経理業務のDXを実現するExcelアドイン型のSaaS「ジーニアルAI」シリーズを展開している、「株式会社ジーニアルテクノロジー」。事業拡大を目指す同社は、プロ人材と企業を結びつけるマッチングサービス「SOKUDAN」を利用して、新規開拓に特化した営業担当者を業務委託で採用しました。少数精鋭のスタートアップで、プロ人材がどのように活躍しているのか。また、どのような点がSOKUDAN導入の決め手になったのかを、代表取締役の阿部川 明優さんとビジネスサイド業務全般を担当する小谷 麻菜さんにお聞きしました。── 株式会社ジーニアルテクノロジーの事業内容について教えてください。(阿部川さん)弊社は、経理業務をDXするためのExcelアドイン型のSaaS「ジーニアルAI」シリーズを展開しています。主力商品の一つである「ジーニアルAI」は、スキャンした証憑と、Excel上のデータを一つの画面で突合できるツールです。また、請求書や納品書などの情報をExcelに都度手入力している事業者様向けに「ジーニアルAI OCR」を提供しています。スキャンした書類から転記したい文字をマウスで選択するだけでExcelに貼り付けられるので、転記ミスを防げます。他にも、開示資料のチェック効率化に役立つ監査法人向けツール「ジーニアルAI 開示チェック」や、先ほど話した突合作業や転記作業をこちらが代行するサービス「ジーニアルAI BPaaS」を展開しています。── 貴社の組織体制と阿部川さん、小谷さんの役回りを教えてください。(小谷さん)現在(2025年9月時点)は、少数精鋭のチーム体制でエンジニアとビジネスサイドがバランスよく連携しながら稼働しています。エンジニアは全員正社員です。ビジネスサイドのメンバーの中には、今回SOKUDANで採用させていただいた業務委託の方が在籍しています。私の担当領域は、バックオフィスに加えて営業、マーケティングなどです。少人数のスタートアップなので、あまり役割にとらわれず柔軟に動くようにしています。(阿部川さん)私も小谷と同じく、ビジネスサイドを見ています。技術面は基本的にCTOに任せていますが、何か相談を受けたらアイデアを共有したりしています新規開拓営業人材を探すも、スカウト返信率5%で苦戦── 貴社が抱えていた採用課題を教えてください。(小谷さん)事業拡大に向けて、新規開拓を担当する営業担当者を新たに採用したいと思っていました。ビジネスサイドのメンバーとして、本来は新規開拓を率先して進めたかったのですが、他の業務もありなかなか時間が割けずにいたんです。当初は正社員を採用しようと、ダイレクトリクルーティングサービスを使っていました。しかし、継続的にスカウトを送っても返信率はわずか5%程度。そこからカジュアル面談につなげることすら難しい状態で、自己応募もほとんどなく苦戦していました。── 最初は正社員での募集を検討していたのですね。そこから業務委託の採用に切り替えた理由を教えてください。(小谷さん)業務委託での採用に切り替えた方が、即戦力として活躍していただける方により早く出会えると考えたからです。正社員採用は、やはり時間がかかります。仮に採用できたとしても、採用した方が前職を退職するタイミングなどを考慮しなければならず、結局稼働までのリードタイムが長くなってしまいます。そうした事情も踏まえて、業務委託での採用に切り替えました。SOKUDANはスカウト不要。求人を出したら自然と応募が集まる── 今回は、インターネット検索でSOKUDANを知ったとお聞きしています。何が導入の決め手になりましたか?(小谷さん)CS(カスタマーサクセス)担当の方と打ち合わせした時に、「求人を出したら基本的には自然と応募が集まる」とお聞きしたことです。正社員採用に取り組んでいた時は、求職者に合わせてスカウト文面をカスタマイズして送るのに時間がかかっていました。一方SOKUDANなら、自然と応募が集まる状況を作れることに魅力を感じました。求人掲載から最短で1週間、長くても1カ月あれば採用できるとお話いただけたのも後押しになりましたね。