株式会社毎日新聞社は、シニア世代が直面する介護や相続、終活などの悩みを相談できるサービス「生活の窓口」を展開しています。同社は、SOKUDANにより生活の窓口のバックオフィス全般に加えて、業務のDXを推進できる人材を採用しました。今回は、生活の窓口・相談員統括マネジャーの山本建さんに、業務委託を採用しようと思った背景や、プロ人材の採用を成功させたプロセスに関して、詳しくお聞きしました。── 株式会社毎日新聞社が実施している「生活の窓口」のサービス概要について教えてください。(山本さん)生活の窓口では、60代以降の方を中心に、定年後のセカンドライフに関わるお悩みごとをワンストップで解決するサービスを行っています。特にこの世代の方々は、相続や介護、終活などのライフイベントに関する不安を多く抱えていらっしゃいます。不安を抱える利用者様に対し、FP(ファイナンシャルプランナー)の資格を持った相談員が現状をお聞きして、解決方法をご提案します。内容によっては、税理士などの専門事業者と連携して、解決までサポートを行います。ほかにも、生活の窓口ではシニアの方々をターゲットとした資産運用や相続などをテーマにしたセミナーやイベントも定期的に実施しています。正社員の雇用が難しく、中長期で稼働できる業務委託人材を探すことに── 貴社が抱えていた人的課題を教えてください。(山本さん)生活の窓口におけるバックオフィス業務全般を担当する人手が不足していたことが課題でした。これまでは、社員である私が利用者様からの問い合わせや、相談員との日程調整、相談内容のデータ入力などの事務全般を担当していました。しかし、利用者様から1日に寄せられる問い合わせ件数が増えていき、私だけでは捌ききれなくなってしまって。そこで、週5日バックオフィスを担ってくれる人材を、業務委託で募集しようと考えたんです。── 週5日勤務が前提の正社員の募集は、検討しなかったのでしょうか?(山本さん)正社員を雇用するとなると、社内の人事部門と連携して話を進めていく必要があります。そこで人事担当と話した結果、このポジションでの正社員を募集するのは見送ることになりました一方、業務委託であれば、各事業部の裁量で採用を行っても良いと社内規定で定められていたので、業務委託の採用にシフトすることに決めたのです。これまで、業務委託で相談員の採用は行ったことがありましたが、週5日、中長期的に働けるバックオフィスの人材の採用は初めてでした。どう募集をかけて採用を進行するのがベストか全くわからない状態だったので、進め方も含めて相談できる求人媒体を探そうと動きました。業務委託の採用に特化したSOKUDANに期待── 業務委託を採用できるプラットフォームを探した結果、SOKUDANにたどりついた経緯を教えてください。(山本さん)インターネットで検索したところ、SOKUDANが最初にヒットしたんです。HPをのぞいてみたら、業務委託人材専門のマッチングプラットフォームであることがわかり、「ここなら採用できそう」と期待を持って問い合わせました。他社のプラットフォームも検討してみましたが、正社員での採用が前提の媒体や、中長期ではなく短期、スポットでの採用に重点を置いている媒体が多く、今回のニーズとはマッチしませんでした。── ほかに、SOKUDANに期待していたことはありますか?(山本さん)面談以外の採用業務は、ある程度お任せしたいと思っていました。私自身ほかに抱えている業務が多く、あまり採用に労力をかけられない状態だったからです。そのことも正直に伝えたところ、SOKUDANのCS担当の方から「できます、お任せください!」との力強い言葉をいただき、導入を決めました。SOKUDANだからこそ、求める人物像を言語化できた── 導入後、SOKUDANのCS担当者とはどのような打ち合わせをしましたか?(山本さん)まずは担当の方と、求人掲載前に「採用したい人物像」のすり合わせをしました。そこで必須条件は、利用者から来る問い合わせの電話対応、相談員とのスケジュール調整ができる人材に設定。歓迎要件を、生活の窓口のHPに掲載する情報を更新するCMSや、利用者の相談データを入力するアプリ「kintone」の使い方に慣れている人材に定めました。担当の方には、上記の内容を盛り込んだ求人票を作ってもらい、掲載まで進めてもらいました。── 応募者からの求人の反応はいかがでしたか?(山本さん)求人には割と反応があり、応募者の中から何人かと面談したのですが、どうも私の求める人物像とはズレがある気がしました。面談した方々は、電話や対面コミュニケーションを得意としていましたが、CMSやkintoneの扱いにはあまり慣れていなさそうだったのです。私は電話対応とツールの操作どちらもできる人材が欲しかったので、改めて求める人材を再検討することにしました。── 再検討したところ、どのような結論を出したのでしょうか?(山本さん)以前から、生活の窓口の業務のDX化を推進したいと思っており、これまでもkintoneを導入するなどの取り組みを率先して行ってきました。今実現できていないDXの構想もたくさんあります。なので、CMSやkintoneを使えるのはもちろん、そのほかのデジタル技術を扱うことに抵抗のない人材を採用する方が良いのでは、と考え直しました。加えて、利用者からの問い合わせ状況を調べてみると、近年は電話よりWebフォーム経由での問い合わせが増えており、電話対応にそこまでの労力を必要としないことがわかりました。そこで、当初の求人票に明記した必須条件と歓迎要件を入れ替えて掲載し直した結果、求める人材とマッチングし、無事採用することができました。── 貴社の求める人材と巡り会えて、本当に良かったです。改めて、今回SOKUDANを利用して良かったポイントを教えてください。