車載用ソフトウェアの開発支援を中心に事業展開している「Crystal株式会社」。今年7月には、名古屋市内で初の電動キックボードシェアリングサービス「Su__i(スーイ)」をリリースしました。同社は、スーイのアプリ開発をリードするPM(プロジェクトマネージャー)を、復業人材のマッチングサービス「SOKUDAN」経由で採用しています。代表取締役の蒼佐ファビオさんに、PM人材が必要になった背景や採用した人材のポテンシャル、複業人材の活用方法についてお伺いしました。── まずは、貴社の事業内容について教えてください。(蒼佐さん)Crystal株式会社では、主に車載用ソフトウェアの開発支援事業を行っています。主要なお客様は、自動車メーカー様です。メーカー様から新しく開発したいソフトウェアの要望をいただき、我々が開発を進める流れを取っています。車載用ソフトウェアの開発において、私たちが採用している画期的な手法のひとつに「MBD(モデルベース開発)」が挙げられMBDとは、コンピューター上に現実と同じ車のモデルを生成することで、開発や検証のシミュレーションが自在に行える手法です。MBDを活用すると、開発期間の短縮やソフトウェアの品質向上など、様々なメリットを享受できます。 また、to C向けのサービスも展開していて、今年7月には名古屋市内で初の電動キックボードシェアリングサービス「Su__i(スーイ)」をリリースしました。弊社では、キックボードと連携するスマホアプリとGPS機能の開発に携わっています。即戦力となるPM人材を急遽確保しなければならない事態に── 今回SOKUDANを導入しようと思った背景には、どのような人的課題があったのでしょうか?(蒼佐さん)先ほどお話した、スーイのPM(プロジェクトマネージャー)を急遽採用しなければならない事態に迫られたのが背景にあります。今までスーイの統括を担ってくれていた社員がとある病気をわずらい、「事業から離れて治療に専念したい」という申し出を受けました。その話を受けたのが今年の5月ごろ。早急に彼の代わりを立てないと、7月に予定しているサービスのリリースや運営が間に合わない状況になりました。そこで、雇用形態に関わらず即戦力となるPMをいち早く確保すべく、SOKUDAN含む複数の人材サービスに登録したのです。ハイスキルな人材が多く、リーズナブルに使えるのがSOKUDANの魅力── SOKUDANは、何をきっかけに知りましたか?(蒼佐さん)弊社の人事を担当する業務委託のメンバーがプロ人材としてSOKUDANに登録していて、勧めてもらったのがきっかけです。彼女から「SOKUDAN側の対応はスピーディーで、早急な人材確保につながる」と提案を受けて、導入を決めました。── SOKUDANを導入した成果はいかがでしたか。(蒼佐さん))今年の6月にSOKUDANで採用募集をかけて、すぐに一定数の方から応募いただきました。その中でも数名の方は高度なスキルをお持ちで、「ぜひ話を聞いてみたい」と思える方々でしたね。うち1人を無事に採用でき、スーイのリリース月には稼働してもらえる状況を作ることができました。── お役に立てて何よりです。SOKUDANに価値を感じているポイントを教えてください。(蒼佐さん)SOKUDANには、ハイスキルな人材が多く登録していると感じます。他の求人媒体も利用してスカウトを送ったり、エージェントに人材の斡旋をお願いしたりしていましたが、なかなか弊社が求める人材とマッチせず、面談に至る確率も少なかったです。対して、SOKUDAN経由での人材は100%面談できていることからも、優秀な人材が多いことが伺えます。また、比較的リーズナブルに活用できるのも良いですね。私たちのようなベンチャーは、大企業、中小企業と比べて資金力が潤沢ではありません。そんな中で利用しやすい価格帯を打ち出してくれていてありがたいです。採用したPMは期待していた役割を超えて大活躍!メンバーの結束力が高まる── SOKUDANで採用した人材の業務内容や役割について教えてください。(蒼佐さん)今回採用したTさんには、スーイのアプリのPMを任せています。具体的には、全体の要件定義、仕様書の策定、フロントエンド・バックエンドの実装管理をはじめ、データベースやセキュリティの構築など、アプリに関わる業務全般のマネジメントをお願いしています。 ── プロの複業人材を採用したことで得られた成果について教えてください。(蒼佐さん)Tさんは本当に優秀で、スキルの面もさることながら、仕事への向き合い方が素晴らしいです。タスクの進捗状況や打ち合わせの議事録をすすんで共有してくれたり、アプリの構造について尋ねると、誰にでもわかるよう噛み砕いて説明してくれたり。安心して業務を任せられますね。また、私の意向を汲み取りながら、会社が進もうとしている方向性を都度現場のメンバーに展開してくれているとの話も聞きました。Tさんがジョインしてからメンバーの結束力がより一層高まり、同じ方向を向いてミッションを遂行できていると感じています。── まさに貴社の即戦力となり活躍しているのですね。(蒼佐さん)つい先日も、私が成し遂げたいビジョンを伝えると、Tさんが実現に必要な組織図を作ってくれました。ただ図を作るだけでなく、「このポジションにはこんな技術レベルを持った人が必要だ」など、社内に必要な人物像もフィードバックしてくれて。