「スモールビジネスを、世界の主役に。」をミッションに掲げ、「アイデアやパッションやスキルがあればだれでも、ビジネスを強くスマートに育てられるプラットフォーム」の実現を目指して、クラウド会計ソフトを中心に様々なクラウドサービスの開発および提供をしているfreee株式会社。今回は、新規事業開発の立ち上げを目的にSOKUDANを取り入れた当時の課題や背景、そして導入後の効果について、金融事業本部 新規事業開発室長の花井 一寛(はない かずひろ)さん、アライアンス事業部の平塚信明(ひらつか のぶあき)さんにお話を伺いました。専門知識の必要性と、正社員採用のリスクの狭間で── まず、貴社の事業内容を教えてください。(花井さん)私は、freeeの新事業の立ち上げを担当しています。現在は融資を中心とする資金調達のサービスや福利厚生freeeというプロダクトの中の借り上げ社宅のサービスを先行リリースしています。freeeの非連続な事業展開を推進する役割ですね。(平塚さん)私はfreeeで代理店と金融機関との協業を主に進めています。── 今回SOKUDANのサービスをご利用いただくにあたって、導入検討時の人的課題やお悩みなどの背景をお聞かせください。(花井さん)福利厚生事業の立ち上げにあたり社宅に関するものから始めたのですが、借り上げ社宅、いわゆる不動産賃貸の業務経験や法人契約の業務経験が必要でした。ですが、不動産に関する専門知識経験を持つ方が社内にいなかったため、外部でプロフェッショナルな方がいれば推進しやすいなと考え、人材を探していました。ただ求めるスキルの領域がピンポイントだったので、その業界の10年選手を中途採用するのも難しいですし、新規事業だといつまで継続していくかわからないので、正社員採用はお互いリスクがあるなと。そこで業務委託という形で、アドバイスをしてくれる方を探していました。(平塚さん)私の部署では2つ募集をかけていまして、1つは事務、もう1つはマーケティングや分析領域ですね。派遣社員でも集められる職種ではありますが、直接雇用ならある程度コスト抑えられることもあり、花井が利用したSOKUDANがいいらしいという話を聞いて利用することにしました。マーケティングや分析の方は、専門性のある方にスポットでご協力いただくために利用させていただきました。サービス利用のきっかけは、人材の“専門性の高さ”── 今フリーランスや副業ワーカーを探すサービスは複数ありますが、どういったいきさつでSOKUDANを選ばれたのでしょうか?(花井さん)知ったきっかけはFacebookの投稿です。元々、スポットコンサルは活用していたのですが、当時はSOKUDANのように継続的に業務委託契約できる専門知識のある方を探せるプラットフォームはあまりないイメージでしたね。スポットではなくある程度の長期間でスキルを持った方にお願いしたいなと考えていたので、そういったサービスの中で不動産に詳しい方を探せればという考えがありました。── 実際にサービスを利用して採用状況はいかがでしたか?(花井さん)2名契約しましたが、満足度も高いし今後もお願いしたい方ですね。1名は不動産に詳しい方、もう1名はマクロが作れる方で、マクロの募集は10数名応募者が来てくださいました。そのうち3~4名の方とメッセージでやり取りをし、最終的に1名に決めました。(平塚さん)私の部署でも1回の募集で10名くらい応募があり、6名面接して1名に絞りました。一般公募では採用できないレベルの応募者と一緒に新規事業に取り組める── 採用後の成果について具体的に教えてください。(花井さん)社宅管理の業務やプロダクト管理、実際のサービス開始後のオペレーション作りでお手伝いいただいています。アドバイザリー的な立ち位置で、新しいものを作り上げるにあたって、自社の社員ではやり切れないところをサポートしていただいていますね。お客様への理解や業務課題は社内で十分対応できますが、新しいドメイン知識は社内にありません。そこは外部の方でスピード感があり、かつ普通だと採用できないレベルの方と一緒にやるのが一番効率が良いと感じています。── 特に印象が強い方や活躍している方は、どんな方ですか?(平塚さん)事務の方はかなりパフォーマンスを出してくださっていて、社内の業務を中心となって回してくれています。そのほかに分析を担当されている方が2名いて、お客様が弊社の製品をちゃんと使えているかどうかの調査、使えていない方へのフォロー施策の検討などを対応してくださっています。もともと独立志向があり、私たちのデータを見て分析をやる中で、どういう開発や会社にしたいかを建設的に考えた結果、独立することを決めた方もいらっしゃいます。弊社的にも良い結果を出してくれましたし、結果を出せたことでご本人も自信をもって将来こういう仕事をしようと考えられたようです。そういう方が現れたということも、SOKUDANを利用したことで得た成果のひとつなのかなと感じます。── 導入前の人的課題は解決できたということですが、それ以上の成果はありましたか?(花井さん)当初はスポットで考えていたんですが、こちらが思っていたよりも非常に成果を出してくださっているので、長くお願いできているというのが成果ですね。長くできるかはお互いの状況もあるので難しいかと思っていましたが、そんなこともないんだなというのが良い意味での発見でしたね。── 業務委託だと帰属意識が薄いと一般的によく言われると思いますが、そういった部分は実際どうでしたか?(花井さん)帰属意識については特に困ったことはありませんが、立場上社員でないと判断できないことはありますよね。社員と同じ権限は会社のポリシー上できませんが、制約内で非常に高いパフォーマンスを出してくださっています。(平塚さん)そもそも弊社は採用選考のポイントとして推進力を重視していて、周りを巻き込んでどんどん動いてくれる方を選んでいます。