2018年に米国シリコンバレーで創業した「dotData, Inc.」は、企業のデータ分析・活用において、最も重要かつ難易度が高い「特徴量設計」を自動化するAIプラットフォームを提供しています。同社では2020年からSOKUDANを活用しており、さまざまな職種のプロ人材をコンスタントに採用しています。今回は採用支援を担当する新城優さんに、SOKUDANを利用するメリットをはじめ、プロ人材の採用フローや、複業人材活用にあたっての工夫について伺いました。── dotData, Inc.の事業内容について教えてください。(新城さん)弊社は、もともと日本電気株式会社(NEC)の研究員であったCEOの藤巻が、NECからカーブアウト(自社事業の一部分を切り出し、新会社として独立させること)して米国シリコンバレーで創業したスタートアップです。「全ての企業がデータに基づいて、より良い製品やサービスを生み出すことができる世界を創る」をビジョンに掲げ、データサイエンスのプロセスを自動化するプロダクトを開発しています。プロセスの自動化に欠かせないのが、弊社のコアとなる技術「特徴量自動設計」です。独自のAIが特徴量を自動で設計することで、数ヶ月ほどかかるデータサイエンスのプロセスを数日に短縮できます。弊社のプロダクトによって、クライアント企業は課題の設定と分析のサイクルを短期間で繰り返せるようになり、業務課題の早期解決が実現します。── 貴社の組織体制と働き方、新城さんが担当している役回りを教えてください。(新城さん)現在はシリコンバレー、日本、ポーランドに拠点を置いています。組織は、主にエンジニアが属するR&Dサイドと、セールス、マーケティング、データサイエンス担当者が属するビジネスサイド、そのほかコーポレート、カスタマーエンジニアリングで構成されています。R&Dサイドは、プロダクトごとにチームを編成しており、ビジネスサイドは米国担当と日本担当のチームに分かれています。お客様先に出向くメンバー以外は、基本的にリモート可能です。私はカナダ在住のためフルリモートで働いており、必要に応じて出張しています。採用支援担当として日本で募集する全職種と、一部アメリカで募集するインターンの採用に関わっています。海外に本社がある企業の求人もSOKUDANで扱っていることに驚いた── 新城さんがジョインする前から、貴社ではSOKUDANが導入されていたと伺っています。(新城さん)2020年頃から、SOKUDANにはお世話になっています。当時はバックオフィスやエンジニアの不足を人的課題としていて、SOKUDANを導入したと聞いています。私が入る前も、すでに何名かはSOKUDANで採用が決まっていました。その後、私が2023年10月にSOKUDAN経由で業務委託としてジョインし、以降もSOKUDANを使いながら採用活動を行っています。── 新城さんも、ユーザーとしてSOKUDANを活用されていたのですね。(新城さん)そうなんです。もともと人材エージェントなどのHR関連の仕事をしていて、フリーランスになるタイミングでSOKUDANに登録しました。私自身が海外志向なこともあり、海外で働ける仕事を探していたら、SOKUDANでdotDataの求人を見つけたんです。日本のベンチャーやスタートアップしか掲載していないと思っていたので、シリコンバレーに本社がある企業の求人も扱っていることに驚きましたね。ほかにもユニークな企業が多く、取り扱っている求人が幅広いと感じました。海外志向の人材ともマッチングでき、費用対効果の高さを実感── 貴社の採用支援担当として、SOKUDANを利用して良かったポイントを教えてください。(新城さん)SOKUDANには高いスキルを持った人材が多く、かつ「海外で働きたい、海外に関わる仕事がしたい」志向の人材を獲得できることに価値を感じています。弊社は外資系企業なので、業務スキルとあわせて語学力も必要です。採用難度が高いと思っていましたが、そういった能力を持つ人材とすぐにマッチングできたことが良かったです。費用対効果の高さも実感しています。人材エージェントの経験から把握している紹介手数料の相場と比べて、利用しやすい価格帯だと思います。