(山本さん)SOKUDANのCS担当者は、求人を作る段階から伴走いただき心強かったです。担当の方との壁打ちがあったからこそ、求める人物像の変化をきちんと言語化できたと思っています。諸々のサポートもありがたかったです。たとえば、面談前の書類選考で、明らかに条件から外れている人はスクリーニングしてくれたり、面談の日程調整をしてくれたりと、こちらの労力が最小限で済むよう動いてくれて、本当に助かりました。SOKUDANは、私のように業務委託の採用に慣れていなくて不安な方にもおすすめできるプラットフォームです。自発的にDXを提案、推進して活躍── SOKUDAN経由で採用した方には、どんな業務をお任せしていますか?(山本さん)SOKUDAN経由で採用したYさんには、求人票に明記したkintoneへのデータ入力や、CMSを使用したイベント情報の更新、電話対応以外にも、さまざまな仕事を任せています。つい最近は、定期的に開催するイベントの参加費を、オンラインで回収するための決済システムの導入をお願いしました。当初は、私が見つけたシステムの導入を頼む予定でしたが、決済手数料が高いことに悩んでいました。するとYさんが、手数料が安く、我々のニーズにも合っているシステムを探し出し、提案してくれたんです。── まさに、貴社が求めていたDXを自発的に提案、推進できる人材ですね。(山本さん)ほかにも、生活の窓口では問い合わせの一次対応にチャットボットを使うことを検討していて、その導入も担当してくれています。こちらから一つひとつ指示をするのは負荷がかかりますが、Yさんにはその必要がなく、自ら動いてくれて頼もしいです。業務委託人材は、正社員と比べて気軽に採用しやすい── 今回の採用活動を経て、山本さんが感じた業務委託人材を活用するメリットを教えてください。(山本さん)採用する立場から話をすると、業務委託は正社員と比べて気軽に採用できるのがメリットだと思います。採用される側も、「もし仕事内容や職場が合わなければ次に移れば良い」と、気楽に考えられるのではないでしょうか。また、昨今はどの企業も人手が足りないことに悩んでいます。人手不足を素早く解消する手段として、業務委託の採用は適していると思います。今後は、どの企業でも業務委託を積極的に採用、活用する動きが増えていくと見込んでいます。── 今後、生活の窓口で業務委託や複業人材を活用するビジョンはありますか?(山本さん)仮に、生活の窓口の事業拡大に伴って、専門の子会社を立ち上げると想定します。その際は、資金調達や組織体制の構築に長けた人材が必要となるはずです。そういった知見のある人材を招き入れる際に、業務委託のプロの力を借りるのは1つの手段だと思いました。SOKUDANには、資金調達や組織設計ができるハイスキルな人材がいるとも聞いているので、必要に応じて接点を持てたら良いですね。セカンドライフに悩むより多くの方々に利用してほしい── 生活の窓口について、もう少し詳しく教えてください。なぜ、このようなサービスを始めようと思ったのですか?(山本さん)以前から新聞の読者が高齢化しており、介護や相続などに悩む人が増えていることを実感していました。そのようなテーマの記事を出すたびに、読者からも「何とかできないか」という問い合わせが増えてきたのです。そこで、読者をはじめ、シニアの皆様を支援するサービスを提供できないか考え、2019年に生活の窓口を立ち上げました。読者をはじめ、利用者の皆様からは好評で、立ち上げからおよそ5年で累計7,000件ほどの問い合わせをいただいています。── どのような相談が多く寄せられていますか?(山本さん)たとえば、「親が認知症になってしまい、実家の売却ができなくなってしまった」というご相談はよく受けます。認知症になってしまうと、ご本人の持つ財産の移動や処分が、ご家族であってもできなくなってしまうのです。ほかにも、地元から離れて暮らしている方から「田舎の墓を移動したい」といった相談や、ご高齢の方から「自分の財産をなるべく相続税をかけず、子どもに渡したい」旨の相談を受けることもあります。毎日新聞で掲載した記事を反響に、問い合わせが来ることも多いですね。── セカンドライフをテーマにした色々な相談を受けていらっしゃるのですね。このビジネスの強みや、利用者から支持される理由はどこにあるとお考えですか?(山本さん)冒頭にも話した通り、強みはシニアが抱える悩みの解消をワンストップで行えることです。今は金融機関でも、相続や資産運用に関する一部の相談事業は行っています。しかし、介護施設の入所方法や、住まいの売却、お墓に関する悩みまでを丸ごと相談・解決できるような場所は、ほかになかなかありません。また、生活の窓口は何か商品を扱う会社ではなく、報道機関が行っているサービスです。公平・中立な立場で相談を受けられることも、利用者様から一定の信頼を得ている理由だと思います。── 最後に、生活の窓口の今後の展望を教えてください。(山本さん)さまざまな利用者様の相談をお受けするうちにデータが蓄積されて、シニアの方がお持ちのニーズがわかってきました。引き続き相談業務は続けつつ、このデータを活用して何かしらの新しいサービスを立ち上げられたら、と考えています。また、普段仕事をしていてなかなか相談に来れない40〜50代の方々からの問い合わせも、広く受け付けられるようにしたいです。そのために、先ほど話したチャットボットの導入などを進めています。1人でも多くの方のセカンドライフにまつわる悩みを解決できるよう、これからも尽力します。【会社概要】会社名:株式会社毎日新聞社設立 :2019年5月(生活の窓口開始月)URL :https://seikatsunomado.com/tokyo01事業 :シニア向けライフイベントの相談事業