電子カルテや医事会計システムといった、病院内の各システムに分散したデータを集約させる医療用データウェアハウスシステムの開発・販売などを行う株式会社医用工学研究所。2023年4月にはKDDIと資本業務提携の契約を締結し、ヘルスケアや医療データの利活用を進めるべく新事業もスタートさせています。そんな様々な取り組みを行う「株式会社医用工学研究所」ですが、配置転換による人手不足と、展示会に向けて限られた時間と予算の中で即戦力人材が必要となりました。SOKUDANを活用して期待以上の複業人材を採用できたということで、詳しい内容について、戦略企画部部長の小松英之さんにお伺いしました。── まずは、事業内容を詳しく伺えますか?(小松さん)株式会社医用工学研究所は、普段、医師や看護師など医療従事者が記録している電子カルテのデータをもっと広く活用してもらうため、三重大学の大学ベンチャーとして、2004年、代表取締役の北岡 義国が立ち上げた会社です。我々のメイン商品は、「CLISTA! (クリスタ)」という医療用DWH(データウェアハウス)です。CLISTA! 、は電子カルテ・医事会計システム・各部門システムなど、病院内の各システムに分散したあらゆるデータを一つに集約し、病院内の大量なデータを可視化することができ、各システムを横断的に統計・検索することを可能にします。展示会に向けて限られた時間と予算の中で即戦力人材が必要だった── では、変わってSOKUDANの導入の背景を伺います。どういった人的課題があったのでしょうか。(小松さん)医用工学研究所のスタッフは、ほとんどがエンジニアとセールスです。これまで展示企画などマーケティング業務を担当していたスタッフの退職に伴い、配置転換が行われ、展示会運営に精通した人材が足りなくなったというのが理由です。加えて、年に一度開かれる「国際モダンホスピタルショウ」という大きな展示会に出展することが決まり、限られた時間の中で急いで人材が必要となったのです。当初は、広告代理店に依頼しようと思い見積もりを依頼しましたが、ほとんどの予算を使ってしまうほど金額がかなり高額でした。そこで、以前から資料請求していた、即戦力人材のマッチングサービスであるSOKUDANで募集をかけてみることにしたのです。優秀な人材からの大量の応募があり、SOKUDANで期待以上の人材に出会えた── そのような背景があったのですね。ではSOKUDANを実際に使ってみての感想はいかがでしたか。(小松さん)SOKUDANを利用して、たった1週間で17人ほどの方が応募してくださり、本当にびっくりしました。反応は予想以上で、こんなに応募が来るとは正直思いませんでした。今回、SOKUDANからは採用のスクリーニングのほか、募集要項の書き方のアドバイスなどもたくさんしてもらったことで、これだけ優秀な人材の方々が集まったのかなと思っています。実際にSOKUDAN経由で採用した方は、元々は大企業でデザイナーをしていて、現在は独立している方でした。展示会の企画運営から、デザイン面までチェックしてもらえるなんて素晴らしいと感じ、採用させてもらいました。実際に、スキルも提案も非常にセンスがあり、想像以上の成果を上げていただきました。採用において重要なのは、面接での念入りな確認の質問── 採用において、重要だと感じているポイントはありますか。採用において、面接で念入りに確認の質問をすることは重要だと思います。しっかりと募集要項を提示していても、予測しないような仕事が発生することは業務の中であると思います。野球で言うと三遊間を拾ってくれそうな柔軟性を確認するための質問を採用の面接では投げかけることも多いですね。 実際に今回の展示会の業務でも、お願いしたいことを事前に明確に要件定義はしたものの、それ以外のことも発生しました。例えば、展示会でお見せする動画の編集ディレクション業務も、その1つです。また、当日のプレゼンテーションでデモンストレーションをしたのですが、そこで使用する画面の作成のほか、展示会のブースに設置したパネルの色使いなども、採用した方のデザイン知識や前職の知見を活かして、お越しいただいた方が立ち寄りやすい場づくりをトータルで演出してくださいました。これがとても反響がよく、なんとリード獲得数が去年から比べて3倍にも増えたんです。事前に想定していた業務成果以上に専門ノウハウをご提供いただき、この方がいらっしゃらなければ、満足するものが作れなかったと思っています。本来なら3ヶ月ほど必要なはずの準備でしたが、1ヶ月後の展示会に向けて、採用した方が急ピッチで仕上げてくれましたので、本当にSOKUDANのサービスが無ければ、今回の展示会は成功しなかったと思っています。新事業や目標達成に向けて、よい人材の採用と活用を加速させたい── とても満足していただけたようで嬉しく思います。では、御社の今後の展望について聞かせてください。(小松さん)まずは「CLISTA! (クリスタ)」をもっと多くの病院に利用していただけるようになることです。もう一つは医療データの利活用促進を目指し、病院間や二次利用を期待する製薬企業等への活用提案を推進していくことです。