からフリーランスになって一番違いを感じている点は、生活スタイルです。会社員時代は、決められた勤務時間に出社するため、準備と通勤に2時間かかっていました。また、集中力が切れても退勤時間までデスクに向かう必要があり、業務が溜まっていれば残業もしていました。しかし、フリーランスになってからは出社の必要がなくなったため、準備時間や通勤時間がなくなったうえに、勤務時間もコントロールできるので、時間を有効活用できるようになりました。集中力の高い朝に仕事をまとめて行い、午後は自分の予定に時間を使えます。病院や役所に行く場合も、混雑していない曜日や時間帯を選んで足を運べるため、ストレスがありません。雨で何もできない休日は家で仕事をして、晴れている平日に外出することもできます。もちろん、関わる人や仕事の内容、仕事観や人生観の変化もありましたが、理想の生活スタイルを手に入れたことはとても大きな価値です。フリーランスと会社員に向いている人の特徴ここまでの比較やメリット・デメリットを踏まえて、フリーランスと会社員に向いている人の特徴をそれぞれ紹介します。自分が向いている働き方がどちらなのか参考にしてください。フリーランスに向いている人の特徴自分の裁量で働きたい人スケジュール管理や自己管理が得意な人指示を待たずに自走できる人環境の変化に柔軟に対応できる人成果で評価されることにモチベーションを感じる人場所や時間にとらわれず働きたい人収入の波があっても対応できる生活基盤がある人フリーランスに向いているのは、自分で仕事の進め方や時間を決めることにやりがいを感じ、多少の不安定さがあっても自由を優先したいタイプの人です。フリーランスは、クライアントとの契約に基づいて仕事を進め、自分でスケジュールを組み立てる必要があります。そのため、指示を待つのではなく、自ら考えて行動できる人に向いています。また、場所や時間に縛られず働ける点を魅力に感じる人にもぴったりです。地方や海外に住みながら働きたい人や、家族との時間を大切にしたい人には、フリーランスの柔軟さが大きなメリットになります。一方で、収入や仕事量が安定しない可能性もあるため、「変化に強い」「リスクを取れる」といった前向きな姿勢があることも重要です。▼関連記事:フリーランスに向いている人とは?自由な働き方に隠された注意点を解説会社員に向いている人の特徴安定した収入と手厚い社会保障を重視する人長期的なライフプランを立てたい人チームでの協力やコミュニケーションが好きな人仕事とプライベートの線引きをしやすい環境を求める人新しいスキルを学ぶ機会を重視する人時間やルールがあるなかで力を発揮できる人相談やサポートが受けられる環境に安心感を覚える人安定した収入や社会保障を求める人は、会社員のほうが向いているでしょう。組織に属している安心感や、チームの一員として働くことにやりがいを感じるタイプは、会社員向きといえます。また、企業の中には充実した研修制度やキャリア支援があるため、幅広くキャリアを積み重ねたい人にも向いています。さらに、労働時間や業務内容がある程度決まっているため、1人で時間管理をするのが苦手な人や、ルールのある中で力を発揮するタイプにも適しています。▼関連記事:独立と転職どちらか迷ったときの3つの判断基準!副業からスタートするメリットも解説フリーランスと会社員は掛け持ちできる?フリーランスと会社員の掛け持ちは可能です。両者の掛け持ちは、会社員の安定した収入を確保しながら、自分のスキルを活かして働ける、非常にバランスのよい働き方といえます。健康保険や厚生年金といった社会保障がしっかり整っているうえに、企業によっては住宅手当などの福利厚生を受けられるため、安心感を保ったままフリーランスの仕事に挑戦できます。フリーランスの仕事を通じて、実務スキルを磨いたり、新しい分野に挑戦したりすることもできます。本業では扱わないような案件に関わることで、スキルアップやキャリアの幅を広げるきっかけになります。実績を積めば、自分の強みや得意分野も明確になり、会社員でのキャリアアップや、将来的な独立を視野に入れることも可能です。ただし、掛け持ちをする際は、会社の就業規則で副業が許可されているかどうかを確認しなければなりません。副業禁止にもかかわらず隠れてフリーランスの仕事を行うと、懲戒処分の対象になる場合もあります。また、本業に支障が出ないようスケジュール管理を徹底し、疲労やストレスをためすぎないように心がけましょう。さらに、フリーランスとして得た所得が年間20万円を超えた場合は、確定申告が必要になります。会社員として年末調整を受けていても、副業の所得が20万円を超えた場合は、自分で税金の申告をする義務があるため、税務面の準備も欠かせません。▼関連記事:会社員とフリーランスは掛け持ちできる!成功させるコツや確定申告の注意点などを解説会社員から独立してフリーランスになるには?会社員からフリーランスに転身するには、事前の準備と計画が重要です。勢いで会社員を辞めてしまうと、収入の確保や仕事の獲得で苦労する可能性があります。まずは、自分のスキルや経験を「どのような仕事に変換できるか」を考え、クラウドソーシングサービスや人脈を通じて、案件を少しずつ受けて実績を作っていくことがおすすめです。また、ある程度の貯金を用意しておくことも重要です。フリーランスになった直後は特に収入が不安定になりやすく、仕事が軌道に乗るまでに時間がかかることもあります。生活費の半年分〜1年分を目安にして、資金の備えをしておくと安心です。税金や保険なども会社員時代とは扱いが変わります。開業届の提出、国民健康保険や国民年金の手続き、確定申告の方法など、フリーランスとしての基礎知識も事前に身につけておきましょう。できれば、会社を辞める前に、副業(フリーランスとの掛け持ち)を始めておき、継続案件を1〜2つ持った状態で独立すると安心です。▼関連記事:会社員からフリーランスになる際にやるべきことは?必要な手続きや退職前の準備を解説フリーランスから会社員に戻れる?フリーランスから会社員に戻ることは十分可能です。「安定収入がほしくなった」「チームで働きたい」「幅広い仕事をやりたくなった」など、会社員に戻りたくなる理由はさまざまですが、ライフステージの変化に応じて働き方を切り替えるのは、今や珍しいことではありません。フリーランスとして働いた経験は、企業にとっても「自走できる人材」「専門性が高い人材」として評価される可能性があります。何の業務をどのようにこなしていたのか、数値や成果で示せると説得力が増します。転職エージェントを活用するのも、再就職の成功率を高める手段の1つです。▼関連記事:フリーランスから会社員に戻っても大丈夫!年収やキャリアの不安を解消まとめ働き方の選択は、収入や時間の使い方に大きな影響を与えます。フリーランスには、自由な働き方や自己裁量の広さという魅力がある一方で、収入の不安定さや社会保障の自己負担といった課題もあります。反対に会社員には、安定した収入と福利厚生、研修制度などの手厚いサポートがありますが、時間や働く場所の自由度は限られています。自分に合った選択をするためには、「何を優先したいか」を明確にすることが大切です。将来のライフスタイルや価値観を見つめ直し、自分らしい働き方を少しずつ模索してみてください。