それなら新規開拓を進める目処も立てられると思ったので、導入しました。── SOKUDANを導入して良かったポイントを教えてください。(小谷さん)CS担当の方に、応募者の方のご経歴が我々の求める条件にマッチしているかを事前に精査いただけたことです。マッチ・アンマッチの理由が添えられたメモにも納得感があり、安心して選考を進められました。こちらが特別なアプローチをしなくても、たくさんの方にご応募いただけたのも良かったです。(阿部川さん)導入の時のご説明通り、1カ月かからずに即戦力となる方を採用できて非常に助かりました。すぐに人が欲しいといった我々のニーズを満たしてくれた、価値のあるサービスだと感じています。採用の決め手は豊富なテレアポ経験と経理の実務経験── 候補者と面談する際は、どのような点を見ていましたか?(阿部川さん)私が面談を担当しまして、スキルはもちろんカルチャーフィットも重視していました。弊社は2つのバリューを掲げています。1つが「Acceleration(加速前進)」で、試行錯誤を繰り返しながら、個人と組織の成長を加速していけるか。もう1つは「Integrity(誠実性)」で、お客様にも社内のメンバーにも誠実に向き合う姿勢を持っているかを見ていました。── 採用の決め手を教えてください。(阿部川さん)BtoB向けSaaSの営業経験はもちろん、テレアポのご経験が非常に豊富だったことが決め手になりました。今回、新規開拓はテレアポを中心に進めていこうと考えていたんです。しかし私も小谷もテレアポ周りのノウハウに詳しくなかったので、そういった知見をお持ちの方が理想だなと思っていました。今回採用した方は過去にテレアポのリーダーを経験されていて、まさに求めるスキルをお持ちでした。面談をしていて、電話口で相手の課題を引き出す力と、商談につなげるためのアプローチ力に優れていることを感じ、安心してお任せできると判断しました。加えてその方は経理の実務経験もあり、「ジーニアルAIなら経理業務をもっと効率化できる」と、プロダクトに強い関心を示していただいたんです。同じ志を持ちながら事業を進めていただけると確信して、ご一緒することに決めました。稼働直後から即戦力として活躍!次々と商談を創出── まさに理想の方を採用できたのですね。プロ人材の働きぶりはいかがですか?(阿部川さん)今年の8月から稼働いただき、すでに1,000件以上にテレアポしていただいています。そのうち10件以上は商談にもつながっていて、まさに戦力となって活躍いただいています。(小谷さん)実は弊社で本格的にテレアポに取り組むのは初めてで、前例がない分、最初はうまく軌道に乗せられるか不安だったんです。ですが、その方に入っていただいてそんな不安はすっかり払拭されましたね。一件でも多く商談につなげるには何をすべきかを、ご自身でPDCAを回しながら進めていただけていてありがたいです。トークスクリプトも、当初のバージョンからどんどんブラッシュアップいただいてますし、話の切り返し方が本当にお上手で、こちらが勉強になっています。── ご活躍されていて何よりです!今後プロ人材に期待していることはありますか?(阿部川さん)営業の基盤が安定してきたら、担当者の増員を検討しています。そのタイミングで、新しく採用した方々への教育担当をお願いしたいですね。今お持ちのノウハウや経験を新しいメンバーに引き継いでいただく流れをつくれれば、新規開拓をさらに強化できると思います。毎朝のMTGでフルリモートのコミュニケーション量をカバー── 普段は、従業員の皆さんとどのようにコミュニケーションを取っていますか?(阿部川さん)基本的にはフルリモートで、メンバーとはSlackやZoomなどでやり取りをしています。また、エンジニアチームとビジネスサイドチームに分かれて毎朝「デイリースタンドアップ」といったミーティングを行っていて、社員だけではなく、業務委託の方々にも参加してもらっています。── デイリースタンドアップは、どのような流れで実施していますか?