資本業務提携をしたKDDIと共に目標をしっかり超えられるように努力していきたいですし、そういった目標の達成を目指す上で良い人材をもっとアサインしていけたらと思っております。〜株式会社医用工学研究所について〜── 貴社の事業やサービスについて、もう少しお伺いしたいと思います。「CLISTA! (クリスタ)」には、どのような特徴があるのでしょうか?(小松さん)「CLISTA! (クリスタ)」は、病院内のさまざまな医療情報システムに格納されているデータを集約し、統合的に扱えるように整理した上で、容易に二次利用できる仕組みを提供しています。それぞれのシステムがバラバラに運用されていると、病院内のさまざまな医療データを経営、業務改善や臨床研究に役立つ有益な情報に集計・加工するのは病院スタッフの作業負担も大きく、時間もかかります。しかし、「CLISTA! (クリスタ)」であれば、院内のデータ(電子カルテ・医事会計・各部門システム)を対象に複数要素を横断した検索・集計を可能にし、運用状況や業務進捗状況等を自動的に集計・可視化することも可能です。それにより病院での業務効率化や、経営改善、診療分析・研究をよりクイックに行うことができるようになります。具体的には、「糖尿病患者でインスリンを処方して、31日後から7日以内の検査でHbA1c値が8以上の患者データを抽出したい」といったような複雑な検索も、わずか3ステップで抽出が可能です。このように院内にあるデータを巧く利活用することにより、病院の経営力や、医療の質を高めていくことに貢献できるのが、CLISTA!の強みです。「CLISTA! (クリスタ)」を導入している医療機関は、国公立病院や、大学病院、市中病院など全国130を超えています。電子カルテのベンダーは、日本国内でも富士通様やIBM様、NEC様、ソフトウェア・サービス様など様々存在しておりますが、CLISTA!は医療機関に導入されている電子カルテの約8割を超える各大手メーカーの電子カルテと接続実績があるのも強みです。また、製造開発から営業、導入、保守まで一気通貫で行い、20年近く事業を展開しているため、病院との信頼関係がしっかり築けている点です。実はベンダーの方々も電子カルテの分析ツールはオプションとして開発し、サービス提供をしているのですが、自社のもの同士でしか分析できないという仕組みとなっているのです。我々のように独立系で、他社のベンダー同士でも接続できるのは強みで、特に最近は病院がどんどんM&A(合併や買収)している中で、使っているシステムがバラバラなほか、データがまとまっていないケースが多いため、別々のものでも対応できることが支持されています。── 今後、特に力を入れていく予定の事業はありますか?(小松さん)2023年4月から新しい試みとして、KDDI株式会社と資本業務提携をしました。株式会社医用工学研究所が保有する電子カルテ由来の医療データの知見とKDDIがもつデータ分析技術を活用し、患者をはじめ人々の健康的な生活の実現に向けてヘルスケア・医療データの利活用を進めるべく資本業務提携を実施しました。ご協力いただいた医療機関との連携により、2023年度中に約400万人の電子カルテ由来のデータ分析に取り組み、がん・心疾患・脳血管疾患などの薬剤効果検証や、医薬品の研究開発に役立つ分析サービスの提供を目指していきます。KDDIと資本業務提携をすることになった背景としては、少子高齢化が進むなか、医療従事者の減少や医療費の適正化といった課題から、医療データの利活用が注目されていることがあります。なかでも電子カルテデータには、レセプト(診療報酬明細書)データや健康診断データなどでは得られにくい治療結果に関する情報が含まれており、薬剤の効果測定や診療行為の分析精度の向上が期待されているからです。医療データの二次利用に関しては、例えば製薬会社などに需要があると思っています。我々は製薬企業などに対して、例えば、がん・心疾患・脳血管疾患、生活習慣病などさまざまな疾患の薬剤効果測定およびマーケティング高度化、医薬品の研究開発に役立つ分析サービスなどを提供できると考えております。日本では、病院の電子カルテ由来のデータの利活用はまだまだ限定的です。我々は医療データの利活用を促進し、データ利用の体験価値向上を目指してKDDIと協力しながら進めていく予定です。── 最後に、御社の企業理念についても聞かせていただけますか。我々の企業理念は3つの「シンカ」です。新しくデータ活用サービスなどに取り組んでいく「進化」。それを深く突き詰めていく「深化」より良い医療や医療経営に貢献していく「真価」を掲げています。病院のためだけではなくて、患者さんのため、医師のため、治療や医療の貢献になっていけたらという思いでスタッフ一丸となって頑張っています。そんな理念を大切にしながらサービスをもっとより良くしていきたいと思います【会社概要】会社名:株式会社医用工学研究所設立 :2004年12月URL :https://www.meiz.co.jp/事業 :医療データ活用基盤に基づいた製品の開発