なので、業務委託だからといって悩むことはあまりありませんでしたね。重視すべきは「推進力」と「業務経験」。なぜ副業をしているかも注目── SOKUDANを利用するにあたり、応募者の選考の段階でどのような点を工夫しましたか?(平塚さん)推進力と主体性を持っている方かどうかを重視しています。具体的に例を挙げると、経歴を拝見する際にプロジェクト推進や結果を残しているかどうか確認させていただいていますね。また、SOKUDANに登録されている方は『今後こういう経験を積みたいから副業をしている』というような方が多いので、どういった背景で副業をしているのかも伺うようにしています。ちゃんと目的を持って仕事をしている人は、仕事に対する意識が高いと思うので。(花井さん)私の部署は、業務経験に専門性があるかどうかを見ています。マクロのように、ある程度世の中で仕事として型ができているものは業務に慣れているかどうかはやり取りの中ですぐわかりますね。過去の案件の内容に近しいものや、サンプルを目隠しで送ってきてくれるなど、そういう配慮ができる方はこれまでもちゃんと仕事をしてきたんだとわかります。不動産業界出身の方は、相談しているうちに当初の想定以上に多くお願いできそうだと分かり、より色々なことを長くお願いしたいという形になりました。── 福利厚生や借り上げ住宅の経験ありと条件がピンポイントなので、そもそもの母数も少なそうですよね。(花井さん)確かにそうですね、世の中にはいらっしゃるんでしょうけど、そういうところで働いている方とは出会う機会がまずない。なのでSOKUDANには、接点がないところを橋渡ししてもらえた感じですね。即採用を可能にする、SOKUDANのリモートワーカー認定やフィルタリング機能── 今回このサービスを活用いただくにあたって、価値を感じている部分や導入の利点を教えてください。(平塚さん)応募をかけると1週間たたないうちに10数名応募が入るので、すぐ採用できる点が最も嬉しく、よく使わせていただく最たる理由ですね。それと、最近はリモートワーカー認定(リモートワークの経験や知識が一定水準満たしている方にSOKUDAN独自で認定している制度)のアイコンがつきますよね。最近はそのアイコンも参考にして選定するようにしています。(花井さん)そうなんです、募集をかけると数日で何名も来てくれるので、直前で急に募集したいという時でも間に合うというのはいいですね。あとは、全員ではないけれどSOKUDAN側が登録者と事前に面接しているケースもあるとのことで、そういったフィルタリングがあるのは良いですよね。必ずしもプロフィールがきちんと書けている方ばかりとは限らないですし、ご自身で上手く説明することに慣れていない方もいると思います。ですが、それと実際どれぐらいできるかはまた別の話なので、そういう時はそのように人が関わっているのは現段階だとかなり有効なのではないかなと思います。勤務条件が合わず働いていない人も、SOKUDAN登録で活躍のチャンスが広がるかも── 御社でこのサービスを活用して実際に働かれている方というのはどういった方が多いですか? (花井さん)フリーランスの方や、ご自身で立ち上げた会社を本業としながら副業として手伝ってくれている方がいます。(平塚さん)私の部署も半々です。大手企業勤務で、空いた時間でやってくれている方もいます。事務の方はフリーランスで、コロナの影響でフリーランスの仕事が減ってしまったところに弊社に来てくださいました。── このコロナの影響でフルリモートを希望する人や、勤めている会社が副業OKになった人も増えたのでそういった意味では母数が増えてるというのはありそうですね。(花井さん)そうですね。実際弊社でも事務職募集で毎日ではなく週2~3日くらいで来てくれる方が必要だったりしますね。例えば主婦の方とか、親和性が高いんじゃないかと思います。── 確かに、『出産育児で会社を辞めざるを得なかったけど、子供がある程度成長したから働きたい。でもフルタイムは無理だし通勤も難しい、スキルはあるのに…』という方は多いかもしれません。(花井さん)業界によっては勤務条件が固定されているケースもあると思うのですが、いま働いていない方たちというのはそれに合わないだけで、活躍するチャンスやスキルがある方は沢山いると思うんですよね。不動産業界は土日出勤が基本なので、それが厳しいからと職業を変えられる方もいらっしゃいますが、そういう方は弊社にぜひ!という感じですね(笑)例えば、キャリアは元々あるけど今お仕事はお休みしている主婦の方で、フルタイムや土日は難しいから週2~3日で働きたいという方は、こういうサービスに登録してくれるといいなと思います。業務委託と正社員の棲み分けはせず、「自主性の高い人」にお願いすることが大事── 最後に、SOKUDANに限らず副業やフリーランスの方を活用されている企業に向けて、何かアドバイスをお願いします!(平塚さん)フリーランスの方という観点ではあまりないことですかね。今回はリモートワークで業務をお願いしているので、常時会える仮想ミーティングルームを作ったりはしましたけど、それ以外あまり工夫はしていないですかね(笑)。業務委託、正社員と棲み分けないといいますか。(花井さん)そう。業務委託契約ですからもともと自主性の高い人にお願いしている、そこに尽きる気がします。採用する段階で1番工夫というか、「こういう人を採用するように」となにより強く意識していますね。【会社概要】会社名:freee株式会社設立 :2012年URL :https://www.freee.co.jp/事業 :クラウド型会計ソフトを中心に人事労務や会社設立支援と、スモールビジネスのバックオフィス業務を効率化するクラウドサービスを開発・提供