経営面にも積極的に関わってくれているので助かります。事業成長には、複業人材を状況に応じて活用することが必要不可欠── 複業人材の方が働きやすい環境作りについて工夫されていることはありますか?(蒼佐さん)普段はリモートで勤務していますが、週に1回正社員、業務委託のメンバーを交えて名古屋の本社で定例会を開いています。定例会は、全社的な情報共有だけでなく、エンジニア同士の技術の共有など、従業員のコミュニケーションを活性化する場にもなっています。今回採用したTさんは東京在住なので、定例会はリモートでの参加です。しかし、今後はTさんにも月1回ほど本社に来てもらえる環境を整え、私やメンバーとより活発にコミュニケーションを取ってもらえるようにしたいと考えています。── 雇用形態に関係なく、一人ひとりが力を発揮しやすい環境作りを大切にしているのですね。(蒼佐さん)そうですね。ですが創業当初は、複業人材を積極的に活用しようとは思っていませんでした。自社で培ったノウハウが外部に流出してしまう可能性があることに、少し懸念があったからです。しかし、今回採用したTさんしかり、SOKUDANを紹介してくれたメンバーしかり、優秀な複業人材の働きぶりを見て考え方が変わりつつありますね。正社員の採用にこだわると、事業の成長に人材の投入が追いついていかないケースが起こりがちです。その時の状況に合わせて、適切なタイミングで複業人材と手を組んでいくのが、弊社の事業成長には欠かせないと実感しています。── 貴社の今後の展望についてお聞かせください。まず1つは、創業当初から考えている海外進出を狙おうと考えています。視野に入れているエリアは、アジア圏やオセアニア圏です。海外展開を本格化するにあたって、外国人材の採用も積極的に行っています。今年の10月からインド出身のエンジニアにジョインしてもらっていて、12月にも韓国、中国、タイ出身のエンジニアが入社予定です。Tさんに作ってもらった組織図をもとに、新たな人材採用も積極的に行う予定なので、その際はぜひSOKUDANにお世話になれればと思います。もう1つは、生成AIを使った事業を発展させていきたいです。弊社では、今年4月に新しく「AIディベロップメント事業部」を立ち上げました。現在は、車載用ソフトウェアやスーイにどうAIを活用していけるか試行錯誤しています。特に最近はAIの発展が目覚ましいので、弊社が持つ技術と組み合わせることで、新たな価値を創造できるよう取り組んでまいります。〜創業秘話〜電動キックボードシェアリングサービスを始めたきっかけは?── 蒼佐さんはCrystal株式会社の創業者でもありますよね。創業の経緯について詳しくお伺いしたいです。(蒼佐さん)私は、新卒で大手自動車販売会社に就職し、メカニカルエンジニアとして働いていていました。その後、2017年にエンジニアリング業界に参画。車載ソフトウェアの開発や、自動車業界の課題を解決に導くコンサルティングにも取り組んできました。そういったキャリアを歩む中で、自動車業界にまつわる様々な知見やノウハウ、関係者との人脈が形成されていったため、独立して2019年6月にCrystalを創業しました。── ご自身のバックグラウンドを活かして創業されたのですね。ちなみにスーイを手がけるきっかけは何だったのでしょうか?(蒼佐さん)自社の知名度を上げるために、to Cビジネスを立ち上げたいと思ったのがきっかけです。自動車メーカー様のソフトウェアの受託開発をメインにしているビジネスモデルの構造上、なかなか弊社の名前が表に出ることがなく……。より多くの人にCrystalを知ってもらうために、to C向けの事業の柱を作ろうと考えました。社内の従業員と話し合って出たアイデアが、電動キックボードのシェアリングサービスでした。今やアメリカやヨーロッパでは、移動手段のシェアリングサービスが当たり前のように普及しています。これを日本で広めたい、まずは名古屋の中心地で始めてみようと動き出しました。── 行政にも協力を仰がないと難しいビジネスモデルだと思います。各所とどのように連携してリリースに漕ぎつけたのでしょうか?(蒼佐さん)経済産業省に知り合いの方がいて、構想を話したら電動キックボードの安全利用に関する部署につないでいただきました。そこで、アイデアと自社で蓄積したノウハウについてプレゼンしたら、名古屋市内で事業を展開しても良いとの許可をいただいたんです。それからは、国土交通省や警察庁の皆様にもご協力いただき、実証実験を経て、7月に無事リリースできました。おかげさまで、現在は2,000人以上の方にご利用いただいています。今は名古屋市内の一部のエリアでの展開ですが、ゆくゆくはエリアを広げてより多くの人に新しい移動手段の価値を届けていきたいです。── 行政からの協力もあり、実際の利用者も増えているとのこと。今後の事業展開も楽しみです。海外進出や生成AIの事業でも、新たな人材を活用する上で、SOKUDANとしてもお力になれれば嬉しいです。本日は、ありがとうございました。【会社概要】会社名:Crystal株式会社設立 :2019年6月URL :https://www.crystaltec.co.jp/index.html事業 :車載用ソフトウェアの開発支援 電動キックボードシェアリングサービス「Su__i(スーイ)」の運営