以前、社内で業務委託を採用するコストを見直す機会があったのですが、CEOの藤巻に「SOKUDANの料金内で、こんなに優秀なプロ人材は獲得できない」と直談判して、契約の継続を申し出たくらいです。── ありがとうございます。貴社の人材採用のお役に立てて何よりです。(新城さん)また、SOKUDANは一度業務委託で採用して、互いに合意したら正社員雇用しても良いルールができているのがありがたいです。過去にもSOKUDAN経由で採用した業務委託の人材が、正社員になったケースもありました。正社員採用専門や業務委託採用専門の媒体が多いなか、雇用形態の変更に柔軟に対応できて使いやすいです。採用で重視するポイントは「即戦力として活躍できるスキル」── SOKUDAN経由で、新城さんが採用に関わった人材を教えてください。(新城さん)私がジョインして以降は、各事業部門と協力しながら以下のプロ人材を採用しました。日本国内のマーケティングやインサイドセールスを支援する人材・1名米国内の日系イベントに参加し、リードとのリレーション構築をするBizdev人材・2名ライアントのセキュリティレビューを担当する人材・1名── 業務委託人材の採用フローと、採用にあたって重視していることを教えてください。(新城さん)まずは全職種の一次面談をカジュアル面談としており、私が担当します。カジュアル面談では、dotDataの事業内容や目指す世界観などを伝えて、弊社の魅力が候補者の方に伝わるよう意識しています。その後は職種によっても異なりますが、各事業部門が用意した技術テストやアセスメントを実施。さらに、各事業部の責任者による面談を重ねて、最終面談は藤巻が担当します。採用において、一番重視しているのはスキルです。また、業務委託の方にも正社員と同じスキルを求めているので、採用フローも両者で違いを設けていません。候補者に即戦力として活躍してもらえるかを見極めるために、あえて工数をかけた採用を行っています。── SOKUDANで採用した人材の活躍ぶりはいかがですか?(新城さん)皆さんプロフェッショナル意識を持って円滑に業務を遂行していて、現場のメンバーからの評価が高いです。例えばBizdevの方は、ご自身の語学力を活かしながらアメリカと日本をフットワーク軽く行き来して活躍しています。自発的に仕事を拾ったり、ミッションを全うするために周りを巻き込んだりする働きかけが、当たり前のようにできる方ばかりです。プロ人材に力を発揮してもらうために大切なのは「オンボーディング」── 複業人材が働きやすい環境作りにおいて、心がけていることはありますか?(新城さん)採用した方が配属になったら、各部門で必ずオンボーディングを行うようにしています。とはいえ、未経験の人材を採用するわけではないので、かける時間は数日程度です。オンボーディングで業務遂行におけるポイントを伝えて、プロ人材にスムーズに仕事に取り組んでもらえるよう心がけています。── 貴社は海外にもオフィスがある関係で、時差のある拠点の方とコミュニケーションを取ることも多いかと思います。皆さんはどのようにタイムマネジメントをしているのでしょうか?(新城さん)弊社は「高いパフォーマンスを発揮できる時間で集中して働いてもらう」方針を取っています。私も週3〜4日、1日8時間前後を候補者や社内の予定に合わせながらスケジュールを組んでいます。私のケースを話すと、カナダと日本では時差が16時間あり、こちらが夕方の場合、日本は翌日の朝です。なので、夕方に日本在住の候補者との面談を入れて、日中は米国オフィスのメンバーと打ち合わせをしたり、採用媒体でスカウトを打ったりしています。── 今後、採用していきたい人材の方針を教えてください。(新城さん)今後は、日本でさらにビジネスを拡大したいと考えており、日本市場向けに人材を積極的に採用する計画を立てています。特に注力して確保したいポジションは、シニアデータサイエンティスト コーポレートセキュリティ、QAです。いずれの職種も基本的には正社員での雇用を検討していますが、SOKUDANでも人材を探しつつ、dotDataに関心を持っていただける方々を採用していきたいです。