(阿部川さん)全員が今日やることについて共有した後に、相談事項があればその場で解決するための話し合いをしたり、別途MTGをセットしたりしています。フルリモートで働いていると、コミュニケーション不足が起こりやすくなりますし、誰がどんな仕事をしているのかも不透明になりがちです。それらをカバーするような習慣をつくり、できるだけ密に会話ができるようにしています。海外進出、BPaaSの展開も視野に入れて人材を採用したい── 冒頭でお話いただいた「ジーニアルAI 開示チェック」は、今年7月にリリースされたばかりの新製品だと伺っています。どのように活用できるのでしょうか?(小谷さん)例えば、旧版と新版の開示資料のPDFを突き合わせ、どの数値や内容が更新されたのかを一目で確認できる機能や、財務諸表の金額の合算値が正しいかを自動計算できる機能などが実装されています。監査法人のご担当者様が抱える単純なチェック作業を大幅に効率化することが目的です。(阿部川さん)AIやシステムの力で、ケアレスミスを防ぐ狙いもあります。もし書類の不備を見逃してしまったら、監査法人または監査を受けた事業会社が、金融庁から行政処分を受ける可能性もあります。そういったリスクの回避も想定しながら開発しました。── 阿部川さんは、元々監査法人ご出身でいらっしゃいますよね。チェック作業をできるだけ効率化することを目的に、ジーニアルAIシリーズを開発されたのでしょうか?(阿部川さん)おっしゃる通りです。監査法人に就職して数年は単純なチェック作業を任されることが多く、「この作業はもっと効率化できないのか」と思っていました。その後、AIの研究で有名なアメリカの大学に留学した時に、AIでチェック作業を自動化、効率化するアイデアをひらめき、後に弊社を創業しました。当初は監査法人向けに特化したプロダクトを作っていたのですが、改良を重ねる中で、ジーニアルAIが監査法人の業務以外にも使い道があることを発見しました。それからは、営業先を事業会社の経理部、内部監査部の方々にも広げながら事業を行っています。最近は、経理業務以外の用途にご活用いただいているケースもあるんです。とある事業会社の販促部門の方々には、パンフレットの型番などの整合性チェックにお役立ていただいてます。── ユースケースが広がっているのですね。ジーニアルAIシリーズを導入いただいたお客様からは、どういった感想をいただくことが多いですか?(阿部川さん)特にAI OCRに関して「文字の読み取り精度が高い」と感想をいただくことが多いです。読み取り精度の向上においては長年研究を重ねており、強みの一つです。手書きの文字も正確に読み取れて、使い勝手が良いと評価いただいています。また、Excelアドイン型のツールなので直感的に使えるとのお声もいただきますね。Excelで打ち込んだデータをCSVで会計ソフトや基幹システムにインポートしている事業者様にとっては、既存のフローをほぼ変えずに運用できるので、そういった点でも好評です。── 最後に、貴社の今後の展望を教えてください。(阿部川さん)今後は、ジーニアルAIシリーズを海外にも展開する計画を立てています。実は、監査基準は日本と世界でほぼ共通なので、プロダクトの方向性は大きく変えずに展開する予定です。すでにUIは英語に対応する準備が整っているので、あとはユーザーサポートを英語でカバーできれば、英語圏での展開が実現すると考えています。また、お客様が抱えるチェック作業や転記作業などをAIと人の力で代行する「ジーニアルAI BPaaS」も積極展開していきます。BPaaSの展開により、お客様が単純作業から解放され、本来注力すべき業務に集中できるような環境をつくりあげていきたいです。事業を拡大するには、さらに人員を拡充する必要があります。正社員、業務委託とさまざまな雇用形態を考えつつ、組織の一体感を高められるよう取り組んでいきます。【会社概要】会社名:株式会社ジーニアルテクノロジー設立 :2019年7月URL :https://corp.genialtech.io/ja/事業 :経理業務DXSaaS「ジーニアルAI」シリーズの展開