dotDataが生み出した独自の技術「特徴量自動設計」とは?── 冒頭にお話されていた「特徴量自動設計技術」について、そもそも特徴量が何かを含めて、詳しく教えていただけないでしょうか。(新城さん)特徴量とは、企業の課題を分析する際の手がかりとなる数値です。AI/機械学習によって何らかのデータを分析する際、データサイエンティストは、膨大なデータから課題解決に有意な特徴量のパターンを見いださなければなりません。したがって、特徴量の設計はデータサイエンスの専門家が関わっても、数ヶ月単位の時間がかかるのです。また、AIは特徴量としてまとめられたデータをもとに分析を行うため、分析結果の精度は特徴量に大きく左右されます。そこで役立つのが、冒頭にお話した特徴量の自動設計技術です。dotDataは、売上実績や顧客属性などの業務データを取り込み、分析したい目的変数を設定するだけで、AIが自動で数十万〜数百万通りの仮説を探索し解釈性の高い仮説を多種多様に生成し評価します。これにより、人間が想像もしなかったような条件や判断のポイントとなる閾値まで抽出できます。データ分析、機械学習、AIの技術やスタートアップが数多くある中で、dotDataの独自性が高くされている理由は、この「AIが導き出すビジネスの洞察」にあります。dotDataのプロダクトが、課題を新たな方向性で解決する道筋を示し、今後の経営判断に役立つ価値を提供できる点が、多くの企業様に支持されています。── 主にどのような業種の企業で活用されていますか?(新城さん)大手企業様を中心に、製造、航空、小売、金融業界などで導入が進んでいます。例えば、製造業界では商品の需要予測や、製造工程の効率化、航空業界の場合は航空機の故障予測など、さまざまな用途で活用されています。── 貴社のプロダクトは、データサイエンスの知見がないと使いこなせないのでしょうか?(新城さん)直近でリリースされた「dotData Insight」は、データサイエンティストのように高度な知見がなくても、BIツールを操作する感覚で使えます。マーケティングやセールス、HR、財務など、あらゆる部門で汎用的に利用できるのもポイントです。例えば、HR部門で「自社の従業員の退職率が上がっている」という課題を改善したい場合を想定します。退職者が増えている原因を特定するために、退職者の入社年次や配属部署、年収レンジなどの人事データをdotData Insightで分析すると、プロダクトがデータから退職者に共通するいくつかの条件を自動で特定します。さらに、その条件を生成AIと統合することで、条件の背後にある要因の仮説を生成できます。例えば「この条件がそろった時に、社内でどのような対策を取れば良いか」などの仮説を、生成AIと対話しながら立てられるのです。従来は、データサイエンティストを交えながら仮説の議論を行うのが一般的でしたが、生成AIによって、専門知識を持たない部門でも予測を立てられるようになりました。まさに、弊社が掲げているビジョンに近づいた実感があります。── 貴社のプロダクトによって、データサイエンスがどの企業でも当たり前のように活用される未来が訪れそうだと感じました。最後に、今後の展望をお伺いしたいです。(新城さん)会社としては「dotData Insight」のように、あらゆる企業にとってデータ分析を身近に感じられるプロダクトを作れるよう、やるべきことを着実に積み重ねる方向でいます。私自身の今後の目標は、採用広報に注力することです。これまでは、優秀な人材をよりスピーディーに確保することに専念してきました。そういった採用活動も重視しつつ、これからは、自社の魅力を多くの人に伝えられるようなコンテンツを作り、発信したいと考えています。私がかつて、SOKUDANでdotDataを見つけた時に感じた「こんな会社あったんだ」という発見を、より多くの人にしてもらい、採用につなげる体制を整えていきたいです。【会社概要】会社名:dotData, Inc.設立:2018年2月URL:https://jp.dotdata.com/事業:特徴量自動設計を用いたAIプラットフォームの開発